C08季節・行事
1頭だけ連れて帰った夏|戻った日に、においで揉めた
4泊して実家から戻った夜、玄関でリードを外した犬は、まっすぐ窓ぎわの自分の寝床へ向かい、そこに丸くなっていた猫に唸られました。その夜、2頭が揉めたのは5回。そのうち4回が寝床のまわりです。多頭飼いの家で1頭だけを帰省に連れて行くと、戻った日に揉めるのは、4泊で相手の顔を忘れたからではありません。留守のあいだに、寝床のにおいと、連れて行った子の体のにおいが、両方とも入れ替わっていたからです。ここでは、揉めた回数が5回から0回になるまでの4日間を、日を追って書いていきます。
戻った夜に5回、そのうち4回が窓ぎわの寝床で|多頭飼いの帰省で揉めた経験
出発の朝、家に残る猫のために用意したのは、水の器を満たしておくことと、1日2回来てくれる妹に渡すメモの2つでした。犬の寝床は窓ぎわ、猫の寝床はキャットタワーのいちばん上。食器は台所の床に、犬のぶんと猫のぶんを2つ並べてあります。メモには「猫のごはんは朝と夜」「水は入れ替える」とだけ書きました。犬の寝床のことは、1行も書いていません。犬を連れて帰省するのだから、4泊のあいだ、あの寝床を使う子はいないと思っていたからです。
4泊して戻ってみると、家具の配置も、器の位置も、出たときのままでした。変わっていたのは、誰がどこで寝ていたかのほうです。妹に聞くと、猫は2日目の夜からキャットタワーを下りて、窓ぎわの犬の寝床で眠るようになっていたそうです。留守のあいだは冷房を弱くつけたままにしてあり、その風がまっすぐ届くのが窓ぎわでした。犬がいなければ、8月の家でいちばん過ごしやすい場所です。水も、台所の手前に置いてあった犬の器のほうから飲んでいました。
| 出発の朝 | 戻った夜 | |
|---|---|---|
| 窓ぎわの寝床 | 犬のにおいがする | 3晩ぶんの猫のにおいと、猫の毛 |
| 台所の手前の器 | 犬が使う器 | 4日間、猫が口をつけていた器 |
| キャットタワーの上 | 猫の寝床 | 2日目の夜から空いていた |
| 犬の体 | 家のにおい | 実家の座布団と線香、実家の人の手、帰りの車の中のにおい |
| 猫から見た犬 | 毎日となりにいる相手 | 知らないにおいの相手が、自分の寝床へまっすぐ来る |
表のいちばん下の行が、戻った夜に起きたことのすべてでした。猫にとって窓ぎわの寝床は、3晩かけて自分のにおいにした場所です。そこへ、実家の座布団と線香のにおいをまとった相手が、まっすぐ鼻先を寄せてきた。猫が唸った相手は、4泊前まで毎日となりで寝ていた犬の顔をした、知らないにおいの犬でした。
揉めた回数は、戻った夜から紙に書いて数えました。1日目は5回で、そのうち4回が窓ぎわの寝床のまわり、残りの1回は台所の水の器の前です。唸る、前足を振る、犬が吠えて下がる。けがをするほどの取っ組み合いは1度もなく、どれも数秒で終わります。それでも5回のうち4回が同じ場所で起きていれば、揉めているのは2頭の仲より、その場所のほうだと考えるしかありません。2日目は、それを減らすつもりで手を打って、4回になりました。減ったのは1回だけで、しかも揉める場所が変わっていました。
猫の3晩と犬の4泊が、1つの寝床の上で重なった|多頭飼いの帰省で寝床が揉める場所になる理由
多頭飼いの家で、帰省から戻った日の揉めごとが寝床のまわりに集まるのは、においが2つの方向から同時に入れ替わっているからです。1つは、家に残った子の側で起きたこと。空いた寝床を使い、そこに自分のにおいを重ねました。もう1つは、連れて行った子の側で起きたこと。4泊のあいだに、毛と皮脂に実家のにおいがのりました。
