C09シーン別・暮らし
シニア犬と暮らす人のための高齢の飼い主|5分で終わらせるケア
ある朝、毎日やっている手当てのうち1つが抜けました。抜けたことに気づいたのは、その日の夜でした。翌日、順番を思い出しながら紙に書き出してみたら、朝にやっていることが7つあり、合計で18分かかっていました。12年めの老犬との毎日で、この7つは10年かけて1つずつ増えてきたものです。高齢の飼い主にとって効いてきたのは、量ではなく形のほうでした。7つのうち3つは床にしゃがむ姿勢が必要で、途中で道具を取りに部屋を2回往復していました。この記事は、いまやっているペットのケアを、この先も同じように続けられる形へ置き直すという話です。
毎朝やっていることを書き出したら7つありました|12年めの老犬と高齢の飼い主の経験
抜けたのは、足の裏と肉球を見る手当てでした。朝の順番でいうと6番目です。忘れていたわけではありません。その1つだけ、いったん立ち上がって別の部屋までクリームを取りに行く必要がありました。その日は洗濯機の音が鳴って、取りに行った先で洗濯物を出して、そのまま台所へ行きました。朝の流れが1回途切れると、途切れたところから先は戻ってきません。7つのうち、この1つだけが毎回そうなる形になっていました。
| 順番 | やっていること | 時間 | 姿勢 | 道具の置き場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 水を替える | 1分 | 立つ | 台所 |
| 2 | 体をひととおりなでる | 2分 | 床にしゃがむ | なし |
| 3 | ブラシを一往復 | 4分 | 床にしゃがむ | 居間の棚 |
| 4 | 食後に口のまわりを拭く | 2分 | 立つ | 台所 |
| 5 | 耳の外側を見る | 2分 | 床にしゃがむ | 洗面所 |
| 6 | 足の裏と肉球を見る | 3分 | 床にしゃがむ | 別の部屋 |
| 7 | 寝床の毛を取る | 4分 | かがむ | 居間の棚 |
合計18分。ただ、18分ぶんずっと手を動かしているわけではありませんでした。次の日にストップウォッチで測ってみたら、実際にその子に触れている時間は9分ほどしかありませんでした。残りは、立ったりしゃがんだりしている時間と、道具を取りに行って戻ってくる時間と、次に何をやるかを思い出している時間です。高齢の飼い主にとって、この配分は無視できません。18分を9分に減らすより先に、9分でないほうの9分を見るほうが現実的でした。
順番を見ると、姿勢が6回変わっています。立つ、しゃがむ、立つ、しゃがむ、しゃがむ、かがむ。ペットのケアの話をするとき、時間の話は出てきますが、姿勢が何回変わるかを数える話はあまり出てきません。けれど老犬と暮らす家では、その子はたいてい床にいます。床にいる子に手を入れるには、こちらが下りていくことになります。1回の上げ下ろしは10秒か20秒でも、6回あれば2分です。しかも、上がるたびに「今日はここまででいいか」という区切りが生まれます。
7つは、どれも理由があって始めたものです。10年前に始めたときは、その形でちゃんと回っていました。変わったのは、こちらの一日の組み立てと、その子が床にいる時間の長さのほうです。老犬になると、寝ている場所は決まってきますし、こちらの朝の予定も10年前とは違います。10年前の形のまま持ってきたから、いまの一日と噛み合っていない。それだけのことで、量を減らす理由にはなりません。高齢の飼い主が手当てを見直すのは、続けるための作業です。
10年かけて1つずつ足してきた背景|高齢の飼い主とペットの毎日に、引き算だけがなかった
7つがどう増えたのかを、思い出せる範囲で並べてみました。最初からこの数だったわけではありません。足したときは、いつも「1つ増えるだけ」でした。1つ増えるだけなら、2分か3分です。断る理由がありません。そうやって10年たつと7つになります。増やしたことは1回ずつ覚えているのに、合計が何分になっているかを数えたのは、今回が初めてでした。
並べてみて分かったのは、後半に足したものほど、老犬になってからの体の変化に対応しているということでした。9年めの足の裏、11年めの背中、12年めの寝床。どれも、その子の側の事情から始まっています。だから、この3つは減らせません。減らす候補があるとしたら前半のほうですが、前半のブラッシングは被毛のもつれに直結しているので、これも外せません。7つとも、やめる理由がないものばかりでした。
