C12Q&A・豆知識

耳の中まで拭いていい?

公開日 2022年2月25日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色の布の上に落ち着いて伏せている淡い色の犬
耳の掃除の線は、指の長さではなく、その日に目で見えたところで決まります。写真:https://kaboompics.com//Pexels

耳のふちの内側に茶色いものが乗っているのを見つけて、拭こうとして、指がどこで止まればいいのか分からなくなりました。犬の耳の掃除でやっていいのは、のぞいて見える範囲だけです。見えないところには入れません。どこまで拭くかの線は、指の長さでも、持っているものの長さでもなく、目で決めます。指が届くことと、入れていいことは、別のことです。届く距離のほうが、見える距離よりいつも長いからです。そしてこの線は、その日ごとに引き直します。耳の中は、明るさと、顔の角度と、毛の乗り方で、見える範囲がかんたんに変わるからです。この記事では、犬の耳の掃除がどこまでなのかを、8つの問答に分けて書きます。答えのうち2つは「やらない」という答えです。猫の耳も、線の引き方は同じです。

犬の耳の掃除は、どこまでやっていいですか

のぞいて見える範囲までです。見えないところは、家では触りません。これが答えのすべてで、条件で割ると次の2つになります。見えている汚れは拭ける。見えていない汚れは拭かない。この線は、その子の耳の形にも、汚れの多さにも、飼い主の手の器用さにも左右されません。目で決めるからです。

理由を、物の側から書きます。見えないところを触ると、取れたのか、奥へ動いたのかが分かりません。手ごたえは、どちらでもほとんど同じです。何かに当たった感触も、通り過ぎた感触も、指先には似た形で返ってきます。犬の耳の掃除で困るのは、失敗したことに気づけない点にあります。見えている範囲なら、拭いたあとにもう一度見れば、取れたかどうかがその場で確かめられます。

もうひとつ、よくある思い違いを外しておきます。見えないところに汚れがない、という意味ではありません。見えないところにあるかどうかは、家では分かりません。分からないものを、分からない道具の当たり方で触ることになるので、やらない。「やらない」は、あきらめではなく、確認できない作業を手放すという判断です。どこまでやるかを決めるとき、この線がいちばん外側にあります。

犬の耳の掃除は毎日の話に見えて、実際には確認の話です。掃除そのものよりも、拭いたあとに同じ場所をもう一度見る、という手順のほうが効きます。拭く→見る、が1セットです。見て終われない範囲は、この1セットが成立しないので、最初から入りません。

「見える範囲」とは、耳のどこまでを指しますか

ここを決めておかないと、答えが使えません。見える範囲とは、明るい場所で、耳を無理に起こさず、その子が自然にしている姿勢のまま、正面から目に入るところまでです。3つの条件がそろっているときの見え方だけを数えます。どれか1つでも外すと、範囲が広がってしまいます。

「見える範囲」に数えるものと、数えないもの
何が見えているか掃除の対象か
数える耳のふちの内側対象になる
数える入口のまわりの、浅いくぼみ対象になる
数える耳を持ち上げずに目に入る面対象になる
数えない耳を引っぱって、はじめて見えた位置対象にしない
数えない強い光を当てて、はじめて見えた位置対象にしない
数えないのぞいて先が見えなくなった、その向こう対象にしない
数えない指を入れて、感触だけで分かった場所対象にしない

表の下半分が、この記事でいちばん書きたいところです。引っぱって見えた範囲は、見える範囲に入れません。耳を強く起こせば、ふだんは見えない位置まで見えます。けれど、それは「見えた」のであって「見えている」ではありません。手を離せば元に戻り、拭いたあとの確認は、また引っぱらないとできなくなります。確認のたびに条件を作り直さないと見えない場所は、家の掃除の範囲ではありません。

光についても同じです。強い光を当てると、どこまでも見えるように感じます。ただ、光で見えるようになった位置と、手が安全に届く位置は別のものです。見えることは、触っていいことの理由になりません。見えるかどうかは線を引くための条件であって、線そのものではない、と考えてください。線は「見えている」と「手が届く」の両方が同時に成立しているところにだけ引けます。

