C09シーン別・暮らし

水が苦手な猫と暮らす人が雨の日の散歩で困ること、その手当て

公開日 2022年4月2日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、うすい色の毛布の上に落ち着いて横たわっている淡い毛色の猫
水に触れていないのに条件が変わる側がいます。動かせるのは、水を持ち帰った側のほうです。写真:RDNE Stock project/Pexels

雨の日の散歩から犬が帰った15分後、いつも窓辺にいる猫が、部屋のいちばん奥の棚の上に移っていました。猫は雨に濡れていません。玄関にも近づいていません。それでも居場所が変わります。水が嫌いな猫と犬を同じ家で飼っていると、雨の日には犬の散歩が猫の1日にも入ってきます。濡れた体が家に入ると、その水は毛から離れて空気と床と布に移り、部屋の湿度を押し上げるからです。水が嫌いな猫にとって、湿った空気は「濡らされていないのに、乾ききらない時間」になります。この記事では、雨の日の散歩から帰ってから室内が落ち着くまでのあいだに何をするかを、8つの問いと答えに並べました。答えのうち1つは、やらなくていいことです。

雨の日の散歩から犬が帰った日だけ、猫が奥から出てこないのはなぜですか

猫が避けているのは犬ではなく、その日だけ部屋の空気に増えている水のほうです。雨の日の散歩から帰った犬の体には、毛の表面と、その下の地肌に近いところの両方に水が入っています。玄関で拭いても、拭き取れるのは表面までです。残りの水は、犬が家の中を歩くあいだに毛から少しずつ離れて、床と空気に移っていきます。水が嫌いな猫は、この移り先の側にいます。

中型の犬が雨の中を30分歩くと、毛が抱えて帰る水の量は、布を1枚ずっしり重くするくらいになります。それが玄関で全部落ちるわけではありません。室内に上がってから乾くぶんは、そのまま部屋の空気に入ります。閉め切った部屋では、それだけで湿度が数パーセント動きます。人には気づけない幅ですが、毛づくろいで自分の毛を湿らせて過ごしている猫にとっては、乾く速さが変わる幅です。

雨の日の散歩で犬が持ち帰った水は、どこへ行くか
水の行き先残る時間水が嫌いな猫の側で変わること
玄関の床とマット30分〜2時間その一帯を通らなくなる
廊下・リビングの床1〜3時間低い場所にいる時間が減る
ソファ・カーペットの布3〜6時間いつもの寝場所を使わなくなる
犬自身の寝床半日〜1日犬の周囲2mに近づかなくなる
部屋の空気1〜3時間毛づくろいのあとが乾きにくくなる

居場所が高いところに移るのも、この表で説明がつきます。床は、水がいちばん長く残る面です。棚の上や椅子の背は、床から離れているぶん先に乾きます。水が嫌いな猫が雨の日に高い場所へ移るのは、不安がっているというより、その日いちばん乾いている面を選んでいるだけ、ということが多いところです。犬との関係の変化として読まないでください。翌日、床が乾けば戻ります。

濡れた犬は、家のどこで乾かせばいいですか|水が嫌いな猫がいる家の分け方

乾かす場所を決めるときに見るのは、広さでも設備でもありません。風が通るかどうかと、猫の居場所から扉が1枚あるかどうかの2つだけです。雨の日の散歩から帰った犬をリビングのまん中で乾かすと、そこから出た水は部屋じゅうに広がります。同じ量の水でも、出す場所を1か所に決めておけば、乾く先も1か所で終わります。

濡れた犬を乾かす場所の候補と、水が嫌いな猫の側の条件
候補風の通り猫との距離向き不向き
玄関の土間扉を少し開ければ通る遠いいちばん向いています
洗面所・脱衣所換気扇が使える扉1枚ぶん向いています
廊下通ることがある近い扉が閉まるなら可
リビングのまん中通るが拡散する同じ部屋向きません
犬の寝床の上ほとんど通らない近い向きません

玄関の土間がいちばん向いているのは、そこで出た水が室内の床に上がらないからです。扉を数センチ開けて空気の出口を作れば、湿った空気は外へ抜けます。雨の日で外が湿っていても、閉じた室内よりは動きがあります。土間に立たせておける時間が短い子なら、脱衣所へ移してください。換気扇は、この日いちばん役に立つ道具です。

