C09シーン別・暮らし
サロン通いのあいだ、多頭飼いの人はどうしている?
3頭ぶんの予約票を並べたら、次の日付が全部おなじ土曜日になっていました。1頭ずつ電話をして、空いている枠を取っていったら、たまたまそうそろった。多頭飼いの家では、トリミングの日程がこうして偶然で決まってしまうことがよくあります。けれど、そろっているかずれているかで、そのあとの4〜6週間の家の忙しさがまるごと変わります。1頭だけなら、間隔はその子の毛の伸び方で決めれば済みました。多頭飼いになったとたん、トリミングの間隔は家の予定の側の話になります。この記事では、なぜ多頭飼いだと「そろえるか、ずらすか」を選ぶことになるのかを先に書いて、そのあとで、家の手が回るほうを選ぶための手順を置きます。
そろえるか、ずらすか|多頭飼いのトリミングの間隔が家の予定になるやり方
1頭で暮らしていたころ、トリミングの間隔は単純でした。前回から4週間か、6週間か。その子の毛の伸び方と、飼い主が気になるタイミングで決めればよかった。ところが2頭、3頭になると、この決め方が急に成り立たなくなります。予約の枠、送っていく回数、その日に家を空ける時間、そして帰ってきたあとに家でかかる手。全部が頭数のぶんだけ絡んでくるからです。
多頭飼いのトリミングで最初に決まってしまうのは、たいてい「日程がそろっているかどうか」です。そして、そろっているかどうかは選んだ結果ではなく、予約を取った順番の偶然であることがほとんどです。偶然で決まったものを、そのまま何年も続けている家がとても多い。ここを一度だけ、意識して選び直すというのがこの記事のやり方です。
そろえると、サロンへ行く日は1日で済みます。送迎が1往復で終わり、その日の予定も1日ぶんです。ただし、そのぶん全頭が同じ週数で伸びていきます。4週目には、家の中の全員が同時に「そろそろ」の状態になります。ブラシを入れる時間も、においが気になり出す時期も、足のまわりが伸びてくる時期も、まとめて来ます。トリミングの間隔の後半に、家の手が集中するということです。
ずらすと、逆の形になります。毎週か隔週で、誰かがサロンから帰ってくる。送迎の回数は増えますが、家の手はいつも「1頭が整っていて、1頭が中間で、1頭が伸びている」という状態でならされます。重い週が来ない代わりに、軽い週も来ません。薄く長く続くほうを選ぶ、ということです。
| 日程をそろえる | 日程をずらす | |
|---|---|---|
| サロンへ行く日 | 1日で全頭。送迎は1往復 | 毎週または隔週。送迎の回数が増える |
| 家の手の形 | 後半の2週間に集中する | 毎日うすく、途切れずに続く |
| いちばん重い日 | トリミングの間隔の4〜6週目 | とくに重い日はない |
| 向いている家 | 平日が読めず、週末にまとめて時間が取れる家 | 毎日15分なら取れるが、まとまった時間が取れない家 |
| 崩れたときの影響 | 1頭ずれると、その子だけ取り残される | 順番が入れ替わり、誰が次か分からなくなる |
| においの出方 | 同じ時期に全頭から強くなる | つねに1頭ぶんくらいが気になる状態が続く |
どちらが正解ということはありません。決め手は毛でも犬の頭数でもなく、その家がまとまった時間を取れる家なのか、毎日15分を取れる家なのかという1点です。共働きで週末にしか動けない家がずらす形を選ぶと、平日の夜に毎回15分が要求されて、2か月で止まります。逆に、平日は毎日少し時間があるけれど週末に予定が入りがちな家がそろえる形を選ぶと、重い週に手が足りません。
同じ日に多頭を受けてもらえるかどうかは、サロンの規模と体制によります。1日に受けられる頭数、送迎、待っているあいだの居場所。ここは家の側だけでは決められません。そろえたいのに枠が取れない、という場合は、2頭ずつの組に割って「半分だけそろえる」という形もあります。トリミングの間隔は、家とサロンの両方の条件で決まるものだと考えておくと、決め直しがしやすくなります。
