C02技術・エビデンス

角質層のすきまを埋めているもの

公開日 2021年10月10日|文=mofuwa編集部

明るく飾りけのない部屋で、淡い色の毛布の上に並んで休んでいるクリーム色の猫と淡い金色の犬
角質層の話でいちばん動いているのは、細胞そのものではなく、そのあいだにあるものです。写真:Samson Katt/Pexels

洗った次の日に、毛を分けて地肌を触ると、指先に細かい粉がついてくることがあります。角質層という言葉は、たいていこの粉から調べ始めることになります。調べると、角質層は役目を終えた細胞が積み重なった層だと出てきます。ただ、そこで止めると粉の説明までは届きません。積み重なった細胞のあいだには、すきまがあります。そのすきまを埋めているのが脂質です。角質層の話で毎日のケアに関わってくるのは、細胞そのものより、このすきまを埋めている脂質のほうです。犬と猫のケアで何が動いているのかを、7つの問いに分けて順番に開いていきます。

角質層とは何で、すきまを埋めているのは何ですか

定義を2行で置きます。角質層とは、役目を終えた細胞が板のように重なって、皮膚のいちばん外側をつくっている層のことです。そして、その細胞と細胞のあいだのすきまを埋めているのが脂質です。この脂質は、細胞のあいだにあるので細胞間脂質と呼ばれます。中身はセラミドを中心に、コレステロールや脂肪酸が混ざったものだとされています。

並び方を思い浮かべるなら、焼く前のパイ生地が近いところにあります。薄い生地が何枚も重なっていて、そのあいだに油の層が挟まっている。生地だけを重ねても、層は層として働きません。あいだに何かが入っているから、1枚ずつがばらけずに、束として役目を持ちます。角質層と脂質の関係も、この並び方に近いかたちをしています。

角質層をつくっている2つと、それぞれの居場所
呼び方どこにあるか毎日のケアで動くか
角質細胞重なっている板のほうこすらないかぎり、大きくは動きません
細胞間脂質細胞と細胞のすきま洗う工程で動きます
皮脂いちばん表面毎日出ていて、毎日落ちています
水分脂質に抱えられている脂質が減ると、先に抜けます

表の2行目と4行目が、この記事の主役です。角質層の話をしているようでいて、実際に毎日動いているのは、すきまを埋めている脂質と、そこに抱えられている水のほうです。細胞の枚数や厚みは、1日や2日では変わりません。だから犬と猫の毎日のケアで見るべきものは、すきまの側にあります。

なぜ厚みではなく、すきまの話になるのですか|角質層 なぜ脂質が主役なのか

理由は2つあります。ひとつは、すきまが空いていると、そこが水の通り道になるからです。板を重ねただけの状態では、外から見て層の形をしていても、内側の水は抜けていきます。すきまが埋まっていることで、はじめて水が出ていく道がふさがれます。厚みを増やしても、すきまが空いたままなら同じことが起きます。

もうひとつは、その脂質が水を抱えている側でもあることです。すきまを埋めているだけなら、ふたの役目しかありません。細胞間脂質は、水と脂が層になって並ぶかたちで水を抱えているとされています。ふさぐ役と、抱える役を同時に持っている。だから減ったときには、外から何かが入りやすくなるより先に、内側の水が減るほうが手ざわりに出ます。

Noteパイ生地の例えが届かないところ

生地のあいだの油は、水をはじく側にあります。角質層の脂質は、はじくのではなく抱えます。そこだけは例えが逆を向くので、分けて覚えてください。層のあいだに何かが入っているから束として働く、という並び方までが例えの届く範囲です。水をどう扱っているかは、生地のほうから持ってこられません。

この2つが分かると、角質層の脂質が減ったときに何が起きるかも順番で見えてきます。先に水が抜け、次に手ざわりが変わり、それから細かい粉が出ます。粉が見えた時点は、すでに何段か進んだあとです。犬でも猫でも、粉を見てから慌てるより前に、手ざわりの段で気づけると、打てる手の数が違ってきます。

洗うと、角質層の脂質はどうなりますか

洗浄成分は、水と脂が混ざるようにして、脂ごと汚れを運び出します。このとき運ばれる脂には、落としたい汚れの脂と、すきまを埋めている脂質の両方が含まれます。洗浄成分の側で、この2つを完全に見分けることはできません。だから洗うたびに、角質層の脂質はいくらか動きます。

ここで大事なのは、動くこと自体は異常ではない、という点です。皮膚は毎日すこしずつ入れ替わっていて、すきまを埋める脂質も作られ続けているとされています。問題になるのは、1回で動いた量と、その子が1日で戻せる量の釣り合いです。戻る前にもう一度動かすと、差がたまっていきます。

洗う回数の話が毎回出てくるのは、この釣り合いのためです。洗う日を増やすと、角質層の脂質を動かす回数がそのまま増えます。汚れが気になるたびに洗うという組み方をすると、動かす回数だけが先に増えていきます。犬と猫で洗う間隔が人より長く取られるのは、被毛の事情だけによるものではありません。

外から塗って、角質層の脂質を足せますか|犬 角質層 知りたい人がいちばん聞く問い

同じものを外から足せば元どおりになる、という考え方は、家のケアの土台にはなりません。すきまを埋めている脂質は、細胞のあいだで層になって並んでいるとされています。表面に何かを乗せることと、その並びを埋め直すことは、同じ作業ではありません。足す話を土台にすると、減らさない側の工夫が後ろへ回ってしまいます。

