C03使い方・お手入れ手順

寝たきりの子を横にしたままケアする手順

公開日 2021年3月31日|文=mofuwa編集部

明るい部屋のやわらかいマットの上で、横向きになって休んでいるシニアの犬
同じ面を二度さわるより、体を返す回数を1回に収めるほうが、その子の姿勢は崩れません。写真:https://kaboompics.com//Pexels

朝、介護マットの上で横向きになったままの寝たきりの子を一通りケアしたら、体を返した回数が4回になりました。返した理由はどれも同じで、次に使うものが手の届かない場所に置いてあったからです。寝たきりの子のケアは、拭き方や梳かし方といった手順そのものより、この返した回数のほうで終わる時刻が変わります。数えるのは1つだけで、1回のケアのあいだに体の向きを変えた回数を書きます。返している数十秒のあいだ、その子は自分で姿勢を戻せません。

手が入る面と、入らない面を先に分ける|寝たきりの子のケアで家でできること

寝たきりの子のケアで最初に数えるのは、1回のあいだに体を返した回数です。横向きに寝ている体を、頭とおしりを支えて反対向きにすることを1回と数えます。介護マットの上で、朝に一通り済ませた日の数字は4回まで増えました。同じ場所で、同じ道具で、同じ子をケアしています。増えていたのは手数ではなく、次に使うものを取りに行くために、支える手を体から離した回数のほうでした。返した回数は、その子が自分では戻せない姿勢に置かれた回数を、飼い主の側からも数えられる形にしたものです。

横向きのまま手が入る面と、返さないと入らない面
面横向きのまま手が入るかその面で起きやすいこと返さずにできること
上になっている背中側入る被毛が寝て、毛先だけが立つ毛の向きを一方向にそろえる
上になっている脇腹入る上からの汚れが流れて溜まる上から下へ順に下ろす
上になっている後ろ足の外側入る床に近いぶん、毛先に汚れが残る足先まで届かせる
床に接している背中側入らない体重がかかって毛が押しつぶされる返してからでないと届かない
床に接している脇腹入らない湿りがこもって、においが残る返してからでないと届かない
おなかと後ろ足のつけ根半分だけ折り重なって空気が止まる上の足を持ち上げて開く

表の右端が、返す回数を1回に収めるための材料です。上の3面は、体を返さないまま終わります。床に接している3面は、返さないかぎり手が入りません。つまり、この数え方で体を返す必要があるのは1回だけです。4回になった日は、そのうち3回が下の面のためではなく、道具を取りに立ったせいで増えていました。寝たきりのケアの手順を組み直すというのは、拭き方を変えることではなく、この3回を先に消すことを指します。

上の3面をまとめてから、1回だけ返す 横向きのまま手が入るのは、上になっている3面です。ここを先にまとめて済ませ、体を返すのは1回にします。返したあとの3面も同じ順で進めます。道具を取りに立つたびに返す回数が増えるので、始める前に、手の届く半円へ並べておきます。 上の3面 返さずに済む 1回だけ返す 頭側から送る 下の3面 同じ順で 道具は半円に置いたまま 支える手は離さない 道具を取りに立つと そのあいだに姿勢が崩れる 戻すためにもう1回返す 半円に並べておくと 手が体から離れない 返す回数は1回のまま
返す回数は、道具の置き場所のほうで決まります。

上の3面をまとめるあいだ、手に持っているものは1つにしておきます。犬も猫も体から脂を出すので、寝ている時間が長い子ほど、前の日に整えた被毛が翌日にはまた落ち着かなくなります。それでも毎日湯を使うことはできませんし、寝たきりの子にとってはお風呂そのものが負担になってきます。mofuwa グルーミングスプレーは、その毎日をきれいにしてあげたい、という側から作られた1本で、手のひらに取ってから被毛にのせる形でも使えます。ノズルをその子の顔へ向けずに済むので、横向きのまま、支える手を離さずに1面を終えられます。

道具を半円に並べてから始める|寝たきりの子を横にしたままケアする手順と順番

手順は5つで、そのうち最初の1つは、まだ被毛にふれる前に終わります。使うものを半円に並べ、上の3面を上から下へ下ろし、折り重なった場所は開いてから当て、体を返すのは1回、返した面も同じ順でそろえます。この順番で増やしているのは工程ではなく、支える手を体から離さずに済む条件のほうです。