犬の耳をのぞくと、途中から先が見えなくなります。その、見えなくなったところが終点です。そこから先に何があるかを、家で確かめる必要はありません。どこまでかと迷ったときは、いつでもこの一点に戻れます。迷った時点で、たいてい線の外に出かかっています。

指が届くのに、どうしてそこで止めるのですか

届く距離と、見える距離が、はじめから違うからです。指は、目で追える位置よりずっと先まで入ります。犬の耳の掃除で線を引くとき、手の側の条件を採用すると、線は自動的に外側へ動きます。目の側の条件を採用すると、線は毎回同じ場所に戻ってきます。どちらを基準にするかだけの違いですが、結果はまったく変わります。

手の側の条件と、目の側の条件を並べる
手の側(届く)目の側(見える)
線の位置その日の力の入れ方で動くその日の見え方で決まる
確認入ったあとの位置が分からない拭いたあとにもう一度見られる
やり直し同じ位置に戻せない同じ位置に戻せる
人が変わったとき手の大きさで変わる変わらない
失敗の分かり方あとから分かることがあるその場で分かる

もうひとつ、動きの向きの問題があります。入れたものには、押す方向に力が入ります。引き出す動きは、外に出てからでないと効きません。だから、奥のものを取ろうとする動作は、取る側より動かす側に働きやすくなります。犬の耳の掃除でどこまでという線を、届く距離で引いてはいけないのは、この向きの偏りがあるためです。

「嫌がらないから大丈夫」という判断も、ここでは使えません。嫌がらないことは、届いていないことの証明にも、痛くないことの証明にもなりません。その子が我慢しているだけのこともありますし、そもそも感じ方は人と同じではありません。反応を線の材料にすると、おとなしい子ほど深く入る、という逆の結果になります。線は、その子の性格で動かない場所に引いてください。

Note「掃除できる範囲が狭い」と感じたら、それで合っています

目の側で線を引くと、掃除の範囲はかなり狭くなります。耳のふちの内側と、入口のまわりだけ。物足りなく感じますが、家でできることの範囲がそこまでだという意味であって、ケアが足りていないという意味ではありません。範囲を広げたくなったときは、広げるのではなく、動物病院で見てもらう側に回してください。

見える範囲は、日によって変わるのですか

変わります。だから線は、毎回引き直します。先週ここまで見えたから今日もここまで、という決め方はしません。犬の耳の掃除で、どこまでを対象にするかは、その日の見え方の結果として毎回決まります。固定された「うちの範囲」というものはありません。

見える範囲を動かしている条件
条件見える範囲がどう動くかそのときにどうするか
部屋の明るさ暗いと狭くなる明るい場所へ移ってから見る
顔の角度うつむくと狭くなる顔が上がる姿勢のときに見る
耳のまわりの毛毛が乗ると隠れる毛が乗ったままの状態で線を引く
その子の姿勢動くと定まらない落ち着くまで待つ。待てない日はやらない
季節による毛の量毛が増えると狭くなる狭くなったぶん、範囲も狭くする
前回の掃除からの日数変わらない日数では線を動かさない

表のいちばん下だけ、書き方が違います。前回からの日数は、見える範囲を1ミリも動かしません。3日空いたから今日は深めに、ということはしないでください。日数で線を動かし始めると、線が目の側から離れて、気持ちの側に移ります。ここが、犬の耳の掃除でいちばん崩れやすい場所です。

毛が乗って見えない日は、その日は範囲が狭い、と受け取ってください。毛をかき分けて奥まで見えるようにしてから拭く、という順番は取りません。かき分けた状態は、引っぱって見た状態と同じで、手を離すと元に戻ります。見えている面だけを拭いて終わりにするほうが、結果としてやり直しがききます。

