C05犬種・猫種別ケア

ベドリントンテリアと暮らすなら知っておきたい、毛玉の話

公開日 2022年6月7日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色の巻いた毛の犬が敷物の上に落ち着いて立っている
床に落ちていない毛は、消えたわけではありません。被毛の中に残っています。写真:SLZ/Pexels

ベドリントンテリアと暮らしていると、家の床に犬の毛がほとんど落ちていないことに気づきます。掃除機をかけても、抜け毛のかたまりが出てきません。ところが被毛の中へ指を入れて根元のほうを探ると、指の腹に何かがふれます。床に落ちなかった毛は、なくなったのではなく、生えている毛のあいだにとどまっています。ベドリントンテリアの毛玉は、その多くがこれの集まりです。絡んでできたのではなく、たまってできた。ここを取り違えると、ブラシを入れる強さも、手を入れる間隔も合わなくなります。この記事では、絡んでできた毛玉とたまってできた毛玉を並べて比べ、どっちを相手にしているかの確かめ方まで書きます。

床に落ちなかった毛でできている|ベドリントンテリアの毛玉の中身

ベドリントンテリアの被毛は、硬い毛と柔らかい毛が混ざった、めずらしい作りをしています。まっすぐな剛毛だけでもなく、綿のような下毛だけでもなく、性質の違う2種類が同じ場所から混ざって生えています。しかも毛は皮膚に寝ずに、立ち上がるように出ていて、毛先の側で軽く巻きます。手のひらで押すと、ふんわり戻ってきます。この作りが、毛玉の話の出発点です。

犬の毛は、生えて、伸びて、抜けます。抜けること自体はどの犬種でも起こります。違うのは、その先です。ベドリントンテリアでは、抜けた毛が被毛の外まで出ていきません。立ち上がって生えている毛と、巻いた毛先が網のようになっていて、抜けた1本はその中でつかまります。床に落ちる毛が少ないのは、抜けていないからではなく、出口で止まっているからです。

止まった毛は、1本では気づきません。数が増えて、根元の側でまとまってはじめて手にふれるようになります。そこへ皮脂が回り、乾いた時期には静電気が加わって、留まった毛どうしが寄り集まります。指で押すと少し弾力があり、周りの毛より密なところ。ベドリントンテリアの毛玉として最初に見つかるのは、たいていこれです。生えている毛が絡み合ってできた塊ではありません。

この違いは、手の入れ方をまるごと変えます。絡んだ毛玉なら、ほどく相手は生えている毛です。根元は皮膚につながっているので、引けば地肌ごと持ち上がります。たまってできた毛玉は、すでに抜け終わった毛の集まりです。皮膚とはつながっていません。だから、ほどく必要がありません。外へ運び出せば済みます。ベドリントンテリアの毛玉で力が要らない場面が多いのは、この理由です。

Note抜け毛が少ない犬種、という言い方の中身

ベドリントンテリアは「毛が抜けにくい」と言われることがあります。正確には、抜けた毛が外へ出ていかない被毛です。床の掃除は楽になりますが、抜けた毛は体の上に残ります。掃除機の中身が減ったぶんが、そのまま被毛の中に移っていると考えてください。この見方に切り替えると、ブラッシングの目的が「毛を整えること」から「たまったものを外へ運び出すこと」に変わります。

絡んでできた毛玉と、たまってできた毛玉|ベドリントンテリアで2つを比較する

2つの毛玉を、同じ項目で並べます。比較するのは大きさや硬さではなく、何でできているか、皮膚とつながっているか、どうすれば減るかの3つです。見た目はよく似ていますが、この3つが違うので、扱い方が正反対になります。

ベドリントンテリアで見つかる2種類の毛玉
絡んでできた毛玉たまってできた毛玉
中身生えている毛どうしが組み合ったもの抜け終わった毛が集まったもの
皮膚とのつながり根元でつながっているつながっていない
引いたときの動き地肌が一緒に持ち上がる塊だけが浮いて外れる
できる場所こすれる場所、当たるものがある場所体のどこにでも、まんべんなく
育ち方外から力がかかるたびに締まる日数に比例して量が増える
手の入れ方周りからほどく。時間がかかる外へ運び出す。力は要らない
放っておくと地肌ごと引っぱられる状態が続く周りの毛を巻き込み、絡んだ側に変わる
2種類の毛玉は、中身が違う 生えている毛が組み合ってできた毛玉と、抜けた毛がたまってできた毛玉。ベドリントンテリアでは後者が先に見つかります。皮膚とつながっているかどうかで、手の入れ方が変わります。 見つけた塊が、どちらなのかを先に決めます 絡んでできた毛玉 中身:生えている毛 根元で皮膚とつながる 引くと地肌が持ち上がる 周りからほどいていく たまってできた毛玉 中身:抜け終わった毛 皮膚とつながっていない 引くと塊だけが浮く 外へ運び出せば済む たまった側は、置くほど絡んだ側に変わります
同じ塊に見えても、片方はほどく相手、もう片方は運び出す相手です。

