C14トリマー/獣医師視点
写真を見せると診察が早くなる理由
スマホで撮った1枚には、撮影した日と時刻が自動で入っています。これが、写真を動物病院へ持っていくといちばん効いてくるところです。「先週くらいから」と言うかわりに、画面の隅の日付を見せれば、いつからの話が1回で終わります。診察の8分のうち、そこに使われていた2分が体を見る時間に回ります。ただし、どんな写真でも同じように読めるわけではありません。毛のアップだけが10枚ある家と、引きの1枚と地肌の1枚が2週間おきに並んでいる家では、写真から言えることの量がちがいます。見る側がどの順番でチェックしているかを先に知っておくと、撮る枚数は減ります。
見る側が最初に見る3つ|写真を動物病院で出したときにチェックされる順番
写真を見せられた側が最初に見るのは、写っているものではなく、撮った日です。画面の隅に2月5日と入っていれば、寒くなってからの週数がその場で決まります。次に見るのが、体のどこを撮ったのか。3つ目が、前に撮った1枚と比べられるかどうかです。この順番は、動物病院でもトリミングの現場でも変わりません。
| 見る順 | 何を見ているか | 写真側の条件 |
|---|---|---|
| 1つ目 | いつ撮ったか | 撮影日が消えていないこと。加工アプリを通すと落ちることがある |
| 2つ目 | 体のどこか | 背中かしっぽの付け根か耳のうしろか、引きの1枚で場所が決まること |
| 3つ目 | 前と比べられるか | 同じ場所・同じ明るさ・同じ距離で撮った1枚が前にあること |
| 4つ目 | 触る前か後か | かいた直後なのか、落ち着いてからなのか |
| 5つ目 | 左右の差 | 片側だけなのか、両側に同じものが出ているのか |
毛のアップだけが並んでいる場合、1つ目は通っても2つ目で止まります。拡大した毛の写真は、犬でも猫でも、どこの毛なのかを写真から決められません。結局「これはどのあたりですか」と聞くことになり、口で説明する時間が戻ってきます。写真を動物病院へ持っていく目的は、その説明を省くことにあるので、ここで省けないと枚数だけが増えます。
4つ目と5つ目は、飼い主への説明のときにこちらから聞く項目です。かいた直後の赤みと、落ち着いたあとの赤みは別物として見ます。左右の差は、家の中の条件で片側だけ乾いているのか、体の側の話なのかの分かれ目になります。写真を撮る時点でこの2つを意識しておくと、あとから撮り直さずに済みます。
1枚で足りるもの、2枚ないと言えないもの、写真に出ないもの
写真で決まることと、決まらないことは、はっきり分かれています。形や場所のように、その瞬間の見た目で決まるものは1枚で足ります。時間の経過が中心にあるものは、2枚並べないと何も言えません。においやかく動きは、何枚撮っても出てきません。
| 気になっていること | 写真で言えるか | 撮り方・残し方 |
|---|---|---|
| 地肌が見えている場所の広さ | 1枚で言える | 引きの1枚と、毛を分けたアップの2枚組にする |
| 赤みの色と、境目の形 | 1枚で言える | 昼の窓辺から1メートル。照明の下では色が変わる |
| フケの量 | 1枚では弱い | 黒い布の上でブラッシングして、落ちた分を撮る |
| 広がったのか、同じままなのか | 2枚ないと言えない | 同じ場所を2週間おきに。間の日は撮らなくてよい |
| かく回数と、かく時刻 | 写真には出ない | 10秒の動画1本と、時刻を3つ書いた紙 |
| 耳の入り口のにおい | 写真には出ない | 強さを3段階で紙に書く。移動の30分で飛ぶため |
| 地肌の手ざわりと、戻る速さ | 写真には出ない | 赤みが引くまでの時間を分で書く |
下の3行が、写真をたくさん撮っている家でいちばん抜けているところです。撮れば残ると思っているものの半分は、静止画に入っていません。動物病院で写真を見ながら「かゆがりますか」と聞かれるのは、まさにここが写っていないからです。かく動きだけは、10秒の動画で十分に伝わります。三脚も要りません。寝る前にかき始めたら、そのまま撮ってください。
トリミングの現場で地肌を確かめるのは、乾かしたあとではなく、濡らした直後です。毛が寝て束になるので、地肌がそのまま見えます。家で洗う日があるなら、流したあとの30秒で、気になっている1か所だけ撮ってください。乾いた毛をかき分けて撮った写真より、はっきり写ります。この1枚は、次に同じ条件で撮るまで比べる相手がいないので、洗う日ごとに同じ場所を撮っておくと、写真が続く形になります。
撮る場所を1か所に決める|犬と猫で、写真が続くかどうかの分かれ目
写真が続かない家に共通しているのは、撮る場所を決めていないことです。気になったときに、その場で撮る。だから1枚目は玄関、2枚目はソファ、3枚目は夜のキッチンになります。3枚あっても、明るさが全部ちがうので並べられません。撮る場所を窓辺の1か所に決めた家は、枚数が減って、比べられる写真だけが残ります。
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窓から1メートルの場所を決める
レースのカーテン越しの光がいちばん安定します。犬なら座らせる位置、猫なら自分から寝に来る場所を選んでください。猫は追いかけると逃げるので、寝る場所のほうを撮影地点にします。