どちらか1つだけなら、揉めるところまでは行きません。寝床に猫のにおいがついていても、戻ってきた犬が家のにおいのままなら、猫にとっては見慣れた相手が自分の場所を取り返しに来ただけです。犬が実家のにおいをまとっていても、寝床が犬のにおいのままなら、犬は自分の場所へ帰るだけで、猫とは寝床の上ですれ違いません。揉めたのは、知らないにおいの相手が自分のにおいの場所へ来る、という形が、猫の側で2つそろってしまったからでした。
しかも8月の寝床は、3晩でにおいが濃くなります。留守宅の窓ぎわで起きていたのは、次の4つです。
- 皮脂:夏は犬も猫も皮脂の出る量が増える時期で、寝床の布は、そこで眠る子の皮脂を毎晩吸い込みます
- 雑菌:布に残った皮脂は、温かく湿った状態が続くと雑菌が増えるもとになり、においは日を追って濃くなります
- 換気:留守のあいだは窓を開ける人がいないので、布から出たにおいが部屋の外へ抜けていきません
- 毛:猫の毛が布の目に入り込み、犬が鼻先を寄せたときに、いちばん先に届きます
犬の体の側も、同じ理屈で動いていました。4泊のあいだ、犬は実家の和室の座布団で寝て、実家の人の手に何度もなでられ、帰りは2時間キャリーの中で過ごしています。毛についた皮脂は、においをつかまえておく面になります。夏は皮脂が多いぶん、つかまえておける量も多い。戻った夜の犬は、4泊前の犬と同じ顔で、違うにおいをしていました。
台所の水の器の前で起きた1回も、同じ形です。犬がいつもの器に口を寄せると、器のふちと下のマットには、4日ぶんの猫の口もとのにおいが残っていました。犬は1度顔を上げて、となりの猫の器へ移り、そこへ猫が来てかち合いました。多頭飼いの帰省で揉める場所は、寝床と食器のように、2頭が同じ面に体や口をつけるところに集まります。家の中で2頭がすれ違う場所はほかにもあるのに、1日目、廊下では1度も揉めていません。
足さずに、下げて、それぞれに返す|多頭飼いの帰省から戻った日の寝床の考え方
2日目の朝に最初にやったのは、窓ぎわの寝床に、香りのついた消臭スプレーを吹くことでした。家にあった1本で、吹くと石けんのような香りが立ちます。猫のにおいが消えれば、犬は自分の寝床に戻れると考えたのです。結果は逆でした。犬は寝床に鼻先を寄せたあと、そのまま素通りして、キャットタワーの下の猫の場所で横になりました。そこへ猫が下りてきて、2日目の1回目が起きました。この日の4回は、寝床のまわりが2回、キャットタワーの下が2回です。
寝床の上には、猫の3晩ぶんのにおいに、新しい香りが1つ重なっただけでした。犬の側から見れば、自分のにおいはどこにも残っていません。猫の側から見れば、自分の場所に知らない香りが増えています。帰省から戻った日の寝床に要るのは、においを足すことより、入れ替わったにおいを下げて、元の持ち主のにおいが戻ってこられる余白をあけておくことでした。
2日目の夜から、手を入れる順番を変えました。寝床の布を外して洗い、中のクッションと、寝床を置いている窓ぎわの床、台所で器の下に敷いているマットに、mofuwa 瞬間消臭スプレーを吹いて、乾いた布で拭き取りました。この1本は、においを香りで包みこむのとは向きが逆で、においのもとのほうに反応させるようにつくってあり、吹いたあとの寝床に香りが残りません。猫の3晩ぶんのにおいが下がり、そこに新しいにおいは足されない。空いたところへ入ってくるのは、洗って戻した布に次の晩から重なっていく、犬自身のにおいです。
