C11比較・選び方
水が苦手な子に選ぶもの
桶に足を入れた瞬間より、そのあと30分ずっと湿っている時間のほうを、その子は覚えています。水が嫌いというのは、水に触れた1秒のことだと思われがちですが、実際に長いのは乾くまでの時間です。棚の前で決めきれないとき、多くの人は「濡らすか濡らさないか」の二択で考えます。そこを、濡れる面積と、乾くまでを入れた分数の2つに分けると、選べる幅が一気に広がります。猫のケアでは、この分けかたがそのまま毎日続くかどうかを決めます。犬でも同じ2つで考えられますが、猫のほうが乾くまでの時間を長く感じています。
「水が嫌い」の中身を4つに分ける|猫のケアで先に見る条件
水が嫌い、という一言の中には、少なくとも4つの別々のものが入っています。どれが嫌いなのかで、選ぶものが変わります。4つとも嫌いな子もいますが、そういう子でも、いちばん重い1つは決まっています。
- 濡れること自体:被毛が体に貼りつき、体温の逃げ方が変わります。乾くまでずっと続くので、いちばん長い
- 流れる水の動き:シャワーから落ちてくる水そのもの。止めれば消えるので、長さとしては短い
- 足が滑ること:濡れた床で踏ん張れない状態。水とは別の問題で、敷物1枚で変わります
- 離れられないこと:抱えられている、扉が閉まっている。水がなくても同じ反応が出ます
この4つのうち、道具や品で動かせるのは1つ目と2つ目です。3つ目は床の側、4つ目は部屋の側の話で、買うものとは関係がありません。水が嫌いに見えていたものが、実は滑ることだったという家は珍しくありません。浴室で暴れる子を、乾いた床の上で桶を使って試すと、その場で見分けがつきます。
残る1つ目と2つ目を、数字にしておきます。1つ目は体の何割が濡れるか(面積)、2つ目は乾くまでを入れて何分濡れているか(分数)です。猫のケアを選ぶときは、この2つだけを見ます。犬でも順番は同じですが、猫は被毛の乾きが遅く、自分で毛づくろいをして水分を口に運ぶぶん、分数の側の重さが違います。
濡れる面積を3段に分ける|水が嫌いな猫のケアの使い分け
濡らすか濡らさないかの二択をやめて、全身・部分・濡らさないの3段にします。3段にすると、間が埋まります。今週は全身、明日は足先だけ、今日は濡らさない。この並びが組めるようになると、水が嫌いな猫でも1か月の合計が回り始めます。
| 段 | 濡れる面積 | 乾くまでを入れた分数 | 逃げ道 | 間隔の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 全身を洗う | 9割以上 | 60〜120分 | 浴室では離れられない | 月に1回前後 |
| 部分を洗う | 1〜2割(足先・尻のまわり) | 5〜20分 | 足を引けば離れられる | 週に1〜2回 |
| 拭いて落とす | 1割未満 | 1〜3分 | いつでも離れられる | 気づいたとき |
| 濡らさない | 0割 | 0分 | 離れられる | 毎日 |
| 水が嫌いな猫で先に増やすのは | 面積の小さい段 | 分数の短い段 | 逃げ道のある段 | 毎日できる段から |
最終行が答えです。下の段から増やして、いちばん上の段の間隔を伸ばす。どの段にも良さがあります、という並べ方をすると、結局いちばん上の段だけが残って、そこで止まります。増やすのは下からです。
この3段を使い分ける基準は、汚れの種類で決めます。外から持ち帰った土や草の汁は、足先だけの部分洗いで足ります。脂が出て被毛がべたつく背中や尻尾のつけ根は、拭き取りで表面だけ動かしておいて、間隔を空けて全身の段へ回します。全身の段でしか落ちないものは、思っているより少ないものです。
猫の場合、部分洗いの段でも桶を使えます。mofuwa 入浴シャンプーを桶のお湯に溶かして、そこに足先だけ入れる形です。擦らずに済むので、押さえる手が1本で足ります。お湯そのものが洗浄液になるため、被毛をかき分けて泡を届かせる工程が要りません。浸けて上げるだけなので、水が嫌いな子でも、逃げ道のある姿勢のまま終えられます。
