C12Q&A・豆知識
猫が1日に寝る時間
昼の12時に窓ぎわの椅子で寝ていた猫が、12月に入ってからは同じ時刻に廊下の日だまりへ移っていました。寝ている長さは、見た感じでは前の月と変わりません。猫の睡眠時間は、1日14〜16時間ほどとされています。比べる相手は1日の24時間で、割り算をすると6割前後を寝て過ごしている計算になります。ただ、この数字は今日はじめて出てきたものではなく、書かれ方も昔から大きくは動いていません。動かない数字なので、うちの子が最近よく寝るようになったかどうかを測る道具にはなりません。実際に入れ替わるのは、どこで寝るかと、どんな姿勢で寝るかのほうです。ここでは、猫の睡眠時間という数字の中身と、その数字では拾えないものを、8つの問答に分けて書いていきます。
猫の睡眠時間は1日に何時間とされていますか|数字が幅で書かれている理由
答えから書きます。猫の睡眠時間は、1日およそ14〜16時間とされています。読む資料によって、12〜16時間と幅を広くとってあるものもあります。どちらにしても、ひとつの数字ではなく幅で書かれているところが共通しています。
幅で書かれているのには理由があります。まず、猫の年齢で動きます。生まれて間もない子猫や、年齢の進んだ猫は、もっと長く寝ているとされます。次に、季節で動きます。寒い時期はまとまって寝ている時間が伸び、暖かい時期は短くなる、という書かれ方をよく見ます。さらに、その日の生活でも動きます。来客があった日と、誰も来なかった日では同じにはなりません。
つまり14〜16時間という猫の睡眠時間は、たくさんの猫と、たくさんの1日を、まとめて言い直したときの幅です。特定の1匹の、特定の1日を指した数字ではありません。ここを取り違えると、この記事の後半に書くことが全部ひっくり返ります。
以下、猫の睡眠時間の数字は「およそ」「〜とされています」の形でしか書きません。1つの数字に固めた書き方も、小数点以下まで細かくした書き方もしません。幅があること自体が、この数字の性質だからです。細かくすればするほど、実際の1匹から遠くなります。
そもそも猫にとっての睡眠時間とは、何を数えた時間ですか|24時間の6割前後という置き方
比べる相手を先に決めます。猫の睡眠時間を比べる相手は、1日の24時間です。14〜16時間を24時間で割ると、だいたい6割前後になります。言い換えると、起きて動いている時間は8〜10時間ほどという計算です。8時間というのは、人の勤務時間くらいの長さです。
この図でいちばん短い棒が、いちばん大事なところです。14時間と16時間の差は2時間あります。2時間というのは、家で見ている感覚では相当な長さです。それが、はじめから幅の中に入っています。だから、ある日に2時間長く寝ていても、その日の睡眠時間は幅の中に収まったままです。
もうひとつ、猫の睡眠時間とは何を指しているのかという問題があります。目を閉じている時間なのか、動いていない時間なのか、呼吸が落ち着いている時間なのか。まとめて「寝ている」と呼んでいますが、数え方が違えば数字も変わります。ここが次の問答につながります。
家で数えると、なぜ2時間くらい平気でずれるのですか|「うとうと」を入れるかどうか
実際にやってみると分かります。猫が、目を細めて座っている時間を、寝ている側に数えるか、起きている側に数えるか。ここで数字が動きます。日なたで香箱を組んで、耳だけこちらへ向けている状態は、どちらに入れるべきか迷います。1日にこの状態が何度もあるので、判断を変えると合計は簡単に1〜2時間動きます。
| 猫の状態 | 寝ているに数えると | 起きているに数えると |
|---|---|---|
| 目を閉じて横になっている | 入る | 入らない |
| 目を細めて座っている | 入る | 入らない |
| 耳だけこちらへ向けている | 判断が分かれる | 判断が分かれる |
| 音がすると顔を上げ、また戻る | 判断が分かれる | 判断が分かれる |
| 1日の合計 | 長くなる | 短くなる |
表の下2行が、家で数えるときにいちばん困るところです。猫の睡眠時間を家で数えると、その日の数字より先に、自分の数え方の癖が出ます。しかも、その癖は日によって変わります。忙しい日は細かく見ていないので、寝ている側に多く入ります。休みの日は見ている時間が長いので、起きている側が増えます。
そして、多くの家では1日ずっと猫を見ていられません。仕事に出ているあいだの時間は、そもそも数えられていません。数えていない時間を「たぶん寝ていた」で埋めると、合計は自然に長くなります。猫の睡眠時間を自分で測ろうとすると、まずここで止まります。
猫の睡眠時間は、うちの子の変化を測る物差しになりますか|動かない数字の使い道
