C09シーン別・暮らし
ドッグランを楽にする、多頭飼いの人の毎日の習慣
ドッグランから帰った日の玄関で、黒い毛の子の首すじに、白い毛が3本ついていました。その白は、同じ車で帰ってきたもう1頭のものです。多頭飼いの家では、こういうことが毎回起きます。土や草は脚と腹に付き、それは玄関で落とせます。けれど互いの毛と唾液は、首・耳のうしろ・肩・尾のつけ根という、外の地面が届かない場所に乗って帰ってきます。ドッグランで多頭が固まって遊ぶのは、その子たちにとってはごく自然なことです。そのぶん、持ち帰ってくるものは外のものだけで終わりません。この記事は、多頭飼いの家がドッグランから帰ったあと、体についたものを互いに移し合っていく話です。
3頭を並べると、においが1頭ぶんに見える|ドッグランから帰った多頭飼いの家の背景
ドッグランから帰って、玄関で順に体を確かめていくと、多頭飼いの家では奇妙なことに気づきます。3頭とも、首から肩にかけてのにおいが同じなのです。ふだんは1頭ずつ違います。寝ている場所も、食器も、毛の量も違うので、同じ家にいてもにおいは分かれています。それがドッグランへ行った日だけ、首まわりのにおいが1頭ぶんに寄ります。
見た目にも出ます。黒い毛の子の背中に白い毛が乗り、白い毛の子の耳のうしろだけが湿って毛が寝ている。湿っているのは水ではなく、もう1頭の唾液です。多頭飼いでドッグランに行くと、その子たちは知らない犬の群れの中で、まず互いのところへ戻ります。同じ家から来たにおいが、その場でいちばん安心できる目印だからです。だから固まります。固まって、体をこすりつけ合い、口を近づけ合います。
| 体の場所 | 乗っているもの | 出どころ |
|---|---|---|
| 前脚・後ろ脚のうら | 土、草の切れはし | 地面 |
| おなか・胸元 | 土ぼこり、乾いた草 | 地面と、伏せていた時間 |
| 首すじ・のどの下 | もう1頭の唾液と毛 | 互いに口が届く場所 |
| 耳のうしろ | 唾液、湿り | 遊びのなかでいちばん咬み合う場所 |
| 肩・背中の前半分 | 抜け毛、体をこすった跡 | 並んで走ったとき |
| 尾のつけ根 | 唾液、抜け毛 | あとから追いかけたほうの口が届く |
表を上から下へ見ていくと、途中で出どころが入れ替わります。上の3行は地面から、下の3行は互いの体からです。多頭飼いでない家なら、この表は上の3行だけで終わります。玄関で脚と腹を落とせば、その日のドッグランは終わりです。多頭飼いの家では、そこから下がまだ残っています。そして残った側は、家に帰ってから動きはじめます。
帰宅後、その子たちは同じ部屋で休みます。同じソファ、同じマット、同じ寝床の並び。ドッグランでついた唾液と毛は、家に入ってからもう一度、互いのあいだを行き来します。1頭が寝ている場所に別の子が寝る。1頭がなめた場所を、別の子がなめる。多頭飼いの家では、外で起きたことが室内でもう1周します。においが1頭ぶんに寄って見えるのは、この2周目まで進んだあとです。
外の土より先に移っているのは、互いの毛と唾液|ドッグランで多頭が固まって遊ぶ理由
なぜ同じ家の子どうしで固まるのか。多頭飼いの飼い主なら見たことがあると思いますが、ドッグランに着いて放した直後、その子たちはいったん散って、数分でまた集まります。知らない犬が多い場所ほど、これがはっきり出ます。知っているにおいのところへ戻る、というだけの行動ですが、結果として、遊ぶ相手が同じ家の子に固定されます。多頭飼いでドッグランへ行くと、いちばん長く体が触れているのは他所の犬ではなく、うちの子どうしです。
遊び方にも決まった形があります。追いかける、止まる、向き合う、口を近づける。向き合ったとき、互いの口がいちばん届きやすいのは首すじと耳のうしろです。追いかけているときは、前を走る子の尾のつけ根に後ろの子の口が来ます。並んで走れば肩がこすれます。つまり、体のどこに何が乗るかは、遊びの形で決まっています。ドッグランでの1時間は、この形が何十回もくり返された時間です。
唾液が乗った場所は、乾くのに時間がかかります。毛が寝て、束になって、そこだけ手ざわりが変わる。湿った状態が半日続くと、その場所のにおいは残ります。多頭飼いの家で「ドッグランの翌日になってから、家の中がにおう」と感じるのは、たいてい首と耳のうしろです。脚は玄関で落としているので、脚ではありません。においの出どころは、いちばん拭かれていない場所にあります。
もうひとつ、多頭飼いの家に特有の事情があります。1頭あたりにかけられる時間が、頭数で割られることです。3頭いれば、1頭に使えるのは1頭飼いの3分の1になります。だから多くの家では、玄関でいちばん目に見える場所、つまり脚を優先します。判断としては正しいのですが、その結果、互いから受け取ったものだけが毎回残ります。残ったものは室内で移し合うので、次のドッグランの日には、前回のぶんが少し積み上がった状態から始まります。