濡れている分数は、乾くまでを入れて数える|段ごとの違い
水を止めた瞬間に、濡れている時間は終わりません。終わるのは、地肌まで乾いた瞬間です。ここを入れて数えると、段ごとの差がはっきりします。足先の部分洗いは、水に触れているのは30秒ほどでも、そのあと拭かなければ20分以上湿ったままです。同じ足先でも、拭いて終えるか自然に任せるかで、分数は10倍変わります。
図の最後の区間が、いちばん長く、いちばん見落とされています。猫は乾ききるまで毛づくろいを続けるので、そのあいだ口に入るものが増えます。濡れている分数を短くするというのは、毛づくろいで口に運ぶ量を減らすことでもあります。だから、その日に体へ付いているものが何であるかが問われます。
-
水を止めたらすぐ吸わせる
布に吸わせる工程を先に済ませると、送風の時間が短くなります。ここが分数をいちばん削れる場所です
-
地肌から乾かす
表面の被毛が乾いても、地肌が湿っていれば濡れている時間は続いています。毛を分けながら風を当てます
-
乾き残りを2か所だけ確かめる
脇の下と尻尾のつけ根。猫でこの2か所が最後まで残ります。手のひらで押さえて冷たければ、まだ終わっていません
-
乾ききるまで部屋を閉めない
逃げ道のある部屋で終えると、その日の最後の記憶が拘束になりません
犬との違いもここに出ます。犬は体を振って水を飛ばし、人が拭くことも受け入れます。猫は振る動作が小さく、拭かれるのを嫌がるぶん、乾くまでの区間が長くなりやすい。皮膚が湿ったままの時間が延びると、被毛の根元が乾きにくい季節ほど、その差がそのまま残ります。水が嫌いな猫ほど、洗ったあとの30分をどう組むかで、次の1回が変わります。
洗う日の工程を1つ減らす|水が嫌いな猫に選ぶもの
全身の段でいちばん削れるのは、水がもう一度出る区間です。洗う、流す、トリートメントを入れる、また流す。後半の2工程が消えれば、そのぶん水が出ている時間も、濡れている分数も短くなります。mofuwa モイストシャンプーは、この後半を前提にしていない作りです。
省けるのは、洗い上がりがごわつかないからです。使っている洗浄成分はアミノ酸系で、配合量も少なめに組んであります。それでも泡が立つのは、原料の水に電解水を使っているためで、水そのものに汚れを落とす働きがあるぶん、界面活性剤の量を減らせています。必要なものまで落ちないので、あとから戻す工程が要りません。水が嫌いな猫にとって、モイストシャンプーで減っているのは工程の数ではなく、逃げ道のない浴室にいる分数のほうです。
香りをつけていないことも、乾くまでの区間に関わります。犬や猫は自分のにおいを好むもので、余分なにおいが残るほど、乾いたあとの毛づくろいが長く続きます。においを落とすための毛づくろいで、口に入る量が増えます。無香料は仕上がりの好みの話ではなく、洗ったあとの時間を短くするための選択です。
濡らさない段は、猫用 mofuwa グルーミングウォーターで組みます。押し出して使う容器で、噴射の音が出ません。水が嫌いな子は、水そのものより先に、水が出てくる音や動きを嫌っていることがあります。手のひらに出して被毛になじませ、そのまま梳かすところまでが1動作です。濡れる面積は0割、乾くまでの分数も0分。毎日の段として置けるのは、この形だけです。
毛づくろいで口に入ることを見込んで成分を選んでいるので、猫が自分でなめ取っても量を気にせずに済みます。犬で音を気にしない子なら、mofuwa グルーミングスプレーで同じ段が作れます。下の段が毎日回っているかぎり、上の段の間隔は伸ばせます。水が嫌いな猫のケアは、この一本の線でつながっています。
