C12Q&A・豆知識
毛が伸び続ける犬種と伸びない犬種
同じ半年でも、切らなくても長さが変わらない犬と、目の上の毛が視界にかかるまで伸びる犬がいます。毛が伸び続ける犬種と伸びない犬種を分けているのは、毛の種類の違いというより、1本の毛が抜けるまでの期間の長さです。一般に、伸びる時期が数か月で終わる被毛と、数年にわたって続く被毛があるとされています。だから「伸び続ける」は、どこまでも伸びるという意味ではなく、抜けるのが遅いという意味になります。この2つは別々の性質に見えて、同じ仕組みの、長さの違う出方です。この記事では犬種の一覧や順位を書かずに、その仕組みと、うちの子がどちら側なのかを家で見る方法を、7つの問答に分けて書きます。
毛が伸び続ける犬種と、伸びない犬種は、何が違うのですか
違いは1つだけです。1本の毛が、生えてから抜けるまでにどれだけの期間そこにいるか。それだけが、伸び続けるかどうかを決めています。毛が硬いか柔らかいか、二層か一層か、まっすぐか巻いているか。どれも手ざわりや見た目には関わりますが、伸び続けるかどうかを決める条件にはなりません。
毛は根元から押し出されるように伸びていきます。伸びている期間が短ければ、その毛はある長さで止まり、やがて抜けます。期間が長ければ、抜ける番が回ってくるまで伸び続けます。一般に、この期間は被毛によって数か月から数年まで幅があるとされています。同じ犬でも体の場所によって違い、顔まわりと背中で長さがそろわないのは、そのためです。
よく「シングルコートだから伸び続ける」という説明を見かけます。層の数と関係が出ることはありますが、層の数そのものが長さを決めているわけではありません。二層の被毛でも、上毛だけが長く伸び続ける犬種はいます。層の数は、抜け毛の量や乾きにくさのほうに強く関わる条件です。伸び続けるかどうかを見るときは、層ではなく期間を見てください。
毛が伸び続ける犬種と伸びない犬種を、別々の生きもののように説明すると、そこで話が終わります。同じ仕組みの、期間の長さの違いだと分かると、次にやることが出てきます。期間が長い側はカットの周期を決める話になり、短い側は抜けた毛をどう外へ出すかの話になります。手の中身が入れ替わるだけで、どちらが手間がかかるという話でもありません。
「毛が伸び続ける」とは、どこまでも伸びるという意味ですか
そうではありません。伸び続ける被毛にも、その子なりの上限があります。ただ、その上限に届くまでに時間がかかるので、暮らしのなかでは「切らないかぎり伸びていく」ように見えます。伸び続けるという言葉が指しているのは、この見え方のほうです。
毛が伸びるのをやめると、その毛はしばらくそこに留まって、押し出されるように抜けます。伸び続ける被毛では、この「留まって、抜ける」までの番が回ってくるのが遅いのです。だから床に落ちる毛は少なく、体の上にはずっと同じ毛が残り続けます。長くなるのは、伸びる力が強いからというより、入れ替わらないからです。
ここが、この記事でいちばん伝えたい一点です。「伸び続ける」は、伸びる速さの話ではなく、抜けるのが遅いという話です。速さそのものは、被毛によってそれほど極端に違わないとされています。違うのは、いつ止まるか。止まらないまま時間が過ぎるから、長くなります。
この読み替えができると、疑問が1つ解けます。毛が伸び続ける犬種なのに抜け毛がゼロにならないのは、なぜか。期間が長いというだけで、抜けないわけではないからです。ゆっくりですが、順番は回ってきます。1日に何本かずつ、目立たない形で入れ替わっています。
犬種の一覧を覚えても、うちの子に当てはまらないのはなぜですか
この記事では、毛が伸び続ける犬種と伸びない犬種の一覧も、順位も書きません。書かない理由は3つあります。避けているのではなく、書いても使えないからです。
- 同じ犬種の中でも幅がある:親から受け継いだものが違えば、期間の長さも違います
- 体の場所で違う:背中は止まるのに、耳や尾だけ伸び続ける、という子がいます
- 年齢で変わる:若いころと年を取ってからで、伸び方も抜け方も変わります
- 混血ではどちらとも言えない:一覧に載っていない子のほうが、実際には多くいます
