C05犬種・猫種別ケア

マンチカンのケア|毛づくろいの減りを減らす3つの習慣

公開日 2022年10月18日|文=mofuwa編集部

明るい自然光の入る部屋で、脚の短い猫が木の床に静かに座っている
同じ一頭の中に、自分の足が届く場所と、届かない場所があります。手を入れるのは後者だけです。

マンチカンが後ろ足を上げて耳の後ろをかこうとしたとき、足の先が耳に届く前に止まることがあります。前脚を舐めて顔を拭く動きのほうは、ほかの猫と変わらず何度でも続きます。止まっているのは、後ろ足で届けにいく側の範囲だけです。マンチカンの毛づくろいで先に見たいのは、体のどこまで届いているかという範囲のほうです。頭の上、耳の後ろ、首の後ろ。この帯は、後ろ足が伸びる長さがそのまま届く先を決めます。この記事では、その子が自分で届く範囲と、どうやっても届かない範囲を体の地図のように並べて、届かない範囲だけを人が代わるという分け方をまとめます。

後ろ足が伸びる長さで、届く先が決まる|マンチカンの毛づくろいの範囲

猫の毛づくろいは、1つの動きでできているわけではありません。舌が直接届く場所、前脚を舐めて濡らしてから拭く場所、後ろ足を持ち上げてかく場所。この3つの経路が、体の面を分け合っています。胸や腹や腰は舌が届きます。目のまわりや口のまわりは、舌ではなく前脚が担当します。そして耳の後ろから首の横にかけては、後ろ足だけが担当している範囲です。

マンチカンで条件が変わるのは、3つ目の経路です。この猫種は脚の長さに特徴があり、体高が低く、後ろ足を体の横に沿って持ち上げたときに足の先が到達する高さが、ほかの猫より手前で止まる子が多いという作りを持っています。持ち上げる動き自体はできます。ただ、届く先が短い。範囲の端が、耳の下あたりで切れてしまいます。

ここが厄介なのは、首から上の帯には代わりの経路がないからです。猫はどの子でも、自分の首の後ろに舌を回り込ませられません。体をどれだけひねっても、口は肩の手前までしか行きません。つまり首の後ろと耳の後ろは、もともと後ろ足しか通っていない一本道です。その一本道の到達点が短くなると、範囲がまるごと空きます。

マンチカンの毛づくろいを「減った」と感じるとき、その中身は多くの場合こういう形をしています。全身がまんべんなく手薄になるのではなく、ある帯だけが、最初から回数に入っていない。ほかの範囲は、ほかの猫と同じ回数だけ舐められています。だから見ていると、よく毛づくろいをしている猫に見えます。

Note毛の量が多いから、という話ではありません

マンチカンの被毛は短毛の子も長毛の子もいて、量そのものは一頭ずつ違います。けれど、届く範囲を決めているのは毛の量ではなく、足が伸びる長さのほうです。量の話にすると、答えは「もっとブラッシングする」になります。範囲の話にすると、答えは「どこを代わるか」に変わります。触る回数を増やす前に、まずその子の地図を作ってください。

舌が届く範囲と、後ろ足の先が止まる範囲|マンチカンの毛づくろいで生まれる違い

体の面を、経路ごとに並べてみます。比べるのは毛の状態ではなく、その場所へ何が通っているかです。マンチカンの毛づくろいで人が代わるべきなのは、通っている経路が1本しかなくて、その1本が途中で止まっている場所だけです。届いている範囲まで手を入れると、その子が自分でやっていたことを取り上げることになります。

