C12Q&A・豆知識
歯みがきは毎日必要?
金曜の夜に3日ぶりで歯ブラシを出したら、月曜には開けてくれた口を、その日は5秒で閉じられました。犬の歯磨きは、毎日が理想とされています。ただ、この記事で書きたいのは頻度の数字そのものではありません。毎日できないことを理由にやめてしまうほうが、あとになって効いてきます。3日空いた金曜に減っていたのは、磨いた回数ではなく、口を触らせてくれる状態のほうでした。犬の歯磨きの頻度を考えるときは、この2つを分けて数えると答えが出ます。ここでは、頻度の決め方と、歯に届く前の3段を、8つの問答に分けて書いていきます。
犬の歯磨きは毎日必要ですか
答えから書きます。犬の歯磨きは、毎日が理想とされています。これは一般によく言われている目安で、この記事でもそこは動かしません。ただし、答えはここで終わりません。毎日できないと分かったときに、何を残すかのほうが大事です。
実際のところ、毎日きちんと歯ブラシを当てられている家は多くありません。仕事から帰った時刻、家族の予定、その日の犬の機嫌。条件がそろわない日があります。問題は、できない日が続いたときに「うちはもう無理だ」と結論を出してしまうことです。頻度が0になるのは、たいてい理想の数字に届かなかったことがきっかけです。
だから、この記事では頻度を1つの数字で答えません。犬の歯磨きの頻度を、「道具を当てる頻度」と「口を触る頻度」の2つに分けます。前者は毎日でなくてかまいません。後者は毎日にします。この分け方にすると、忙しい週でも0にならずに済みます。
歯石、歯周病、抜歯といった話は、診断も処置も動物病院の領域です。この記事では、原因の見立ても、治し方も書きません。書くのは、家で決められる頻度のことと、口を触らせてもらうまでの順番だけです。口の中に気になるところがある場合は、頻度を上げる前に動物病院にご相談ください。
毎日が理想とされるのはなぜですか|歯磨きの頻度が、汚れのたまる速さから来ている話
理由は、汚れのたまり方にあります。歯についた汚れは、時間がたつと硬くなっていくとされています。硬くなる速さには個体差があり、食べているものや口の中の状態でも変わるとされますが、置いておく時間が長いほど落としにくくなる、という向きは共通しています。犬 歯磨き なぜ毎日、と調べたときに出てくる説明は、たいていここです。
ただ、この説明には続きがあります。硬くなってしまったものは、家の歯磨きでは扱えません。そこから先は動物病院の領域です。つまり、毎日の歯磨きが向き合っているのは、硬くなる前の段階だけです。ここを取り違えて、硬くなったものを家で落とそうとすると、力が入って口を触らせてもらえなくなります。頻度の話が壊れるのは、たいていこの入口です。
| 道具を当てる | 口を触る | |
|---|---|---|
| 何をするか | 歯ブラシや布を歯に当てる | 口のまわりを触る、唇をめくる |
| 1回の長さ | 10秒から1分 | 5秒から10秒 |
| 向いている頻度 | できる日に。週に数回でも成立する | 毎日 |
| できない日の影響 | 汚れが1日ぶん残る | 触られることから遠ざかる |
| 取り戻しやすさ | 翌日にやれば戻る | 空いた日数ぶん、かかる |
この表のいちばん下の行が、この記事の核です。道具を当てる回数は、あとから取り戻せます。口を触らせてくれる状態は、取り戻すのに日数がかかります。だから、忙しい週に落とすなら道具のほうです。触るほうを落とすと、次に道具を出したときに、そもそも口が開きません。
毎日できない週は、いっそやめてもいいですか|頻度が落ちた週に、本当に減るもの
やめないでください。やめることの影響は、磨けなかった日数より大きくなります。冒頭に書いた金曜の話がそれです。月曜には5秒開けてくれた口が、3日空けた金曜には閉じられました。この3日で増えた汚れより、この3日で遠ざかった距離のほうが、あとの手間として返ってきました。
図の右側にある「空くと開け方から戻る」が、頻度の話をややこしくしている部分です。犬の歯磨きは、体力や道具ではなく、口を開けてもらえるかどうかで止まります。そして、開けてもらえる状態は毎日の積み重ねでできています。週に1回、長い時間をかけてまとめてやろうとしても、その1回で口が開かなければ何も進みません。
だから、忙しい週の答えはこうなります。道具を当てる頻度は週2回でも1回でもかまいません。口を触る頻度だけは、毎日残してください。5秒で足ります。テレビを見ているときに手を伸ばして、口のまわりに指を当てて離す。それだけで、その日の頻度は1回になります。
そもそも犬の歯磨きとは、何をしている時間ですか|2つの作業が重なっている
頻度の答えがすっきりしないのは、歯磨きという言葉が2つの作業をまとめて指しているからです。1つは、歯についたものを落とす作業。もう1つは、口を触らせてもらう作業です。この2つは、必要な頻度も、1回の長さも、うまくいかなかったときの戻し方も違います。
