C12Q&A・豆知識

歯みがきは毎日必要?

公開日 2022年12月9日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色のブランケットの上に落ち着いて伏せている、白っぽい毛の犬
犬の歯磨きの頻度で先に落ちるのは回数ではなく、口を触らせてくれる状態のほうです。写真:https://kaboompics.com//Pexels

金曜の夜に3日ぶりで歯ブラシを出したら、月曜には開けてくれた口を、その日は5秒で閉じられました。犬の歯磨きは、毎日が理想とされています。ただ、この記事で書きたいのは頻度の数字そのものではありません。毎日できないことを理由にやめてしまうほうが、あとになって効いてきます。3日空いた金曜に減っていたのは、磨いた回数ではなく、口を触らせてくれる状態のほうでした。犬の歯磨きの頻度を考えるときは、この2つを分けて数えると答えが出ます。ここでは、頻度の決め方と、歯に届く前の3段を、8つの問答に分けて書いていきます。

犬の歯磨きは毎日必要ですか

答えから書きます。犬の歯磨きは、毎日が理想とされています。これは一般によく言われている目安で、この記事でもそこは動かしません。ただし、答えはここで終わりません。毎日できないと分かったときに、何を残すかのほうが大事です。

実際のところ、毎日きちんと歯ブラシを当てられている家は多くありません。仕事から帰った時刻、家族の予定、その日の犬の機嫌。条件がそろわない日があります。問題は、できない日が続いたときに「うちはもう無理だ」と結論を出してしまうことです。頻度が0になるのは、たいてい理想の数字に届かなかったことがきっかけです。

だから、この記事では頻度を1つの数字で答えません。犬の歯磨きの頻度を、「道具を当てる頻度」と「口を触る頻度」の2つに分けます。前者は毎日でなくてかまいません。後者は毎日にします。この分け方にすると、忙しい週でも0にならずに済みます。

Noteこの記事が踏み込まない線

歯石、歯周病、抜歯といった話は、診断も処置も動物病院の領域です。この記事では、原因の見立ても、治し方も書きません。書くのは、家で決められる頻度のことと、口を触らせてもらうまでの順番だけです。口の中に気になるところがある場合は、頻度を上げる前に動物病院にご相談ください。

毎日が理想とされるのはなぜですか|歯磨きの頻度が、汚れのたまる速さから来ている話

理由は、汚れのたまり方にあります。歯についた汚れは、時間がたつと硬くなっていくとされています。硬くなる速さには個体差があり、食べているものや口の中の状態でも変わるとされますが、置いておく時間が長いほど落としにくくなる、という向きは共通しています。犬 歯磨き なぜ毎日、と調べたときに出てくる説明は、たいていここです。

ただ、この説明には続きがあります。硬くなってしまったものは、家の歯磨きでは扱えません。そこから先は動物病院の領域です。つまり、毎日の歯磨きが向き合っているのは、硬くなる前の段階だけです。ここを取り違えて、硬くなったものを家で落とそうとすると、力が入って口を触らせてもらえなくなります。頻度の話が壊れるのは、たいていこの入口です。

犬の歯磨きの頻度を、2つに分けて考える
道具を当てる口を触る
何をするか歯ブラシや布を歯に当てる口のまわりを触る、唇をめくる
1回の長さ10秒から1分5秒から10秒
向いている頻度できる日に。週に数回でも成立する毎日
できない日の影響汚れが1日ぶん残る触られることから遠ざかる
取り戻しやすさ翌日にやれば戻る空いた日数ぶん、かかる

この表のいちばん下の行が、この記事の核です。道具を当てる回数は、あとから取り戻せます。口を触らせてくれる状態は、取り戻すのに日数がかかります。だから、忙しい週に落とすなら道具のほうです。触るほうを落とすと、次に道具を出したときに、そもそも口が開きません。

毎日できない週は、いっそやめてもいいですか|頻度が落ちた週に、本当に減るもの

やめないでください。やめることの影響は、磨けなかった日数より大きくなります。冒頭に書いた金曜の話がそれです。月曜には5秒開けてくれた口が、3日空けた金曜には閉じられました。この3日で増えた汚れより、この3日で遠ざかった距離のほうが、あとの手間として返ってきました。

1週間で落とすなら、どちらを落とすか 犬の歯磨きの頻度を、道具を当てる回数と、口を触る回数に分けて並べています。忙しい週にどちらを残すかで、翌週の始まり方が変わります。 同じ1週間を、2つの数え方で見ています 口を触る回数を残す 1回5秒から10秒で終わる 道具を出さなくてよい 毎日の流れに入れやすい 翌週も同じ位置から始まる 触った日付が記録に残る 道具を当てる回数を残す 1回10秒から1分かかる 道具を出す手間がいる 疲れた夜に落ちやすい 空くと開け方から戻る できた日だけ記録が残る
左を残した週は、翌週も同じところから始められます。右だけを残した週は、翌週に開け方から戻ります。

