C14トリマー/獣医師視点

診察室で飼い主さんによく聞かれること

公開日 2022年9月25日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋の淡い色の床に、白い猫と並んで落ち着いて座っている薄茶色の犬
聞かれた質問がどこで出たかは、その質問が何日前から溜まっていたかを表しています。写真:Yazid N/Pexels

会計の前の廊下で、立ったまま「あの、シャンプーはいつからしていいですか」と聞かれることがあります。待合の椅子で30分待っているあいだに用意されていた質問が、診察台の上では一度も出ず、支払いの直前に出てきます。動物病院のよくある質問は、中身が似ているだけでなく、出てくる場所まで決まっています。窓口とトリミングの現場で何年か立っていると、質問の種類より先に、それがどこで出たかで見当がつくようになります。この記事では、質問が出る3つの場所と、そこで何が起きているのか、そして答える前に聞き返す1問を並べます。犬でも猫でも、並び方はほとんど同じです。

よくある質問は、待合の椅子の上で形が決まる|動物病院で聞かれることの背景

質問は、思いついた場所ではなく、待っていた場所で形になります。待合の椅子に30分座っているあいだ、飼い主は頭の中で言い方を組み立てます。長すぎると思って短くし、短くしすぎて意味が変わり、また組み直す。診察台に上がるまでに、その質問は3回か4回書き直されています。そして書き直したぶんだけ、口に出すきっかけが遠くなります。

質問が出る3つの場所と、そこで出てくる質問の形
場所そこにいる時間出てくる質問の形
待合の椅子10分から40分口には出ない。頭の中で組み立てている段階
診察台の上5分から10分その場で見えたことへの短い問い。家の話は出にくい
会計の前の廊下1分から2分待合で用意した質問が、立ったまま出てくる
電話・窓口2分から5分帰ってから思い出した1問。いちばん具体的
次の予約のとき受付の30秒前回聞けなかった質問が、そのまま残って出る

表の3行目が、よくある質問と呼ばれているものの大部分です。診察台の上で出ないのは、遠慮しているからではありません。その数分は、スタッフの手が動いていて、飼い主も自分の子のほうを見ています。台の上でどこを触られているか、その子がどんな顔をしているかを追っているあいだ、家の話は頭から一度消えます。台から降りて、抱き上げて、支払いの列に並んだところで戻ってきます。

だから、同じ内容の質問が、1日に何度も同じ場所で出ます。よくある質問という言い方が実際に指しているのは、会計の前に立ったまま出る質問の集まりです。立ったままの1分では、聞ける量に限りがあります。3つ聞きたいことがあっても、出るのは1つです。残りの2つは、次に来るときまで残ります。

Note待合で組み立てた質問を、紙の端に書いておく

うまい言い方にしなくてかまいません。「シャンプー/いつから」「毎日/拭くだけ」のように、単語を2つ並べるだけで足ります。紙があると、診察台の上で手が動いているあいだにも出せます。台の上で出た質問は、その場でその子を見ながら答えられるので、答えの具体さが変わります。待合の30分を使うのは、言い方を整えることではなく、単語を並べることのほうです。

同じ順番で同じことを聞かれる|スタッフの経験から並べた、動物病院のよくある質問

窓口に立っている側から並べると、よくある質問の上位は、病気の名前の話ではありません。ほとんどが、家でやっていいかどうかの話に集まります。順番まで似ていて、多い3つはだいたい次のとおりです。

3つめが多い理由は、家で実際に起きていることがそのまま質問になっているからです。朝に口のまわりや足先に何かを塗っても、昼に見ると残っていません。その子はなめて取ります。犬でも猫でも同じで、猫の場合はさらに、毛づくろいのついでに全身へ運びます。塗った本人が取ってしまうので、続けているつもりが続いていない。その状態で「毎日やってください」と言われると、何をどう続ければいいのかが分からなくなります。

ここに届くものが、mofuwa スキンケアミストです。原料は高機能性電解酸化水だけで、水のほかに何も足していません。なめて口に入る前提で使えるので、口のまわりでも、耳の内側でも、目のまわりでも、そこで手を止める必要がありません。取られてしまうことを前提に、取られても差し支えないものを置く、という考え方です。

使い方の側にも、質問が続きます。「1日に何回まで」と聞かれたら、回数ではなく場所で答えます。スキンケアミストは場所を選ばずに使えるぶん、全身に何度もかけて終わる使い方になりやすいものです。首の後ろ、口のまわり、耳のふち。その子が自分で届かない場所を3つ決めて、そこだけに使うほうが、毎日続きます。回数を減らす話ではなく、決める場所を減らす話です。

