C12Q&A・豆知識
多頭飼いのケアは何から手をつける?
多頭飼いのケアで迷うのは、たいてい最初の1頭を誰にするかです。手をつけるのは、いちばん嫌がる子からになります。手のかかる子を先に置くと、そのあとの子は流れます。優先の順番を決めているのは、頭数でも、1頭あたりにかかる時間でもありません。最初の1頭が決まった時点で、その日のケアが終わるかどうかは半分決まっています。嫌がる子を最後に残した日は、途中で切り上げる形になりやすい。この記事では、多頭飼いのケアの優先を、家で決められる形に置き換えて、8つの問答に分けて書きます。
多頭飼いのケアは、どの子から手をつけるのが優先ですか
優先するのは、いちばん嫌がる子です。手のかからない子から片づけていくやり方は、多頭飼いの家でいちばん途中で終わりやすい形になります。嫌がる子は、かかる時間の見当が立ちません。5分で終わる日もあれば、20分かかる日もあります。読めない時間を先に置くと、そのあとに残る時間がはっきりします。逆の順番にすると、残り時間が読めないまま最後まで進むことになります。
後ろに回した日に何が起きるかを、順を追って書きます。手のかからない子を2頭終えたところで、残っているのは、いちばん時間の読めない子と、その日いちばん少ない残り時間です。人の側の集中も、そのころにはいちばん低いところまで落ちています。ここで嫌がられると、ケアは「また明日にしよう」で終わります。翌日も同じ順番で始めれば、同じところで終わります。
多頭飼いのケアの優先は、その日の時間割の話です。どの子を大事にしているか、という話とは別のものになります。先にやる子が、いちばんかわいがられている子という意味にはなりません。順番はその子の性格を評価するものではなく、家の手が最後まで届くように組むためのものです。ここを分けて考えられると、家族のあいだでも順番を共有しやすくなります。
「3頭いるから3等分」という決め方は、1頭あたりの時間を等しくします。けれど、実際に足りなくなるのは時間そのものより、最後の1頭にたどりつく前に人の手が止まることのほうです。優先を決めるというのは、誰かを削ることではありません。いちばん止まりやすい場所を先に通しておく、という組み方です。犬でも猫でも、そこは変わりません。
嫌がる子を後ろに回すと、ほかの子の順番まで崩れるのはなぜですか
崩れ方には3つの道すじがあります。人の残り時間、待っている子の状態、そして家の中の空気の3つです。どれも1頭の家では起きません。多頭飼いの家だけに起きる崩れ方です。
- 人の残り時間:読めない時間が最後にあると、そこだけが予定からはみ出します
- 待っている子の状態:順番を待つあいだ、嫌がる子はずっと身構えています
- 家の中の空気:1頭が身構えると、ほかの子も落ち着かなくなります
- 人の集中:2頭終えたあとの手は、最初の手ほど丁寧に動きません
- 翌日の順番:途中で終わった日は、翌日も同じところから崩れます
3つめの「家の中の空気」は、多頭飼いをしている人ほど心当たりがあるところだと思います。1頭が逃げると、ほかの子も部屋を出ていきます。そうなると、順番どころか、その日そこにいる頭数から数え直しになります。嫌がる子を先に済ませておくと、この連鎖は起きません。残った子は、すでに落ち着いた部屋の中で順番を待つことになります。
この図でやっていることは、順番の入れ替えだけです。道具も増えませんし、1日にかける時間も変わりません。多頭飼いのケアで先に手が入るのは、たいていこういう「並べ替えだけで済むところ」です。新しいことを足す前に、いま持っているものの順番を見直すほうが、続く形になります。
うちでいちばん嫌がっているのは誰か、家でどう決めますか
感覚で決めると、たいていいちばん声が大きい子が選ばれます。声の大きさと、嫌がっている度合いは同じものではありません。静かに固まって動かない子のほうが、実は手が止まっていることがあります。3日だけ、同じ条件で見ると決められます。
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条件をそろえる
同じ時刻、同じ部屋、同じ動作にします。比べたいのはその子たちの差なので、条件のほうは動かしません。帰宅後でも、寝る前でもかまいません。3日とも同じ時間帯にします。
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1つの動作だけを試す
足を1本持ち上げる、耳の後ろに触れる、口のまわりを拭く。この中のどれか1つに決めて、3日とも同じことをします。いくつも試すと、動作の差なのかその子の差なのか分からなくなります。
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3つだけ数える
呼んで来たかどうか、触ってから離れるまでにかかった秒数、終わったあとに戻ってきたかどうか。秒数より、戻ってきたかどうかのほうが差が出ます。紙に3日ぶん書きます。
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戻ってこない子を1番にする
終わったあとに戻ってこない子が、その家でいちばん嫌がっている子です。3日とも戻らなければ、それが優先の1番になります。声を出す子より、こちらのほうが先です。
| 呼んで来たか | 離れるまでの秒数 | 終わったあと戻ったか | |
|---|---|---|---|
| A(よく鳴く) | 3日とも来た | 20秒・25秒・20秒 | 3日とも戻った |
