C05犬種・猫種別ケア
ダルメシアンと暮らすなら知っておきたい、抜け毛の話
ダルメシアンの背中に手のひらを当てて、毛の流れと逆に軽く滑らせてみてください。指が毛の中に入っていく感じがほとんどなく、すぐに硬い体の面に当たります。毛の長さは2センチにも届かず、しかも1本ずつが太くてまっすぐです。この犬種の抜け毛でつまずくのは、量ではなく、毛と皮膚のあいだに層がないことのほうです。層がないということは、毛に当てたつもりの道具が、そのまま皮膚に届くということでもあります。抜け毛を取ろうとして力を入れるほど、触っている相手は毛ではなく皮膚に変わっていく。この記事では、毛の側で止まる道具と、皮膚まで届く道具を並べて、同じブラシがこの犬種で何をしているのかを比べます。
同じブラシでも意味が変わる|ダルメシアンの毛と皮膚の距離の違い
ダルメシアンの被毛は、短くて、硬くて、密です。1本ずつが太く、まっすぐで、体の面に沿って生えています。下毛にあたる柔らかい層はほとんどありません。つまり、上毛が1層だけで体を覆っている作りです。抜け毛の話をするとき、ここがすべての出発点になります。
毛が長い犬では、地肌の上に毛の層が何センチも重なっています。この層は、ブラシの歯が入ってきたときのクッションになります。歯は毛のあいだを進みながら少しずつ力を分け、皮膚に届くころにはほとんど残っていません。ダルメシアンには、その分け合う層がありません。歯が毛の面に触れた時点で、下はもう皮膚です。
ここから、この犬種に固有の逆転が起きます。抜け毛が気になると、人はふつう道具を強く当てます。歯の細かいものに持ち替え、往復の回数を増やし、少し押しつける。ところがダルメシアンでは、その3つとも「毛への働きかけ」ではなく「皮膚への働きかけ」に変わります。取ろうとするほど、触っている相手が入れ替わっていきます。
- 毛が2センチに届かない:道具の歯が、毛の途中で止まる距離がありません
- 下毛の層がない:力を分けて受け止める部分がありません
- 毛が太くて硬い:毛そのものはブラシに負けず、力は下へ抜けます
- 毛が密に並んでいる:抜けた毛が面の上に残り、量が多く見えます
- 皮膚が薄い:同じ力でも、届いたときの意味が変わります
抜け毛の量そのものは、ダルメシアンで特別に多いわけではありません。ただ、抜けた毛が短くて太いので、面の上に残っているあいだよく目立ちます。目立つから道具を強くする、強くすると皮膚に届く、という順路がこの犬種の抜け毛では起きやすい。だから、道具を「毛に触るもの」と「皮膚に触るもの」に分けて考えます。
これから比べる2つに、優れているほうと劣っているほうはありません。長毛の犬では皮膚まで届かない道具が、ダルメシアンでは届いてしまう、というだけの話です。同じ道具が、犬種によって違う仕事をします。いま使っているブラシを捨てる必要はなく、それがこの子の体の上で何をしているのかを、一度確かめてみてください。
毛の側で止まる道具と、皮膚まで届く道具|ダルメシアンの抜け毛での使い分け
道具を2つのグループに分けます。分ける基準は、値段でも素材でもなく、当てたときに力がどこで止まるかです。ダルメシアンの抜け毛に手を入れるとき、この2つはまったく別の仕事をしています。片方でもう片方の代わりをさせようとすると、抜け毛は減らないのに皮膚だけが触られます。
1つ目は、毛の側で止まる道具です。当たる面が広く、歯があっても短くて先が丸い。ラバーの面、やわらかい獣毛、手のひら、湿らせた布などがここに入ります。面で当たるので、力が1点に集まりません。面の上に浮いている抜け毛を集めて外へ運ぶのが、この道具の仕事です。地肌を起こす働きはほとんどありません。
2つ目は、皮膚まで届く道具です。歯が細く、長く、先がとがっているか内側へ曲がっている。金属のコーム、細かいピンのブラシ、抜け毛をかき出すための刃がここに入ります。長毛の犬では、これらは下毛の層まで届いて仕事をします。ダルメシアンでは、届く先が下毛ではなく皮膚です。点で当たるので、力が1か所に集まります。
| 毛の側で止まる道具 | 皮膚まで届く道具 | |
|---|---|---|
| 当たり方 | 面で当たる | 点で当たる |
| 歯の作り | 短く、先が丸い/歯がない | 細く長い/先がとがる |
| 取れる抜け毛 | 面の上に浮いているぶん | 根元に残っているぶん |
| 力の行き先 | 毛の面で止まる | 毛を通り抜けて皮膚へ |
| この犬種での向き不向き | 毎日の基本にできる | 回数と強さを決めてから使う |
| やりすぎたときに出るもの | 抜け毛が取りきれない | 皮膚の側に赤みが残る |
| 静電気の起きやすさ | 乾いた日は毛が手に貼りつく | 毛先だけが持ち上がる |
この2つには順番があります。いつも、毛の側で止まる道具が先です。面の上に浮いている抜け毛を先に外へ出しておくと、そのあと皮膚まで届く道具を使う時間が短くて済みます。逆にすると、浮いている毛をかき分けながら皮膚を触ることになり、同じ抜け毛の量に対して皮膚に触れる回数だけが増えます。
そのうえで、皮膚まで届く道具をまったく使わない、という選び方もありません。ダルメシアンの毛は太くて硬いので、抜けたあとも根元の位置に残って立っていることがあります。面をなでる道具では、その残った毛に触れられません。使うか使わないかではなく、どれだけの回数と強さで使うかを先に決める、というのが使い分けの中身です。
