C12Q&A・豆知識
コーティングとは?汚れが付きにくくなる理屈
ブラッシング用のスプレーやジェルの説明に、「コーティング」という言葉が並んでいます。コーティングとは、毛の表面に薄い膜をつくって、汚れや水がなじみにくくすることです。膜がしているのは、付いてしまった汚れを落とす仕事ではありません。付く前に滑らせる仕事です。この違いは言葉あそびに見えて、使ったあとに何を見ればよいかを丸ごと変えます。落ちやすくなったかどうかではなく、次に洗うまでの間隔が延びたかどうかに出るからです。そして膜はいつか落ちます。だからコーティングとは、貯めるものではなく、続けるものになります。この記事では、コーティングという言葉を8つの問答に分けて開いていきます。
コーティングとは、毛に何をしていることですか
定義から置きます。コーティングとは、毛の表面に薄い膜をつくって、汚れや水がなじみにくくすることです。毛の中に何かを入れる話ではなく、外側に一枚かぶせる話になります。かぶせる素材は製品によって違いますが、やっていることの形は共通しています。表面の凹凸を埋めて、なめらかな面をつくることです。
犬や猫の毛は、表面が鱗のように重なった構造をしているとされています。この重なりの隙間に、外から来たものが入り込みます。散歩で付いた砂、空気中のほこり、皮脂と混ざった細かい汚れ。コーティングは、この隙間の上に一枚かぶせて、入り込む先を減らしているという理屈になります。毛の内側の状態を変えているわけではありません。
- やっていること:毛の表面に薄い膜をつくり、面をなめらかにする
- やっていないこと:毛の内側の状態を変える、毛そのものを太くする
- 効いてくる場所:外から来たものが最初に触れる、いちばん外側
- 効いてこない場所:すでに毛の内側や皮膚まで届いてしまったもの
「コーティングされている」という言い方は、毛の状態を指しているように読めます。実際には、膜をつくるという工程が終わった、というだけの言葉です。その膜がどれくらい残っているかは、時間と、そのあと何をしたかで変わります。工程の名前を状態の名前として読むと、一度やれば続くもののように見えてしまいます。ここが、この言葉のいちばんの読み違えどころです。
汚れを落とすことと、汚れを付けないことは、どう違いますか
相手にしている時間が違います。落とす側は、付いたあとを相手にします。付けない側は、付く前を相手にします。同じ「汚れ」という言葉を使っていますが、手を出すタイミングが逆になっています。コーティングは、後者の側の考え方です。
この2つを混ぜて読むと、話がかみ合わなくなります。コーティングをしたのに汚れが落ちない、という感想が出てくるのはそのためです。膜は、すでに付いているものを外す働きを持ちません。外すのは洗う側の仕事で、膜の仕事は、外し終わったきれいな面を、次にまた汚れが入り込みにくい状態にしておくことです。順番としては、洗ったあとに来ます。
もう1つ、水についても同じ関係があります。膜があると水がなじみにくくなるので、雨や雪の日でも毛の内側まで濡れるのが遅くなるとされています。これも「乾かす時間が短くなる」という形で、あとから効いてくるものです。その場で乾くわけではありません。コーティングという言葉の効きめは、たいてい少し後ろにずれた場所に出ます。
コーティングの効きめは、どこに出るのですか
出るのは、次に洗うまでの間隔のほうです。汚れが落ちやすくなったかどうかではなく、汚れが気になり始めるまでの日数が延びたかどうかで見ます。毛の表面がなめらかになると、付いたものが留まりにくくなり、ブラッシングで外へ出やすくなります。その積み重ねが、間隔として現れます。
| 見る場所 | 見えること | 見えないこと |
|---|---|---|
| 次に洗うまでの日数 | 気になるまでの間隔が延びたか | その日の汚れが落ちたかどうか |
| ブラッシングの手ごたえ | コームが引っかからずに通るか | 毛の内側がどうなっているか |
| 静電気の起き方 | 毛が広がりにくくなったか | 湿度そのものの変化 |
| 洗ったあとの手ざわり | 膜が落ちて元に戻ったか | 膜がいつ落ちたかの正確な時刻 |
