C05犬種・猫種別ケア
四国犬と暮らすなら知っておきたい、抜け毛の話
四国犬の背中を肩から腰まで一往復させると、それだけで柴犬向けに書かれた1回ぶんの時間を使い切ります。そこで手を止めると、抜け毛は次の日も同じだけ床に落ちます。かといって秋田犬向けの手順にある「1日で全身を回すのはやめる」をそのまま持ち込むと、今度は区切りが多くなりすぎて、同じ場所に2週間戻らない区画が出てきます。四国犬の体は、その2つのちょうど中間にあります。柴犬より一回り大きく、秋田犬より一回り小さい。面積が中間なら、1回にかける分量も、同じ場所に戻る間隔も、中間のどこかに置くことになります。この記事では、小型犬向けに書かれた抜け毛の分量と、大型犬向けに書かれた分量を並べて、四国犬の中間点をどう決めるかを書きます。
柴犬と秋田犬のあいだにある体|四国犬の抜け毛を決めている条件
四国犬は、四国の山地でイノシシなどの獣を追う仕事をしてきた中型の日本犬です。体高はおおよそ50センチ前後の子が多く、40センチ前後の柴犬と、65センチ前後の秋田犬の、ちょうど真ん中あたりに位置します。この「真ん中」が、抜け毛の話ではそのまま作業量の差になって出てきます。
被毛の作りそのものは、柴犬とも秋田犬とも似ています。硬くまっすぐな上毛が外側にあり、その内側に密で柔らかい下毛がある。典型的なダブルコートで、春と秋の換毛期には下毛がまとまって動きます。構造が同じなら、違いは面積のほうにしかありません。
そして面積は、体高の差ほど素直には増えません。体が一回り大きくなると、覆っている面はそれ以上の割合で広がります。同じ道具で同じ手つきをしても、四国犬では柴犬の倍近い距離を進むことになります。1回で通す距離が伸びれば、道具の目が詰まるまでの時間も、腕が止まるまでの時間も、そのぶん早く来ます。
困るのは、家庭向けに書かれている抜け毛の手順が、たいてい小型犬向けか大型犬向けのどちらかを前提にしていることです。小型犬向けの手順は「1回3〜5分、全身を一度に通す」を前提に書かれています。大型犬向けの手順は「1日で全身を終えない」を前提に書かれています。四国犬は、そのどちらの前提にも入っていません。だから、どちらを持ってきても、時間か間隔のどちらかが合わなくなります。
- 体高は柴犬と秋田犬の中間:作業量も、その中間のどこかに置くことになります
- 被毛はダブルコート:上毛と下毛の扱いは、他の日本犬と変えなくて構いません
- 換毛期に下毛がまとまって動く:抜け毛の量が季節で大きく振れます
- 面積が広いぶん、道具の目が早く詰まる:途中で毛を外す手間が増えます
- 山を歩く体つきで、筋肉が締まっている:立たせたまま長く触られるのを嫌がる子もいます
- 手順の前提が小型犬か大型犬に寄っている:四国犬向けの分量は、自分で決めることになります
四国犬の抜け毛が扱いにくく感じられるのは、1本あたりの量というより、手が届かなければいけない面の広さのほうです。量の話にすると、答えは「もっと強く、もっと長くとかす」になってしまいます。面積の話にすると、答えは「1回で回す範囲を決める」に変わります。どちらの答えを持つかで、続くかどうかが分かれます。
小型犬の分量と、大型犬の分量|四国犬の抜け毛を比較する
小型犬向けに書かれた分量と、大型犬向けに書かれた分量を、同じ項目で並べます。比べるのは道具の種類ではなく、1回にかける時間と、同じ場所に戻ってくる間隔です。四国犬の抜け毛で行き詰まるとき、原因はたいていこの2つのどちらかにあります。
小型犬向けの分量は、1回で全身が終わることを前提に組まれています。背中から尾までを区切らずに通し、それが3〜5分で終わる。終わるからこそ毎日できて、毎日できるから同じ場所に必ず戻れます。この前提の強みは、区切りを考えなくていいことです。四国犬でこれをやると、肩から腰までの一往復で時間が尽きて、体側と後ろ脚が毎日残ります。
