C12Q&A・豆知識
サロン代と自宅ケアの年間差額
電卓を出して、サロン1回ぶんの領収書に回数を掛けると、年間のトリミング費用が出ます。そこから家で使ったぶんを引けば、差額の数字も出ます。計算そのものは成り立ちます。成り立たないのは、その数字の読み方のほうです。引き算が意味を持つのは、家とサロンが同じことをしている場合だけです。サロンの側にしか残らない工程を引くと、2つはそもそも並べられません。この記事では、トリミング費用の平均も差額も書かずに、家で出せる数字は何なのかを、8つの問答に分けて書きます。
サロン代と自宅ケアの年間差額は、いくらになりますか|この記事では金額を書きません
差額そのものは、電卓があれば出ます。ただ、その数字は「家とサロンが同じことをしている」という前提の上にしか立ちません。同じことをしていないものを引き算すると、出てきた数字は差額ではなく、ただの引き算の答えになります。トリミング費用を家のケアと比べるときに、いちばん最初につまずくのがここです。
この記事では、金額の平均も、年間の差額も書きません。書かない理由は2つあります。1つは、平均が家ごとに当てはまらないこと。もう1つは、引き算の前提が成り立っていないことです。1つめは数字の性質の話で、2つめは工程の話です。工程のほうが根っこにあるので、そちらを先に開きます。
- 体の大きさ:洗う量も、乾かす時間も、道具にかかる時間も変わります
- 毛の状態:もつれているかどうかで、その日の工程そのものが変わります
- メニューの組み方:どこまでを1回に束ねるかは、店によって違います
- 回数:年に何回かは、その子の毛の伸び方と、暮らし方で決まります
- 追加になるもの:その日の状態で足されるものがあります
- 家の側の中身:何を買って、何を買わないかは、家ごとにまるごと違います
この6つのうち、どれか1つでも違えば、他所の差額はそのまま自分の家に持ってこられません。トリミング費用について書けるのは、金額そのものではなく、その金額を動かしている条件のほうです。条件が分かれば、自分の家の数字は自分で出せます。出した数字は、借りてきた平均よりも当たります。
トリミング費用の話には、それらしい平均額や、年間費用の目安を並べることができてしまいます。けれど、出どころを確かめられない数字を覚えても、自分の家では使えません。この記事では、金額・割合・調査の名前を1つも出しません。代わりに、何がその金額を決めているのかという条件と、家で自分の数字を出す手順だけを書きます。手元の領収書のほうが、どんな平均よりも正確です。
なぜ、平均のトリミング費用を借りてこられないのですか
平均という数字は、何を数えたかで中身が変わります。同じ「1回あたりのトリミング費用」でも、シャンプーだけの回を含めて数えたのか、刈る工程まで入った回だけを数えたのかで、出てくる数字は別のものになります。数え方が書かれていない平均は、自分の家のどの回と比べればいいのかが決まりません。
| 何を数えたか | その数字に入っているもの | 抜けているもの |
|---|---|---|
| 洗う工程だけの回 | 洗う・乾かす・整える | 刈る工程、その日の追加 |
| 刈る工程まで入った回 | 全身の長さをそろえる時間 | 洗うだけで済ませた回 |
| 部分的な手入れだけの回 | 足まわりや顔まわりの整え | 全身にかかる時間 |
| もつれがあった日の回 | ほどく時間、または刈る判断 | 毛の状態がよい日の回 |
| 1年ぶんを平らにならした数 | 回数の多い子と少ない子が混ざる | その子の毛の伸び方 |
表のいちばん下の行が、年間のトリミング費用でいちばん効きます。年に何回行くかは、毛の伸び方と、暮らし方と、家でどこまで手を入れているかで決まります。回数の違う家を平らにならした数字は、どちらの家の実感からも離れます。年間の数字を比べるときは、金額より先に回数を並べるほうが、話が合います。
家の側の数字も、同じ問題を持っています。「自宅ケアにかかる費用」は、何を買ったかを数えているだけの数字です。買ったものが1年で使い切れるとはかぎりませんし、道具のように何年も使うものもあります。1年で割るのか、使い切った日で割るのかで、数字は動きます。サロン側は1回ごとに確定し、家の側は確定しない。この非対称が、引き算をゆがめます。
つまり、比べにくさの理由は3つ重なっています。①数え方が書かれていない、②回数が家ごとに違う、③家の側の支出が確定しない。この3つを飛ばして差額だけを見ると、たいてい自宅ケアのほうが安く見えます。安く見えるのは当然で、サロンの側にしかない工程が、引き算の中で消えているからです。次の章がそこになります。