家の手が回るほうを選ぶ5つの手順|多頭飼いのトリミングの間隔の決め方
ここからが手順です。頭数から考えないでください。多頭飼いで時間が足りなくなるのは、頭数が多いからではなく、頭数で増える手と、増えない手を分けずにまとめて数えているからです。順に測っていくと、そろえる形とずらす形のどちらが自分の家で回るかが、感覚ではなく数字で出ます。
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手順1|頭数ではなく、送迎の回数を数える
サロンまで車で送るのか、抱えて歩くのか、まとめて連れて行けるのか。ここは頭数で増えない家と、増える家がはっきり分かれます。車で1往復すれば3頭とも運べる家なら、そろえる形の負担はほとんど増えません。1頭ずつしか連れて行けない家なら、そろえても3往復です。この場合、そろえる利点の半分が消えます。まずここを数えてください。
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手順2|そろえた場合とずらした場合を、カレンダーに一度ずつ置いてみる
頭の中で比べないで、紙かカレンダーアプリに置きます。そろえる形なら、次のサロンの日と、その4週間後・5週間後・6週間後に印をつける。ずらす形なら、毎週の予定に1頭ずつ入れる。置いてみると、そろえる形の家では「印が3つ重なっている週」が見えます。そこがいちばん重い週です。
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手順3|その重い週に、家で実際に使える時間を測る
見積もらずに測ります。帰宅後、その子たちに手を入れられる時間が何分あるか。夕食の支度と重ならないのは何時からか。多頭飼いでは、この時間を頭数で割った数がそのまま1頭あたりの持ち時間になります。15分しかない家で3頭なら、1頭5分です。5分でできることしか、その週には置けません。
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手順4|重い週が、測った時間に収まるほうを選ぶ
収まるならそろえる形で構いません。収まらないなら、ずらす形にします。ここまで測ると、どちらを選ぶかは好みの話ではなくなります。どちらも収まらないときは、3頭を2組に割ってください。2頭を同じ日に、1頭を3週後に。トリミングの間隔を半分だけずらす形は、送迎の回数を増やしすぎずに、重い週を分散できます。
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手順5|決めたら、次の予約はサロンから帰った日にその場で取る
多頭飼いで日程が崩れるのは、家に帰ってから予約を取ろうとするからです。帰った日にその場で次を押さえてしまえば、決めた形はほぼ崩れません。そろえる形なら3頭ぶんを同じ日で。ずらす形なら、次の子の日付を見ながら間を空けて。予約票を1枚の紙にまとめて、玄関か冷蔵庫に貼ってください。記憶で回さないことが、多頭飼いでは最大の手当てになります。
手順3で出た「1頭あたり5分」という数字は、そのまま家でできることの上限になります。5分は短いようですが、場所を絞れば足ります。全身にブラシを通すのではなく、耳のうしろ、脇の下、後ろ脚のつけ根、しっぽのつけ根。トリミングの間隔の後半に先に絡む場所は、だいたいこの4か所です。ここだけを1頭あたり5分で回すと決めておくと、重い週でも手が止まりません。
毎日きれいにしておきたい気持ちは、頭数が増えても変わりません。犬も猫も体から脂を出すので、昨日手を入れた場所は今日また汚れます。だから多頭飼いの家では、毎日の側にグルーミングスプレーを置きます。乾いた布に吹きかけて、上の4か所だけを毛の流れに沿ってなでる。すすぎも乾かす時間も要らないので、1頭1分ほどで終わります。舐めても問題のない基準でつくられているので、3頭に順番に使っても量を気にせずに済みます。全身にかけるのではなく、布に含ませて場所を決めて当てる。これが多頭飼いでいちばん時間の読める形です。
