C03使い方・お手入れ手順
シニア犬を短時間で入浴させる手順
シャンプーを切り上げてから脱衣所へタオルを取りに出た3回のあいだに、その子は浴室のタイルの上で合計150秒、自分だけで座り方を保っていました。シニア犬の入浴を短くしようとすると、手はたいてい洗う工程のほうへ伸びます。すすぎを1回減らす、背中を飛ばす、といった削り方です。ところが記録を3週間ぶん並べると、延びていたのは洗っている時間ではありませんでした。延ばしていたのは、人が浴室を出入りした回数です。この記事の手順は、その回数を0にするところから組みます。老犬のお風呂を短時間で終えるというのは、工程を削ることではなく、人が立ち上がらない並べ方をつくることでした。
洗い上げる分数より、浴室を出入りした回数|シニア犬の入浴の頻度を決める前に数えるもの
シニア犬の入浴を短時間で終える手順を組むとき、最初に数えるのは、人が浴室の戸をくぐった回数です。洗う工程はどれも数分で済みます。伸びるのは工程のあいだで、しかも人の側が動いているあいだです。タオルを取りに出る、桶を持ってくる、忘れた1本を探す。そのたびにその子は、濡れたタイルの上で自分だけで座り方を保つことになります。分数だけを見ていると、この時間は「洗っていない時間」として計算から落ちます。
| 出入りの回数 | 何を取りに出たか | その子が一人でいた合計秒数 | そのあとに起きたこと |
|---|---|---|---|
| 3回 | タオル・桶・洗うもの本体 | 150秒 | 最後に立ち上がって、浴室を出ようとした |
| 2回 | タオル・桶 | 85秒 | 後ろ足の位置が2回ずれた |
| 1回 | タオルだけ | 40秒 | 座り直しが1回入った |
| 0回 | 出ていない | 0秒 | 同じ姿勢のまま終わった |
右端の列が、この記事で数えているものです。出入りが1回増えるごとに、座り直しが1回増えていました。座り直しは、後ろ足で体を押し上げる動きです。若い犬なら数えるほどのことではありませんが、シニア犬では、その1回が入浴そのものより体に残ります。だから短時間にする手順は、洗う側ではなく人の足取りの側から組みます。
先に断っておくと、溶かす量と、洗える部位の線は、手元の表示に書いてあるとおりに従ってください。この記事で決めているのは、道具を置く場所と、人が動く順番だけです。そのぶん、数えるものは出入りの回数ひとつに絞ります。頻度を上げるかどうかも、洗い方を変えるかどうかも、この数字が0で落ち着いてからの話になります。
取りに行かない並べ方から始める|シニア犬の入浴が家でできる5つの手順
手順は5つです。使うものを脱衣所の床に一列で並べ、座る位置を決めて滑り止めを敷き、湯を張って入浴シャンプーを溶かし、浸してから軽く流し、タオル2枚で押さえてから乾かします。1つめだけが、ほかの4つと性質が違います。1つめは人の側の準備で、その子はまだ部屋にいません。ここに時間をかけるほど、後ろの4つで人が立ち上がらなくなります。
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1|使うものを、使う順で脱衣所の床に一列に置く
棚の中ではなく床です。高さのある場所に置くと、取るときに人の体が起き上がり、その動きだけでその子の視線が動きます。並べる向きは、使う順に左から。終わったものを右へ送っていくと、次に何を取るかを考えずに手が伸びます。この一列をつくるのに2分かかっても、出入り3回ぶんの150秒には及びません。
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2|浴室の中で座る位置を決めて、滑り止めを敷く
戸のすぐ内側ではなく、人が膝をついたときに両手が届く位置です。シニア犬は後ろ足で踏み直す力が先に落ちるので、足元が滑ると、洗う前に座り方が崩れます。敷いてから、その子を入れます。順番を逆にすると、その子を立たせたまま敷くことになり、そこで1回ぶんの踏み直しが入ります。
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3|湯を張ってから、入浴シャンプーを溶かす