大型犬向けの分量は、逆に1日で全身を終えないことを前提に組まれています。首・背・腰・後ろ脚と4つ以上に割って、今日はここだけと決める。この前提の強みは、1回が短くても崩れないことです。ただし区画を増やしたぶん、同じ場所に戻るまでの日数が空きます。四国犬でこれをやると、区切りが細かすぎて、後ろ脚の飾り毛に3日も4日も触らない週が出てきます。
| 小型犬向けに書かれた分量 | 大型犬向けに書かれた分量 | |
|---|---|---|
| 1回の時間 | 3〜5分。一度に全身を回す | 全身を1日では終えない前提 |
| 区切り方 | 区切らない。背から尾まで通す | 首・背・腰・後ろ脚と4つ以上に割る |
| 同じ場所に戻る間隔 | 毎日。1日1回でも足りる | 3〜4日に1回になることを許す |
| 道具に絡む量 | 1回では目が詰まりきらない | 途中で毛を外さないと先へ進めない |
| 換毛期の増やし方 | 1日の回数を増やす | 1回の範囲を狭くして、回数を増やす |
| 四国犬でつまずくところ | 一往復で時間が尽きる | 同じ場所に戻る間隔が空きすぎる |
表を見ると、2つの分量は正反対のことを言っているように見えます。けれど、対立しているのは1点だけです。区画の数を増やせば1回は短くなり、そのぶん同じ場所に戻る間隔が伸びる。この綱引きの、どこで止めるかという話でしかありません。小型犬向けは区画1つで間隔ゼロ日、大型犬向けは区画4つで間隔3日。四国犬は、そのあいだにあります。
実際に置きどころになりやすいのは、区画2つ、戻る間隔は1日という組み方です。今日は前半(首まわりと背中と前脚)、明日は後半(腰と体側と後ろ脚の飾り毛)。1回はおよそ5〜7分に収まり、どの場所にも1日おきには手が届きます。四国犬の抜け毛でこの形が続くなら、分量としてはまず合っています。
手のひら何枚ぶんか|四国犬の抜け毛で分量を測る見分け方
区画を2つにするか3つにするかは、体の大きさで決まります。ただ、体高を測っても分量にはなりません。使う単位は、自分の手のひらです。ブラッシングをするのは自分の手なので、面積を自分の手で数えるのがいちばん早く決まります。次の順で回してください。
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手のひらを広げて、首の付け根から尾の付け根まで置いていく
指を閉じて、手のひらを背骨に沿って置き、隣へ隣へと送りながら何枚ぶんかを数えます。柴犬なら3枚前後、四国犬なら4〜5枚になる子が多くいます。秋田犬では6枚を超えます。この枚数が、そのまま1回で通す距離です。
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同じことを体側でもやる
背骨から下へ、脇腹の下端まで手のひらを送ります。背中の枚数と体側の枚数を掛けたものが、片側の面積です。両側ぶんに後ろ脚の飾り毛と首まわりを足したのが、その日に回すことになる全体です。数えると、想像より広いことが分かります。
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1枚ぶんを通すのに何秒かかるか、実際に測る
手のひら1枚ぶんの範囲を、いつもの手つきでとかして、時間を計ります。換毛期の外なら20〜30秒、換毛期なら40〜60秒かかる子が多くいます。枚数と秒数を掛ければ、全身を1回で終えるのに何分かかるかが出ます。ここで7分を超えたら、区画を分ける側に寄せます。
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毛の流れと直角に、指を1本まっすぐ沈める
面積とは別に、下毛の厚みも場所で変わります。指が地肌まで届く場所と、途中で押し返される場所を覚えておいてください。押し返される場所ほど、1枚ぶんに時間がかかります。四国犬では首まわりと腰、後ろ脚の飾り毛が厚くなりやすい場所です。
| 背中の手のひらの枚数 | 1回で回せる範囲 | 区画の数と戻る間隔 |
|---|---|---|
| 3枚まで | 全身を一度に通せます | 区画1つ・毎日 |