  1. 1|自分の膝を中心にした半円へ、使うものを全部並べる

    その子の背中側に座り、膝を中心にした半円の中へ、ブラシ、ガーゼ、1本、紙を置きます。立ち上がらずに取れる位置かどうかは、座ったまま腕を回してみれば分かります。半円の外に1つでも残っていると、その道具の順番が来たときに、返す回数が1回増えます。ガーゼは使う枚数より1枚多く入れておきます。

  2. 2|上になっている背中側から、足先へ向かって下ろす

    背中の真ん中から始め、脇腹、後ろ足の外側へと、上から下へ順に下ろします。足先から始めると、上の面から落ちてきた汚れをあとで受けることになり、同じ場所をもう一度やり直します。支える手は肩のうしろに置いたまま動かしません。動かすのは、もう一方の手だけです。

  3. 3|折り重なっている場所は、開いてから当てる

    上になっている後ろ足を少し持ち上げると、つけ根とおなかのあいだに、空気の通っていない場所が出てきます。脇の下も同じです。開いた状態で当ててから、足を元の位置へ戻します。開かずに上から当てると、届いているのは表面の毛だけになり、翌日も同じ場所が残ります。

  4. 4|体を返すのは1回。頭側から向きを送る

    頭とおしりの両方を支え、頭側からゆっくり向きを送ります。返す前に、下になっていた面の被毛がどちら向きに寝ているかを見ておくと、返したあとに整える向きが先に決まります。返してすぐには始めず、その子の呼吸が戻るまで待ちます。ここが、この手順で唯一の1回です。

  5. 5|返した3面を同じ順で。最後に毛の向きをそろえる

    返したあとも、背中側から足先へという同じ順です。最後に、床に接していた側の被毛を一方向にそろえます。押しつぶされて寝ている毛は、根元に当ててから毛先へ抜くと起きてきます。ここまで通して、体を返した回数は1回です。

半円に並べる1本を mofuwa グルーミングスプレーにしているのは、面ごとに持ち替えずに済むからです。中身は還元水100%で、香料もアルコールも足していません。汚れのもとになる脂のほうは乳化して落ち、被毛に残しておきたいセラミドやスクワランは残るという作りなので、寝ている時間が長くて同じ面が続けて汚れる子でも、毎日の手順は1日目と同じままです。お風呂そのものが負担になってきた子ほど、この5つは変わりません。

毛の向きをそろえる工程が最後に来るのは、この1本がブラッシングスプレーでもあるからです。乾いた被毛にブラシを入れると静電気が起きて、毛が浮いて指に絡みます。横向きのまま動けない子は、その一瞬の引っぱりから体をよけることができません。先に行き渡らせてからブラシへ持ち替えると、静電気の起きにくい状態で毛の向きをそろえられます。皮膚の側に届いているかどうかは、毛を分けたときに地肌が見えるかで分かります。

Point紙に書くのは、日付と返した回数と、返した理由の頭文字だけ

日付・体を返した回数・理由の頭文字(道=道具を取りに立った、面=下の面のため、戻=姿勢が崩れて戻した)の3つを、1行で書きます。1週間で7行そろうと、返す回数が道具の置き場所で動いているのか、その子の姿勢の側で動いているのかが分かれます。欄を増やすと続かないので、3つのままにしておきます。

返す回数が2回以上になる日に見る3つ|寝たきりのケアのコツは置き場所の側にある

この順番で通しても、返す回数が2回以上になる日があります。そのとき見るのは体の側ではなく、周りの3つです。道具の置き場所、自分の座る位置、始める時刻。どれも被毛にふれない側の条件なので、変えても手は増えません。

3つを変えても2回のまま動かない週は、返している理由のほうが入れ替わっています。道具のためではなく、下になっていた面の被毛が湿っていて、そこだけをもう一度見るために返している日です。その週は、返す回数を無理に1回へ戻さないでください。紙の理由の欄に「面」が並びはじめたら、置き場所の話からは離れた合図になります。

