C09シーン別・暮らし
シニア犬と暮らす人のためのソファとカーペット|5分で終わらせるケア
ソファの座面の右側だけ、色が少し沈んで見える。指でなでると、他の場所より平らで、毛が布から生えているように見える。粘着ローラーを何往復させても、そこだけ手ざわりが戻りません。老犬と暮らしていると、この一角が必ずできます。若い頃は、同じソファでも5分おきに向きを変え、床へ降り、また戻ってきていました。年をとって変わったのは体の大きさではなく、同じ姿勢のまま動かない時間の長さのほうです。体重はそのままで、接している面積もそのままで、そこにかかる時間だけが何倍にもなりました。だからこの記事では、毛をどう取るかを書きません。布のほうを動かす、という方向に組み替えます。向きを変える、敷き替える、順番に回す。老犬を動かせないなら、動かせるのは布のほうです。
座面の一角だけ、手ざわりが戻らない|老犬とソファの毛をめぐる毎日の背景
老犬が一日のうちソファにいる時間を数えてみると、10時間を超えていることがあります。しかもその10時間、体の向きはほとんど変わりません。若い頃と比べて減ったのは、乗っている時間ではなく、姿勢を変える回数のほうです。5分おきに伸びをして、体をずらして、床へ降りて水を飲んで、また同じ場所へ戻る。あの往復が、いつのまにか無くなっています。
体重は、若い頃とほとんど変わっていません。むしろ増えている子もいます。同じ重さが、同じ面に、何倍もの時間かかり続けている状態です。ソファの座面から見ると、条件が変わったのは老犬の側ではなく、荷重のかかり方のほうです。毛が増えたわけでも、抜けやすくなったわけでもありません。
その結果できるのが、あの一角です。布の織り目が寝て平らになり、毛がそこへ編み込まれたようになって、指の腹でなでても引っかかりません。粘着ローラーは、その平らな面の上を滑って通り過ぎます。取れているのは、周りに落ちているだけの毛です。肝心の一角は、掃除をしたあとも手ざわりが戻らない。ここで多くの方が、掃除の回数を増やす方向へ動きます。
- 乗っている時間が長い:一日10時間を超えることがあります
- 姿勢を変える回数が減っている:向きを変える、伸びをする、降りる。この往復が無くなります
- 体重は変わっていない:軽くなったから負担が減る、という話にはなりません
- 接している面積が決まっている:横になったときに下になる側は、毎日ほぼ同じです
- その面だけ温度が上がる:長く乗っているぶん、熱と湿りが抜ける時間がありません
ソファに乗らない老犬でも、カーペットの決まった場所に同じことが起きます。窓ぎわ、テレビの前、人が座る椅子の足元。毛足が寝て、そこだけ色が沈んで見える一角。ソファとカーペットで違うのは布の厚みだけで、起きていることは同じです。この記事の手は、どちらにもそのまま使えます。
取れないのは毛ではなく、体重がかかり続けた面のほう|老犬のソファに毛が残る理由
掃除の道具は、どれも布の表面をなでる作りになっています。粘着ローラーも、ブラシ付きのノズルも、ゴム製のヘラも同じです。表面をなでる道具は、表面が立っていることを前提にしています。毛足やパイルが立っていれば、そのあいだに入った毛を引き出せます。ところが体重で寝てしまった面では、道具の当たる高さそのものが下がっています。
| 若い頃 | 老犬になってから | |
|---|---|---|
| 1回あたり乗っている時間 | 15〜30分で動く | 2〜4時間、同じ姿勢のまま |
| 向きを変える回数 | 一日に何十回 | 数回。人が動かさないと変わらない |
| 荷重のかかる場所 | 毎回ずれる | 毎日ほぼ同じ座標 |
| 布の表面 | 立ったまま戻る | 寝たまま戻る時間がない |
| 面の温度と湿り | 離れているあいだに抜ける | 抜ける時間が取れない |
| 毛の入り方 | 表面にのる | 寝た繊維のあいだに編み込まれる |
この表のいちばん下が、いちばん大事なところです。毛が取れないのは毛のせいではなく、毛を抱えている布の側が元に戻っていないからです。だから道具を強いものに替えても、往復の回数を増やしても、結果はあまり変わりません。変えるべきなのは、布が元に戻る時間を作ることのほうになります。