| 4〜5枚 | 前半と後半に割ると収まります | 区画2つ・1日おき |
| 5枚を超え、換毛期に入っている | 前後に加えて飾り毛を別枠に | 区画3つ・2日おき |
| 枚数は4枚だが、指が押し返される場所が多い | 1枚ぶんの秒数が伸びています | 区画2つのまま、1回を短く切る |
山を歩いてきた体つきで、じっと立たされているのを長く続けられない子もいます。枚数の計算より先に、その子が触られていられる時間のほうが上限になることがあります。3分で体をひねるなら、区画は3分で終わる大きさに切り直してください。分量は面積から出しますが、最後に上限を決めるのはその子の側です。
今日はどっちに寄せるか|四国犬の抜け毛で決める3つの習慣
分量が決まったら、あとは崩れない形にするだけです。3つ挙げますが、3つとも毎日決めることにはしません。1回のブラッシングの中で決めることが1つ、1週間の中で決めることが1つ、換毛期の入り口で決めることが1つ。決める単位をずらしてあるので、忙しい週でも全部が同時に止まりません。
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習慣1:始める前に、今日回す区画を口に出して決める
道具を持ってから考えると、たいてい背中だけで終わります。今日は後半、と決めてから道具を持つ。これだけで、後ろ脚の飾り毛が毎回あと回しになるのが止まります。四国犬は背中の毛が短くて手が進みやすいぶん、放っておくと背中ばかりを何度も通すことになります。決めるのは1回のブラッシングの中、道具を持つ前の10秒です。
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習慣2:週の終わりに、どの区画に何日戻れなかったかを数える
毎日きちんとやれているかどうかは、回数では分かりません。見るのは合計の回数ではなく、いちばん間隔の空いた区画の日数です。後ろ脚だけ5日空いていたなら、その週の分量は合っていません。区画を1つ減らすか、1回の範囲を狭くします。数えるのは1週間に1度、指を折るだけで足ります。
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習慣3:換毛期に入ったら、1回の上限時間を先に決める
換毛期は、同じ1枚ぶんに倍の時間がかかります。ここで「終わるまでやる」にすると、1回が20分を超えて、翌日から続かなくなります。上限を7分と決めて、途中でも止める。残りは翌日の区画に足します。抜け毛の総量は変えられませんが、1日に外へ出す量を平らにならすことはできます。決めるのは季節の入り口で1度だけです。
| 何を決めるか | 決める単位 | |
|---|---|---|
| 習慣1 | 今日回す区画 | 1回のブラッシングの前 |
| 習慣2 | いちばん間隔の空いた区画の日数 | 1週間に1度 |
| 習慣3 | 1回の上限時間 | 換毛期の入り口で1度 |
洗う回数のほうへ寄せたくなる時期もあります。抜け毛が多いと、まとめて流してしまいたくなるからです。ただ、洗う回数を増やすと、抜け毛と一緒に地肌のうるおいまで減ります。四国犬は下毛が密なので、乾かしきるまでの時間も長くなります。乾ききらない時間が伸びるほど、根元の側に湿りが残ります。抜け毛が増えた週にまず動かすのは、洗う回数ではなく、区画の数と戻る間隔のほうです。
手が疲れてくると、道具は自然と毛先の側だけを往復するようになります。表面はそろって見えますが、抜けた下毛は根元の側に留まったままです。乾いた季節は静電気で毛先どうしが寄るので、なおさら表面だけが整って見えます。1枚ぶんを通すときは、根元から毛先へ、を1回でも入れてください。回数より、届いている深さのほうです。