湯を先に入れて、そこへ溶かします。この1本は、お湯そのものを洗浄液にする形をしているので、被毛をかき分けて泡を届かせる工程が入りません。溶けたら手を入れて温度を確かめます。触るのは温度のためだけでなく、そのあと人の手が湯から離れる回数を減らすためでもあります。
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4|浸してから、軽く流して終える
擦らないので、人の手は支える側に使えます。片手を胸の下、もう片手を腰に添えたまま、姿勢のほうを見ていられます。地肌へ届かせるのに指でかき分ける必要がないぶん、洗う工程でその子の体が動く回数が減ります。すすぎも軽く済むので、湯をかけ続けるあいだに座り方が崩れる場面が少なくなります。
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5|タオル2枚で押さえてから、乾かす
1枚目で水を吸わせ、2枚目で被毛の向きをそろえます。2枚とも手順1の一列に入れておきます。ここで脱衣所へ取りに出ると、出入りが1回発生して、40秒ぶんその子が一人になります。洗ったあとに別のトリートメントを入れずに済む形なので、並べる本数そのものも少なく収まります。
5つのうち、家でできるかどうかを分けるのは1つめです。並べる場所がなければ、洗面台の前に新聞紙を1枚敷くだけでも一列はつくれます。棚から出して床に置く、という動作を入浴の前に済ませておく。それだけで、浴室の中で人が立ち上がる理由がなくなります。シニア犬の入浴を家でできる手順にするために変えたのは、道具でも洗い方でもなく、道具の高さでした。
- 一列に入れるもの:湯を張る入れ物、入浴シャンプー、タオル2枚、滑り止め、乾かすもの。これ以上は増やさない
- 一列に入れないもの:ブラシと爪切り。入浴の日に同じ列へ入れると、その日の手順が長くなって出入りが戻る
- 置く高さ:床。膝をついた人の手が、体を起こさずに届く範囲におさめる
- 終わったものの送り先:使い終えたら右へ寄せる。残っている本数が、あと何工程かをそのまま示す
3回目の出入りで座り方が崩れる|シニア犬の入浴の手順でつまずく場所とコツ
出入りが0回で落ち着いた週のあと、また3回に戻る日があります。戻る理由はその子の側ではなく、たいてい人の側の1つの動作です。記録を見ると、戻る日には決まった形がありました。シニア犬の入浴の手順でつまずくのは、洗い方ではなく、一列が崩れた場面です。
- 前の日の道具を片づけてしまった:棚へ戻すと、次の日は棚から出す工程が入ります。出すのを浴室に入ってから思い出すと、そこで1回目の出入りになります。一列は入浴の日まで床に置いたままにします
- タオルが1枚しかなかった:1枚で足りると思って始めた日は、押さえている途中で取りに出ます。水を吸ったタオルで向きをそろえると、被毛が濡れたまま戻るので、乾かす時間そのものも延びます
- 湯の温度を確かめ直そうとした:手を湯から抜いて、蛇口のほうへ体を向ける動きです。戸を出ていないので出入りには数えませんが、支えていた手が離れるので、座り直しは1回入ります
- 途中でブラシを使いたくなった:皮膚の見え方が気になったときに起きます。見たいのは分かりますが、その日は見るだけにして、ブラシは翌日の一列へ入れます
4つのうち、いちばん多いのは1つめでした。片づけは家事としては正しいので、崩れていることに気づきにくい。一列を床に置いたままにする日数が、そのままシニア犬の入浴の手順が続く日数になります。次の入浴が3日後なら、3日ぶん床に置いておく。見た目は片づいていませんが、出入りが0回で終わる日が続くのは、この置き方のほうです。
コツとして残すなら、1つだけです。浴室に入る前に、一列の本数を声に出して数える。5つあれば、その日は立ち上がらずに終わります。4つなら、入る前に1つ足りていません。数えるのは10秒で済み、足りないものを取りに行くのは、まだその子が浴室の外にいる時間です。被毛と皮膚の状態をゆっくり見るのも、この10秒のあとの、人の手が空いている工程のほうに置けます。