ここが、高齢の飼い主とペットの毎日でいちばん詰まるところだと思います。手当ての一覧は、増える方向にしか動きません。「これはもう要らない」と言える日は、まず来ないからです。体は年ごとに変わるので、変わるたびに1つ足すことになります。10年で7つなら、この先も同じ速さで増える可能性があります。量を減らせないなら、変えられるのは形のほうだけです。時間・姿勢・道具。この3つは、やることを1つも減らさずに動かせます。
もうひとつ、書き出してみるまで気づかなかったことがあります。道具の置き場所が4か所に散っていました。台所、居間の棚、洗面所、別の部屋。これは10年のあいだに、足したときの都合でそこへ置かれただけで、誰かが決めた配置ではありません。使う順番を考えて置き直したことは一度もありませんでした。老犬と暮らす家では、その子のいる場所はだいたい決まっています。決まっているのに、ペットの道具のほうが散っている。ここは、今日のうちに動かせます。
3分・同じ姿勢・道具1つで線を引く理由|老犬のケアを、続けられる形に置き直す
いまやっているペットのケアが続けられる形かどうかを、3つの線で測ることにしました。1日3分で終わること。姿勢を変えずにできること。道具が1つで済むこと。この3つを通るものだけを毎日に残して、通らないものは別の枠へ移します。線の引き方に根拠はあります。18分の中身を測ってみたら、こういう配分になっていました。
3分という数字は、区切りのよさで決めたものではありません。4分を超えると「今日はやめておこうか」という判断が入るのが、記録をつけていて分かりました。3分なら、判断する前に終わります。判断が入らない長さかどうか、というのが1つめの線です。
姿勢を変えないこと、が2つめです。上の内訳で、姿勢の変更に4分かかっていました。ただ、問題は4分そのものよりも、立ち上がるたびに「ここで終わってもいい」という区切りが生まれることのほうです。6回変えれば、区切りが6回できます。抜けたのは6番目でした。順番の後ろにあるものほど、区切りを何回もくぐってから順番が回ってくることになります。高齢の飼い主に限らず、区切りの多い流れは途中で止まります。
道具が1つ、が3つめです。道具が変わるたびに、置き場所へ取りに行きます。4か所に散っていれば、往復も増えます。ペット用品は、目的ごとに種類が増えていくので、置き場所も自然に散ります。これを1つにまとめられるかどうかは、その日にやることの中身によって変わります。まとめられないものもあります。まとめられないものは、毎日の枠から外して構いません。
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いまやっていることを、全部書き出す
この段階では1つも減らしません。数えるだけです。朝だけでなく、夜と週末にやっていることも同じ紙に書きます。7つだと思っていたものが9つあることもあります。老犬との毎日は、意識せずにやっている手当てが混ざっています。
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1つずつに、時間・姿勢・道具の数を書き足す
時間はストップウォッチで測ります。感覚で書くと、たいてい短めに出ます。姿勢は「立つ・しゃがむ・かがむ・座る」の4つで足ります。道具は、置き場所も一緒に書いてください。ここまでで、直すべき場所がだいたい見えます。
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姿勢が同じものを、続けて並べ直す
順番を入れ替えるだけです。しゃがむものを続けて並べれば、上げ下ろしは1回で済みます。7つのうち4つがしゃがむ姿勢なら、6回の姿勢変更が2回になります。やることは1つも減っていないのに、時間だけが縮みます。
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道具を、その姿勢のまま手が届く場所へ移す
床にしゃがんだ位置から手が届く高さに、かごを1つ置きます。しゃがむ姿勢でやる手当ての道具を、そこへ全部入れます。取りに行く往復が消えるのは、この一手です。置き場所を変えるだけなので、その日のうちに終わります。
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3つの線を通らないものを、週に1回の枠へ移す
毎日でなくてよいものが必ずあります。うちの場合は寝床の毛を取ることと、ブラシを一往復することでした。やめるのではなく、日曜の午前へ移します。移した先では、時間の線も姿勢の線も外して構いません。週に1回なら、腰を据えてやれます。