図の右側にある「空くと開け方から戻る」が、頻度の話をややこしくしている部分です。犬の歯磨きは、体力や道具ではなく、口を開けてもらえるかどうかで止まります。そして、開けてもらえる状態は毎日の積み重ねでできています。週に1回、長い時間をかけてまとめてやろうとしても、その1回で口が開かなければ何も進みません。

だから、忙しい週の答えはこうなります。道具を当てる頻度は週2回でも1回でもかまいません。口を触る頻度だけは、毎日残してください。5秒で足ります。テレビを見ているときに手を伸ばして、口のまわりに指を当てて離す。それだけで、その日の頻度は1回になります。

そもそも犬の歯磨きとは、何をしている時間ですか|2つの作業が重なっている

頻度の答えがすっきりしないのは、歯磨きという言葉が2つの作業をまとめて指しているからです。1つは、歯についたものを落とす作業。もう1つは、口を触らせてもらう作業です。この2つは、必要な頻度も、1回の長さも、うまくいかなかったときの戻し方も違います。

犬 歯磨き とは何か、という問いに対しては、「落とす作業と、触らせてもらう作業が、たまたま同じ時間に入っているもの」という答え方がいちばん実際に合っています。同じ時間に入っているので、片方ができない日に両方をやめてしまいがちです。分けて数えると、その日にできたほうだけを残せます。

頻度を記録するときも、2つに分けて書いてください。カレンダーに、道具を使った日は丸、口を触った日は点。1か月ぶんを並べると、点が毎日続いていれば、丸が週2回でも形になっているのが見えます。逆に、点が抜けている週は、丸も抜けています。犬の歯磨きの頻度が落ちるときは、いつも点のほうから落ちます。

口を触らせてくれない子は、どこから始めますか|歯に届く前の3段

歯に届く前に、3つの段があります。口のまわりを触る、唇をめくる、歯に触れる。この順で進みます。いま何段目にいるかを決めてから、そこだけを毎日やります。3段目まで進んでいない子に歯ブラシを当てようとすると、そのたびに1段目へ戻ることになります。

  1. 1段目:口のまわりを、外側から触る

    唇には触れません。鼻すじから頬にかけて、手のひらの側で5秒だけ触れて離します。嫌がらなければその日は終わりです。おやつも褒め言葉も、離したあとに置きます。この段だけを1週間続けても、まったく問題ありません。犬の歯磨きの頻度は、この段では毎日1回で足ります。

  2. 2段目:唇を、少しだけめくる

    1段目で顔をそむけなくなってから進みます。片側の唇を指で少し持ち上げて、犬歯が見えたら戻します。時間は3秒で十分です。左右を同じ日にやろうとしないでください。今日は右、明日は左、と分けたほうが、頻度としては続きます。

  3. 3段目:歯に触れる

    指か、指に巻いた布で、外側の面に一度だけ触れます。奥から手をつけず、いちばん手前の歯からです。ここまで来て、はじめて道具の出番が近くなります。歯ブラシを使うかどうかは、この段が安定してから決めれば足ります。

  4. 戻ったときは、1段下げる

    顔をそむけた日、口を閉じた日は、その日のうちに引き下がります。その週は1つ手前の段に戻して、また積み直します。戻ること自体は失敗ではありません。頻度を守ろうとして無理に進めるほうが、あとで長く止まります。

3段のどこにいても、1日にかかる時間は10秒前後です。時間が短いので、毎日の頻度を守りやすくなります。逆に、最初から3分の歯磨きを毎日やろうとすると、3日目あたりで人のほうが続かなくなります。犬の側の問題ではなく、こちらの予定の問題として落ちます。

口のまわりを触るときは、食後すぐを避けてください。食べたあとは口のまわりに食べこぼしが残っていて、触られること自体を嫌がりやすくなります。時刻は、落ち着いている夜のほうが向いています。毎日同じ時刻にしておくと、頻度が習慣に変わります。

週に何回なら大丈夫ですか|犬の歯磨きの頻度を数字で決める前に、決めておく1つ

「週に何回なら大丈夫ですか」という聞き方には、正直に答えます。すべての犬に当てはまる回数はありません。口の中の状態も、食べているものも、年齢も違います。回数を1つに決めてもらっても、その数字がその子に合っているかどうかは分かりません。

そのうえで、数字を決める前に決めておくものが1つあります。やる時刻です。「週3回」と決めた家より、「毎晩、寝る前に」と決めた家のほうが続きます。回数は結果として決まります。頻度を守るために決めるのは、回数ではなく時刻のほうです。