| B(おとなしい) | 1日だけ来た | 5秒・5秒・4秒 | 3日とも戻らない |
| C(いちばん若い) | 3日とも来た | 40秒・35秒・45秒 | 2日戻った |
この例なら、優先の1番はBです。いちばん声を出しているAのほうではありません。Bは離れるまでが早く、終わったあとも戻ってきません。多頭飼いの家では、静かな子ほど後回しになりがちです。数えると、この取り違えが1回で直ります。
この記録は、頭数ぶんの表を作る必要はありません。紙1枚に、名前を縦に並べて、3日ぶんの丸とバツを書くだけで足ります。毎日のケアに新しい手間を足さずに済む形にしておくと、季節が変わったときにもう一度測れます。多頭飼いで続くのは、こういう軽い測り方のほうです。
1頭あたりの時間の長さで、優先を決めてはいけないのですか
時間で決めると、短い子から並べたくなります。短い子を先に片づけると達成感が早く出るので、そう組みたくなるのは自然なことです。それでも多頭飼いのケアでは、この並べ方は最後にほころびます。理由は、時間が測れる量で、嫌がり方が測れない量だからです。
1頭あたりの時間は、測れば数字になります。3頭いれば3つの数字が出ます。けれど、その数字は「うまくいった日」のものです。嫌がる子の時間は、うまくいかない日に大きく伸びます。平均でいちばん短い子が、崩れた日にはいちばん長くなることもあります。平均で組んだ順番は、平均どおりに進む日にしか合いません。
| 時間の長さで並べる | 嫌がり方で並べる | |
|---|---|---|
| 決め方の材料 | 1頭あたりの平均の分数 | 終わったあとに戻ってくるか |
| うまくいく日 | どちらも最後まで終わる | どちらも最後まで終わる |
| 崩れた日 | 最後の1頭が丸ごと残る | 残るのは手のかからない子 |
| 翌日への持ち越し | 同じ子が毎回残る | 残った子は翌日すぐ終わる |
| 家族で共有できるか | 分数を覚えてもらう必要がある | 名前の順番を1つ覚えるだけ |
| 季節で変わるか | 毛量で毎回変わる | 半年から1年は変わらない |
右の列のいいところは、家族に渡せることです。「Bから」と一言で伝われば、その日にケアをする人が誰であっても順番は同じになります。分数で共有しようとすると、その日の状態を毎回説明することになります。多頭飼いの家では、順番を人から人へ渡せるかどうかが、続くかどうかを分けます。
時間そのものを測るのが無駄という話ではありません。測った時間は、その日にケアを始めるかどうかを決めるときに使います。使い分けはこうなります。時間は「今日やるかどうか」を決める材料、優先の順番は「やると決めた日に、どこから始めるか」を決める材料です。2つは別の場面で使う道具です。
頭数が増えたら、優先の順番はどう組み直しますか
1番だけは動かしません。新しく迎えた子がいても、いちばん嫌がる子が変わらないなら、先頭はそのままです。組み直すのは2番から先だけになります。多頭飼いの家で順番が破綻するのは、頭数が増えるたびに全部を並べ直そうとするときです。
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1番はそのまま置く
s3で決めた子を、そのまま先頭に置きます。迎えたばかりの子を先頭にしたくなりますが、そこは動かしません。新しい子はまだ、嫌がり方が測れていないからです。
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新しい子は最後に置く
測れていないうちは、いちばん後ろにします。時間が読めないという意味では1番と同じですが、迎えたばかりの時期は触る量そのものを減らすので、短く終わります。
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2週間たったら、もう一度3日測る
家に慣れてくると、嫌がり方が出てきます。来た日の様子は、その子の平常の姿ではありません。2週間おいてから、s3と同じ3つを数えます。
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先頭が入れ替わったときだけ、並べ直す
新しい子のほうが戻ってこないなら、そこで先頭が替わります。入れ替わらなければ、順番はそのままで構いません。組み直すのは、先頭が動いたときだけです。
この組み方だと、頭数が4頭でも5頭でも手順は変わりません。覚えておくのは、先頭の名前1つだけです。2番以降は、その日に近くにいた子から順に進めても崩れません。多頭飼いのケアで人が覚えていられるのは、だいたい1つか2つまでです。増やすほど守られなくなります。
犬と猫が同居している家では、もう1つだけ足します。種類の違いで先頭を決めない、ということです。猫だから後ろ、犬だから先、という決め方は、その日の嫌がり方とは関係がありません。猫は水を使うケアの回数がそもそも少ないので、触る内容は変わりますが、優先の順番の決め方そのものは同じです。先頭を決めるのは種類ではなく、終わったあとに戻ってくるかどうかです。
手が回らない日は、優先の順番のどこから削りますか
削るのは後ろからです。先頭は削りません。多頭飼いの家で1日にできる量は、毎日同じにはなりません。仕事が長引いた日、出かけた日、体調がよくない日。そういう日に、順番のどこを落とすかを先に決めておくと、迷う時間が消えます。
| 残り時間 | やること | やらないこと |
|---|---|---|
| 15分以上 | 先頭から順に全頭 | とくになし |