ここがこの記事の核です。結論から書くと、なりません。理由は、これまでの3つを重ねると出てきます。もともと2時間の幅がある。年齢と季節で動く。家で数えると数え方でさらに動く。この3つがそろっている数字で、「先月より長くなった」を判断することはできません。
| 問い | この数字で答えられるか | 理由 |
|---|---|---|
| 猫はよく寝る動物か | 答えられる | 1日の6割前後という割合が出せる |
| 起きている時間はどのくらいか | 答えられる | 24時間から引けばよい |
| うちの子は寝すぎか | 答えられない | もとの幅が広く、個体差が入っている |
| 先月より長くなったか | 答えられない | 家で数えた数字がその日の癖で動く |
| 体に何か起きているか | 答えられない | 時間の長さは状態を映していない |
では、この数字は使えないのかというと、そうではありません。使い道は「驚かないため」です。1日の6割を寝て過ごすと知っていれば、日中ずっと寝ている猫を見ても、それ自体を心配の材料にしなくて済みます。猫の睡眠時間という数字が答えているのは、そこまでです。
逆に言えば、この数字を毎日の観察の道具にしようとすると空振りします。変化を見たいなら、時間ではないところを見る必要があります。次の問答から、その中身に入ります。
「最近よく寝ているけれど大丈夫ですか」という疑問には、何で答えますか
この疑問がいちばん多いところだと思います。答えは、時間ではなく、場所と姿勢で答えます。よく寝ているように見える、というときに実際に起きている変化は、たいてい「長くなった」ではなく「同じ時刻に、違うところで寝るようになった」ほうだからです。
冒頭に書いた例がそれです。11月まで窓ぎわの椅子にいた猫が、12月に入って廊下の日だまりへ移りました。寝ている長さを測っていたら、この変化は数字に出ません。場所を見ていたので気づきました。移った理由は、たまたま日の当たり方が変わっただけかもしれませんし、椅子の上が寒くなったのかもしれません。理由まではこちらでは分かりませんが、変わったこと自体は確実に記録できます。
- 同じ時刻に、違う場所で寝ている:温度、明るさ、人の動線のどれかが変わっています
- 高いところから低いところへ移った:上がる回数が減っている可能性があります
- 柔らかいところより硬いところを選ぶようになった:沈み込む場所を避けている場合があります
- 人の近くから離れた、あるいは急に近くなった:どちらの向きの変化も記録します
- 寝ている場所の数が減った:使う場所が1か所に絞られてきたときは日付を書きます
この5つは、どれも「大丈夫かどうか」の判断ではありません。判断ではなく、記録です。猫の変化について、家で確実にできるのは記録までで、そこから先の判断は動物病院の領域です。ただ、記録があるかないかで、相談したときに伝えられることがまったく違ってきます。
変化が出るのは場所のほうです|猫が寝る場所を替えるとき、動いているのは温度と高さ
猫が寝る場所を選ぶときの条件は、大きく3つに整理できます。温度、高さ、人の動線です。この3つのどれかが動くと、寝る場所が入れ替わります。逆に言うと、寝る場所が入れ替わったときは、この3つのどれかが動いています。
| 条件 | 何が変わると動くか | 家で確かめられること |
|---|---|---|
| 温度 | 外気、暖房の向き、日の入り方 | その場所に手のひらを当てて温度を比べる |
| 高さ | 上がる場所への行きやすさ | 途中の足場が動いていないか見る |
| 人の動線 | 家具の位置、家族の生活時間 | その場所を人が通る回数を数える |
| 面のかたさ | クッションのへたり | 手で押して沈み方を比べる |
| 明るさ | 季節による日の長さ | 同じ時刻の写真を並べる |
3つのうち、家でいちばん見落としやすいのは高さです。これまで上がっていた場所へ行かなくなったとき、寝ている時間そのものは変わりません。合計の睡眠時間で見ていると、まったく気づけない変化です。棚の上で寝ていた猫が、同じ時間だけ床のクッションで寝ていたら、時間は同じままです。
12月の例に戻ります。窓ぎわの椅子から廊下の日だまりへ移ったのは、温度の条件が動いたからでした。同じ時刻に手のひらを当ててみると、椅子の座面より廊下の床のほうが暖かくなっていました。猫の睡眠時間という数字を追いかけていたら、この確かめ方は出てきません。場所を見ていたから、手を当てるところまで進めました。
姿勢からは何が分かりますか|丸くなる・伸ばす・顔をうずめるの3つを記録する