マンチカンの体を、毛づくろいの経路で分けたときの違い
体の範囲通っている経路その子の毛づくろい人が代わるか
胸・腹・脇腹舌が直接届いています代わりません
腰・後ろ脚・しっぽ舌が直接届いています代わりません
顔・目のまわり・口もと前脚を濡らして拭く届いています代わりません
額から頭の上前脚と後ろ足の両方端まで届きにくい毛先の向きを見て
耳の後ろ後ろ足だけ足の先が止まりやすい代わります
首の横からあごの下後ろ足だけ浅くしか当たらない代わります
首の後ろどの経路も通らないもともと届きません代わります
肩の間どの経路も通らないもともと届きません代わります
自分で届く範囲と、後ろ足の先が止まる範囲 マンチカンの毛づくろいは、舌と前脚が担当する範囲まではほかの猫と変わりません。後ろ足だけが担当している耳の後ろから首にかけての帯で、足の先が届く高さが手前で止まります。人が代わるのは、この帯だけです。 同じ一頭の中で、手のかけ方が2つに分かれます その子が届く範囲 胸・腹・脇腹・腰 後ろ脚としっぽ 顔と目のまわり 毎日、自分で通ります 人は手を入れません 足の先が止まる範囲 頭の上と額の後ろ 耳の後ろ 首の横とあごの下 首の後ろと肩の間 ここだけ人が代わります 届いている範囲まで触ると、その子の毛づくろいの機会を減らします
毛づくろいの回数ではなく、届いている範囲の端がどこかを見ます。

この違いは、毛の見え方にも出ます。舌が通った場所は、毛が一方向に寝て、乾いたあとも束のような跡が残ります。前脚で拭いた場所は、毛先が細かく乱れて内側へ向きます。後ろ足が届かなかった場所は、毛の向きがそろわないまま、根元が浮いた状態で残ります。逆に言えば、毛の向きを見れば、その帯にその日どこまで届いたかが分かります。

もう一つの違いは、時間の経ち方です。届いている範囲は、毛が乱れても翌日には元に戻ります。届かない範囲は、乱れがそのまま次の日へ持ち越されます。持ち越しが続くと、毛先どうしが寄って、根元の側に細かいもつれの芯ができます。マンチカンの毛づくろいで人が代わる目的は、この持ち越しを毎日ゼロに戻すことです。

今日はどの範囲を代わるか|マンチカンの毛づくろいを見て決める選び方

毎日、届かない帯の全部に手を入れる必要はありません。その日にどこまで届いたかは、日によって変わるからです。選び方の中心は、毛の向きです。マンチカンが一通り毛づくろいを終えて、体を伸ばして落ち着いたところで、次の順に見てください。抱き上げず、座っている姿勢のまま確かめられます。

  1. 額から頭の上へ、指を1本すべらせる

    前脚で拭いた跡がある場所は、毛が細かく乱れて、しっとりした跡が残っています。途中から急に毛の向きがそろわなくなる線が、その日に前脚が届いた端です。その線より後ろが、今日の持ち場になります。額まできれいに拭けている日は、頭の上だけを見れば足ります。

  2. 耳の後ろを、親指の腹でゆっくりなぞる

    後ろ足の爪が当たっていれば、毛は根元から起きています。当たっていなければ、毛先が耳のふちに沿って寝たままです。指がすっと通るか、毛先の束に一度引っかかるか。引っかかる感触があった側だけを、その日代わります。左右で違うことがよくあります。

  3. 首の後ろは、毛の流れに逆らって指を入れる

    ここはどの猫でも自分では届かない場所なので、確かめるのは「届いたか」ではなく「持ち越しがどこまで進んだか」です。指が地肌まですっと入れば、今日は何もしなくて構いません。途中で押し返されたら、その厚みが溜まっているぶんです。

  4. 届いていた範囲には、その日は触らないと決める

    胸や腰や後ろ脚は、確かめる対象から外してください。マンチカンの毛づくろいが行き届いている範囲に人の手が増えると、その子が自分でやる回数のほうが減ります。手を入れる範囲を狭くするほど、1か所にかけられる丁寧さが上がります。

指で確かめた結果と、その日に代わる範囲の選び方
確かめたことその日の持ち場
額まで毛が拭けている頭の上だけ。耳の後ろは翌日に回せます
耳の後ろで指が引っかかるその片側の耳の後ろと、首の横まで
首の後ろで指が押し返される首の後ろと肩の間。ここを最優先にします
どこもすっと指が通るその日は代わらなくて構いません
Pointマンチカンは、姿勢によって届く範囲が変わります