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引きの1枚を先に撮る
体全体が入る1枚です。これがあるので、次のアップがどこの写真なのかが決まります。順番を逆にすると、アップを撮った時点で満足して引きを忘れます。
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毛を分けてアップを撮る
指で毛を左右に開いて、地肌が見える状態で1枚。フラッシュは使いません。地肌の色が飛んで、赤みが分からなくなります。
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2週間後に、同じ手順をもう一度やる
間の日は撮らなくてかまいません。毎日撮ると続きませんし、1日単位では変わっていないので比べる意味がありません。2枚そろった時点で、はじめて広がったかどうかが言えます。
撮ったあと、地肌のケアをその場で続けられると、写真と家のケアが同じ場所でつながります。mofuwa スキンケアミストは高機能性電解酸化水100%で、飲みものに使う水と同じ規格で確かめられた水だけでできています。舐めてしまう場所にも使えるので、写真を撮った1か所へそのまま向けられます。耳のふちでも口のまわりでも、場所を選んで手を止めずに済みます。
塗ったものが舐めて取れてしまうという話は、現場でもよく聞きます。朝に塗ったものが昼には残っていない。スキンケアミストは水そのものなので、舐める場所を避ける必要がありません。写真を撮る場所と、ケアをする場所が同じ1か所に決まっていると、2週間後の1枚は「同じ手当てを続けたうえでどうなったか」を写した写真になります。何もしていない2週間の写真より、動物病院で読める情報が増えます。
2枚を並べて、様子見の期間が終わったと分かるとき|写真を持って受診する目安
2枚そろったら、広がったか・濃くなったか・場所が増えたかの3つだけを見ます。どれも変わっていなければ、そのまま同じ間隔で3枚目を撮ります。ひとつでも進んでいたら、様子見の期間はそこで終わりです。
- 2週間前の1枚と比べて、地肌が見えている場所が広がっている/数が増えている
- 片側だけだったものが、反対側にも同じ形で出てきた
- かいたあとの赤みが引くまでの時間が、分から時間の単位に変わった
- 10秒の動画を撮ろうとしたら、撮り終わるまでにかく動作が5回以上入った
- 写真では変わっていないのに、においだけが強くなっている
この5つは、どれも写真か紙のどちらかに残っているものです。持っていくのは2枚と、時刻を3つ書いた紙で足ります。画面のまま見せてください。印刷すると色が変わりますし、拡大できなくなります。動物病院では、日付の入った2枚があれば、いつからの話と、進んでいるかどうかの話が同時に済みます。
反対に、3つとも変わっていなかった場合の写真も残しておく値打ちがあります。変わっていないという事実は、口では伝わりませんが、2枚並べれば伝わります。次に動物病院へ行く日が来たとき、この2枚が「この2週間は動かなかった」という材料になります。
フォルダに2枚だけ残す
撮った写真は、全部残さなくてかまいません。引きの1枚と、地肌の1枚。この2枚だけを別のフォルダに移しておくと、次に見せるときに探さずに出せます。30枚あるフォルダから探しているあいだに、見てもらう時間が減ります。
窓から1メートル、引きが先、フラッシュなし、2週間後にもう一度。この4つが決まっていれば、写真は勝手に比べられる形でたまっていきます。枚数を増やすより、同じ条件の2枚をつくるほうが早いです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 撮った写真は、紙に印刷して持っていったほうがいいですか。
- 画面のまま見せてください。印刷すると、紙とインクの組み合わせで色が変わります。赤みの濃さを見たいときに、この色の変わり方はじゃまになります。それに、印刷した紙は拡大できません。画面なら指で広げて、毛の根元まで見られます。日付も画面のほうが確実です。印刷すると撮影日が消えるので、いつの写真かを口で言い直すことになります。紙に書いて持っていくのは、写真に写らないもの——かいた時刻と、においの強さだけで足ります。
- 猫が写真を嫌がって逃げてしまいます。どうすればいいですか。
- 追いかけないでください。猫の写真は、こちらが場所を決めるのではなく、猫が選んだ場所を撮影地点にします。日中によく寝ている窓辺や、決まった椅子の上。猫は同じ場所に戻る習性があるので、2週間後にも同じ明るさで撮れます。寝ているあいだにそっと1枚、目が開いたらやめる。毛を分けるアップは、抱いているときやブラッシングの途中のほうが撮りやすいです。1回で2枚そろわなくても、その日のうちに別々のタイミングで撮れば足ります。
- フラッシュや部屋の照明を明るくして撮ったほうが、よく見えませんか。
- 地肌の色を見たいときは、どちらも向きません。フラッシュは近い面だけを強く照らすので、赤みが白く飛びます。部屋の照明は、電球の色によって全体が黄色や青に寄ります。前に撮った1枚が窓の光、今回が照明の下だと、色が変わった原因が体なのか光なのか分からなくなります。昼の窓から1メートル、レースのカーテン越し。この条件をそろえるだけで、2枚が比べられるようになります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