今日はどちらを持つか|ダルメシアンの抜け毛で迷ったときの選び方
2つあると決まったら、次はその日どちらから入るかです。毎日2つを全身に使う必要はありません。選び方の基準は、床に落ちている抜け毛の量ではなく、皮膚の側の状態にあります。道具を持つ前に、次の順で確かめてください。
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手のひらを毛の流れに沿って滑らせ、手に何本ついてくるかを見る
5往復して、手のひらに毛がまとまってついてくるなら、面の上に浮いている抜け毛が多い状態です。この日は、毛の側で止まる道具だけで足ります。浮いているぶんを外へ出すだけで、見た目の抜け毛はかなり減ります。皮膚まで届く道具を持ち出すのは、まだ先です。
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毛の流れと逆に手のひらを滑らせ、抵抗が返ってくるかを見る
逆なでで毛が起き上がり、指の腹に短い毛が引っかかる感じがあるなら、根元の位置に抜けた毛が残っています。ここが、皮膚まで届く道具の出番です。抵抗がなく、するりと戻るだけなら、その場所には残っていません。持ち替えなくて構いません。
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指の腹で皮膚を軽く押して、離したあとの戻り方を見る
押したあとに白くなった部分が、すぐ元の色へ戻るかどうか。戻りが遅い、赤みがそのまま残る、押すと嫌がるという日は、どちらの道具も使わない日です。前の日に触りすぎている可能性があります。手のひらでなでるだけにして、翌日にもう一度確かめてください。
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場所を4つに分けて、その日に触る場所を1つに絞る
背中、脇腹、腰から後ろ脚、胸から前脚。ダルメシアンは体が大きく、面が広い犬種です。全身を1日で回そうとすると、後半は必ず力が入ります。今日は背中だけ、明日は脇腹だけ、と決めるほうが、結果として皮膚に触れる回数が減ります。
| 確かめて分かったこと | その日に持つ道具 |
|---|---|
| 手のひらに毛がまとまってつく | 毛の側で止まる道具だけ |
| 逆なでで短い毛が引っかかる | 毛の側で止まる道具のあと、皮膚まで届く道具を短く |
| 逆なででするりと戻る | その場所は今日はやらなくて構いません |
| 押したあとの赤みが残る | どちらも持たない。手のひらでなでるだけ |
| 同じ場所だけ毛が短く見える | 道具を止めて、まず皮膚の側を見る |
抜けた毛が短くて太いぶん、床にも服にもよく目立ちます。目立つ量を基準にすると、道具を強くする方向にしか進めません。基準にするのは、床の毛の量ではなく、押したときの皮膚の戻り方です。この見方に切り替えると、触る日と触らない日がはっきり分かれて、1週間の手数がむしろ減ります。
抜け毛の量が動く時期|犬としてのダルメシアンで、季節に何が変わるのか
ダルメシアンには、下毛がまとまって抜ける層がありません。そのため、春と秋にどっと抜けて、そのあいだは落ち着く、という動き方をしません。一年を通して、少しずつ、いつも抜けています。そのうえで季節の変わり目には量が上がるので、換毛期がないわけでもありません。増え方がなだらかなだけです。
この動き方は、道具の配分に影響します。抜け毛がまとまって出る犬種では、換毛期に皮膚まで届く道具の出番が増え、そのあと減ります。ダルメシアンでは、その山がはっきりしません。出番が減る時期がないので、気づかないうちに毎日使い続けてしまいます。この犬種で皮膚に赤みが出るのは、季節の山ではなく、この「ずっと続く」ほうが原因になりがちです。
| 時期 | 毛の側で止まる道具 | 皮膚まで届く道具 |
|---|---|---|
| 春・秋の変わり目 | 毎日。1か所ずつ回す | 週に2回まで。1か所につき数往復 |
| 夏 | 毎日。短く済ませる | 週に1回。汗ばむ日は使わない |
| 冬 | 1日おき。乾いた日は静電気が出ます | 週に1回。地肌が乾いている日は飛ばす |
| 抜け毛が急に増えた週 | 毎日。落ちる前に集める | 回数は増やさない。まず皮膚を見る |
冬について、もうひとつ。空気が乾く時期は、毛が手やブラシに貼りついて静電気が起きます。ダルメシアンの毛は短くて軽いので、いったん貼りつくと外れにくく、そのぶん往復の回数が増えます。静電気が出ている日は、道具の回数を増やすのではなく、毛先の側を湿らせてから始めてください。湿った布で表面をひとなでするだけで、貼りつきはかなり落ち着きます。
洗う回数についても書いておきます。抜け毛が増えると洗いたくなりますが、この犬種は毛が短く、地肌までの距離がありません。洗う回数を上げると、地肌の側のうるおいが先に減ります。乾いた地肌は、道具の刺激をいっそう受け取りやすくなります。だから、道具を当てる前に地肌の側をととのえます。mofuwa スキンケアミストを布に含ませ、乾きやすい腰や脇腹を毛の流れに沿ってなでてください。舐めても問題のない基準でつくられた水なので、そのあと自分でなめ返す場所にかけても、量を気にせずに済みます。