1行目がいちばん分かりやすい指標になります。これまで5日で気になっていたのが7日になった、という形の変化です。1日単位で見ようとすると、その日の天気や散歩の内容に紛れて分かりません。コーティングという言葉を家で確かめるなら、日ではなく週の単位で見るほうが向いています。
毛の内側については、コーティングという言葉からは何も言えません。膜は表面にあるので、毛の中身がどうなっているかを教えてくれないからです。手ざわりが変わったことを、毛が丈夫になったという意味に読み替えないでください。変わっているのは、指が触れている面の状態です。ここは、コーティングとは何かを考えるうえでの線になります。
毛の上の膜は、どれくらいで落ちるのですか
決まった日数はありません。落ちる速さを決めているのは時間そのものではなく、そのあいだにその毛が何に触れたかです。同じ日に同じようにコーティングをしても、家の中でほとんど動かない子と、毎日長く歩く子では、残っている量が変わります。
| 経路 | 何が起きているか | 起きやすい場面 |
|---|---|---|
| こすれる | 他の毛や床、服と擦れて削れる | 寝ている場所、ハーネスの下 |
| 洗う | 洗浄剤が膜ごと外す | シャンプーの日 |
| 濡れる | 水が繰り返し当たって流れる | 雨の日の散歩、足の先 |
| 毛が抜ける | 膜の乗った毛そのものが入れ替わる | 換毛の時期 |
4行目は見落とされやすいところです。膜は毛の上に乗っているので、その毛が抜ければ、乗っていた膜も一緒に体から出ていきます。換毛の時期に「前より早く戻る」と感じるのは、こすれや洗いだけでなく、毛の入れ替わりが早いことも理由になります。コーティングとは、毛という土台の上に成り立っているものなので、土台が入れ替わる時期には残りにくくなります。
落ちること自体は、困ったことではありません。落ちない膜が毛の上に残り続けるほうが、汚れも一緒に閉じ込めることになります。洗えば落ちる、こすれれば減る、という性質は、設計としてそうなっているものです。だからコーティングは、洗う工程と組み合わせて使うことが前提になります。
続けていれば、膜は少しずつ貯まっていくのですか
貯まりません。コーティングは、続けるものであって、貯めるものではありません。前の膜が減ったところに新しい膜が乗る、という形で入れ替わっていきます。10回やったから10回ぶんの厚みになる、という積み上がり方はしません。
この前提を持っておくと、使い方の判断が2つ変わります。1つは、量を増やしても厚みは増えないので、たくさん付ける意味が薄いということ。もう1つは、間隔を空けると、その空いた期間はほぼ膜がない状態になるということです。多く付けるより、間隔を詰めるほうが、コーティングという考え方には合っています。
コーティングをうたう製品を使うとき、迷いやすいのは1回の量です。厚く付けても膜は厚くなりませんし、余ったぶんは毛の上でべたつきの原因になります。薄く全体に、というのが基本の形になります。そのうえで、こすれやすい場所とそうでない場所では減り方が違うので、背中と、寝るときに下になる側では、同じ日に付けても残り方が変わります。量で足すのではなく、減りが早い場所の回数だけを増やす、という調整のしかたになります。
皮膚にもコーティングをするのですか
毛と皮膚は、別のものとして考えます。毛の上に膜をつくることと、皮膚の上に何かを乗せることは、条件がまったく違うからです。毛は死んだ細胞が並んだ構造とされていて、そこに膜が乗っても毛の側は変化しません。皮膚はそうではありません。
だから、コーティングをうたう製品の説明を読むときは、対象がどちらなのかを先に見ます。「被毛用」と書かれているものは、毛の表面の話をしています。皮膚に届く前提で作られているものは、書かれ方も使い方も変わります。同じ「コーティング」という言葉でも、指している場所が違うと、確かめるところも変わってきます。
毎日のケアの中では、この線はかなり実際的です。毛の上の膜は、なくなっても毛が困ることはありません。一方で、皮膚のほうに続く変化があるときは、膜の話ではなく皮膚の話になります。べたつき、赤み、かゆがるしぐさ、においが続くこと。これらはコーティングの側で説明をつけようとせず、後ろの章で書く線のほうで扱ってください。
