C09シーン別・暮らし
水が苦手な猫と暮らす人のための動物病院に行く日|5分で終わらせるケア
動物病院から帰ってキャリーの扉を開けた20分後、猫は部屋のすみで前脚から順に体をなめ始めます。いつもの毛づくろいに見えますが、この日だけは中身が違います。待合と診察台で、ほかの子が体をつけたのと同じ場所に、その子も体をつけてきたからです。連れて帰ったにおいを、猫は自分で落とそうとしています。ただ、毛づくろいは口に入れる作業でもあります。水が嫌いな猫と暮らしていると、洗って落とすという手は最初から選べません。だからこの日は、猫がなめ始める前に、人が先に、水を使わずに落とします。ペットの側の作業を、先に引き受けてしまう、という順番です。かかる時間は5分です。
扉を開けて20分後に始まる毛づくろい|水が嫌いな猫と動物病院へ行った日の経験
帰宅してすぐの猫は、たいてい出てきません。ペットキャリーの扉を開けても、しばらくは中にいます。やがて出てきて、家具の裏や寝床のいちばん奥へ入り、そこでようやく体の力を抜きます。前脚をなめ始めるのは、そのあと。おおむね20分から30分たったころです。この20分が、人の手が使える時間になります。
毛づくろいは、汚れを落とす作業であると同時に、においを自分のものへ戻す作業でもあります。動物病院から帰った猫が長くなめるのは、体についたにおいが自分のものではないからです。その子にとっては、元に戻すための作業です。止める理由はありません。ただ、なめて落としたものは、そのまま口に入っていきます。
この日はふだんより長く、同じ場所をくり返しなめます。飲み込む毛の量も、その日は増えます。これ自体をどうこう言う話ではありません。そうではなく、なめる量そのものが少なくて済むようにできないか、という話です。落とすものが最初から少なければ、猫の側の作業も短くなります。
ここで、洗うという手が使えません。水が嫌いな猫は、濡れた布を体に当てられるだけで逃げます。動物病院で緊張して帰ってきた日に、いちばん嫌いなことを重ねるのは無理があります。水が嫌いな猫と暮らす人にとって、この日の選択肢は最初から1つ減っています。残っているのは、水を使わずに、猫より先に手をつけることだけです。
| 帰宅からの時間 | ペットの様子 | 人ができること |
|---|---|---|
| 0〜5分 | キャリーの中から出てこない | 扉を開けたまま、猫に触らない |
| 5〜15分 | 奥へ入って、じっとしている | キャリーの側を先に済ませる |
| 15〜20分 | 出てきて、においをかいで回る | 背中から順に、水を使わず落とす |
| 20〜30分 | 毛づくろいを始める | 手と服を済ませて、あとは見ているだけ |
| 30分以降 | 毛づくろいが続く/落ち着く | 食事と水の減り方を見ておく |
待合と診察台で、猫の体のどこにほかの子のにおいがつくのか|連れて帰る理由
動物病院で、その子の体が実際に何かに触れている時間は、思っているより長くありません。それでも、においを連れて帰ります。理由は、触れる場所が決まっているからです。ついているのは、上から見えるところではなく、体の下側です。だから帰宅後にざっと背中をなでても、手ごたえがありません。
1つめはペットキャリーの底です。ここが、その日いちばん長く体に触れている面になります。移動のあいだも、待合のあいだも、猫は同じ姿勢のまま底に体をつけています。脇腹の下、ひじ、しっぽのつけ根。キャリーの底は、前に病院へ行った日の分もそのまま残っていることがあります。
2つめは診察台です。台の上に置かれると、猫はお腹の下と脇を台につけます。台は消毒されていますが、直前まで別の子がいた場所であることに変わりはありません。3つめは人の手です。首の後ろ、肩、あごの下。保定のために触れる場所は、猫が自分では届きにくい場所と重なっています。だからこそ、なめても落としきれず、長く気にすることになります。
| 触れた場所 | 体のどこにつくか | 猫がなめる順番 |
|---|---|---|