サロンの料金には、どんな工程が束ねられているのですか
1回のトリミングは、いくつもの工程が束ねられています。料金は、その束にひとつの値段が付いたものです。だから、家の側の「シャンプー1本の値段」と並べても、比べている単位が違います。まず、束の中身を開いてみます。
| 工程 | 家でもできるか | その日にしか分からないこと |
|---|---|---|
| ブラッシングともつれをほどく | できる | どこまでほどけるか、刈る判断に切り替えるか |
| 洗う | できる | その日の被毛と皮膚の状態 |
| 乾かす | できる | 乾ききったかどうかの判断 |
| 長さをそろえて刈る | むずかしい | その子の毛量に合わせた残し方 |
| 爪を切る、整える | できる子とできない子がいる | 血管の位置と、削れ方の左右差 |
| 耳や足まわりの手入れ | 部分的にできる | 毛の入り方と、その日の様子 |
| 体じゅうを人の目で見る | 家でも見られる | 毎回の記録として残るかどうか |
この表で見てほしいのは、右端の列です。どの工程にも「その日にしか分からないこと」がぶら下がっています。料金が払われているのは、工程そのものだけではありません。その日の状態に合わせて、どこまでやるかを決める判断も、束の中に入っています。判断は、あとから金額に切り出せません。
トリミング費用を家のケアと比べるとき、この表の上3つだけを見ていると、差額が大きく見えます。上3つは、家でもできる工程だからです。けれど、料金が付いているのは束のほうです。上3つだけを取り出して比べるのは、7つのうち3つで値段を割っているのと同じことになります。
もう1つ、時間の話も置いておきます。家でやる場合、洗う時間より乾かす時間のほうが長くなります。被毛の量が多い子ほど延びますし、地肌まで乾かすとなると、道具と体勢の両方が要ります。この時間は金額に出てきませんが、家の側の支出として確実に発生しているものです。時間を金額に換算しないのは、換算のしかたが家ごとに違いすぎるからです。
サロンの側にしか残らないのは、どの工程ですか
4つあります。長さをそろえて刈ること、爪、肛門腺、そして体じゅうを他人の目で見てもらうこと。この4つを引き算から抜くと、残った部分だけを比べていることになります。差額が大きく見えるときは、この4つがどこにも計上されていないことがほとんどです。
1つめ、刈る工程です。長さをそろえるというのは、切ることそのものより、どこをどれだけ残すかを決めることのほうに中身があります。毛量、毛の伸びる向き、その子の体の形、次に来るまでの日数。これらを見て決める工程なので、道具を買ってきたら家でできる、という種類のものではありません。
2つめ、爪です。爪の中には血管が入っていて、その位置は爪の色や伸び方で見えたり見えなかったりします。家で切っている方もいますが、切れる子と切らせてくれない子がいて、そこは家の側では選べません。嫌がる子に無理に続けると、次から足を触らせてくれなくなります。触らせてくれなくなると、s5で書く家の工程まで巻き添えになります。
3つめ、肛門腺です。ここは、その子の体の状態を知っている人に相談してから決める領域です。家でやるかどうかを、費用の話から逆算して決めるところではありません。やり方より先に、その子にとって必要かどうかから相談してください。気になる様子があるときは、動物病院にご相談ください。
4つめが、いちばん金額に置き換えにくいところです。体じゅうを、家族以外の目で見てもらうこと。毎日見ている家族の目は、少しずつ起きている変化に慣れます。数週間おきに会う人の目は、その慣れを持っていません。前回との差が言葉になって返ってくる、というのは、トリミング費用の中でも、金額に置き換えにくい部分です。
家でできるのは、どこまでですか
家でできるのは、ブラッシング、洗う、乾かす、部分的に拭く、そして毎日体に触れておくことまでです。範囲としては狭く見えますが、回数では家の側が圧倒的に多くなります。サロンが数週間に1回なのに対して、家は毎日あります。この回数の差が、家の側の役割を決めています。
-
ブラッシングは、範囲を絞って毎日
全身を1回通すより、こすれる場所だけを毎日のほうが続きます。脇の下、内もも、耳の後ろ、尾のつけ根。ここが毎日通っていれば、次のトリミングの日に、ほどく時間が短くなります。
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洗う日は、乾かす時間から逆算して決める