固まって遊ぶのは、その子たちにとっては安心できる形です。止めさせる話ではありません。ドッグランで他の犬と遊ばせたいなら、放してすぐの数分ではなく、20分ほどたって落ち着いてからのほうが、自分から離れていきます。多頭飼いでこの記事が言いたいのは、遊び方を変えることではなく、帰ってからの手の入れ方を変えることのほうです。
頭ごとに拭くのをやめて、接していた面から拭く|多頭飼いのドッグランの考え方
多頭飼いの家の帰宅後は、たいてい1頭ずつ順番に進みます。1頭目を全身、2頭目を全身、3頭目を全身。この順番だと、1頭目を終えるころには2頭目と3頭目が室内でくっついています。拭き終わった子に、拭いていない子が体を寄せる。せっかく落とした場所へ、また戻ります。頭数が増えるほど、この戻りは大きくなります。順番の単位を、頭から面へ変えてください。
面で回すとは、全頭の首すじを先に、次に全頭の耳のうしろを、そのあとに全頭の脚を、という進め方です。互いに移し合っている場所を全頭同時に片づけてしまえば、そのあとにくっついても戻りません。3頭いても、首すじだけなら1頭30秒で終わります。多頭飼いでドッグランに行った日の帰宅後は、この順番だけで玄関の時間が半分近くになります。
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全頭の首すじとのどの下から始める
ここが互いの口がいちばん届いた場所です。毛が束になって寝ている場所を探し、そこだけを毛の流れに沿って一方向に。3頭続けてやります。1頭終わるごとに布の面を折り替えてください。同じ面を使い回すと、それこそが移し合いの道具になります。
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次に、全頭の耳のうしろ
耳のうしろは、唾液が乾ききらずに残りやすい場所です。指の腹を当てて、湿っている面があるかを先に確かめてください。湿っていなければ触りません。多頭飼いで手数を節約する場所は、ここです。全頭湿っている日と、1頭だけの日があります。
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尾のつけ根と肩を、まとめて1周
追いかけっこの跡が残る場所です。抜け毛が乗っているだけなら、拭かずに払うだけで足ります。ドッグランの日に多頭飼いの家で増えるのは、この抜け毛の移し合いです。払ったものは玄関で受けて、室内に持ち込まないでください。
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最後に、全頭の脚と腹
地面から乗ったものは、いちばん最後で構いません。ここは互いに移し合わない場所だからです。先にやると、拭いた脚で室内に上がり、そのあと首を拭くために床に伏せさせることになります。順番が逆だと、手が1周ぶん増えます。
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布は、頭ごとではなく面ごとに分ける
1枚を4面に折り、1つの工程で1面。同じ面で2頭に触れない。これだけで、こちらの手が移し合いに加わるのを止められます。布はぬるま湯で湿らせて固く絞っておくと、乾いた布でこするより毛の流れが戻ります。
| 頭ごとに1頭ずつ | 面ごとに全頭 | |
|---|---|---|
| 最初に片づく場所 | 1頭目の全身 | 全頭の首すじ |
| 移し合いが起きるか | 拭き終わった子に戻る | 起きにくい |
| 3頭でかかる時間 | 1頭5分×3で15分 | 工程4つで8分前後 |
| 布の分け方 | 頭ごとに1枚 | 工程ごとに1面 |
| 忙しい日に削る場所 | 3頭目が丸ごと残る | 脚の工程だけ翌朝に回せる |
この考え方には、多頭飼いならではの利点がもう一つあります。途中でやめても、全頭が同じ状態で止まることです。頭ごとに回していると、時間切れのときに3頭目だけが手つかずで残ります。その1頭が、翌日には他の2頭に移します。面ごとに回していれば、脚の工程を明日に回しても、全頭が同じところまで進んでいます。多頭飼いの家で毎日の習慣が続くかどうかは、この「途中で止めても崩れないか」で決まります。
面で回しても、拭くだけでは戻ってくる週があります。首すじ、耳のうしろ、尾のつけ根は、同居している相手の口だけが届いて、その子自身の舌は届かない場所です。自分では手入れできない面が、いちばん濃く受け取っている。ここは洗う日の側で片づけます。