| 10分ほど | 先頭を通常どおり、残りは足元だけ | 全身のブラッシング |
| 5分ほど | 先頭だけを短く | 2番目以降は翌日に回す |
| 3分以下 | 先頭に触れて終わりにする | 頭数を数え直さない |
| 時間が取れない | 全頭を1回ずつ撫でる | その日に取り返そうとしない |
いちばん下の行が大事です。取れない日に、翌日まとめてやろうとしないことです。翌日に2日ぶんを詰めると、先頭の子にかかる時間が倍になります。嫌がる子に倍の時間をかける日は、その子にとっていちばんつらい日になります。飛ばした日は、そのまま飛ばしたことにしておくほうが続きます。
毎日のケアを短くしておくと、この削り方が使いやすくなります。1頭あたり3分で組んでおけば、3頭でも10分に収まります。10分の予定なら、崩れた日でも半分は残ります。最初から30分で組んでいる家は、崩れた日にゼロになります。多頭飼いで優先の順番が守られるのは、1回が短い家のほうです。
多頭飼いのケアがしんどくなるのは、できなかった日が積み上がるときです。3分以下の日でも「先頭に触れる」だけは残しておくと、ゼロの日ができません。触れる、というのは道具を持たなくてもできます。手のひらを背中に置いて、そのまま10秒待つだけでも、その日の順番は成立します。優先を決める目的は、量を増やすことではなく、途切れさせないことです。
多頭飼いのケアで、やらなくていいことはどれですか
頭数がいると、全部を頭数ぶん用意しなければいけない気がしてきます。実際には、分けるものと、分けなくていいものがあります。ここを分けておくと、優先の順番に使える時間が増えます。
- 全頭に同じ内容をやる:やらなくて構いません。その子に必要なところだけで足ります
- 毎日全頭に手を入れる:先頭以外は、2日から3日に1回でも間隔は保てます
- ブラシを頭数ぶん分ける:使うたびに毛を取れば、1本を回して構いません
- 拭く布を1枚で回す:これは分けます。濡れたまま次の子にいくと、移ります
- においで順番を決め直す:においは日によって動くので、順番の材料には向きません
- 頭数ぶんの記録をつける:先頭の子だけ書けば、家の状態はだいたい追えます
4つめだけ、少し補足します。布は、濡れているあいだに次の子へ移る条件がそろいます。順番の後ろにいる子ほど、前の子のものを受け取ることになります。多頭飼いの家で布を分けるのは、清潔さの話というより、順番の後ろにいる子を前の子と同じ条件にそろえるためです。使い捨ての布でも、頭数ぶんの布でも構いません。
洗う日をそろえるのが難しい家では、1頭あたりの洗う時間そのものを短くする道があります。背中の真ん中と、腰から後ろ足のつけ根は、その子が自分では届かない面です。多頭飼いだと互いに舐め合う場面もありますが、届くのはたいてい首から上までで、そこから後ろは人が代わります。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして、湯そのものを洗浄液にするタイプです。浸かるだけで全身に行きわたるので、泡立てる工程も、被毛をかき分けて擦る工程もありません。1頭あたりの手数が減るぶん、頭数が増えても順番の形は崩れません。先頭の子から順に、この記事で決めた並びのまま通してください。
ただし、縮むのは洗う側だけです。乾かす時間は縮みません。多頭飼いで足りなくなるのはたいてい乾かす側なので、そこは別に数えておいてください。3頭なら、洗い場にいる時間の合計より、ドライヤーの前に立っている時間の合計のほうが先に一日の枠を超えます。順番を組むときに数えるのは、後ろの工程のほうです。
優先の順番を2つの決めごとに畳む|嫌がり方が変わった日にすること
ここまでを畳みます。多頭飼いのケアで持っておく決めごとは、2つだけです。
| 決めごと | 中身 | いつ使うか |
|---|---|---|
| 先頭の名前 | 終わったあとに戻ってこない子 | 始めるとき、毎回 |
| 削る向き | 後ろから削り、先頭は削らない | 時間が足りない日に |
この2つがあれば、その日の残り時間がどれだけでも、迷わずに始められます。優先の順番を決めるというのは、誰かを後回しにすることではありません。いちばん止まりやすいところを先に通しておいて、残りを流す、という組み方です。迷っている時間そのものが、いちばん短くできる時間です。
最後に、順番の話では片づかないことを書いておきます。順番を守っているのに、先頭の子の嫌がり方が前より強くなってきた。これは、順番の問題ではないことがあります。触られること自体がつらくなっている場合、家でやり方を変えても戻りません。多頭飼いだと、ほかの子と比べられるぶん、変化には気づきやすい立場にいます。
これまで触れた場所を急に嫌がるようになった、触ると声を出す、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、においが日ごとに強くなる、ほかの子と離れて過ごす時間が増えた。こうした変化が続くときは、ケアの順番や道具を変える前に動物病院にご相談ください。多頭飼いの家では、いつから変わったのかを思い出しにくくなります。s3で書いた3日ぶんの紙に、日付と、どの子の、どこを嫌がったかを書き足して持っていくと、その場で見てもらえます。
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mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