この2つは、別々に存在しているわけではありません。たまってできた毛玉を置いたままにすると、そのまわりの生えている毛が塊に引き込まれて、絡んだ側へ変わります。ベドリントンテリアの毛玉で「先週はブラシで取れたのに、今週は動かない」と感じるとき、この移り変わりが起きています。つまり、家で楽に扱えるのは、たまった状態でいるあいだだけです。

どちらを相手にしているかで、道具の使い方も変わります。たまった毛を運び出すなら、歯が根元まで入って、外へ向かって抜けていけばいい。絡んだ毛をほどくなら、塊の外側から少しずつ、周りの毛を1本ずつ外していくことになります。同じブラシでも、動かす距離も、かける時間も違います。ベドリントンテリアの被毛では、この見きわめを先にしておくと、1回のブラッシングが短くなります。

引くとほどけるか、はがれるか|ベドリントンテリアの毛玉がどっちかを確かめる

見つけた塊が、どっちなのか。目で見ても分かりません。確かめるのは指です。力はほとんど要りません。次の順で、1か所につき20秒ほどで済みます。

  1. 塊の根元と皮膚のあいだに、指を1本すべり込ませる

    塊をつまむ前に、下に指が入るかどうかを見ます。すっと入るなら、その塊は皮膚から浮いています。たまってできた側です。指が入らず、塊がそのまま地肌へ続いているなら、生えている毛が組み合っています。ベドリントンテリアは毛が立ち上がって生えているので、この指1本ぶんのすき間ができやすい犬種です。

  2. 塊を軽くつまんで、体から離す向きへ数ミリだけ動かす

    動かすのは数ミリで十分です。塊だけが浮いて、地肌が動かないなら、たまってできた毛玉です。地肌が一緒に持ち上がるなら、そこで手を止めてください。それ以上引くと、生えている毛と皮膚を引っぱることになります。強く引いて確かめようとしないでください。

  3. 外れた塊を、指でほぐして中身を見る

    たまってできた毛玉は、指で押すとほろりとほぐれ、細い毛がばらばらに分かれます。1本ずつの毛が、途中で切れておらず、両端がそろって細くなっています。絡んだ毛玉は、押しても形が変わりません。中身が違うので、ほぐれ方で見分けられます。

  4. 同じことを、脚のつけ根・耳のうしろ・胸元でくり返す

    1か所の結果を全身に当てはめないでください。ベドリントンテリアでは、たまった側と絡んだ側が同じ体に同時にあることがあります。脚のつけ根と耳のうしろは当たるものがあるので絡んだ側になりやすく、背中や腰はたまった側のままでいることが多い。場所ごとに、どっちかを分けて覚えてください。

確かめた結果と、その場でやること
確かめたことその場でやること
塊の下に指が入り、地肌が動かない運び出す。根元から毛先へ、外へ向かって通す
塊の下に指が入らない引かない。周りの毛を1本ずつ外していく
押すとほろりとほぐれるたまった側。その日のうちに外へ出す
押しても形が変わらない絡んだ側。1回でほどききらなくてよい
触ると声を出す、体をよじるその場で手を止める。無理に確かめない
Point確かめる日と、手を入れる日を分けなくてよい

この4つは、ブラッシングを始める前の20秒でできます。先に体を3〜4か所さわって、どっちの毛玉がどこにあるかを決めてから、道具を持ってください。順番が逆だと、絡んだ塊に運び出す動かし方をしてしまい、地肌のほうが引っぱられます。ベドリントンテリアの被毛は指が入りやすいので、この確認そのものは長くかかりません。

ブラシが運び出しているもの|ベドリントンテリアの毛玉に手が届く条件

ここからが毎日のケアです。ベドリントンテリアのブラッシングでいちばん大事なのは、いま歯が引っかけているのが、生えている毛なのか、留まっている毛なのかを分けて考えることです。目的が「整える」から「運び出す」に変われば、動かす向きも、当てる深さも変わります。

運び出すときは、根元の側から入れて、外へ向かって抜きます。毛先だけをなでても、留まっているのは根元の側なので届きません。指で毛を分けて層を1枚出し、その層の根元にブラシを当てて、毛の立ち上がる向きに沿って外へ動かす。1か所につき数往復で足ります。抜けたものが歯に残っていれば、それが今日運び出せたぶんです。歯に何も残らないなら、深さが足りていません。

力を強くしても、運び出せる量は増えません。留まった毛は引っかかっているだけなので、届きさえすれば軽い力で出てきます。強くすると、代わりに生えている毛のほうが抜けます。ベドリントンテリアの毛玉で、ブラッシングのあとに毛が薄く見えるようになったときは、力ではなく深さを見直してください。条件は「深さ」であって「強さ」ではありません。

ベドリントンテリアで、手が届くかどうかを決める条件
条件届いていないときの見え方
層に分けているか表面だけがそろい、根元は密なまま
根元から外へ動かしているか毛先はきれいだが、歯に何も残らない
1か所ずつ区切っているか全身を1回で終え、同じ場所ばかり通っている
力ではなく深さで調整しているか毛が抜けるのに、塊が減らない
日数を空けすぎていないかたまった塊が、動かない塊に変わっている
Caution動かない塊に、上から力を入れないでください