四国犬は毎日外に出る子が多く、そのぶん外の汚れも、表面へ浮いた抜け毛も毎日つきます。毎日きれいにしておきたい日に使えるのが、mofuwa のグルーミングスプレーです。布に含ませてから、背中と体側を毛の流れに沿ってなでるように拭く形で使えます。グルーミングスプレーでありブラッシングスプレーでもあるので、そのまま道具を入れれば、静電気の起きにくい状態で梳かせます。乾いた季節に毛先どうしが寄る四国犬では、この一手間で1枚ぶんの通り方が変わります。舐めても問題のない基準でつくられているので、その日回す区画に量を気にせず使えます。もつれて固まっている場所へ直接吹きかけて、そのまま置かないでください。
分量を中間に置いても追いつかないときの、四国犬の毛と地肌
ここまでは、体の面積で説明のつく抜け毛の話でした。区画と間隔を決めて回しているのに、同じ場所だけが短い間隔で戻ってくるときは、分量の話として片づけないでください。次のような変わり方は、量ではなく毛と地肌のほうを見る合図です。
- 換毛期でもない時期に、急に量が増えた:季節の区切りと合わない増え方です
- いつも同じ一か所だけが薄くなる:首輪、ハーネス、寝床の縁など、毎日同じ場所を押さえているものを思い出してください
- 左右で毛の量や手ざわりが違う:寝る向きや、体を寄せている面が関係していることがあります
- 抜けたあとの地肌が広く見えている:換毛期の下毛が抜けるのとは、見え方が違います
- その場所を気にしている:なめる、かく、床にこすりつける。抜け毛より先に、皮膚のほうを見てください
- 地肌が赤い、においがある:根元に湿った状態が続いた結果として起こることがあります
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。これらが出ているときは、区画の数を組み替える前に、動物病院で地肌のほうを見てもらってください。四国犬は上毛が硬くて表面がそろって見えるぶん、内側の変化に気づくのが遅れることがあります。7分の上限を守って回していても、同じ一か所だけが短い間隔で戻ってくるなら、それは分量の話ではありません。
相談に行くときは、気になり始めた日、その場所、1週間のうち何日その区画に手が届いていたかの3つをメモしてください。四国犬の抜け毛は季節で大きく振れるので、「増えた気がする」だけでは前と比べられません。手のひらの枚数と区画の数を書いておくと、量の話なのかどうかをその場で切り分けてもらえます。
四国犬と暮らすうえで、換毛期に下毛が抜けること自体はなくなりません。山で仕事をするためにそなえた二層の被毛なので、季節に合わせて入れ替わるのが本来の姿です。動かせるのは抜ける量ではなく、抜けた毛が体の上に留まっている時間のほうです。柴犬向けの分量でも秋田犬向けの分量でもなく、手のひらで数えた自分の子の枚数から決める。四国犬の抜け毛で最初にやることは、そこです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 四国犬のブラッシングは、毎日やらないといけませんか?
- 毎日、全身をやる必要はありません。体を2つの区画に割って、今日は前半、明日は後半と回せば、どの場所にも1日おきには手が届きます。大切なのは合計の回数ではなく、いちばん間隔の空いた区画が何日空いたかです。週に一度、そこだけ数えてみてください。
- 換毛期に、抜け毛を短期間でまとめて出しきることはできますか?
- 1日で出しきろうとすると、1回が長くなって翌日から続かなくなります。1回の上限を7分と決めて、残りは翌日の区画に足すほうが、結果として早く落ち着きます。抜ける総量は季節が決めているので、こちらで動かせるのは1日あたりに外へ出す量のほうです。
- 柴犬と同じ道具で足りますか。それとも大型犬用に変えたほうがいいですか?
- 道具の種類より、1回で通す距離のほうが先に効きます。四国犬は背中だけで手のひら4〜5枚ぶんあるので、同じ道具でも目が詰まるのが早くなります。途中で毛を外す前提で持つか、区画を分けるかのどちらかです。買い替えるより先に、手のひらで枚数を数えてみてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
