C12Q&A・豆知識
体臭が強くなったら病気?
抱き上げた瞬間だけにおう日と、部屋に入った時点でにおう日があります。犬の体臭が強いというだけで、それが病気かどうかを家で決めることはできません。けれど、「強い」を「どこから強いのか」に置き換えるところまでは、家でできます。全身が均一に強いのか、1か所だけが強いのか。この2つは、動物病院で伝えたときに見てもらう場所が変わります。そのために要るのは道具ではなく、鼻を近づける順番を1つ決めておくことだけです。順番が決まっていれば、次に犬の体臭が強いと感じた日に、前回と同じ道すじでたどれます。この記事では、犬の体臭が強いという状態を、家で分けられるところまで分けて、8つの問答に整理しました。
犬の体臭が強いのは、病気のサインですか
犬の体臭が強いというだけで、病気かどうかを家で判断することはできません。においは、体調・季節・洗ってからの日数・寝床の布・部屋の空気が同時に効いた結果として出てきます。そのうちどれが動いたのかは、においの質だけでは分かれません。家でできるのは、原因の名前を当てることではなく、においの出どころを場所まで絞ることです。
実際に犬の体臭が強いと感じて相談したとき、最初に聞かれるのは「いつからか」と「どこがか」です。「全体がなんとなく強い」と「右の耳のあたりだけが強い」では、そのあとに見てもらう場所が変わります。前者では暮らしの側の条件が動いていることが多く、後者ではその場所だけの条件が動いています。この2つを取り違えたまま洗い方を変えても、換気を増やしても、においは同じ形で戻ってきます。
だからこの記事では、犬の体臭が強いという状態を、病名の側からではなく場所の側から分けていきます。分けるために新しく買うものはありません。鼻を近づける順番を決めるだけです。順番が決まっていれば、次に強いと感じた日に、前回と同じ道すじでたどれます。比べる相手がある状態を先に作っておく、というのがこの記事の目的です。
犬の体臭が強くなる背景には、体の側にあるものと暮らしの側にあるものが混ざります。そのどちらなのかを、においの質だけで家で切り分けることはできません。甘い、酸っぱい、といったにおいの言い表し方も、人によって指しているものが違います。この記事で扱うのは、においの正体ではなく、においが強い場所と、その場所が前回と同じかどうかだけです。食欲、元気、飲む水の量、便の様子など、においとは別のところにも変化があるときは、記録を待たずに動物病院にご相談ください。
全身が均一に強いのと、1か所だけが強いのは、何が違うのですか
同じ「犬の体臭が強い」でも、出方には2つあります。部屋に入った時点で分かるものと、抱き上げて鼻を近づけて初めて分かるものです。前者は空気の中に薄く広がっていて、後者は狭い範囲に濃く残っています。この違いは、家で確かめられます。
| 見るところ | 全身が均一に強い | 1か所だけが強い |
|---|---|---|
| どこで気づくか | 部屋に入った時点で分かる | 抱き上げて近づけて分かる |
| 動いていることが多い条件 | 洗ってからの日数・寝床の布・空気の通り | その場所の湿り・こすれ・皮脂の出方 |
| 拭き取りのあと | 全体が少しずつ薄くなる | その場所だけが早く戻る |
| 日をまたいだとき | 天気や換気で上下する | 同じ場所が続く |
| 一緒に見ておくもの | 寝床・食器まわり・空気の通り道 | 毛の寝ぐせ・湿り・舐めた跡 |
| 伝え方 | 「全体が強い」と伝える | 「ここが強い」と場所で伝える |
均一に強い日は、犬の体そのものより、体のまわりを疑うほうが早く終わります。寝床の布が同じまま何日たったか、部屋の空気がどれくらい入れ替わっているか。この2つを戻すだけで、翌日には薄くなることがあります。においが薄くなったからといって体に何もないと決められるわけではありませんが、少なくとも「体の側だけの話ではない」と分かります。
1か所だけが強い日は、その場所に何かが起きています。拭いても、翌日には同じ場所だけがまた強い。これが続くなら、洗う回数や道具を変える前に相談してください。犬の体臭が強いという言い方より、「左の脇だけが3日続けて強い」という言い方のほうが、伝わる情報がはるかに多くなります。
においの出どころは、どの順番で鼻を近づけると分かりますか
順番は5か所です。耳、口のまわり、脇、指のあいだ、尾のつけ根。大事なのは、この5か所が正解だということではなく、毎回この順番でたどるということのほうです。順番を固定しておくと、次に犬の体臭が強いと感じた日に、前回のどこと違うのかが分かります。順番が毎回違うと、比べる相手がなくなります。
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1・耳
耳のふちを軽く持ち上げて、内側の空気を嗅ぎます。耳の穴に指も綿棒も入れないでください。持ち上げるだけで、においは十分に出てきます。
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2・口のまわり
口を開けさせる必要はありません。口を閉じたまま、あごの下と口角の毛に鼻を近づけます。食べたあとを避けて、時間を毎回そろえます。
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3・脇