一列をそろえて出入り0回で終えたのに、座り直しが毎回入る/同じ後ろ足のほうへ体が傾き、そこだけを踏み直す/浴室を出たあと、その足をかばって歩く/浸した面の地肌が赤く見える、さわると熱い/先週は座っていられた分数で、今週は崩れる。こうした変化は、姿勢の組み方や湯の温度の側では説明がつかないことがあります。出入りの回数と座り直しの回数、日付を並べた紙を持って、動物病院で体のほうを見てもらう日をつくってください。回数が書いてあると、いつから崩れはじめたのかが1枚で伝わります。そのうえで、翌日からも同じ一列で続けられます。
出入り0回の日を、1週間のどこに置くか|シニア犬の入浴を毎日の手順に混ぜない形
出入りが0回で終わる日は、1週間に1日で足ります。毎日入浴させる形にすると、一列を並べる2分が毎日入り、人の側が先に続かなくなります。浸かるだけで済むので短時間で終わるとはいえ、短いことは毎日やる理由にはなりません。頻度は、その子の座り直しの回数で決めます。0回の日が2週つづいたら、そこがその家の間隔です。
| 曜日の置き方 | その日にやること | 一列に並べる本数 | 数えて書くもの |
|---|---|---|---|
| 入浴の日 | 湯を張って浸し、軽く流して乾かす | 5つ | 出入りの回数と座り直しの回数 |
| 入浴の翌日 | 被毛の向きをそろえて、皮膚の見え方を見る | 2つ | 赤く見えた場所があるかどうか |
| 入浴と入浴のあいだの日 | 足先とお尻まわりだけを部分的に済ませる | 3つ | その子が立っていた時間ではなく回数 |
| 予定が動いた日 | 一列を床に置いたまま、何もしない | 5つのまま | 置いたままにした日数 |
表の3行目が、毎日のケアと入浴を分ける線です。足先とお尻まわりだけなら、浴室に入らずに済みます。湯をためた入れ物を玄関に置いて、散歩から帰ったその場で足を洗う飼い主もいます。この形だと、その子は浴室のタイルに座りません。つけ置きの考え方を、体のごく一部にだけ持ち出す使い方で、簡単に済むぶん、間の日に混ぜても人の側が続きます。
1か月たったときに見るのは、入浴の回数ではなく、出入り0回で終えた日が何日あったかです。4日のうち4日なら、その並べ方はもう固まっています。固まった一列は、来月そのまま使えます。今夜できるのは、脱衣所の床に5つを左から並べて、そのまま置いておくところまでです。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- シニア犬の入浴は、何分までに終えるべきですか。
- 分数の上限を決めるより、出入りの回数を0にするほうを先に置いてください。同じ15分でも、人が3回部屋を出た15分と、一度も立ち上がらなかった15分では、その子が自分で姿勢を保った時間が150秒ちがいます。時計だけを見て工程を削ると、削った工程のぶん洗い残しが出て、次の入浴が早まります。回数が0で落ち着いてから、その家の分数を測ってください。測った数字は、翌月そのまま目安として使えます。
- 立っていられない子でも、入浴させて大丈夫ですか。
- 座った姿勢のまま進められるかどうかで見てください。この1本は擦る工程が要らないので、人の両手を支える側に回せます。片手を胸の下、もう片手を腰に添えて、姿勢のほうを見ていられる形なら、座ったままで終えられます。逆に、支えていないと座り方が崩れるのに、洗うために手を離さなければならないなら、その日は足先とお尻まわりだけにして、全身は人の手が2人ぶんある日へ寄せます。
- 洗ったあとに、別のトリートメントを足したほうがいいですか。
- 足さないほうが、一列に並べる本数が減ります。保湿成分が入っているので、洗ったあとに別の1本を重ねる前提ではつくられていません。本数が増えると、その1本を取りに行くための出入りが発生します。被毛のごわつきが気になるときは、トリートメントを足すより先に、乾かす前のタオルを2枚に増やしてみてください。水を吸わせる枚と、向きをそろえる枚を分けるだけで、乾いたあとの手ざわりは変わります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