| ペットキャリーの底 | 脇腹の下、ひじ、しっぽのつけ根 | 2番目。時間をかけてなめる |
| 診察台 | お腹の下、脇 | 3番目。体をひねって届かせる |
| 人の手 | 首の後ろ、肩、あごの下 | 自分では届かない。前脚でこする |
| 待合の床 | 足の裏、指のあいだ | 1番目。帰ってすぐ前脚から始まる |
猫が帰宅後に前脚からなめ始めるのは、偶然ではありません。足の裏は、待合の床に直接ついていた場所です。キャリーから出るときにも、まず前脚が床に着きます。においの順番と、なめる順番が合っています。人が手をつける順番も、ここに合わせれば無駄がありません。
猫は、場所と相手をにおいで見分けています。自分のにおいがついていない体でいることは、その子にとって落ち着かない状態です。だから毛づくろいは、汚れを落としているというより、自分のにおいを上書きしている作業に近い。人が先に落としておくと、上書きする面積が減るので、猫の側の作業も早く終わります。においを消してあげる、という向きではなく、その子が戻す手間を減らす、という向きで考えてください。
なめ始める前に、人が先に落とす|水が嫌いな猫と動物病院に行く日のペットケアの考え方
使える時間は、帰宅から20分です。この20分を、ペットキャリーに2分、猫の体に2分、人の手と服に1分で分けます。合計5分。残りの15分は、猫が自分で落ち着くための時間なので、人は何もしません。ペットの側に手を出さない時間を、先に確保しておきます。順番には理由があります。
帰宅直後の猫には触れません。だからキャリーが先です。キャリーを拭き終わるころに、ちょうど猫が奥から出てきます。先に体へ手を伸ばして逃げられると、その日はもう触れなくなります。触れる順番を人の都合で決めず、猫が出てくる時間に合わせると、5分がそのまま入ります。
-
ペットキャリーの底を、2分で拭く
猫を出したら、キャリーはそのまま玄関に置かず、底に敷いていた布を外します。次の通院までここに残しておくと、また同じ場所に体をつけることになります。底の面と、猫の脇腹が当たる側面を拭いて、乾かせる場所へ置いてください。水が嫌いな猫は、湿ったキャリーにも入りたがりません。乾かしてから戻します。
-
猫が出てきたら、背中から2分
見えているところから始めます。背中、肩、首の後ろ。いきなり脇腹の下やお腹に手を入れない。水が嫌いな猫は、体の下側に手が回ってくることを警戒します。上から順に手が動いていれば、逃げる理由が増えません。毛の流れに沿って、往復させずに一方向へ。
-
落ち着いていたら、脇腹の下としっぽのつけ根
キャリーの底に当たっていた場所です。ここが本命ですが、その日にできなければ、次の日に回して構いません。横になっている状態で、上側になっているほうだけ。反対側は、体の向きが変わったときに手を当てれば足ります。1回で全部を済ませようとしないでください。
-
人の手と、着ていた服を1分
忘れやすいところです。猫を抱えていた腕、キャリーを持っていた手、服の前面。ここを済ませないと、そのあと猫に触るたびに戻します。猫が毛づくろいを始めてしまってからでも、これだけは間に合います。人の側は水で洗えるので、いちばん手間がかかりません。
この日、布に含ませるものには条件がひとつ増えます。人が拭いた面は、20分後にその子の舌が通る面だからです。猫は毛づくろいで落としたものを飲み込みます。人が先に手をつけるという順番にした以上、含ませたものも同じ道を通ることになります。mofuwa スキンケアミストは、電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。首の後ろ、肩、あごの下は、保定で人の手が触れた場所であると同時に、その子が自分の舌では届かない場所です。ここは人が代わります。猫の体には直接吹きかけずに、必ず布へ含ませてから当ててください。水が嫌いな猫は、霧が当たる感触と音の両方を嫌がります。布に含ませて、人の手の温度が伝わる状態にしてから当てると、逃げにくくなります。含ませる量は、布が湿ったとは感じない程度で足ります。