吹く場所を寝床と器のまわりにしたのは、2頭がどちらも口をつける面だからです。寝床のクッションは、犬が顔をうずめて眠り、猫が毛づくろいのついでになめる場所です。器の下のマットには、水を飲んだあとの口もとから落ちたしずくが毎日たまります。瞬間消臭スプレーの成分は、床やケージを動物がなめることを先に決めてから選ばれていて、中身は電解水だけです。多頭飼いの家では、1か所に吹いたものが2頭の口に入ります。どちらの口に入るかを気にして吹く場所を減らさずに済むので、寝床と器のまわりを1晩で整えられました。余計なものが入っていないぶん、クッションの布にもフローリングにも、同じ1本で足ります。
犬の体のほうは、実家のにおいが毛の皮脂にのっているので、床とは別に手を入れました。背中から腰にかけて mofuwa グルーミングスプレーを吹いてブラシを通すと、電解水が皮脂となじんで浮き、実家のにおいごと布で拭き取れます。2日目の夜、これを済ませてから寝床に通すと、犬は窓ぎわの寝床に鼻先を寄せ、前足で2度布をかいてから、そこで横になりました。猫はキャットタワーの上から見ていて、その夜は下りてきませんでした。
3日目に揉めたのは1回で、場所は玄関でした。実家から持ち帰ったキャリーとかばんを、荷ほどきの途中で玄関に置いたままにしていたのです。猫はそこへ鼻先を入れて実家のにおいを確かめ、通りかかった犬に唸りました。かばんの中身は洗濯機へ、キャリーは扉を開けたままベランダの側へ出して、窓を開けて換気をしました。家の中に残っていた実家のにおいの出どころは、それで最後です。4日目、揉めた回数は0回でした。
寝床と器のまわりを整えてから3日たっても、日ごとに数えた揉めた回数が減っていない/唸るだけで終わらず、かみついて毛が抜けた/どちらかが寝床にもトイレにも近づかず、隠れたまま出てこない/猫が同じ場所をなめ続けて、そこの毛が薄くなってきた。こうなると、においの入れ替わりだけでは説明がつきません。数秒のつもりだった揉めごとで、小さな傷ができていることもあります。帰宅後の日ごとの回数と、揉めた場所を書いた紙を持って、かかりつけの動物病院に予約を入れてください。回数が減らなかった日と、場所が動いた日が、紙の上で並んで見えます。
次に1頭だけ連れて行く日のために|多頭飼いの帰省で寝床に起きる変化を、出発の朝に書いておく
4日目に0回になったあと、次の帰省のために、妹に渡すメモを1枚書き直しました。前のメモに足りなかったのは、連れて行く子の寝床と食器を、留守のあいだどう扱うかという行です。寝床に起きる変化は、出発の朝に先回りしておけば、戻った夜に5回を数えずに済みます。
| いつ | 寝床 | 食器 |
|---|---|---|
| 出発の朝 | 連れて行く子の寝床は布を外してしまい、土台だけを残す | 連れて行く子の器は片づけ、残る子の器だけを置く |
| 留守のあいだ | 残る子が使ってよい寝床を1つ決めて、メモに書く | 水を入れ替えるのは残る子の器だけ、と書く |
| 帰宅後すぐ | 土台と床に瞬間消臭スプレーを吹いて拭き、しまっておいた布をかけ直す | 器を洗って戻し、下のマットを拭き取る |
| 帰宅後の夜 | 連れて行った子を先に自分の寝床へ通してから、残った子のいる部屋へ入れる | 2頭ぶんの器を、並べずに離して置く |
多頭飼いの家で1頭だけを連れて帰省すると、残った子は、空いた寝床を上手に使って留守を過ごします。戻った日にやるのは、その上手さを叱ることではありません。入れ替わったにおいを香りで覆わずに下げて、寝床をそれぞれに返すことです。次の帰省は、メモの1行と、帰宅後の10分から始めます。
Product
mofuwa 瞬間消臭スプレー
500ml / 2,420円(税込)
香りでマスキングせず、においの元に働きかける無香料タイプ。舐めても安心な処方なので、床や家具にも場所を選ばず使えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