Noteこの日に増やしていい水は、布が含める量までです

雨の日の散歩から帰った犬は、すでに水を大量に持って帰っています。ここでお湯を足すと、家に入る水の量はもう一段増えます。水が嫌いな猫と同じ家では、増やしていい水を、布が含める量までにしてください。泥が気になるときも、乾かしてから払うほうが、結果として室内に残る水は少なくなります。mofuwa グルーミングスプレーは、その量のなかで使えるものです。玄関の3分で重い水を布に移したあと、布に含ませて毛の流れに沿って当てていくと、泥やにおいのもとになる余分な皮脂は、電解水と油が乳化して毛から離れます(deck p16)。舐めても問題のない基準でつくられているので、雨に濡れた背中を自分で気にしてなめる犬でも、量を数えずに当てられます。部屋の10分を削らずに済むぶん、毛の流れも整った状態で終わります。

室内の湿度が上がるとは、猫にとって何が起きることですか

湿度とは、空気がどれだけ水を抱えているかの割合のことです。抱えている量が増えるほど、そこにあるものから水が出ていく速さは遅くなります。洗濯物が乾きにくくなるのと同じことが、猫の毛の上でも起きます。ここが、水が嫌いな猫にとって雨の日がふつうの日と違うところです。猫は水に触れていないのに、乾く速さのほうだけが変わります。

猫は起きている時間のかなりの部分を毛づくろいに使います。舌でなめるとき、毛には唾液がつきます。その唾液が乾くまでのあいだ、猫の毛はうっすら湿っています。ふだんは数分で乾くので、猫自身も気にしません。室内の湿度が上がった日は、この数分が長くなります。水が嫌いな猫にとっては、自分で始めた毛づくろいなのに、濡れている時間だけが伸びる日になります。

ここで大事なのは、これらが猫の体の変化ではなく、部屋の側の変化だということです。雨がやんで床と布が乾けば、たいていは翌日には元に戻ります。戻らないとき、つまり晴れが2日続いても毛づくろいが減ったままだったり、同じ場所をなめ続けていたりするときは、湿度の話ではありません。そこは動物病院に相談する側の話になります。

犬を乾かしているあいだ、猫にはどこにいてもらえばいいですか

この問いの答えは、少し拍子抜けするかもしれません。猫を動かさないでください。抱き上げて別の部屋へ移す、ケージに入れる、扉を閉めて閉じ込める。どれも必要ありません。水が嫌いな猫は、自分で乾いている場所を選ぶのがとても上手です。人が場所を決めると、猫にとってはその日いちばん嫌なことが、雨の日に必ず起きるようになります。

こちらがやるのは、選べる場所を1つ残しておくことだけです。犬を乾かす場所の扉を閉めるのは、猫を締め出すためではなく、湿った空気を1部屋にとどめるためです。猫の側には、床から離れた場所と、犬の動線から外れた場所を、それぞれ1つずつ空けておきます。棚の上のクッションを片づけていない、椅子が引いてある、というくらいで足ります。

  1. 帰る前に、猫の側の選択肢を1つ空けておく

    雨の日は出かける前にやっておくと楽です。床から60cm以上高い場所を1つ、犬が通らない側に。洗濯物の部屋干しと同じ部屋にしないでください。そこはその日いちばん湿度が高くなります。

  2. 犬を入れる扉を閉めてから、猫を探さない

    扉を閉めるときに猫の位置を確認するのは、はさまないためだけです。見つけて声をかける、近づく、抱き上げるは全部いりません。雨の日は、猫にとって人の手が増える日にしないほうがよい日です。

  3. 乾かし終わったら、扉を開けたままにする

    湿った空気を1部屋に閉じ込めたままにすると、次にその扉を開けたときにまとめて出ていきます。乾かし終わったら、換気しながら開け放してください。猫はそのあと自分のタイミングで確かめに来ます。

  4. 猫が来たら、犬より先に触らない

    こちらの手には犬の水とにおいがついています。手を洗ってからでないと、猫の毛に水を移すのは人の手です。順番は、犬を乾かす、手を洗う、猫が来るのを待つ、です。

Point閉じ込めるのと、扉を閉めるのは別のことです

湿った空気を1部屋にとどめる目的で扉を閉めるとき、閉じている側にいるのは犬とこちらです。猫の側は家じゅうが空いています。ここが逆になって、猫のいる部屋の扉を閉めてしまうと、雨の日ごとに「閉じ込められる日」が積み重なります。同じ扉の操作でも、どちらを閉じるかで意味が変わります。