- やらないこと1:全身を1回で済ませようとする/その日に触れた面だけで足ります
- やらないこと2:濡れた布をそのまま当てる/水が嫌いな猫は、湿り気そのものを警戒します
- やらないこと3:毛づくろいを止めさせる/止めるのではなく、落とす量を先に減らします
- やらないこと4:帰宅直後に体へ手を伸ばす/最初の15分は、猫の時間です
- やらないこと5:キャリーを閉じたまま片づける/閉じた中では、においが残ったままになります
しっぽを打ちつける、耳が後ろへ倒れる、体を低くする。このどれかが出たら、その日はそこで終わりです。水が嫌いな猫にとって、通院はそれだけで負担のかかる一日です。ここで無理に続けると、次の動物病院の日にキャリーへ入らなくなります。5分は目安であって、達成する目標ではありません。2分で終わった日も、それで足りています。
3回目の通院で短くなるもの|水を使わない5分を続けたあとの変化
この5分を続けると、何が変わるのか。猫がなめ始めるまでの時間ではなく、なめ続ける時間のほうが短くなります。落とすものが最初から少なければ、上書きにかかる作業も短く済むからです。1回目と3回目を比べると、差がはっきり出ます。
記録するのは3つだけです。キャリーから出てくるまでの分数、毛づくろいが続いた分数、その日の食事の減り方。スマートフォンのメモに1行あれば足ります。ペットの通院はこのあとも続きます。通院が続く時期なら、3回ぶんたまるとその子の平均が見えます。次に病院へ行く日の予定も、この分数から立てられるようになります。
| 1回目 | 3回目 | |
|---|---|---|
| 出てくるまで | 20〜30分 | 10〜15分 |
| 毛づくろいが続く時間 | 長く、同じ場所をくり返す | 短くなり、場所も散る |
| その日の食事 | 夜まで減らない日がある | いつもの時間に戻りやすい |
| キャリーへの入り方 | 翌月、入りたがらない | 扉の前まで自分で来る日が出る |
帰宅した日から食べない、水を飲まない、隠れたまま翌日も出てこない、同じ場所をなめ続けて毛が薄くなっている、ぐったりしている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアを続ける前に、その日に行った動物病院へ電話で相談してください。診察のあとに気になったことを聞くのは、遠慮のいることではありません。ペットの側で起きていることは、家で見ている人がいちばん早く気づけます。
もうひとつ、キャリーそのものへの印象も変わります。湿ったまま、においが残ったままのペットキャリーは、その子にとって動物病院と同じ意味を持ちます。帰宅した日に底を拭いて乾かしておくと、次の通院で入るまでの時間が短くなることがあります。水が嫌いな猫は、湿った布に入りたがりません。乾かして戻す、というだけの手ですが、次の1回に効いてきます。
水が嫌いな猫と暮らしていると、できないことのほうが先に目につきます。洗えない、濡らせない、拭くのも嫌がる。けれど動物病院に行く日にかぎって言えば、洗えないことは大きな問題になりません。連れて帰ったにおいは、その子の体の下側と足の裏に集まっていて、範囲が決まっているからです。範囲が決まっているものは、水を使わなくても落とせます。動く順番は、キャリーから、猫へ、そして人へ。5分でその日は終わります。
この5分は、通院のない月にも置いておけます。キャリーを出す日だけの手順にしないでください。月に一度、底の布を外して拭き、猫の背中と首の後ろに、通院の日と同じ順番で手を当てる。その日にやることが、においを落とすことから、体のどこまで触られて平気かを測ることに変わります。この測りかたを続けていくと、次に予約を取った日には、当日はじめて触る場所がなくなります。5分の中身は同じで、変わるのは、その5分が通院の日にだけ現れるものではなくなることです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