「今日はやらない」という日があってかまいません。落ち着かない日、暗い時間しか手が空かない日、毛が乗って何も見えない日。この3つのどれかに当たったら、耳の掃除は次の日に回します。毎日やることに意味があるのではなく、見て確認できたことに意味があります。やらなかった日は、失敗ではなく、線を守れた日です。

奥のほうに何かが見えたときは、どうすればいいですか

家では取りません。見えたという事実を記録して、動物病院にご相談ください。これがもう1つの「やらない」という答えです。奥に何かがあると分かった時点で、その状況は掃除の範囲から出ています。どこまで自分でやるかという問いは、ここではもう成立していません。

取ろうとしないほうがいい理由は、これまでと同じです。見えている位置と、手が届いたときの位置がずれます。そして、ずれたことが分かりません。取れれば結果は分かりますが、取れなかったときに何が起きたかは残りません。犬の耳の掃除で、家と病院の境目がここにあるのは、確認できるかどうかの線がここで切れるからです。

  1. 触らずに、まず見た内容をそのまま書く

    色、量、片側だけか両側か。「茶色いものが右だけに乗っている」くらいの粗さで足ります。言葉にしておくと、次に見たときに増えたかどうかが比べられます。

  2. いつからかを書く

    はっきりしなければ「先週は気づかなかった」でかまいません。日付があると、その場で切り分けられる材料が1つ増えます。

  3. その子の動作の回数を数える

    頭を振る、後ろ足でかく、顔を傾ける。1日に何回あったかを、2〜3日ぶん数えます。掃除の話ではなく、変化の話として持っていける記録になります。

  4. におい、赤み、触られたがらない様子があれば、そこで受診に切り替える

    回数を数えるより先に相談してください。数えるのは、急がなくてよさそうなときのための手順です。

Caution耳の変化は、動物病院にご相談ください

耳からにおいがする、耳の中や入口が赤い、汚れが片側だけ急に増えた、頭を振る回数が増えた、耳を触られるのを嫌がるようになった、顔を片側に傾けている。こうした変化があるときは、家での掃除を増やす前に動物病院にご相談ください。耳の中で起きていることは、外から見える範囲だけでは判断がつきません。受診のときは、いつから、どちら側か、その子の動作が1日に何回かをメモして持っていくと、話が早く進みます。相談の前に、汚れをきれいに拭き取ってしまわないほうがよいこともあります。気づいた状態のまま連れていって差し支えありません。

耳の掃除は、どのくらいの回数でやるものですか

回数を決める前に、見る回数を決めてください。掃除の回数は、目標ではなく結果です。毎日見て、拭くのは見えたときだけ。そうすると、掃除の回数はその子と季節で勝手に決まります。週に何回と先に決めてしまうと、何も乗っていない日にも拭くことになります。

見る回数と、掃除の回数を分ける
決め方何が起きるか
見る回数毎日1回、と先に決める変化に気づくのが早くなる
掃除の回数見えたときだけ、と決める触る回数が必要なぶんに収まる
週に何回と決める先に数を決める乗っていない日にも触ることになる
気になったときだけ見る決めない気づくのが遅れ、比べる材料も残らない

何も乗っていない日に拭かないほうがよいのは、拭くという動作が、汚れを減らす以外のことも同時にしているからです。触れば、その子は耳を触られる時間が増えます。触られるのが嫌になると、見ることまでできなくなります。見る側を残しておくほうが、長い目では耳の掃除がしやすくなります。

見る回数は、ケアの流れの中に埋め込むと続きます。散歩から帰ってきて足を拭くとき、ブラシを持ったとき、寝る前に体をなでるとき。そのうちのどれか1つに、耳を1秒だけ見る動作をつけ足します。犬でも猫でも同じで、単独の予定にすると続きません。見るのは1秒、拭くのは見えた日だけ。これが、家で回る形です。

どこまで拭いたかを覚えておく必要もありません。毎回、その日に見えたところまで。前回より狭くても広くても、それが今日の答えです。犬の耳の掃除を毎日の課題にすると重くなりますが、毎日の観察にすると軽くなります。