前足のつけ根を軽く持ち上げます。立たせたままでは空気が入らないので、脇はどの家でも見落とされやすい場所です。左右をそれぞれ嗅ぎます。
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4・指のあいだ
片足ずつ持ち上げて、指と指のあいだの毛を分けます。地面に近く、乾きにくく、犬が自分で舐める場所でもあります。
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5・尾のつけ根
背中側から毛を分けて、根元に近いところを嗅ぎます。毛が密で厚みがあるので、表面だけでは分かりません。
5か所を1周するのに、慣れれば1分もかかりません。毎日やる必要はなく、犬の体臭が強いと感じた日だけで足ります。そのかわり、感じた日には必ず1周してください。1周した結果、どこも同じくらいだったのなら、それは「全身が均一に強い日」です。1か所で足が止まったなら、そこが今日の出どころです。
嗅ぐ側にも条件があります。自分の家のにおいには、鼻が慣れます。いちばん当てになるのは、外から帰ってきた直後です。荷物を置く前に1周してしまうと、家の空気に慣れる前の鼻で嗅げます。逆に、一日じゅう家にいた日の夕方に「今日は強いかどうか」を判定しようとしても、判定そのものが鈍ります。
においが強いのは犬の体ですか、それとも家の側ですか
この切り分けは、体から離れたものを嗅ぐと早く終わります。犬の体臭が強いと感じているのに、体を1周しても足が止まらない。そういう日は、においの置き場が体ではなく家の側にあります。においは布と空気に残るので、体をいくら拭いても、置き場が残っていれば翌日また同じ濃さに戻ります。
- 寝床の布:いちばん長く体が触れている面です。何日替えていないかを数えます
- 抱いたあとの自分の服:胸のあたりを嗅ぎます。犬の体より分かりやすいことがあります
- 食器と、その下の床:口のまわりから移ったものが乾いて残ります
- クレートやキャリーの床:閉じた空間なので、においが濃く溜まります
- ソファやラグの、いつも寝ている側:体重がかかる面だけが強くなります
- 部屋の空気そのもの:5分の換気で薄くなるなら、体の側の話ではありません
この6つを見て、どれかが体より強かったなら、順番が決まります。先に替えるのは布のほうで、犬を洗うのはそのあとです。逆にしてしまうと、洗った直後に同じ寝床へ戻るので、その日のうちに元の濃さに近づきます。犬の体臭が強いと感じる日が続いているのに理由が見つからないとき、この順番の入れ替えだけで景色が変わることがあります。
換気は、5分でも意味があります。空気を入れ替えると、薄く広がっていたにおいが下がるので、体から出ているぶんだけが残ります。そのうえでもう一度、s3の順番で1周します。換気の前と後で判定が変わったなら、家の側の比重が大きかったということです。判定が変わらないなら、体の側を見る番になります。
1か所だけが強いとき、においと一緒に何を見ておきますか
においだけで判断しようとせず、その場所に見えているものを一緒に控えます。においは言葉にしにくいので、記録としては弱いからです。湿っている、毛が寝ている、赤みがある、舐めた跡がある。こうした見えるものが添えられると、相談したときに伝わる形になります。
| 場所 | においと一緒に見るもの | 家でやらないこと |
|---|---|---|
| 耳 | ふちの赤み、頭を振る回数、耳を床にこすりつけるしぐさ | 耳の穴に綿棒や指を入れる |
| 口のまわり | よだれの跡、毛の変色、食べる速さの変化 | 口を無理に開けて奥を見る |
| 脇 | 毛が寝ている範囲、皮膚の湿り、こすれた跡 | 強い力でこすって落とそうとする |
| 指のあいだ | 毛の色が変わっている場所、舐め続けているかどうか | 毛を短く切ろうとする |
| 尾のつけ根 | 毛の根元の湿り、フケ、床にこすりつけるしぐさ | 同じ場所だけを何度も洗う |
表の右の列は、どれも「よかれと思ってやってしまうこと」です。においの強い場所ほど手を入れたくなりますが、その場所はすでに何かが起きている場所です。こすれば毛が寝て、湿りが増え、においはむしろ残りやすくなります。指のあいだを短く切ると、そこだけ皮膚が外に出て、地面からの汚れを受けやすくなります。
犬の体臭が強い場所と、犬自身が気にしている場所が一致しているかどうかも見ておきます。舐めている、こすりつけている、触ろうとすると避ける。この3つのどれかが重なっているなら、それは相談の材料になります。においだけなら暮らしの話で済むこともありますが、しぐさが重なった時点で、家の外の目が要る話になります。
犬の体臭が強いときに、やってしまいがちなのはどれですか
3つあります。どれも、においを早く消したいという気持ちから起きます。けれど、消すことを急ぐと、次に比べるための材料まで一緒に消えます。においは記録でもあるので、扱い方を決めておくほうが結果的に早く終わります。
- 強い場所だけを何度も洗う:その場所の皮脂が減り、乾いて、また出る、という往復になります
- 香りのあるもので上に重ねる:においが2つ重なって、次に嗅いだときに前回と比べられなくなります
- 1回嗅いだだけで、強くなったと決める:その日の湿度や自分の体調でも、感じ方は動きます