もう一つ、老犬と暮らす人だけがぶつかる事情があります。そこをどけて掃除する、という前提が使えません。立たせるのに時間がかかり、立った姿勢を長く保てず、抱き上げるのも簡単ではない。若い頃なら「どいて」の一言で片づいたことが、いまは一仕事になります。掃除の頻度が落ちるのは、やる気の問題ではなく、この事情のためです。
面の温度と湿りについても書いておきます。老犬が長く横になっている面は、離れたあと手を当てると温かく、少し湿っています。その面が乾ききる前に、また同じ場所へ戻ってきます。皮膚と被毛の側から見ても、湿った面に長く触れている時間が続くのは、条件としてよいとはいえません。ソファの毛を取る話に見えて、実際にはその子の体が触れている面の状態の話でもあります。
布を掃除するのではなく、布のほうを動かす|老犬とソファとカーペットのケアの考え方
ここから組み替えます。老犬を動かせないなら、動かせるのは布のほうです。やることは3つだけで、どれも力が要りません。向きを変える、敷き替える、順番に回す。掃除の道具を替える話ではないので、いま家にあるもので今日から始められます。
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1つ目:座面のクッションを、週に一度、前後の向きを変える
外して180度回して戻すだけです。これだけで、体重がかかっていた面が上を向き、これまで下だった面が座面になります。寝ていた織り目は、荷重が抜けているあいだに少しずつ戻ります。裏返せる作りなら、月に一度は裏返してください。老犬の側は何もしなくて済みます。
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2つ目:その子が横になる面に、洗える1枚を重ねて敷く
ソファ全体をカバーする必要はありません。実際に体が乗っている一角だけに、たたんだ布を1枚。これを2枚用意して交代させると、洗うのはいつも1枚だけになります。ソファ本体は洗えませんが、この1枚は洗濯機に入ります。毛と皮脂の大半は、この1枚が受け取ります。
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3つ目:カーペットは、寝場所の下だけを小さく分ける
部屋全体の敷物を替えるのではなく、老犬が横になる場所の下にだけ、小さめのラグかタイル状の1枚を置きます。分けておくと、そこだけを持ち上げて外に出せます。大きい1枚のままだと、動かすのに人手が要り、結局そのままになります。
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4つ目:動かすのは、その子が自分でどいた数分のあいだに
ごはん、水を飲むとき、外へ出るとき。一日に数分だけ、その面が空きます。立たせるのではなく、空いた瞬間に人が動く。クッションの向きを変えるのは30秒、1枚を替えるのは1分です。空いてから戻ってくるまでのあいだに終わります。
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5つ目:毛を取るのは、面を動かしたあと最後に
向きを変えて荷重が抜けた面は、織り目が起きてきます。その状態でなら、粘着ローラーもブラシも本来の高さで当たります。順番を逆にして、寝たままの面をいくら往復しても、取れる量は変わりません。ここまでで、合計5分ほどです。
| 動かすもの | 間隔 | かかる時間 |
|---|---|---|
| 重ねた1枚を交代させる | 3〜4日に一度 | 1分 |
| 座面のクッションを180度回す | 週に一度 | 30秒 |
| クッションを裏返す | 月に一度 | 30秒 |
| 寝場所の下のラグを外に出す | 週に一度 | 2分(あとは放置) |
| 面が起きてから、表面を一方向に通す | 週に一度 | 2分 |
| 空いた面に手を当てて、湿りを見る | 毎日 | 5秒 |