- 落とす作業:歯に道具が当たっている必要があります。数十秒あれば一区切りになります
- 触らせてもらう作業:道具は要りません。口のまわりに手が来ることに慣れてもらう時間です
- 落とす作業だけを増やすと:嫌がる回数が増えて、触らせてもらう側が減ります
- 触らせてもらう作業だけを増やすと:汚れは残りますが、道具に進む道は残ります
- どちらも0にすると:次に始めるとき、いちばん手前の段から組み直すことになります
犬 歯磨き とは何か、という問いに対しては、「落とす作業と、触らせてもらう作業が、たまたま同じ時間に入っているもの」という答え方がいちばん実際に合っています。同じ時間に入っているので、片方ができない日に両方をやめてしまいがちです。分けて数えると、その日にできたほうだけを残せます。
頻度を記録するときも、2つに分けて書いてください。カレンダーに、道具を使った日は丸、口を触った日は点。1か月ぶんを並べると、点が毎日続いていれば、丸が週2回でも形になっているのが見えます。逆に、点が抜けている週は、丸も抜けています。犬の歯磨きの頻度が落ちるときは、いつも点のほうから落ちます。
口を触らせてくれない子は、どこから始めますか|歯に届く前の3段
歯に届く前に、3つの段があります。口のまわりを触る、唇をめくる、歯に触れる。この順で進みます。いま何段目にいるかを決めてから、そこだけを毎日やります。3段目まで進んでいない子に歯ブラシを当てようとすると、そのたびに1段目へ戻ることになります。
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1段目:口のまわりを、外側から触る
唇には触れません。鼻すじから頬にかけて、手のひらの側で5秒だけ触れて離します。嫌がらなければその日は終わりです。おやつも褒め言葉も、離したあとに置きます。この段だけを1週間続けても、まったく問題ありません。犬の歯磨きの頻度は、この段では毎日1回で足ります。
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2段目:唇を、少しだけめくる
1段目で顔をそむけなくなってから進みます。片側の唇を指で少し持ち上げて、犬歯が見えたら戻します。時間は3秒で十分です。左右を同じ日にやろうとしないでください。今日は右、明日は左、と分けたほうが、頻度としては続きます。
-
3段目:歯に触れる
指か、指に巻いた布で、外側の面に一度だけ触れます。奥から手をつけず、いちばん手前の歯からです。ここまで来て、はじめて道具の出番が近くなります。歯ブラシを使うかどうかは、この段が安定してから決めれば足ります。
-
戻ったときは、1段下げる
顔をそむけた日、口を閉じた日は、その日のうちに引き下がります。その週は1つ手前の段に戻して、また積み直します。戻ること自体は失敗ではありません。頻度を守ろうとして無理に進めるほうが、あとで長く止まります。
3段のどこにいても、1日にかかる時間は10秒前後です。時間が短いので、毎日の頻度を守りやすくなります。逆に、最初から3分の歯磨きを毎日やろうとすると、3日目あたりで人のほうが続かなくなります。犬の側の問題ではなく、こちらの予定の問題として落ちます。
口のまわりを触るときは、食後すぐを避けてください。食べたあとは口のまわりに食べこぼしが残っていて、触られること自体を嫌がりやすくなります。時刻は、落ち着いている夜のほうが向いています。毎日同じ時刻にしておくと、頻度が習慣に変わります。
週に何回なら大丈夫ですか|犬の歯磨きの頻度を数字で決める前に、決めておく1つ
「週に何回なら大丈夫ですか」という聞き方には、正直に答えます。すべての犬に当てはまる回数はありません。口の中の状態も、食べているものも、年齢も違います。回数を1つに決めてもらっても、その数字がその子に合っているかどうかは分かりません。
そのうえで、数字を決める前に決めておくものが1つあります。やる時刻です。「週3回」と決めた家より、「毎晩、寝る前に」と決めた家のほうが続きます。回数は結果として決まります。頻度を守るために決めるのは、回数ではなく時刻のほうです。
| 決め方 | 1か月後の回数 | 続いた理由・落ちた理由 |
|---|---|---|
| 週3回と決める | ばらつく | どの日にやるかを毎回考えることになる |
| 毎晩、寝る前と決める | そろいやすい | 考える場面がなく、時刻が合図になる |
| 気づいたときにやる | 落ちる | 気づく日が減っていく |
| 休みの日にまとめる | 回数は少ない | 1回が長くなり、口を閉じられやすい |
| 毎晩触る+週末に道具 | 点が毎日、丸が週1 | 落とす日があっても0にならない |