見直しというと、削るイメージになります。ここでは1つも削りません。削ろうとすると、どれも理由があって始めたものなので、決まらないまま元に戻ります。毎日の枠と、週1回の枠と、2つあると考えてください。毎日の枠に入れるものだけを3つの線で選び、残りは週1回の枠へ置く。合計の量は変わらないのに、毎日のほうは3分になります。高齢の飼い主とペットの毎日を長く続けるには、減らす設計より、置き直す設計のほうが向いています。
3週間後、毎日の枠に残ったのは3つでした|高齢の飼い主と老犬に起きた変化
並べ替えて3週間たったところで、もう一度測りました。毎日の枠に残ったのは3つです。体をなでる、口のまわりを拭く、足の裏と肉球を見る。3つとも、床に一度しゃがんだまま続けてできます。道具は、しゃがんだ位置に置いたかごの中に全部あります。実際に手を動かしている時間は3分。かごを引き寄せてから片づけるまでを入れると、5分あれば終わります。
| 置き直す前 | 3週間後 | |
|---|---|---|
| 毎日やること | 7つ | 3つ |
| 朝にかかる時間 | 18分 | 5分(手を動かすのは3分) |
| 姿勢が変わる回数 | 6回 | 1回 |
| 道具の置き場所 | 4か所 | 1か所(床のかご) |
| 週1回へ移したもの | なし | 4つ(日曜の午前・15分) |
| 1週間の合計 | 126分 | 50分 |
1週間の合計は減りました。ただ、減らそうとして減ったわけではありません。消えたのは、姿勢を変えている時間と、道具を取りに行っている時間です。その子に触れている時間そのものは、ほとんど変わっていません。むしろ、抜けることがなくなったぶん、1週間で見れば増えています。老犬と暮らす高齢の飼い主にとって、いちばん惜しいのは、途中で止まって手が届かなかった日のほうです。
週1回へ移した4つのうち、いちばん形が変わったのは体を洗う日でした。背中の真ん中と、腰から後ろ足のつけ根は、12年めのこの子がもう自分では届かない面です。若いころは後ろ足で掻いて、体をひねって舐めていました。その動きのほうが先に減るので、ここは人が代わる場所になりました。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして、湯そのものを洗浄液にするタイプです。浸かるだけで全身に行きわたるので、泡立てる工程も、被毛をかき分けて擦る工程もありません。擦らないということは、その子を立たせて押さえておく時間が要らないということです。長く立っていられない老犬では、そこがいちばん効いてきます。うちは日曜の午前、浴槽に膝下ほどの湯を張って、風呂の縁に腰かけたまま入れています。毎日の3つと同じで、姿勢を変える回数は1回です。
思っていなかった変化もありました。毎日同じ3か所を、同じ姿勢で触るようになったので、皮膚と被毛の様子が言葉にできるようになりました。先週より背中の毛が指に引っかかる、肉球のふちが乾いている、といったことです。以前は7か所を日によってばらばらの順番で触っていたので、比べる相手がありませんでした。高齢の飼い主とペットの毎日で残るのは、こういう小さな比較のほうです。動物病院に行った日に、これがそのまま話せました。「いつからですか」と聞かれて、日にちで答えられたのは初めてでした。
そのうえで、線を引いておきたいことがあります。触ったときの手ざわりが日ごとに変わっていく、同じ場所を舐め続けている、地肌が赤い、拭いても半日で戻る。こうした変わり方は、手当ての形を直せば済む話ではありません。食欲や歩き方が一緒に変わっているときも同じです。回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。老犬の変化は、年齢のせいに見えるものほど、切り分けを人のほうで決められません。
12年やってきたことを、これから先も同じようにやりたい。高齢の飼い主が手当てを見直すときの動機は、たいていそれだけです。やることを減らす必要はありませんでした。順番を姿勢でそろえて、道具を手の届く場所に集めて、通らないものを週1回へ移す。それだけで、毎日の枠は3分になりました。長く続いてきた形をそのまま持っていくために、形のほうを一度置き直す。老犬とペットのケアの話は、最後はそこに落ち着きます。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