指が入らない塊へブラシを強く当てると、運び出す相手ではなく、生えている毛と皮膚を一緒に引っぱることになります。絡んだ側は、1回でほどききらなくて構いません。周りの毛を外せたぶんだけ進めて、その日は終わりにしてください。嫌がる、声を出す、体をよじるときも同じです。翌日にもう少し進めるほうが、結果として早く終わります。

ベドリントンテリアは毎日散歩に出る子ほど、外の細かいものが立ち上がった毛のあいだに乗ります。犬は体から脂を出すので、昨日ととのえた背中が、今日また同じところから汚れます。毎日きれいにしておきたいという側から使うのが、mofuwa のグルーミングスプレーです。布に含ませて、背中から腰にかけての毛を、立ち上がる向きに沿ってなでるように拭いてください。舐めても差し支えない基準(清涼飲料水の規格基準)をクリアしているので、量を気にせず使えます。ブラッシングスプレーとしても使えるので、乾いた時期に毛先どうしが寄るところまで、同じ1本で扱えます。うるおいが残っているあいだのほうが、留まった毛は歯にのって外へ出てきます。グルーミングスプレーを、締まって動かない塊の上から直接かけないでください。先に指を入れて浮かせ、ゆるんだところへ通します。

たまる速さが変わる時期と、被毛では説明がつかない毛玉

たまる量は、1年を通して同じではありません。季節の変わり目、いわゆる換毛期には抜ける毛が増えます。ベドリントンテリアの場合、増えたぶんは床ではなく被毛の中に移ります。この時期だけは、運び出す回数を増やしてください。ふだん3日おきなら1日おきへ。時期が過ぎたら、元の間隔に戻します。増やすのは回数で、1回の長さではありません。

もう一つ、カットからの週数でも変わります。短く整えた直後は、留まった毛ごと外へ出た状態です。そこから毛が伸びるにつれて、抜けた毛が引っかかる長さが増え、たまる速さが上がります。次の予約が近づいた時期のほうが、同じ間隔でブラッシングしていても塊が見つかりやすくなります。時期によって手数が変わるのは、その子の被毛が悪くなったからではありません。

時期ごとに、運び出す間隔をどう変えるか
時期被毛の中で起きていること運び出す間隔
カット直後留まった毛が一度リセットされている3日おきでよい
中ごろ毛が伸び、引っかかる長さが増える2日おき
次の予約が近い時期たまる速さがいちばん上がる1日おき
季節の変わり目抜ける量が増え、外へ出ない1日おき。場所を分けて短く
空気が乾く時期静電気で留まった毛が離れにくい間隔は変えず、毛先の扱いを1手増やす

ここまでは、被毛の作りと時期で説明のつく毛玉の話でした。間隔どおりに運び出していて、時期も変わっていないのに、同じ場所だけが短い間隔で戻る。そういうときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、ブラッシングの話として片づけないほうが安全です。

Caution運び出す間隔を詰める前に、動物病院で地肌を見てもらいたいとき

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、3日おきを1日おきに詰めるより先に、動物病院で地肌のほうを見てもらってください。ベドリントンテリアは毛が立ち上がって生えているぶん、地肌が外から見えにくく、指を入れて確かめる20秒では届かない変化があります。同じ一か所が2回続けて短い間隔で戻ったなら、その週のうちに電話をしてください。

ベドリントンテリアと暮らすうえで、抜けた毛が被毛の中にとどまること自体は変えられません。硬い毛と柔らかい毛が混ざり、皮膚から立ち上がって生えているという作りの結果だからです。動かせるのは、留まった毛がそこに置かれている日数のほうです。塊を見つけたら、まず指を入れてどっちかを決める。たまった側なら、その日のうちに外へ運び出す。絡んだ側なら、力を入れずに周りからほどく。時期によって回数だけを変える。ベドリントンテリアの毛玉で家の手が届くのは、この範囲です。

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よくある質問

床に毛が落ちないのに、毛玉ができるのはなぜですか?
抜けた毛が外へ出ていかないからです。ベドリントンテリアの被毛は硬い毛と柔らかい毛が混ざり、皮膚から立ち上がって生えていて、毛先が軽く巻きます。抜けた1本はその中でつかまり、床まで届きません。掃除機の中身が減ったぶんが、そのまま体の上に残っていると考えてください。
たまってできた毛玉は、放っておくとどうなりますか?
そのままではとどまりません。塊のまわりの生えている毛が少しずつ引き込まれて、絡んだ側の毛玉に変わります。皮膚とつながった状態になると、引いても外れず、ほどく作業が必要になります。家で楽に扱えるのは、たまった状態でいるあいだだけです。
ブラッシングのあとに毛が薄く見えるのは、やりすぎでしょうか?
力の強さを見直してください。留まった毛は引っかかっているだけなので、届けば軽い力で出てきます。強くしても運び出せる量は増えず、代わりに生えている毛のほうが抜けます。変えるのは強さではなく、層に分けて根元まで届いているかという深さのほうです。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。