洗う時間より、乾かす時間のほうが長くかかります。乾かし終える時刻から引いていくと、その日に洗えるかどうかが決まります。時間が取れない日は、洗わない側に倒します。
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拭くほうは、3か所に絞って毎日
足の裏、口のまわり、尾のつけ根。3か所に絞ると、毎日回せます。全身をやろうとした日は、たいてい翌日が続きません。
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毎日、体に触れておく
皮膚と被毛の状態は、触っている手がいちばん早く気づきます。触る習慣があると、家族以外の目に頼らずに気づける範囲が広がります。
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変化は、その日のうちに書く
気づいたことを日付と一緒に書いておくと、次にサロンや動物病院へ行くときに、そのまま持っていけます。覚えておこうとすると、たいてい抜けます。
この5つは、どれもトリミング費用を下げるためのものではありません。やっているのは、次にサロンへ行く日までの状態を保つことです。保てていれば、その日の工程は短く済みます。保てていなければ、もつれをほどく時間が足され、場合によっては刈る判断に切り替わります。家の側の毎日は、サロンの1回の中身を変えているという関係になります。
逆に言えば、家でやれることを増やしても、s4の4つは埋まりません。ここを取り違えると、「家でやれば全部済む」という結論に向かってしまいます。範囲が違うので、片方でもう片方を置き換えることはできません。並べるとしたら、引き算ではなく、足し算のほうです。
引き算が成り立たないなら、家で出せる数字は何ですか
出せる数字は1つあります。次のサロンまでの間隔、つまり日数です。金額ではなく、日数です。これは家の中だけで数えられて、他所から借りてくる必要がありません。そして、トリミング費用の年間の総額に、いちばん素直につながる数字でもあります。
間隔は、こう出します。領収書の日付を、そのまま1枚ずつ並べるだけです。金額の欄は見なくて構いません。日付と日付の差を出すと、その子の間隔が並びます。3回ぶんもあれば、だいたいの幅が見えます。
| 回 | 日付欄に書くこと | そのとき一緒に書くこと |
|---|---|---|
| 1回目 | 行った日 | その日に足された工程があったか |
| 2回目 | 行った日と、前回からの日数 | もつれの指摘があったか |
| 3回目 | 行った日と、前回からの日数 | 家のケアで変えたことがあったか |
| 4回目以降 | 同じように日数だけ足していく | 間隔が延びたか、縮んだか |
この表の右の列が、あとで効いてきます。間隔が延びた回の前に、家で何を変えたか。ブラッシングの場所を絞った、洗う日を乾かす時間から決めるようにした、洗う日以外の毎日に3か所だけ拭くようにした。こうした変化と、間隔の日数が並ぶと、その子にとって効いた手が見えてきます。借りてきた平均では、この対応は絶対に出てきません。
そして、年間のトリミング費用は、この間隔から出ます。1回の金額は領収書にあり、回数は間隔から出る。掛ければ、その子の年間の数字になります。他所の平均を使う必要はどこにもありません。家の側の支出も、同じ考え方で出せます。買ったものが何日もったかを1回だけ記録すれば、1日あたりの数字になります。
間隔が短い子は、毛が伸びるのが早いか、暮らし方で汚れやすいかのどちらかです。どちらも、家のケアで変えられる部分は限られます。間隔の数字は、良し悪しを測るためのものではなく、次に行く日を決めるためのものです。短いと分かったら、予定に早めに入れる。それだけで足ります。数字を努力目標にしないほうが、続きます。
間隔を延ばすというのは、サロンの回数を減らすことですか
回数を減らすこととは、別のことです。延ばせるのは、前回の状態がどれだけ持つかという部分だけです。刈った毛が伸びる速さも、爪が伸びる速さも、家のケアでは変わりません。持ちが良くなれば、結果として日数が延びることはありますが、行かなくてよくなるわけではありません。
ここを取り違えると、s4の4つが抜け落ちます。間隔を延ばした結果として、爪が伸びたまま、肛門腺のことも見てもらわないまま、他人の目で見てもらう機会もないまま、という状態になります。トリミング費用としては下がりますが、下がったのは金額であって、やることが減ったわけではありません。減った工程は、どこかで戻ってきます。
| 家のケアで変わるか | 考え方 | |