決め方によって、1か月後に残るもの
決め方1か月後の回数続いた理由・落ちた理由
週3回と決めるばらつくどの日にやるかを毎回考えることになる
毎晩、寝る前と決めるそろいやすい考える場面がなく、時刻が合図になる
気づいたときにやる落ちる気づく日が減っていく
休みの日にまとめる回数は少ない1回が長くなり、口を閉じられやすい
毎晩触る+週末に道具点が毎日、丸が週1落とす日があっても0にならない

いちばん下の行が、この記事のおすすめです。毎晩5秒触って、週末に道具を1回。これで、犬の歯磨きの頻度は「毎日1回+週1回」という形になります。理想とされる毎日の歯磨きには届いていませんが、0ではありません。そして、余裕のある週には道具の回数だけを増やせます。増やす先が用意されている形にしておくのが、この決め方の狙いです。

反対に、増やしてはいけない場面もあります。口のまわりを触ると避ける、食べ方が変わった、口を気にしてこすりつける。こうした様子があるときは、頻度を上げて何とかしようとしないでください。触る回数を増やすと、嫌がる経験だけが積み上がります。動物病院にご相談ください。

猫の場合も同じ頻度で考えていいですか|触らせてもらえる時間の長さが違う

考え方は同じですが、段の進み方が違います。猫は、口のまわりに手が来ることを受け入れる時間が、犬より短いことが多いです。そのため、1回を5秒ではなく2〜3秒に区切り、段を進める速さも落とします。犬の歯磨きの頻度で書いた3段は、猫では1段あたりの日数を倍くらいに見ておくと無理がありません。

もう1つ違うのは、始める時刻です。犬は寝る前が向いていますが、猫は、自分から近くに来た数分に合わせるほうが進みます。こちらから探しに行くと、それだけで場所を移されます。頻度としては毎日を目指しますが、来なかった日は数えない、と決めておくと続きます。

口のまわりの被毛のことも書いておきます。口のまわりは、食べこぼしと唾液が乾いて残る場所です。ここが固まっていると、触られること自体を嫌がります。mofuwa グルーミングスプレーは、この乾いて固まったものをゆるめるために使います。アルカリ電解水が食べこぼしの油と乳化するので、湯を使わなくても、布を当てて外側から一度なでるだけで取れます。口のまわりは、犬も猫もこのあと自分でなめます。グルーミングスプレーは清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、なめる場所に当てるものとしての条件が先に満たされています。触る練習の直前に置いても、増えるのは10秒ほどです。指が引っかからないぶん、その日の5秒をそのまま5秒で終えられます。口の中に入れるものではないので、当てるのは外側の被毛だけにしてください。

犬の歯磨きの頻度は、やる気ではなく時刻で決まります|点と丸の1か月

最後に整理します。犬の歯磨きは毎日が理想とされています。ただし、毎日できないことを理由にやめてしまうと、減るのは磨いた回数ではなく、口を触らせてくれる状態のほうです。頻度を守るために分けるのは、道具を当てる回数と、口を触る回数の2つ。落としていいのは前者で、毎日残すのは後者です。

今日から1か月、何をどの頻度でやるか
いつやることかかる時間
毎晩、決めた時刻いまいる段を1回だけやる5秒から10秒
週末のどこか1回道具を当てる10秒から1分
嫌がった日1段下げて、その日は終わり5秒
毎日カレンダーに点を打つ3秒
1か月後点の並びを見て、段を進めるか決める1分
いつでも気になる様子があれば動物病院へその日のうちに

1か月後に見るのは、回数の合計ではありません。点が抜けている日が、どこにかたまっているかです。平日の後半に抜けているなら、時刻の置き場所を変えます。週末だけ抜けているなら、予定の入り方の問題です。犬の歯磨きの頻度は、やる気ではなく、どの時刻に置いたかで決まります。

今日決めることは1つだけにしてください。「毎晩、何時に、5秒触るか」。段を進めるのはあとでかまいませんし、道具を買うのもあとでかまいません。犬の歯磨きの頻度を知りたいと思ったときに、いちばん先に効くのはこの1つです。

Caution頻度を上げても解決しない変化

口を触ると急に避けるようになった、食べる速さが落ちた、片側だけで噛んでいる、よだれが増えた、口のまわりを前足でこする、口を気にして床にこすりつける、顔のどこかが腫れている、においが急に変わった。こうした変化があるときは、歯磨きの頻度を上げても解決しません。家でできる範囲を超えているので、動物病院にご相談ください。相談のときは、いつからか、どちら側か、食べ方がどう変わったかをメモして持っていくと、話が早く進みます。皮膚や被毛の状態と一緒に見てもらえると、なお確かです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。