濡れる面積を1割まで落としたのに、乾くまでに前と同じ時間がかかる/拭いて終えた足先を、そのあと30分以上なめ続ける日が2週間続く/全身の段を1か月空けたのに、被毛の根元が湿ったような手ざわりのまま/脇の下や尻尾のつけ根だけ、いつまでも冷たい。こうした残り方は、面積と分数の組み替えでは説明がつきません。どの段を何回やって、乾くまでに何分かかったか。その記録を持って、動物病院で診てもらってください。分数が入った記録は、皮膚の様子を時間の側から見せられる材料になります。渡したうえで、家では濡らさない段を毎日続けてかまいません。
季節で動くのは面積のほう|水が嫌いな猫のケアを時期ごとに組み直す
季節で変わるのは、必要な面積のほうです。乾くまでの分数は部屋の湿度で前後しますが、組み直す対象にはなりません。面積のほうだけを、年に何回か入れ替えます。
| 時期 | 増える段 | 理由 | 上の段の間隔 |
|---|---|---|---|
| 春と秋の換毛 | 濡らさない段 | 抜け毛が多く、乾くまでが長い | 空けられる |
| 夏 | 部分を洗う段 | 脂が増え、外の汚れも足につく | やや詰まる |
| 冬 | 拭いて落とす段 | 地肌が乾き、濡れている時間の負担が増す | 空けられる |
| シニアになってから | 部分を洗う段 | 姿勢を保てる時間が短くなる | 全身は2回に分ける |
| どの時期も変えないこと | 濡らさない段は毎日のまま | ここが止まると全部が詰まる | 下の段から数え直す |
最終行が、次の季節へ持ち越すものです。毎日の段だけは、どの時期も動かしません。上の段の間隔は結果であって、決めるものではありません。下の段が回った月は自然に空き、止まった月は自然に詰まります。
次に足先を拭いたら、地肌まで乾くのに何分かかったかを1回だけ数えてみてください。3分なのか、25分なのか。その数字があれば、面積を下げるのか、乾かし方の側に手を入れるのかが決まります。水が嫌いな猫のケアは、その1つの分数から組み直せます。
Product
mofuwa モイストシャンプー
300ml / 3,410円(税込)
アミノ酸系の洗浄成分で11成分無添加。天然由来の抗炎症成分7種とアミノ酸4種を配合し、原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っています。
商品ページを見るよくある質問
- 水が嫌いなら、全身の段は一生やらなくていいのでしょうか。
- 間隔を伸ばすことはできますが、なくすと落ちないものが残ります。被毛の根元にたまる脂と、外から持ち帰って毛の奥に入り込んだものは、拭き取りでは表面しか動きません。目安として、下の段が毎日回っている家なら、上の段は1〜2か月に1回で足りることが多いものです。回っていない月は、そのぶん詰まります。やらない前提で組むより、間隔を数字で決めておくほうが、その子の負担は結局小さくなります。
- 洗面台で流すのと、桶に張ったお湯に入れるのでは、どちらが嫌がりませんか。
- 流れる水の動きを嫌う子なら、桶のほうが通ります。落ちてくる水がなく、音も小さく、足の位置も自分で決められるからです。逆に、濡れること自体が重い子には、どちらでも同じだけ嫌がります。その子がどちらで折れているかは、蛇口を開けただけで逃げるか、水に触れてから逃げるかで見分けられます。開けた音で逃げるなら桶へ、触れてから逃げるなら面積を下げる方向へ。
- 乾かすときのドライヤーのほうを嫌がります。順番を変えられますか。
- 布に吸わせる工程を先に長く取ると、送風の時間を短くできます。乾いた布を2枚使って、1枚目で水を吸わせ、2枚目で地肌に近いところを押さえる。ここまでやってから風を当てると、同じ仕上がりまでの時間が縮みます。順番そのものを入れ替えることはできませんが、風を当てる区間の長さは、その前の工程で決まります。嫌がっているのが風なら、手を入れる場所は風の前です。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