コーティングが働いているかどうか、家で確かめられますか
膜そのものは目に見えないので、直接は確かめられません。確かめられるのは、膜があるときと無いときで差が出る3か所です。どれも道具は要りません。
-
コームを1本、同じ場所に通してみる
背中の同じ一筋を、コーティングをした日と、その3日後、7日後に通します。引っかかりが戻ってきた日が、その子の膜が薄くなった日です。毛の量ではなく、通ったときの手ごたえだけを見ます。
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散歩から帰ったあと、足の先を見る
土や砂が毛の根元まで入っているか、外側に乗ったままかを見ます。乗ったままなら、払うだけで落ちます。コーティングという言葉が家で分かりやすく出る場所です。
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気になるまでの日数を、月に一度だけ数える
「そろそろ洗いたい」と思った日を月に1回書きます。その間隔が延びていれば、効きめはそこに出ています。1回ごとの手ざわりより、この数字のほうが当たります。
3つとも、その場では答えが出ません。コーティングとは、結果が数日後に出るものなので、確かめ方も数日後になります。使った直後の手ざわりは、膜だけでなく、そのとき一緒に付いた水分や油分でも変わります。直後の感触で判断すると、実際より効いているようにも、効いていないようにも見えます。
コーティングを3つの文に畳む|毛の側で説明がつかない変化が続くとき
ここまでを畳みます。コーティングとは、毛の表面に薄い膜をつくって、汚れや水がなじみにくくすることです。膜がしているのは、付いた汚れを落とすことではなく、付く前に滑らせることです。そして膜は落ちるので、貯めるものではなく続けるものになります。この3つを持っておくと、製品の説明に出てくる「コーティング」という言葉を、自分で読み解けるようになります。
ここで、線を1本引いておきます。コーティングは毛の表面の話なので、皮膚の側で起きていることには答えを持ちません。毛の手ざわりの変化として説明しようとすると、見るべきものを見落とします。次の変化が続くときは、ケアの方法を足したり変えたりする前に、動物病院にご相談ください。
地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、フケが増えた、においが日ごとに強くなる、毛が同じ場所だけ薄くなってきた、触ると嫌がる場所ができた。こうした変化があるときは、コーティングをうたう製品を足す前に動物病院にご相談ください。毛の表面の話と、皮膚で起きていることは、家では切り分けられません。いつから、どこが、どう変わったかをメモして持っていくと、その場で見てもらえます。ケアの内容を変えたばかりのときは、変えた日付も一緒に伝えてください。
毎日のケアの中では、毛の側と皮膚の側を、別の手に分けておくと形になります。膜は毛の表面に乗るものなので、毛をかき分けた下の地肌には届きません。そして地肌は、その子が自分では届かない場所です。体の大半は舌が回りますが、口の縁と耳のふち、それに背中の真ん中は、毛づくろいが届かないまま残ります。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。舐めても問題のない基準でつくられているので、毛をかき分けて地肌になじませたあと、その子が舐めることを気にせずに済みます。使うのは、洗って乾かし終えたあとと、コームを通して膜の残りを確かめた日。膜の減り方を見ている場所と、地肌を見る場所を同じ一筋にしておくと、確かめる手が1回で済みます。
最後に、続け方だけ書いておきます。膜は貯まらないので、コーティングとは「何日おきに1回」を決めて、その間隔を守るだけの作業になります。一方で地肌のほうは、間隔ではなく毎日です。この2つは動く速さが違うので、同じ日に両方そろえようとせず、地肌のほうだけをブラッシングの最後に必ず1回入れてください。3か月続けると、その子の膜が何日もつのかが、コームの手ごたえだけで見当がつくようになります。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