|---|---|---|
| 毛の伸びる速さ | 変わりません | その子の体のほうで決まります |
| もつれのできやすさ | 変わる部分があります | こすれる場所を毎日通しておきます |
| 洗った状態の持ち | 変わる部分があります | 洗う日と洗う日のあいだに整えます |
| 爪の伸びる速さ | 変わりません | 削れ方は歩き方で変わります |
| 肛門腺のこと | 家では決めません | その子を診ている人に相談します |
| 他人の目で見てもらう機会 | 家では代わりになりません | 間隔を延ばすほど減ります |
表の下2行が、この記事でいちばん言いたかったところです。間隔を延ばすと、この2つだけは確実に減ります。だから、延ばすことを目的にしないほうがいいと考えています。家のケアでやっているのは、サロンに行く日の工程を軽くしておくことであって、行かなくて済むようにすることではありません。
実際に間隔が延びたとしても、年に1回や2回は、状態を見てもらう日として残しておくほうが安心です。そのとき、家で書きためた記録を持っていけば、前回との差が言葉になって返ってきます。トリミング費用を考えるときに、この部分だけは削らないでおく、という決め方があります。
トリミング費用を、自分の家の数字にする|差額より先に間隔を見る
ここまでを畳みます。家でやることは3つです。
| やること | 中身 | 出てくるもの |
|---|---|---|
| 領収書の日付を並べる | 金額欄は見ません。日付だけ | その子の間隔(日数) |
| 家で変えたことを、日付と一緒に書く | ブラッシング・洗う日・拭く日 | 間隔との対応 |
| 買ったものが何日もったかを1回だけ記録する | 使い切った日を書きます | 家の側の1日あたりの数字 |
この3つが手元にあれば、他所の平均も、他所の差額も要りません。年間のトリミング費用は、領収書の金額と、間隔から出た回数の掛け算で出ます。家の側の数字も、1日あたりで出ます。単位がそろってから、はじめて並べられます。並べたあとも、s4の4つは引かないでください。
家で使っているものも、同じ考え方で数えられます。足の裏と口のまわりを毎日見られるのは、数週間おきに会う人ではなく、同じ家にいる側です。s5の3か所が家の役割になっているのは、回数でしか埋まらない場所だからで、だとすると道具のほうも毎日出せるものになります。地肌にも、口のまわりにも、足の裏にも同じ1本を当てられるので、うちは mofuwa スキンケアミスト(200ml・3,300円)を洗面所に置いています。入っているのは電解水だけです。場所ごとに持ち替えなくていいのは、中身に場所を選ばせるものが入っていないからです。布に移してから、3か所を一往復させる、という使い方をしています。何日で1本を使い切ったかを1回だけ書いておけば、家の側の1日あたりの数字が出ます。3か所とも同じ1本なので、単位もそろいます。s4の4つは、行った日にしか埋まりません。家の側でやっているのは、次に行く日までの毎日を同じ形で回しておくことです。
最後に、比べ方そのものについて一行だけ。サロン代と自宅ケアは、引き算の関係ではなく、足し算の関係にあります。家の毎日が、サロンの1回の中身を軽くする。サロンの1回が、家では見えない4つを埋める。この形で並べると、どちらを削るかという問いが、そもそも立たなくなります。トリミング費用を考えるというのは、削る先を探すことではなく、この2つの役割分担を自分の家の言葉で書き出すことだと思っています。
皮膚が赤い、フケが急に増えた、においが日ごとに強くなる、同じ場所を舐め続けている、被毛が薄くなってきた、お尻を床にこすりつける、触ると痛がる、歩き方が変わった。こうした変化があるときは、サロンの間隔やトリミング費用を考える前に、動物病院にご相談ください。家のケアの回数を増やしても、体の側で起きていることは切り分けられません。いつから、どこが、どう変わったか。領収書の日付と、家で書きためた記録を一緒に持っていくと、その場で見てもらえます。
サロン代と自宅ケアの差額は、同じことをしている前提でしか意味を持ちません。刈ること、爪、肛門腺、他人の目で見てもらうこと。この4つを引くと、2つは並べられなくなります。家で出せるのは差額ではなく、次のサロンまでの間隔です。領収書の日付だけを並べれば、その日のうちに出ます。
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mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