答える前に、家で何が止まっているかを聞き返す|動物病院のよくある質問への考え方

同じ質問が同じ人から2回出たときは、答えが足りなかったのではなく、聞かれていないことが残っています。質問は「やっていいですか」の形で来ますが、その下にはたいてい、先週から止まっている作業が1つあります。止まっている理由は、時間か、嫌がられたか、どこを触ればいいか分からなくなったかのどれかです。答えだけを返すと、その1つは次の来院まで止まったままになります。

よくある質問の形と、その下で止まっていること、聞き返す1問
質問の形下で止まっていること聞き返す1問
洗ってもいいですか前回洗ったのがいつか分からなくなっている前に洗ったのは何週間前ですか
拭くだけでいいですかどこを触ればいいかが分からないいま、手が入らない場所はどこですか
塗ってもなめてしまう朝に塗って、昼には確かめていない塗ったあと、次に見るのは何時間後ですか
毎日やらないとだめですかその子が嫌がって、途中でやめている嫌がりはじめるのは、始めて何分ごろですか
市販のものでもいいですか何を選べばいいか判断がつかないいま棚にあるものは何本ですか

右の列は、どれもその場で答えられる問いにしてあります。数字か、場所か、時間で答えられる形にすると、飼い主の側も立ったままの1分で返せます。返ってきた答えのほうが、最初の質問より具体的です。「2週間前です」「後ろ足の付け根は触れません」「5分くらいで嫌がります」。この1行が出れば、動物病院の側もトリミングの現場も、次に渡す言葉を選べます。飼い主への説明が短くなるのは、聞き返した1問のおかげです。

答えを渡す順番も決まっています。先に家で続けられる形を1つ渡して、そのあとに、それでも動かないときの線を引きます。逆にすると、家に持ち帰るものが残りません。窓口で「様子を見てください」だけを受け取って帰った日は、その週の記録が1行も増えません。増えない週が続くと、次の質問はまた同じ形で出てきます。

Caution聞き返した答えのほうが重いとき

前に洗ったのが2か月以上前になっている、手が入らない場所が前回より増えている、塗ったものを取られるのではなく塗る前からその場所をなめ続けている、始めて1分もたたずに嫌がる、棚にあるものが5本以上になっている。こうした答えが返ってきたときは、質問への答えより先に、その1行を診察の場に持っていってください。いつから、どこが、どう変わったかを動物病院で伝えると、受診の時間はその先の話に使えます。そのうえで、家で続ける3か所は、指示を受けたあとも同じ形で残ります。

聞かれる質問が入れ替わるとき|よくある質問の並びに出る、家の側の変化

家の手が動きはじめると、質問の形が変わります。「やっていいですか」から、「どこまでやっていいですか」に変わります。この2つは似ていますが、前者は始める前の問いで、後者は始めたあとの問いです。窓口の側から見ると、この入れ替わりがいちばん分かりやすい変化です。

質問の形の入れ替わりと、そのとき家で起きていること
前に出ていた質問入れ替わったあとの質問家で起きていること
洗ってもいいですか洗う間隔はどのくらいですか洗った日を数えはじめている
拭くだけでいいですかこの3か所で足りていますか触る場所が決まった
なめてしまいますが平気ですかなめたあと、次はいつ見ますか塗ったあとを確かめている
毎日やらないとだめですか5分を2回に分けてもいいですか嫌がる時間が分かってきた

左の列の質問は、答えが返っても家では何も動きません。右の列の質問は、答えが返るとその日から形が変わります。同じ1分で聞ける量は同じなのに、持ち帰るものが違います。よくある質問が悪いのではなく、聞ける形になるまでに家の側で1つ動かす必要がある、ということです。動かす1つは、たいてい記録です。

記録といっても、日付と場所だけで足ります。洗った日、触った3か所、嫌がりはじめた時間。この3行を紙の端に書いておくと、次に窓口へ立ったときの1分の中身が入れ替わります。質問が具体的になると、返ってくる答えもその子の話になります。何年か立っていて分かるのは、同じ1分でも、紙を持っている家とそうでない家では、持ち帰るものが違うということです。

次に来るまでにやることは1つだけです。紙の端に、洗った日の日付を書いてください。それが書かれていれば、次の1分は「いつからか」の説明に使わずに済みます。空いたぶんが、そのまま聞きたいことの数になります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。