mofuwa モイストシャンプーに香りが入っていないのは、ペットは自分のにおいを好み、余分なにおいのほうがストレスになる、という考え方でつくられているからです。全頭を同じ日に洗う家では、ここが条件になります。香りのついたもので3頭を通すと、その日から3頭が同じにおいになって、どの面から戻ってきているのかが読めなくなるからです。中身のほうも、洗浄成分はアミノ酸系のものに絞って量を落とし、そこで減る泡立ちを原料の水にした電解水が埋めているので、洗い上がりのあとにトリートメントの工程が続きません。
多頭飼いの家では、工程が1つ減ることが1頭ぶんではなく頭数ぶん効きます。3頭なら3回ぶん、浴室にいる時間が短くなります。そのうえで、洗う日は1頭だけにしないでください。1頭だけ洗っても、その日の夜には残りの2頭の首すじから戻ります。面ごとに拭くのと同じ考え方で、洗うほうも全頭を同じ日に置きます。泡は、記録で湿りやすいと分かった面から順に置いてください。
犬と猫が同じ家にいる多頭飼いでは、ドッグランから帰った犬に触れた手で、そのまま猫に触れないでください。猫は自分で毛づくろいをするので、毛についたものは最後に口へ入ります。犬の工程を全部終えて、手を洗ってから猫に触る。猫の側は、ドッグランへ行っていないので何もしなくて構いません。やることを足すのではなく、順番を最後に置くだけで足ります。
移し合いが止まる場所|多頭飼いのドッグランの経験は、頭数ではなく面の数で増える
多頭飼いを続けていると、ドッグランに行った回数が増えるほど手際がよくなる、という言い方をよくします。実際に増えているのは回数の経験ではありません。その家の子たちが、どこを互いに触っているかを見分けられるようになった、という経験です。3頭いても、毎回同じ2か所しか湿っていない家があります。逆に、季節によって尾のつけ根だけが変わる家もあります。頭数ではなく、面の数を覚えていく作業です。
覚え方は簡単で、帰宅後に指の腹を当てて、湿っていた場所を1行書くだけです。3回ぶんそろうと、その家の「いつも湿る面」が2つか3つに絞れます。そこから先、玄関でやることはその2〜3か所だけになります。脚と腹は乾かして払う日に回してよくなる。多頭飼いの帰宅後が短くなるのは、手が速くなったからではなく、触る場所が減ったからです。
| 記録すること | 見えてくること |
|---|---|
| どの子の、どこが湿っていたか | いつも同じ組み合わせで遊んでいる2頭が分かる |
| 湿りが乾くまでの時間 | 半日を超える場所だけを、翌朝もう一度見ればよくなる |
| 抜け毛が乗っていた場所 | 換毛の時期に、払う工程を足す場所 |
| においが残った場所 | 翌日の室内のにおいの出どころ |
| 何も乗っていなかった場所 | 毎回触らなくてよい場所 |
室内の側でできることも1つあります。ドッグランへ行った日だけ、寝床の並びを変えることです。いつも隣り合って寝ている2頭を、その日だけ離す。距離を1メートル空けるだけで、2周目の移し合いはかなり止まります。多頭飼いの家では、犬どうしを引き離すことに抵抗があると思いますが、これは1晩だけの話です。翌朝、湿りが乾いていれば元に戻して構いません。
ここまで、ドッグランから帰った多頭飼いの家で起きていることを追ってきました。外から持ち帰るものは玄関で止まりますが、互いから受け取ったものは玄関では止まりません。首、耳のうしろ、肩、尾のつけ根。口が届く場所は、地面が届かない場所です。だから脚をどれだけ丁寧に拭いても、そこは片づきません。頭ごとに回すのをやめて、接していた面から回す。それだけで、多頭飼いのドッグランの日は毎日の習慣の中に収まります。
湿っていた場所の皮膚が赤い、毛が抜けて地肌が見えている、翌日になってもにおいが強く残る、同じ場所を何日もなめ続けている、耳を振る回数が増えた、触ると痛がる、いつもより早く疲れる。これらのどれかが出ているときは、ドッグランで受け取ったものの話ではないことがあります。動物病院にご相談ください。多頭飼いの家では、1頭の変化が全頭の中に紛れて見えにくくなります。1頭だけを別に見る時間を、迷ったら早めに取ってください。
相談に行くときは、記録の1行をそのまま持っていってください。いつのドッグランのあとから、どの場所に、どのくらいの期間続いているか。多頭飼いの家では、この3つがそろっていると、その子だけの変化なのか全頭に共通する条件なのかを、その場で切り分けてもらえます。ドッグランは、多頭で行くほど楽しい場所です。帰ってからの順番を1つ変えるだけで、その楽しさは続けられます。
Product
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