1つ目は、脇と尾のつけ根で起きやすい形です。皮脂は落としても出てきますし、落としすぎた翌日は、いつもより多く出ることがあります。強い場所を1か所だけ集中して洗うと、そこだけ乾いて、そこだけ戻る、という往復に入ります。全身と同じ回数にそろえておくほうが、比べやすくなります。
2つ目は、相談を予定しているときには特に避けたい形です。においを上から重ねると、s3の順番で1周しても、どこが強いのかが分からなくなります。においが弱くなったことと、体の側が変わったことは、別の話です。においが消えたから、もう大丈夫という読み方はできません。消えたのは、比べるための材料のほうかもしれないからです。
3つ目は、判定の回数の話です。犬の体臭が強いかどうかは、その日1回の印象では決まりません。外から帰った直後という条件をそろえて、2日か3日、同じ順番で1周してから決めてください。そのあいだに薄くなったなら、動いていたのは暮らしの側の条件です。同じ場所が同じ強さで残るなら、その情報を持って相談に行くことになります。
強いと感じた場所には、どの順番で手を入れますか
その日が洗う日にあたっても、あたらなくても、手を入れる順番は同じです。やることは、落とすことではなく、においが溜まる時間を短くすることです。s3で1周した結果を使って、その日いちばん強かった場所から順に手を入れます。全身をやろうとすると、いちばん強い場所にたどり着く前に終わります。
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ブラッシングで、抜けた毛を先に外へ出す
抜けた毛が被毛の中に残っていると、そこが湿ったまま乾きません。においの前に、毛の量を減らしておきます。
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強かった場所から、順番に拭き取りをする
布を毛の流れに沿って一往復させます。こすらず、押し当ててから引くだけで足ります。こすると毛が寝て、かえって乾きにくくなります。
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洗う日にあたるなら、強かった場所を狙い撃ちにしない
1か所だけを何度も洗うと、そこだけ乾いて、そこだけ戻ります。狙い撃ちをやめて、全身を同じ手つきで通せたかどうかのほうを見てください。mofuwa モイストシャンプーの使い方も、ゴシゴシ洗いではありません。泡立てたあと、指の腹でマッサージするように地肌を動かす使い方で組まれているので、強い場所にだけ力が入る形になりにくくなります。ぬるま湯は37〜38℃。5か所は最後にまとめず、鼻を近づけたのと同じ順番で通します。指のあいだのように自分で舐める場所も、手つきは変えません。基本的には問題ない処方ですが、大量に飲んだ場合は獣医師にご相談ください。
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寝床の布を替えて、5分の換気をする
体だけを整えても、戻る先が同じままでは同じ濃さに戻ります。体と家を、同じ日にそろえます。
この4つは、犬の体臭が強い日の対処というより、次に比べるための準備です。手を入れた日と、入れなかった日を分けて書いておくと、そのあいだの差がそのまま情報になります。日付と、強かった場所と、その日にやったこと。3つだけで足ります。
犬の体臭を、場所と日数にどう置き換えて伝えますか
伝えるのは、においの言い表し方ではなく、場所と日数です。「体臭が強いんです」だけでは、そこから絞れません。ここまでの1周が、そのまま伝える材料になります。
| 伝えること | 中身 | どこで作ったか |
|---|---|---|
| いつから | 強いと感じた最初の日付 | 気づいた日にメモしたもの |
| どこが | 5か所のうち、足が止まった場所 | s3の順番で1周した結果 |
| 続いているか | 同じ場所が何日続いているか | 2〜3日ぶんの記録 |
| ほかに何があるか | 舐める、こする、赤み、湿り | s5で一緒に見たもの |
この4つがそろっていると、においを診察室で再現できなくても話が進みます。においは持っていけませんが、場所と日数は持っていけます。犬の体臭が強いという言葉を、場所と日数に置き換えておく。この記事でやってきたのは、その置き換えの手順です。
同じ場所が3日以上続けて強い、その場所を舐め続けている、触ろうとすると避ける、赤みや湿りがある、頭を振る回数が増えた、食欲や元気や飲む水の量が変わった、体重が変わった。こうした変化が重なっているときは、洗い方を変えたり道具を替えたりする前に動物病院にご相談ください。犬の体臭が強い理由を、においの質から家で切り分けることはできません。いつから、どこが、何日続いているか。この3つを書いたメモを持っていくと、その場で話が早く進みます。
最後にもう一度だけ書いておきます。犬の体臭が強いことそのものより、どこから強いのかのほうが、家では扱いやすい問いです。全身が均一に強い日は、寝床と空気を先に見る。1か所だけが強い日は、その場所と日数を控える。順番を1つ決めておくだけで、次に強いと感じた日の景色が変わります。においは消す対象であると同時に、その子の毎日を映しているものでもあります。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