決めた間隔が崩れる3か所|多頭飼いのサロン通いで毎日の手が止まるところ
選んだ形は、たいてい2か月から3か月で一度崩れます。崩れること自体は問題ではありません。どこで崩れるかが決まっているので、そこだけ見ておけば戻せます。多頭飼いのトリミングの間隔で、実際に手が止まるのは次の3か所です。
| 崩れる場所 | 何が起きているか | 戻すもの |
|---|---|---|
| 1頭だけ予定が動く | 体調や当日の都合で、その子だけ次の週へ回る | 全体を動かさず、その子1頭だけを元の週へ戻す |
| 帰宅後の時間を頭数で割ってしまう | 移動と支度は頭数で増えないのに、全部を割っている | 触る時間だけを頭数で割り、支度は1回にまとめる |
| 日程を記憶で回している | 誰が次かを思い出せず、確認の電話が増える | 紙1枚に全頭の日付を書いて、見える場所に貼る |
1つ目は、1頭だけ予定が動くときです。多頭飼いだと、ここでつい全体を合わせ直したくなります。けれど、そろえる形を選んだ家でも、1頭のために全頭をずらす必要はありません。その子だけを次の空き枠に入れて、次の回で元に戻す。1回ぶん間隔が延びた子には、その4週間だけ家でのケアを1日おきに増やします。全体を動かすと、決めた形そのものが分からなくなります。
2つ目は、時間の数え方です。多頭飼いの家では、帰宅後の時間をまるごと頭数で割ってしまいがちですが、実際に頭数で増えるのは「触っている時間」だけです。道具を出す、場所を決める、片づける。この支度の部分は、3頭でも1回で済みます。支度を1回にまとめて、そのあと触る時間だけを順に回す。それだけで、1頭あたりの持ち時間は体感で2倍近くになります。
3つ目が、いちばん多い崩れ方です。日程を記憶で回している家は、必ずどこかで分からなくなります。紙1枚に、全頭の名前と次の日付を書いて、玄関か冷蔵庫に貼ってください。スマートフォンの中ではなく、家族の誰の目にも入る場所に。多頭飼いでは、家の中で複数の人が手を出すので、情報が同じ場所にあることが習慣そのものを支えます。
- 紙に書くのは、名前・前回の日付・次の日付の3つだけ:項目を増やすと書かなくなります
- 毎日のケアは、頭ごとではなく場所ごとに回す:耳のうしろを3頭ぶん、次に脇の下を3頭ぶん。グルーミングスプレーを含ませた布を持ち替えずに済みます
- においが気になり出した日を、紙の端にひとこと書く:次にトリミングの間隔を決め直すときの材料になります
- 室内で過ごす時間が長い季節は、間隔の後半が早く来ます:冬と梅雨の時期は、1週間前倒しで見ておくと崩れにくくなります
- 1頭だけ触らせてくれない日は、その日はやめる:多頭飼いでは、無理をした1回が次の日の全頭に響きます
多頭飼いでいちばん続かないのは、全頭に同じ手をかけようとする形です。毛の量も、伸び方も、触らせてくれる時間も、1頭ずつ違います。2分で終わる子と、8分かかる子がいて構いません。同じにしようとすると、短い子に時間を余らせ、長い子に足りない時間を配ることになります。トリミングの間隔は家の予定でそろえて、毎日の分量は1頭ずつ変える。ここを分けて考えてください。
間隔を決め直す3つのきっかけと、日程では説明がつかない変化|多頭飼いの家で線を引くところ
決めた形は、ずっと同じでなくて構いません。決め直すきっかけは、3つあります。頭数が変わったとき。家族の生活時間が変わったとき。そして、季節が変わって家の中で過ごす時間の長さが変わったときです。このどれかが起きたら、手順2と手順3をもう一度だけ回してください。5分で終わります。
| きっかけ | 何を測り直すか |
|---|---|
| 頭数が増えた/減った | 送迎の回数と、重い週の1頭あたりの持ち時間 |
| 家族の勤務時間や通学が変わった | 帰宅後に実際に使える時間 |
| 梅雨と冬に入った | 室内で過ごす時間が延びるぶん、間隔の後半の重さ |
| 1頭だけ毛の伸び方が変わってきた | その子だけを別の間隔に分けられるかどうか |