Caution返した回数が、道具の置き場所以外の理由で増えているとき

返した回数が2回以上の日が3日続き、床に接していた側の毛をかき分けると地肌が赤い、さわると熱い/同じ場所だけ毛が薄くなってきた/体を返すときに声が出る、息づかいが変わる/返したあと、その場所だけをなめ続けている。こうした増え方は、寝たきりのケアの手順を組み直すだけでは戻りません。数えた回数と日付を書いた紙をそのまま持って、動物病院で皮膚と体勢のほうを見てもらう日をつくってください。何回返したか、どの面で、いつから増えたかが、紙1枚で伝わります。そのうえで、翌日からも同じ手順は続けられます。

回数が1回へ戻りはじめると、戻り方には順番があります。先に消えるのは道具を取りに立った1回で、次が座り直すための1回、最後まで残るのが下の面のために返す1回です。最後の1回は0にはなりません。横向きのままでは入らない面があるからで、そこを0にしようとすると、届いていない面をそのままにすることになります。

毎日そろえる面と、2日に1度でいい面|寝たきりのケアの頻度は面の数で決める

寝たきりの子のケアの頻度は、日数ではなく、面の数のほうで決めます。6面を毎日そろえようとすると、返す回数が増えた日ほど後半が雑になります。毎日そろえる面と、2日に1度でいい面を先に分けておけば、1回が短くなり、返す回数も1回のままで収まります。

面ごとの頻度と、その面で見るところ
面どれくらいで見るところ遅らせてよい合図
おなかと後ろ足のつけ根毎日湿りが残っていないかなし。ここは毎日そろえる
床に接していた側の脇腹毎日毛が寝たまま起きてこないかなし。ここは毎日そろえる
上になっている背中側2日に1度毛先の広がり方前の日に毛が起きていた
後ろ足の外側2日に1度足先に残っている汚れ外に出ていない日が続いた
首とあごの下2日に1度食べたあとの汚れ自分で顔を動かせている
しっぽの下様子を見て汚れのつく位置が変わっていないか前の日と同じ位置だった

毎日そろえる2面は、どちらも床に接していた側です。体重がかかって空気の止まっていた場所なので、日をあけるほど毛が寝たまま起きなくなります。残りの4面は、前の日に見たものを合図にして遅らせます。6面を毎日そろえた週と、2面を毎日そろえて4面を2日に分けた週では、1回にかかる時間も、返した回数も違ってきます。その子が押さえられている時間の長さは、後者のほうが短くなります。

紙の数字は捨てずに、季節が変わるまで取っておきます。梅雨に入って湿りの残る面が増える週に、前の月に何回返していたかが分かっていれば、道具の置き場所を決めるところからやり直さずに済みます。

今日は、半円に道具を並べるところまでで十分です。数えるのは1つ、体を返した回数だけにします。

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mofuwa グルーミングスプレー

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よくある質問

1人で体を返すのがむずかしく、どうしても2回になります。
返す回数を減らす前に、返し方のほうを2つに分けてください。頭とおしりを同時に動かそうとすると、支える手が足りなくなります。先に前足側だけを自分のほうへ寄せ、そのあとで後ろ足側を送ると、1回の動きが2段になって、片手ずつで足ります。マットや毛布の端を持って体ごと送る形にすれば、関節に直接手をかけずに向きを変えられます。それでも2回になる日は、返す前に済ませるはずの面が上に残っていることが多いので、順番のほうを先に見直します。
手のひらに取ってから使うのと、被毛に直接向けるのとで、順番は変わりますか。
変わるのは、支える手をいったん離すかどうかです。手のひらに取る場合は両手を使うので、姿勢が崩れやすい面では向きません。直接向けるなら、顔と反対の方向から、毛の流れに沿って当てます。横向きで寝ている子は顔をよけられないので、頭より高い位置から下ろさないでください。どちらを選んでも、手順の数と並びは変わりません。
寝たきりになってから毛玉ができやすくなりました。ケアの手順に足すことはありますか。
足すのは工程ではなく、開く手間のほうです。毛がからむのは、体重がかかって空気の止まっている面と、折り重なっている場所に偏ります。上の足を持ち上げて開いてから当てると、届く範囲がそのぶん広がります。ブラシは根元に当てて毛先へ抜き、戻す向きには通しません。からんだ場所を先にほどこうとすると、その子は横向きのまま体をよけられないので、まず周りの毛の向きをそろえてから、中心へ向かいます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。