順番としては、減らさない側が先です。洗う回数を増やさない。1回で置いておく時間を短くする。こする力をひとつ弱くする。この3つは、その日から決められます。そのうえで、洗う日と洗う日のあいだに、水と洗浄成分を使わずに気になる場所へ手を届かせる形があると、洗う回数そのものを増やさずに済みます。

mofuwa スキンケアミストは、そのあいだの日に置いておける1本です。中身は高機能性電解酸化水という電解水だけで、精製水で薄めていません。犬も猫も、気になる場所をなめます。中身が水だけなので、口へ運ばれる場所にもそのまま置いておけます。地肌のほか、耳の内側や口のまわりのように、ほかのものを置きにくい場所にも届きます。

このスキンケアミストが何をするかについては、線を引いて書いておきます。水を置くことと、角質層の脂質が増えることは、別の話です。ここで書けるのは、洗う工程を足さずに気になる場所へ手が届く、というところまでです。皮膚の状態そのものについては、家で判断するものではありません。地肌の赤みや脱毛、なめ続ける場所が広がるといった変化が重なっているときは、ケアを組み替える前に、動物病院で診てもらう予定を先に入れてください。

家で角質層の状態を確かめられますか|角質層 大丈夫かどうかを見る場所

脂質の量そのものは、家では測れません。測れるふりをすると、その日の光や気分で結論が変わります。そのかわり、条件をそろえれば比べられるものが1つあります。洗ったあと、手ざわりが元に戻るまでにかかった日数です。

  1. 触る場所を1か所に決める

    背中の真ん中が、いちばん条件をそろえやすい場所です。脇や内股は形が複雑で、毎回同じようには触れません。決めたら、次からも同じ場所にします。

  2. 洗う前の日に、その場所を触っておく

    毛を分けて、指の腹で地肌を10秒。これがその子の基準になります。洗ったあとと比べる相手が、ここで決まります。

  3. 洗った翌日から、毎日同じ時刻に触る

    夜のほうが続きます。指がすべるか、引っかかるか。言葉にできなくてかまいません。違いが分かればそれで足ります。

  4. 基準に戻った日を数える

    2日で戻る子もいれば、4日かかる子もいます。その日数が、その子の今の戻る速さです。よその子の日数と比べる意味はありません。

  5. 3回ぶんたまってから見比べる

    1回では、多いのか少ないのかが分かりません。3回ぶん並べて、日数が伸びているかどうかだけを見ます。

この日数が、家で持てるいちばん確かな材料です。角質層の脂質が大丈夫かどうかを直接見ることはできませんが、戻る速さが先月より伸びているかどうかは分かります。季節の変わり目に伸びるのは、よくあることだとされています。伸びたまま2か月戻らないときは、洗い方の話だけでは説明がつかなくなっていきます。

この話から言えないことは何ですか|角質層 疑問はそのまま持っておく

言えないことを先に並べておくほうが、この話は使いやすくなります。角質層と脂質の仕組みが分かっても、その子の皮膚に何が起きているかは決められません。仕組みの話と、目の前の変化の理由は、つながっているようで別の階にあります。

この記事で言えること、言えないこと
問いこの記事から言えるか
すきまを埋めているものは何か言えます。細胞間脂質と呼ばれるものです
洗うと動くのはどちらか言えます。動くのはすきまの側です
うちの子の脂質が減っているか言えません。家では測れません
粉が出た理由はどれか言えません。理由は1つとは限りません
どの商品なら戻るか言えません。戻る速さは体の側の話です
何日で戻るのが正しいか言えません。その子の中でだけ比べられます

3行目から下は、調べても出てきません。出てきたとしたら、それは誰かの家の日数を、よその子にあてはめたものです。角質層の脂質という話がケアで役に立つのは、原因を言い当てるときではなく、毎日の手順のどこを弱くするかを決めるときです。疑問は、疑問のまま持っておいてかまいません。

そのうえで、持っている疑問は書き出しておくと役に立ちます。いつから、どの場所に、どんな変化が出たか。洗った日付と、使ったもの。戻るまでの日数。この4つがそろっていると、相談の場でそのまま材料になります。記録は、答えを出すためではなく、答えを持っている人へ渡すために取ります。

7つの問いを、1本の線に戻す|角質層 知りたいことの順番

ここまでを1本につなぎます。角質層は板が重なった層で、そのすきまを埋めているのが脂質。脂質は水を抱えていて、洗う工程で動くのはこの脂質のほうです。動くこと自体は毎日起きていて、問題になるのは戻る前にもう一度動かしたときだけ。だから家から動かせるのは、洗う回数と、置いておく時間と、こする力の3つになります。

この順番で並べておくと、次に粉を見つけた日に、商品の欄を読み比べる前にやることが決まります。前に洗った日から何日たっているか。そのあいだに、こすった日はあったか。角質層の脂質の話は、そこまで具体的になってはじめて、毎日の手つきに届きます。

今日できるのは、背中の真ん中を10秒だけ触って、指のすべり方を一行書いておくことです。それが、次に洗ったあとの日数を数えるときの基準になります。角質層も脂質も目には見えませんが、戻るまでの日数なら、その子の体が毎回教えてくれます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。