毎日のケアで、耳のまわりはどこまで触れますか

耳の中ではなく、外側の話です。耳の外側の面、耳のうしろ、耳のつけ根。ここは耳の中ではないので、線の外にあります。ふだんのケアで手が入れられるのはこちら側で、しかもここは汚れも湿気も残りやすい場所です。犬の耳の掃除をどこまでにするか悩む前に、まず外側が手つかずになっていないかを見てください。

耳のつけ根が乾いたかどうかは、その子には分かりません。湿ったままでも動きは変わらないので、乾いたかを確かめられるのは、触った人の側だけです。犬の耳の掃除をどこまでにするかを決めたあと、外側とうしろに残る作業は、この確認のほうになります。mofuwa スキンケアミストは、アルコール・香料・オイル・着色料を含む8つを入れていない設計で、中身は電解水100%です。拭いた面に何も乗らないので、当てたあとにもう一度見たときに、いま取れたのか、はじめからそうだったのかが分かれます。この記事がs1から書いてきた「拭く→見る」を、使うものの側でも切らさないための条件です。ガーゼへ吹いてから、耳の外側の面、うしろ、つけ根の順に一往復。耳の中へ向けて噴いたり、含ませた布を入口より先へ入れたりはしません。手が触れるのは、耳を持ち上げなくても目に入る面までです。

洗った日に気をつけるのは、耳のつけ根の乾き方です。ここは体の中でも空気が入りにくく、あとまわしにすると最後まで濡れています。耳の中に何かを入れる必要はありませんが、外側とつけ根が乾いているかどうかは、手で触って確かめられます。毎日のケアでできることのうち、いちばん効くのはここです。

順番としては、外側を拭く→耳を持ち上げずに内側を見る→見えていれば拭く→もう一度見るです。持ち上げるのは、外側を拭くときだけにします。見るときに持ち上げると、s2で書いたとおり、見える範囲が広がってしまいます。同じ動作の中で、目的によって手の使い方を変える、というのがこの順番の意味です。

どこまでが家の掃除か|8つの答えの通しの整理

最後に、ここまでの答えを1つの表にまとめます。犬の耳の掃除をどこまでやるかという問いは、範囲の問いに見えて、確認できるかどうかの問いです。確認できる側が家、できない側が動物病院。線はそこで切れています。

家でやること、家でやらないこと
場面家でやることそこから先
見えている汚れがある見えている面だけ拭いて、もう一度見る取れなければ、それ以上追わない
先が見えなくなっているそこで手を止める気になるなら受診で見てもらう
引っぱると見える位置に汚れ掃除の対象にしない受診のときに伝える
奥に何かが見えた触らずに記録する動物病院にご相談ください
においがする、赤みがある掃除を増やさない動物病院にご相談ください
何も乗っていない見るだけで終える拭かない
毛が乗って見えないその日はやらない見える日に回す

こうして並べると、「やらない」という行がかなりの数を占めます。手を抜いているように見えますが、やらないと決めた場所は、代わりに見る場所として残っています。どこまでやるかを狭くするほど、見る回数は増やせます。犬の耳の掃除で家がいちばん貢献できるのは、拭く作業のほうではなく、変化に早く気づく側です。

猫の耳も、線の引き方は同じです。見える範囲だけ、引っぱらない、届く距離では決めない。触られる時間の許容がさらに短いので、見る1秒だけを毎日に埋め込む形が現実的です。犬と猫で違うのは、どこまで我慢してくれるかであって、線の位置ではありません。

Point迷ったときに戻る一文

「今、手を離しても同じ場所が見えているか」。この一文だけ覚えておいてください。持ち上げている手を離しても見えているなら、そこは見える範囲です。手を離した瞬間に見えなくなるなら、そこは範囲の外です。犬の耳の掃除をどこまでにするかは、この1回の確認で決まります。判断に迷う時間がいちばん短くて済む決め方です。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。