ここまでは、日程と時間の話でした。最後に、日程では扱えないものを分けておきます。トリミングの間隔を延ばしたから起きた、と説明できない変化があります。多頭飼いだと、1頭の変化が「他の子と比べて」という形で見えるので、気づくのが早い代わりに、家の中で説明をつけてしまいやすい。次のような変わり方は、間隔の話として片づけないでください。
- 1頭だけ、同じ場所をなめ続けている:他の子と比べる前に、その場所の皮膚を見てください
- 地肌が赤い、じくじくしている:毎日のブラシの回数を増やす前に、相談する話になります
- 抜け毛の量が、その子だけ急に変わった:季節の変わり目と時期が合っているかを確かめてください
- においの質が、いつもと違う種類に変わった:濃さではなく、種類が変わったときです
- 触ると嫌がる、声を出す場所ができた:痛みがあるときは、その日は手を止めてください
- 2週間たっても、同じ場所が同じ状態のまま:家でできる範囲を越えていると考えてください
地肌が赤い、じくじくしている、においの質が変わった、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、触ると痛がる、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、トリミングの間隔を詰める前に、動物病院にご相談ください。多頭飼いでは、1頭の変化を「この子はもともとこうだから」で流してしまうことがあります。他の2頭と見比べて説明をつける前に、その1頭の4か所を順番に見てください。
相談やサロンの予約の前には、その子の前回のトリミングの日付、気になり始めた日、家で毎日どこに手を入れているかの3つをメモしてください。多頭飼いだと、この3つが頭の中で混ざります。紙に書いておくと、間隔の話なのかそうでないのかを、その場で切り分けてもらえます。
多頭飼いのトリミングの間隔は、正しい日数があるものではありません。そろえるか、ずらすか。どちらを選んでも、その家の手が回っているならそれが正解です。頭数で増える手と増えない手を分けて、重い週が自分の家の時間に収まるかどうかを一度だけ測る。あとは、紙1枚に日付を書いて貼っておく。それだけで、偶然で決まっていた日程が、選んだ日程に変わります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
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商品ページを見るよくある質問
- 多頭飼いで、頭数が増えたらトリミングの間隔は延ばしたほうがいいですか?
- 頭数と間隔の日数は、直接つながっていません。延ばすかどうかを決めるのは、間隔の後半に家の手が回るかどうかのほうです。頭数が増えたときにまず測るのは、送迎の回数と、帰宅後に使える時間を頭数で割った数です。1頭あたりの持ち時間が5分を切るようなら、間隔を延ばすよりも、日程を2組に割ってずらすほうが先に効きます。
- 1頭だけサロンに行けなかったとき、他の子の予約もずらしたほうがいいですか?
- 全体を動かさなくて構いません。その子だけを次の空き枠に入れて、次の回で元の週に戻します。全頭をずらすと、せっかく決めた形が分からなくなり、多頭飼いでは元に戻せなくなります。1回ぶん間隔が延びた子には、その期間だけ家でのケアを1日おきに増やして、耳のうしろと脇の下を先に見てください。
- 日程をそろえた週は、家で全頭に同じことをしたほうがいいですか?
- 同じにしないほうが続きます。毛の量も、伸び方も、触らせてくれる時間も1頭ずつ違うので、2分で終わる子と8分かかる子がいて構いません。そろえるのは日程だけにして、毎日の分量は1頭ずつ変えてください。道具を持ち替えずに済むよう、頭ごとではなく場所ごとに回すと、重い週でも手が止まりにくくなります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