使う場所は、腰と脇腹だけではありません。スキンケアミストは場所を選ばないので、耳の内側や口のまわりのように、ほかのものを使いにくい面にも届きます。ダルメシアンでは、逆なでで抵抗が返ってくる面と、押したあとの戻りが遅い面が重なることがよくあります。その面を先に湿らせてから道具を入れると、同じ往復の回数でも返ってくる抵抗が変わります。毎日きれいにしておきたい、という側から入って構いません。地肌の条件は、道具を持ち替える前に動かせます。
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皮膚の乾燥は、そのままにしておくと様々な皮膚トラブルの原因になります。従来のクリームやローションなどの保湿剤だとべたつきや気にして舐めてしまう子もいるため、電解水100%で舐めても安全なmofuwaスキンケアミストは日々のケアとしておすすめです。
量が増えたときにまず動かすのは、道具の強さではなく回数の配分です。毛の側で止まる道具を毎日に増やし、皮膚まで届く道具は据え置く。これが、この犬種で赤みを出さないままいちばん多く回収できる組み合わせです。強い道具に持ち替えて回数も増やすと、抜け毛の量は変わらないのに、皮膚に触れた回数だけが倍になります。
道具を分けても戻ってくる抜け毛は、被毛の条件では説明がつきません
ここまでは、毛が短く層がないという条件から説明のつく抜け毛の話でした。2つの道具を順番どおりに使い、回数も配分しているのに、同じ場所だけが短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、道具や毎日のケアの範囲を超えています。
- 体の一か所だけ、毛が短く見える:全体の抜け毛とは違う起き方です
- 左右で毛の密度が違う:寝る向きや、体を預けている面を思い出してください
- 抜けたあとの地肌が赤い、においがある:道具を止めて、そこを見てください
- 同じ場所をなめる、かく、こすりつける:抜け毛より先に、そちらが変化です
- 季節の区切りと関係なく、量が急に変わった:この犬種はもともと山がなだらかです
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるなら、その場で手を止めてください
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が抜けて地肌が広く見えている、フケが急に増えた、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ブラッシングの回数や道具を見直す前に、動物病院にご相談ください。ダルメシアンは毛が短く地肌が近いので、変化が早く目に見えます。見えたということは、すでに進んでいることもあります。この8つのうち2つが同じ週に重なっているなら、その週のうちに時間をつくってください。
相談やトリミングの前には、その日に使った道具、1週間の回数、抜け毛が増えた日の3つをメモしてください。ダルメシアンの抜け毛は道具の当て方で見え方が大きく変わるので、この3つがあると、被毛の条件で説明のつく範囲かどうかを切り分けてもらえます。前の晩に念入りに手を入れてしまうと、もとの状態が分からなくなります。整えずに、その日の面のまま見てもらってください。
ダルメシアンと暮らすうえで、抜け毛がなくなることはありません。短くて太い毛が一年じゅう少しずつ入れ替わるのは、この犬種の被毛そのものだからです。動かせるのは抜ける量ではなく、抜けた毛を集めるために皮膚へ触れた回数のほうです。毛の側で止まる道具を先に、皮膚まで届く道具は回数を決めて。同じブラシがこの子の上で何をしているのかを分けて考える。ダルメシアンの抜け毛で手を入れられるのは、そこです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- ダルメシアンの抜け毛は、換毛期にまとめて出ますか?
- 下毛の層がないので、まとまって抜ける山ははっきりしません。春と秋に量は上がりますが、一年を通して少しずつ抜け続けます。そのため、道具の出番が減る時期もありません。気づかないうちに毎日同じ強さで使い続けてしまうことのほうが、この犬種では起きやすいと考えておいてください。
- 抜け毛用のかき出す道具は、使わないほうがいいですか?
- 使わないという意味ではありません。太い毛が根元の位置に残ることがあるので、面をなでる道具だけでは届かない場所があります。ただ、この犬種では歯が皮膚まで届きます。使う前に回数と場所を決めて、逆なでで抵抗が返ってきた場所にだけ、短く使ってください。
- 床に落ちる毛の量が減りません。回数を増やすべきですか?
- 回数を増やすなら、毛の側で止まる道具のほうだけにしてください。皮膚まで届く道具の回数を上げても、抜ける量は変わらず、皮膚に触れた回数だけが増えます。量が減らない週は、床の毛ではなく、指で押したあとの皮膚の戻り方を基準にして、触らない日をつくるほうが早く落ち着きます。
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