水が嫌いな猫のほうも、雨の日は拭いておいたほうがいいですか

これは、この記事で唯一「やらなくていい」と答える問いです。猫を拭く必要はありません。雨の日の散歩に出たのは犬で、猫は家にいました。猫の毛には雨の水は乗っていません。乗っているとしたら、それは濡れた犬が触れた場所か、こちらの手から移った水です。どちらも、猫を拭いて解決する話ではなく、移す側で止める話になります。

水が嫌いな猫にとって、濡れた布を体に当てられることは、その日いちばん負担の大きい出来事になります。雨の日に必ずそれが起きると、猫は雨の日そのものを人と結びつけて覚えます。数週間続くと、こちらが玄関から入ってきた時点で姿を消すようになります。そうなってから戻すには、何か月もかかります。手を足さないことが、この日いちばん効く手当てです。

Note手を足さないことを、手抜きだと思わないでください

犬に手をかけた日ほど、猫にも同じだけやってあげたくなります。けれど、水が嫌いな猫にとっては、触られなかった日のほうが良い日です。雨の日にこちらがやったことの成果は、猫が翌日いつもの窓辺に戻っているかどうかで見えます。何もしなかったのに戻っている、というのがこの日の正解です。

帰宅後、犬を乾かすのに何分もらえますか|雨の日の散歩のあとに動く時間

時間の話をします。雨の日の散歩から帰って、室内の湿度が動きはじめるまでの猶予は、だいたい15分です。玄関で3分、扉を閉めた部屋で10分前後。ここを越えると、水は毛から離れて空気と床のほうへ移りはじめます。15分という数字は短く見えますが、乾かしきる時間ではなく、水を1部屋にとどめておく時間だと考えると足ります。

雨の日の散歩から帰ってからの、家の側の時間 濡れた犬が持ち帰った水は、玄関から室内へ、毛から空気と床へ移っていきます。手を入れられるのは、移りはじめる前の短い時間です。 時計より、床に足あとが残るかどうかで判断できます 0〜3分 玄関で、表面の水を布に移す 背中・胸元・脚の順。足の裏は最後です 3〜13分 扉を閉めた部屋で、風を通しながら乾かす 換気扇か、外に向いた窓を数センチ 13〜15分 床に足あとが残らないか確かめる 残るなら、まだ室内に上げません 15分以降 扉を開け放して、湿った空気を出す ここから先は、部屋の側の時間です 1〜3時間 床と布が乾き、猫が自分で戻ってくる 呼び戻さないでください
乾かしきる時間ではなく、水を1部屋にとどめる時間として考えてください。

3分と10分に分けているのには理由があります。玄関の3分でやるのは、拭き上げることではなく重い水だけを布に移すことです。ここで完璧を目指すと、犬が待てなくなって室内へ入ってしまいます。残りは部屋の10分で風に任せる。人の手より、空気の動きのほうが速く乾きます。水が嫌いな猫と暮らす家では、この10分を室内のまん中で過ごさせないことが、いちばん効きます。

15分が取れない日もあります。そういう日は、玄関の3分だけを確実にやって、あとは犬の寝床の場所を1日だけ動かしてください。いつもの寝床がソファの近くなら、その日は玄関に近い側へ。布に移った水は半日残るので、猫がよく使う布と重ならない場所へ寄せるだけで、翌日の戻りが早くなります。

雨が3日続く週は、毎日どこまで変えればいいのか知りたいのですが

毎日同じことをくり返すと、3日目には家の中の水が積み上がります。1日目に乾いたはずの布が、2日目には乾ききらないまま次の水を受け取るからです。雨が続く週は、日ごとに変える場所を1つだけ決めておくと回ります。全部を変えようとしないでください。手が増えると、水が嫌いな猫の側にも人の動きが増えます。