- 季節と暮らし方で見え方が変わる:室内で暮らす子は、抜ける時期の輪郭がぼやけます
- 数え方の出どころが分からない:どこで、何を、いくつ数えた順位なのかが示されていません
とくに最後の1つが大きいと思っています。「毛が伸び続ける犬種ランキング」のような並びは、何を測って並べたのかが書かれていないことがほとんどです。サロンでカットした回数を数えたのか、飼い主の申告を集めたのか、見た目の長さで並べたのか。数え方が変われば順位も変わります。出どころの分からない順位を覚えても、目の前の子には当てはまりません。
そのかわりに書けることがあります。その子の毛が、どちら側の性質を強く持っているかを、家で確かめる方法です。一覧を覚えるより早く終わりますし、混血の子でも使えます。方法はs5に書きました。
抜け毛が多い被毛と、伸び続ける被毛は、同じ仕組みから出てくるのですか
同じ仕組みの、両端の出方です。期間が短ければ、決まった長さで止まって、次々に抜けます。期間が長ければ、止まらないまま長くなり、抜ける数は少なくなります。片方は床に毛が落ちる形で現れ、もう片方は毛が伸びる形で現れます。見え方が正反対なので、別の話に見えるだけです。
図の左右は、1頭のなかで混ざります。背中は左側の性質で、顔まわりと足先だけが右側、という子はめずらしくありません。犬種で分けようとすると、この混ざり方が説明できなくなります。場所ごとに期間が違うと考えるほうが、実際の見え方に合います。
1つだけ、注意しておきたいことがあります。抜け毛が急に増えたときに、「うちは伸び続ける犬種のはずなのに」と考えて様子を見てしまうことがあります。期間の長さは、その子の性質であって、日によって大きく変わるものではありません。数日から数週で抜け方が変わったのなら、それは被毛の性質の話ではなくなっています。皮膚の側を見てください。
うちの子がどちら側なのかを知りたいときは、何を見ればいいですか
確かめ方は3つあります。どれも道具が要りません。1回やれば、その子の性質として次から使えます。犬種の一覧を探すより早く終わります。
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切らないと困る場所があるかを数える
目の上、口のまわり、足の裏、肛門のまわり。放っておくと視界や歩き方に関わってくる場所が1つでもあれば、その子は入れ替わりが遅い側です。これがいちばん確実で、いちばん早い見分け方になります。切る必要がまったく出てこない子は、早い側です。
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ブラシに残った毛を、10本ほど並べてみる
毛先が細く尖っている毛が多ければ、伸びきる前の毛が自然に抜けています。毛先が平らに切れている毛ばかりなら、その毛は前回のカットからずっと同じ1本です。切り口が残っているということは、その間に入れ替わっていないという意味になります。
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同じ回数のブラッシングで、取れる量を見比べる
毎日同じ回数だけとかして、ブラシに残る量を3日ぶん見ます。量そのものより、日によってどれだけ揺れるかを見てください。入れ替わりが早い被毛では、季節や日によって大きく揺れます。遅い被毛では、いつも少しだけで安定します。
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3つの結果が食い違ったら、場所ごとに分けて考える
背中は早い側、顔まわりは遅い側、という結果はふつうに出ます。食い違いは間違いではなく、その子の体がそうなっているという答えです。手の入れ方も、場所ごとに変えることになります。
この3つで分かるのは、あくまで傾向です。何か月という数字が出るわけではありませんし、家で正確に測る方法もありません。期間そのものは体の中の話なので、外から見えるのは結果だけです。それでも、カットが要る側かどうかが決まれば、毎日のケアの組み立ては決まります。