毎日やるのは、いちばん下の5秒だけです。その子がどいた面に手を当てて、温かいか、湿っているか、それだけを確かめます。湿っていた日は、戻ってくる前に窓を開けて風を通す。乾いていた日は何もしません。老犬と暮らす毎日のケアで、負担なく続くのはこの粒度です。
その子の体の側にも、1つだけ手を入れておきます。横になったときに下になる側——脇腹、腰、肘の外側——を、毎日1分だけブラシで通してください。抜けた毛が体に残っているほど、ソファへ渡る量が増えます。立たせる必要はなく、横になったままの姿勢で届く場所です。この面は、布と皮膚のあいだに挟まれたまま何時間も過ぎるので、どけて見るまでは誰の目にも入りません。ブラシのあとに mofuwa スキンケアミストを布へ取って、下になっていた側をなでておきます。この製品は、1回で大きく変わるものではなく、1日数回、まずは2週間を目安に続けてほしい、とメーカー自身が書いているものです。毎日の側に置く前提でつくられているので、3〜4日で1枚を替える、週に一度クッションを回す、という布の周期と、同じ紙の上に並べられます。布の周期だけが回っていて、体の周期が空白のまま、という形にしないでください。
向きを変えた面から先に起きてくる|3週間で出てくる、老犬の毛とソファの変化
布を動かし始めて、最初に分かるのは1週間後です。向きを変えたクッションの、これまで下だった面が座面に来ると、そこには寝ていない織り目があります。同じ場所に同じように老犬が乗っても、毛の入り方が違います。粘着ローラーを1往復させたときに取れる量が、はっきり増えます。取れる量が増えるのは、布が元の高さに戻っている証拠です。
| 時期 | ソファとカーペットの側 | 老犬の側で見えること |
|---|---|---|
| 1週目 | 向きを変えた面から、毛が取れる量が増える | 下になる側の被毛に、まだ抜け毛が残っている |
| 2週目 | 重ねた1枚に毛と皮脂が集まり、本体が汚れなくなる | 毎日1分のブラシで、取れる量が落ち着いてくる |
| 3週目 | 手ざわりの違う一角が、1か所から分散する | 毎日どく数分の、動き方の癖が見えてくる |
| 3週目以降 | 朝の湿りが残る日と残らない日が分かれる | いつも同じ側を下にしているかどうかが分かる |
3週目に出てくる、いちばん値打ちのある変化はいちばん右の列です。布を動かしているうちに、その子がいつも同じ側を下にして寝ていることに気づきます。右の脇腹だけ被毛が薄い、左の肘だけ手ざわりが違う、腰の片側だけ皮膚が赤い。ソファの毛の話として始めたことが、体の接地面の話に変わります。ここが分かれば、その面に敷く1枚を少し厚くする、という手も選べます。
布の側の変化も、続けているうちに頭打ちになります。週に一度向きを変えても、手ざわりが戻らない面が出てきたら、それはその布の寿命です。老犬が一日10時間を預けている布は、家の中でいちばん早く傷む布でもあります。買い替えるかどうかは別として、上に重ねる1枚を厚いものへ替える時期だと考えてください。
いつも下になる側の皮膚が赤い、毛が薄くなって地肌が見えている、その場所をなめ続けている、押すと痛がる、じくじくしている、においが数日で変わった、起き上がるのに時間がかかるようになった、寝返りを打たなくなった。これらはソファの掃除で片づく話ではありません。敷くものを厚くする前に、動物病院にご相談ください。老犬は、同じ姿勢でいる時間が長いぶん、接している面の側から変化が出ます。いつからその面が赤いのか、どちら側を下にしていることが多いのかをメモしておくと、そのまま相談の材料になります。
老犬と暮らしていて、ソファに毛が集まること自体は減りません。一日の大半をそこで過ごすからです。動かせるのは毛の量ではなく、同じ面に荷重がかかり続ける時間のほうです。週に一度向きを変えて、3〜4日で1枚を替えて、毎日5秒だけ手を当てる。その子を立たせずに、布のほうを回していく。老犬とソファの毎日のケアで手を入れられるのは、この一点です。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