同じ猫でも、丸くなっているときと、体を伸ばして座っているときでは、後ろ足が上がる高さが変わります。丸まっているときに確かめると、実際より届いていないように見えます。足を伸ばして座っている、または前脚を投げ出して寝そべっている姿勢のときに触ってください。日によって範囲がぶれて見えるときは、猫の変化ではなく、確かめた姿勢が違うだけのことがあります。

範囲・姿勢・時期|マンチカンの毛づくろいの減りを減らす3つの習慣

ここからは毎日の話です。3つ挙げますが、毎日3つを回すつもりで読まないでください。1回のケアの中で決めることが1つ、その場の姿勢で決めることが1つ、1年の中の時期で決めることが1つ。決める単位をずらしてあるので、忙しい週でも全部が同時に止まりません。マンチカンの毛づくろいに人が足すのは、あくまで届かない範囲のぶんだけです。

  1. 習慣1:1回のケアの中で、手を入れる範囲を4か所に固定する

    頭の上、耳の後ろ、首の横、首の後ろから肩の間。この4か所以外は触らない、と先に決めます。決めておくと、猫が動いたときに手が体の下のほうへ流れません。4か所を毎日全部やる必要もなく、§3で選んだ持ち場だけで足ります。範囲を固定する目的は、丁寧にやることではなく、その子の毛づくろいが担当している面に人の手を入れないことです。

  2. 習慣2:その場の姿勢に合わせて、当てる向きを決める

    首を下げているときは、首の後ろの毛が押されて根元が詰まります。顔を上げているときは、あごの下と首の横が開きます。猫の姿勢が、開いている面を教えてくれます。開いている面に、毛の流れに沿って短く当てる。無理に姿勢を変えさせないでください。マンチカンは体高が低いぶん、抱き上げて向きを作ろうとすると嫌がられやすく、次の日から近づいてこなくなります。

  3. 習慣3:1年の中で、換毛期だけ帯を1周する回数を増やす

    春と秋、抜けた毛がまとまって動く時期は、届かない帯に溜まる量が増えます。この時期だけ、4か所を1日1周ではなく、朝と夜で半分ずつ回してください。1回を長くするのではなく、周回の回数で増やします。その子が自分で舐めて飲み込む毛の量も、この時期は増えます。帯の側で先に受け取っておくと、口へ回る前に外へ出せます。時期が終わったら回数も戻します。

3つの習慣は、決める単位を揃えていません
何を決めるか決める単位
習慣1手を入れる範囲を4か所に限る1回のケアの中
習慣2開いている面に合わせた当てる向きそのときの姿勢ごと
習慣3帯を1周する回数1年の中。換毛期だけ

道具は、細かい歯のコームより、柔らかいブラシか指のほうが向きます。マンチカンの届かない帯は、面積が狭いわりに皮膚が薄く、下に骨があります。力が逃げないので、歯の当たりがそのまま伝わります。毛先を整えるのが目的ではなく、根元に留まった毛を外へ運び出すのが目的なので、根元を軽く起こして、毛先の方向へ短く送るだけで足ります。うるおいが減って毛先がぱさつく季節は、静電気で毛が散りやすくなるので、乾いたブラシをいきなり当てないでください。

届かない帯を人が代わる日は、グルーミングスプレーを手元に置いておくと作業が早く終わります。猫に直接吹きつけず、布か手のひらに含ませてから、頭の上と首の後ろを毛の流れに沿ってなでていってください。毛の滑りがそろってから歯を入れるので、根元に留まった毛を短い動きで外へ運び出せます。グルーミングスプレーは舐めても問題のない基準でつくられているため、猫が自分で口を回せない帯に使っても、量を気にせず足せます。濡れた感触が残るほど重ねると、その場所ばかりを気にして舐めにいくので、拭き取るくらいの量で足ります。