雨が続く週に、日ごとに1か所だけ動かす
日動かす場所やらないこと
1日目乾かす場所を玄関か脱衣所に固定する洗う
2日目犬の寝床の布を替える(乾いたものに)猫の寝床に触る
3日目散歩の距離を半分にして、舗装だけを歩く室内で乾かす場所を変える
4日目以降換気の時間を1日2回、各10分に増やす毎日全身を拭く
晴れた日布とマットをまとめて乾かすこの日に猫を洗う

3日目に散歩の距離を半分にするのは、犬のためというより家の湿度のためです。雨の中を歩く時間が半分になれば、持ち帰る水も半分になります。そのぶん室内で過ごす時間が増えるので、代わりに家の中で遊ぶ時間を足してください。雨が続く週に散歩をゼロにする必要はありません。減らすのは距離で、毎日の習慣そのものではありません。

猫の側で、この週にやっておくと良いことが1つだけあります。水皿の場所を、乾いている面に移しておくことです。水が嫌いな猫でも、飲む水は別です。ただ、水皿のまわりの床が湿っていると、そこへ行く回数が減ることがあります。湿った床を通らずに水皿へ行けるかどうかを、雨が続く週だけ確かめてください。飲む量が落ちているようなら、それは湿度ではなく体の側の話です。

8つの答えを、部屋が乾いていく順につなぐ|雨の日の散歩と水が嫌いな猫に残る疑問

最後に、ここまでの答えを1本につなぎます。雨の日の散歩から帰ってからの流れは、犬の体から始まって、部屋の空気を通って、猫の居場所で終わります。手を入れられるのは、いちばん上流の犬の体と、その水を出す場所の2つだけです。下流にいる猫の側には、手を足すところがありません。ここが、水が嫌いな猫と暮らす家でいちばん覚えておきたい順番です。

  1. 玄関の3分:重い水だけを布に移す

    背中、胸元、脚、最後に足の裏。拭き上げようとせず、水を移すだけにしてください。ここが、雨の日の散歩のあとでいちばん効く3分です。

  2. 扉を閉めた部屋の10分:風で乾かす

    換気扇か、外に向いた窓を数センチ。閉めるのは湿った側の扉で、猫のいる部屋ではありません。猫は自分で乾いた場所を選んでいます。

  3. 手を洗う:猫に触る前に、必ず1回

    こちらの手は、この日いちばん水を運ぶ道具になっています。犬を触った手で猫に触れると、猫の毛に水が移ります。猫を拭く必要をなくすのは、この一手です。

  4. 扉を開け放つ:湿った空気を1部屋から出す

    とどめた空気は、最後に外へ出します。閉じたままにすると、次に開けたときにまとめて室内へ流れます。ここまでで、部屋の側の作業は終わりです。

  5. 待つ:猫が戻るのを呼ばない

    床と布が乾けば、猫は自分の判断で戻ります。呼ぶ、抱く、探すはいりません。雨の日に何もされなかった、という経験が、次の雨の日を楽にします。

雨の日の散歩そのものは、毎日の習慣として続けて構いません。変えるのは犬の水をどこで降ろすかで、散歩に行くかどうかではありません。水が嫌いな猫にとって、雨の日が特別につらい日になるかどうかは、外の天気ではなく、家の中でその水がどこへ行ったかで決まります。玄関の3分、部屋の10分、そして猫には何もしない。この3つが並べば、雨が続く週も家の中の条件はそれほど動きません。

Caution湿度の話として片づけないほうがよいとき

晴れが2日続いても毛づくろいが戻らない、同じ場所を10分以上なめ続けている、耳のにおいが強くなった、皮膚が赤い、水を飲む量や食欲が落ちている、いつもの寝場所に何日も戻らない。これらのどれかが続いているときは、雨の日や湿度の話ではありません。動物病院にご相談ください。水が嫌いな猫は、体を触られること自体を避けるので、変化に気づくのが遅れがちです。水が嫌いな猫では、こちらが変化に気づける機会そのものが少ないので、気になった日に電話で聞いておくだけでも足ります。

雨の日の散歩そのものは、これからも毎日の習慣のままで構いません。家の側で決めておくのは、犬の水を降ろす場所を1か所にすることだけです。ブラッシングの前にグルーミングスプレーを置いておけば、雨が3日続く週でも、手数は晴れた週と変わりません。猫が翌日いつもの窓辺に戻っていれば、その日のやり方は合っていたということです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。