場所の次に見るのが姿勢です。猫の寝る姿勢は、大まかに3つに分けて記録できます。体を丸めている、体を伸ばしている、顔を前足や体にうずめている。この3つを、日付と一緒にメモするだけで足ります。中身の意味づけは要りません。
- 丸くなっている:体の表面を小さくしている状態です。寒い時期に増えます
- 伸びている:体を広げている状態です。暖かい時期や、暖房の前で増えます
- 顔をうずめている:明るさや音を避けている場合があります
- 横向きに倒れている:完全に脱力している状態としてよく挙げられます
- 前足を体の下に折り込んでいる:いわゆる香箱の形で、すぐ動ける状態とされます
姿勢を記録する意味は、比べる相手が自分の中にできることです。猫の睡眠時間は幅が広くて比べにくい数字でしたが、姿勢は「先週のこの子」と直接比べられます。今週は丸くなっている日が多い、先週は伸びている日が多かった。この比べ方なら、他の猫の平均を持ち出す必要がありません。
記録の形は、1日1行で十分です。日付、時刻、場所、姿勢。この4つを、スマートフォンのメモに書いていきます。写真を1枚撮っておくと、あとで見返したときに姿勢が正確に分かります。毎日の習慣にしようとすると続かないので、寝ている姿を見かけた日だけでかまいません。
猫は1日の6割前後をどこかで寝ているので、寝床の布には、その時間ぶんの毛と皮脂が集まります。布の様子が先に変わることがあるので、布を替える曜日を決めておくと、変化に気づきやすくなります。毛が集まる場所が変わったときは、寝ている場所が変わったということです。
猫の睡眠時間を知りたい人が持ち帰る3つ|毎日のケアの置き場所
整理します。1つめ、猫の睡眠時間は1日14〜16時間ほどとされていて、24時間の6割前後にあたります。2つめ、この数字はもともと幅が広く、うちの子の変化を測る物差しにはなりません。3つめ、変化は寝ている場所と姿勢のほうに出ます。この3つを持ち帰れば、この記事の役目は終わりです。
| 睡眠時間で見る | 場所と姿勢で見る | |
|---|---|---|
| 比べる相手 | たくさんの猫の平均 | 先週の同じ子 |
| 必要な道具 | 1日中見ていられる時間 | メモ1行と写真1枚 |
| 数え方でずれるか | ずれる | ずれにくい |
| 仕事に出ている日 | 数えられない | 朝と夜だけで足りる |
| 動物病院で使えるか | 使いにくい | 日付つきで伝えられる |
寝ている場所が急に1か所だけになった、高いところへまったく上がらなくなった、食べる量や水を飲む量が変わった、寝ているときの呼吸のしかたがいつもと違う、同じ場所をなめ続けている、皮膚に赤みやべたつきがある、触ると避ける場所ができた。こうした変化は、猫の睡眠時間の長さでは判断できません。気づいた時点で動物病院にご相談ください。相談のときは、いつから、どこで寝るようになったか、姿勢はどうだったかを、日付つきでメモして持っていくと話が早く進みます。写真が数枚あれば、それだけで十分な材料になります。
数字の扱いも、もう一度だけ書いておきます。14〜16時間という猫の睡眠時間は、幅つきで受け取る数字です。1つの数字に固めて覚えると、うちの子が15時間寝ていない日に不安になり、17時間寝た日に安心してしまいます。どちらも、この数字が答えられる範囲の外にあります。見るのは、場所と姿勢のほうです。
毎日のケアの置き場所も、ここで決まります。寝ている時間が長いということは、こちらの手を入れられる時間が短いということです。猫は起きているあいだの多くを毛づくろいに使いますが、舌が届くのは口が回る範囲までで、背中の真ん中と尾のつけ根には自分では届きません。寝る場所が入れ替わったときに毛と皮脂が集まるのも、たいていこの届かない側です。mofuwa スキンケアミストは電解水100%の処方で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。猫は触られたあと、その場所をなめて整え直すので、舐めても問題のない基準でつくられていることが、そのまま使いどころになります。起きて動いている8〜10時間のうち、猫が近くに来た数分で、背中から尾のつけ根まで一往復。長く寝ている子ほど、1回を短くしておくほうが実際には回ります。
触る時間が短くても、触った日付が残っていれば、前回との差は見えます。日付・時刻・場所・姿勢の1行に、背中を一往復した印を足すだけです。1か月続けると、寝る場所が入れ替わった週と、毛の集まり方が変わった週が、同じメモの上に並びます。猫の睡眠時間という数字では並べられなかったものが、この1行のほうには残っていきます。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