洗う日と、その間の日では、手に持つものが変わります。洗う日はモイストシャンプーで地肌まで湿らせて、届かない帯に溜まったものをまとめて外へ出す。間の日はグルーミングスプレーで毛の流れをそろえて、4か所だけを短く回す。毎日きれいにしておきたいという願いの側から組み立てると、1日ぶんの作業は数分で収まります。マンチカンが座った姿勢のままで触らせてくれる時間はそう長くないので、1回を短く終えられる形にしておくほうが、週のうちに4か所が1周します。

Caution首の後ろを、強く押さえないでください

首の後ろは、猫にとって押さえられると動きが止まる場所です。ここを手のひらでつかんで固定すると、ケアそのものが「動けなくされる時間」として記憶されます。片手は体に添えるだけにして、猫が離れたいそぶりを見せたらその場でやめてください。マンチカンの毛づくろいで人が代われるのは、その子がその場にいてくれるあいだだけです。1日で終わらせず、翌日に残りを回してください。

範囲では説明がつかない減り方|マンチカンで届いていた場所が手薄になるとき

ここまでは、後ろ足が届く先の長さで説明のつく話でした。届く範囲だったはずの場所まで手薄になってきたときは、範囲の話として片づけないでください。マンチカンの毛づくろいは、体のどこかに違和感があると、まず範囲の広いところから減ります。次のような変わり方は、家で様子を見る前に、動物病院に相談する側へ回してください。

Caution届く範囲のほうが減っているときの合図

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、同じ場所をなめ続けて毛が薄くなっている、触ると痛がる、毛づくろい自体をほとんどしなくなった、元気や食欲が落ちている。どれか1つでも当てはまるなら、帯を回す回数を増やすより先に、動物病院で見てもらってください。範囲の話で説明がつくかどうかを家で判断しようとせず、迷ったら早いほうを選んでください。

相談に行くときは、いつからか、どの範囲が減ったか、その範囲は前は届いていたかの3つをメモしてください。マンチカンのように、もともと届く範囲に特徴のある猫種では、この3つがあると「体の作りで説明のつく範囲」と「今回新しく減った範囲」を切り分けてもらいやすくなります。前の晩に頑張って全身をとかしてしまうと、元の状態が分からなくなります。とかさないまま連れて行くほうが、範囲の切り分けに役立ちます。

マンチカンと暮らすうえで、後ろ足が届く先が短いこと自体は変わりません。それはこの猫種が持っている体の作りで、直すものでも、補うために毎日長い時間をかけるものでもありません。動かせるのは、届かない範囲に毛の乱れが留まっている時間のほうです。その子の毛づくろいが行き届いている範囲には手を出さず、届かない4か所だけを、姿勢に合わせて、換毛期だけ回数を増やす。マンチカンの毛づくろいに人が足せるのは、その帯のぶんだけで足ります。

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よくある質問

マンチカンは、ほかの猫より毛づくろいが下手なのですか?
上手か下手かという話ではありません。舌が届く範囲と前脚で拭く範囲は、ほかの猫と同じように毎日通っています。違うのは、後ろ足だけが担当している耳の後ろから首にかけての帯で、足の先が届く高さが手前で止まりやすいことです。範囲の端が違うだけなので、その帯だけを人が代われば足ります。
毎日ブラッシングをしたほうがいいですか?
毎日全身にブラシを入れる必要はありません。マンチカンの毛づくろいが届いている範囲に人の手が増えると、その子が自分でやる回数のほうが減ります。頭の上、耳の後ろ、首の横、首の後ろの4か所だけを見て、指が引っかかった場所だけをその日の持ち場にしてください。指がすっと通る日は、何もしなくて構いません。
長毛のマンチカンでも、代わる範囲は同じですか?
範囲の分かれ方は同じです。後ろ足が届く先の長さで決まるので、毛の長さでは変わりません。ただ、長毛の子は届かない帯に留まった毛が絡んで芯になるまでの日数が短くなります。同じ4か所を、短毛の子より1周あたりの間隔を詰めて見てください。持ち越しを翌日に残さないことのほうが、1回の丁寧さより効きます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。