カットが要る子と要らない子で、毎日のケアはどこが入れ替わるのですか
同じ「毎日のブラッシング」でも、やっていることが違います。入れ替わりが早い側では、抜けて体に残っている毛を外へ出しています。遅い側では、長い毛どうしが絡む前に向きをそろえています。目的が違うので、道具も、当てる場所も、続ける理由も変わります。
| 見るところ | 入れ替わりが早い側 | 入れ替わりが遅い側 |
|---|---|---|
| 毎日のブラッシングの目的 | 抜けた毛を体の外へ出す | 絡む前に毛の向きをそろえる |
| 手を入れる時期 | 抜ける量が増える季節に集中します | 1年を通して、ほぼ一定です |
| 長さの管理 | 切らなくても長さが保たれます | カットの周期を決める必要があります |
| 放置したときに起きること | 抜けた毛が体に残ってもつれます | 長さが増えて、毛玉と汚れを抱えます |
| 皮膚が見えにくくなる理由 | 抜けた毛が層になって覆います | 毛そのものが長くなって隠します |
| 季節で変わるか | 変わります | 室温と湿度のほうが効いてきます |
表の下から2行目は、どちらの側でも同じ結論になります。理由は違っても、地肌が見えなくなるという結果は共通します。だからブラッシングの目的が何であれ、週に一度は毛を分けて地肌を見る時間を作ってください。犬種の話ではなく、被毛がある以上どの子にも要る手順です。
毛が伸び続ける犬種で気をつけたいのは、長さそのものより「切り口から先が、ずっと同じ1本である」という点です。入れ替わらないぶん、その毛は擦れも、乾ききらなかった時間も、ぜんぶ抱えたまま体に残ります。カットは長さを整える作業に見えて、実際には毛を入れ替える作業でもあります。
毛が伸び続ける犬種でも大丈夫か、という疑問を3つの問いに置き換える
ここまでを畳みます。「毛が伸び続ける犬種は大変ですか」という問いは、そのままだと答えが出ません。3つに割ると、それぞれに答えがあります。
| 問い | 答え |
|---|---|
| どこまでも伸びるのか | 上限はあります。抜けるのが遅いだけです |
| 抜け毛がないということか | 少ないだけで、ゼロにはなりません |
| 手間が多いということか | 多いのではなく、中身がカットの周期に寄ります |
3つとも、期間の長さという1つの条件から出ています。だから覚えるのは犬種の名前ではなく、その子の毛がどれくらいの期間そこにいるか、という見方のほうです。この見方は混血の子にも、体の場所ごとにも使えます。一覧に自分の子が載っていなくても困りません。
毎日の側でやることは、1つに絞れます。同じ1本が長く体に残る被毛では、その1本に摩擦をためないことが、そのまま長さの管理になります。ここに置けるのがmofuwa グルーミングスプレーです。吹きかけてそのまま梳かせるので、ブラッシングの手数を増やさずに使えます。乾いた毛どうしの引っかかりと、空気が乾く時期の静電気が減るぶん、梳かす力を弱くできます。切り口のまま残っている1本は、入れ替わる番が来るまでそこにいます。だからグルーミングスプレーの役目は、待っているあいだに増える摩擦の回数を減らすことになります。濡らさないので、乾かす時間も要りません。
数週間で抜ける量が急に増えた、左右で毛の長さや量が違ってきた、地肌が見える場所が広がった、同じ場所をなめ続けている、毛が伸びてこない場所ができた。こうした変わり方は、被毛の性質では説明がつきません。犬種の話として片づけずに、動物病院にご相談ください。期間の長さはその子の性質なので、短い期間で大きく変わるものではない、というのがここでの線引きです。
犬種の名前は、この記事で1つも書きませんでした。毛が伸び続ける犬種と伸びない犬種は、別の生きものではありません。1本の毛がその場所にいる期間が、長いか短いか。それだけの違いから、床に落ちる毛の量も、カットが要るかどうかも、毎日のケアの中身も、順番に決まっていきます。名前を覚えるより、この1つを覚えておくほうが、目の前の子には役に立ちます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