いちばん下の行が、この記事のおすすめです。毎晩5秒触って、週末に道具を1回。これで、犬の歯磨きの頻度は「毎日1回+週1回」という形になります。理想とされる毎日の歯磨きには届いていませんが、0ではありません。そして、余裕のある週には道具の回数だけを増やせます。増やす先が用意されている形にしておくのが、この決め方の狙いです。
反対に、増やしてはいけない場面もあります。口のまわりを触ると避ける、食べ方が変わった、口を気にしてこすりつける。こうした様子があるときは、頻度を上げて何とかしようとしないでください。触る回数を増やすと、嫌がる経験だけが積み上がります。動物病院にご相談ください。
猫の場合も同じ頻度で考えていいですか|触らせてもらえる時間の長さが違う
考え方は同じですが、段の進み方が違います。猫は、口のまわりに手が来ることを受け入れる時間が、犬より短いことが多いです。そのため、1回を5秒ではなく2〜3秒に区切り、段を進める速さも落とします。犬の歯磨きの頻度で書いた3段は、猫では1段あたりの日数を倍くらいに見ておくと無理がありません。
もう1つ違うのは、始める時刻です。犬は寝る前が向いていますが、猫は、自分から近くに来た数分に合わせるほうが進みます。こちらから探しに行くと、それだけで場所を移されます。頻度としては毎日を目指しますが、来なかった日は数えない、と決めておくと続きます。
- 1回の長さ:犬は5秒、猫は2〜3秒から始めます
- 段を進める間隔:犬は1週間、猫は2週間を目安にします
- 始める時刻:犬は決めた時刻、猫は近くに来たとき
- 戻ったとき:どちらも、その日のうちに1段下げます
- 記録:どちらも、触った日に点を打つだけで足ります
口のまわりの被毛のことも書いておきます。口のまわりは、食べこぼしと唾液が乾いて残る場所です。ここが固まっていると、触られること自体を嫌がります。mofuwa グルーミングスプレーは、この乾いて固まったものをゆるめるために使います。アルカリ電解水が食べこぼしの油と乳化するので、湯を使わなくても、布を当てて外側から一度なでるだけで取れます。口のまわりは、犬も猫もこのあと自分でなめます。グルーミングスプレーは清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、なめる場所に当てるものとしての条件が先に満たされています。触る練習の直前に置いても、増えるのは10秒ほどです。指が引っかからないぶん、その日の5秒をそのまま5秒で終えられます。口の中に入れるものではないので、当てるのは外側の被毛だけにしてください。
犬の歯磨きの頻度は、やる気ではなく時刻で決まります|点と丸の1か月
最後に整理します。犬の歯磨きは毎日が理想とされています。ただし、毎日できないことを理由にやめてしまうと、減るのは磨いた回数ではなく、口を触らせてくれる状態のほうです。頻度を守るために分けるのは、道具を当てる回数と、口を触る回数の2つ。落としていいのは前者で、毎日残すのは後者です。
| いつ | やること | かかる時間 |
|---|---|---|
| 毎晩、決めた時刻 | いまいる段を1回だけやる | 5秒から10秒 |
| 週末のどこか1回 | 道具を当てる | 10秒から1分 |
| 嫌がった日 | 1段下げて、その日は終わり | 5秒 |
| 毎日 | カレンダーに点を打つ | 3秒 |
| 1か月後 | 点の並びを見て、段を進めるか決める | 1分 |
| いつでも | 気になる様子があれば動物病院へ | その日のうちに |
1か月後に見るのは、回数の合計ではありません。点が抜けている日が、どこにかたまっているかです。平日の後半に抜けているなら、時刻の置き場所を変えます。週末だけ抜けているなら、予定の入り方の問題です。犬の歯磨きの頻度は、やる気ではなく、どの時刻に置いたかで決まります。
今日決めることは1つだけにしてください。「毎晩、何時に、5秒触るか」。段を進めるのはあとでかまいませんし、道具を買うのもあとでかまいません。犬の歯磨きの頻度を知りたいと思ったときに、いちばん先に効くのはこの1つです。
口を触ると急に避けるようになった、食べる速さが落ちた、片側だけで噛んでいる、よだれが増えた、口のまわりを前足でこする、口を気にして床にこすりつける、顔のどこかが腫れている、においが急に変わった。こうした変化があるときは、歯磨きの頻度を上げても解決しません。家でできる範囲を超えているので、動物病院にご相談ください。相談のときは、いつからか、どちら側か、食べ方がどう変わったかをメモして持っていくと、話が早く進みます。皮膚や被毛の状態と一緒に見てもらえると、なお確かです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
