C03使い方・お手入れ手順

大型犬の入浴を1人でやる手順

公開日 2023年4月5日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の板張りの床に、静かに座っている大きな薄色の犬
一人でやる日にいちばん重いのは洗う工程ではなく、縁をまたぐ一瞬のほうです。写真:Lum3n/Pexels

32キロの体が浴室の縁に前足をかけたまま止まり、後ろ足を持ち上げようとした腕に、そのまま体重が乗りました。大型犬の入浴を一人でやると、きついのは洗っているあいだだと思われがちです。実際に記録を取ると、腕に重さがかかっていたのは1回の入浴のうち2か所だけでした。入るときと、出るときです。洗っている数分間は、その子の体はほとんど動いていません。だから一人でやる手順は、洗う工程を工夫するより、入り口と出口の2か所から組みます。数えるのは分数ではなく、人の手に体重がかかった回数です。

体重がかかるのは入るときと出るときの2か所|大型犬の入浴を一人で組む順番

大型犬の入浴を一人でやるとき、人の手に体重がかかる場面は1回の入浴で2か所しかありません。入るときに縁をまたぐ一瞬と、出るときに濡れた足で縁を越える一瞬です。洗っているあいだは、その子は同じ場所に立っているか座っているだけなので、人の腕には体重が乗りません。順番を組むなら、この2か所を先に軽くしておいて、真ん中の数分はあとから当てはめる形になります。

洗っているあいだに体が動かないのは、この1本が擦る工程を持っていないからです。お湯そのものを洗浄液にして、被毛をかき分けずに地肌まで届かせる形なので、人が指を入れて動かす必要がありません。指を入れない分、その子は向きを変えずに済みます。泡を届かせるために左右と前後で体をまわしてもらう形だと、そのたびに人の手が支えに入ります。ここが、大型犬の入浴を一人で組めるかどうかの分かれ目です。

1回の入浴のうち、人の手に体重がかかる場面はどこか 入るときと出るときの2か所にだけ、体重が集まります。真ん中の数分は擦らないので、その子の体はほとんど動きません。段差を先に埋めておくと、2か所とも人の腕から外れます。 32キロの子で、3週間ぶんの記録から 入る前 縁の高さを埋めておく 踏み台を置いて段差を消す 0分 前足から自分で入る 人の手は腰に添えるだけ 1〜5分 浸かっている 擦らないので体が動かない 6分 軽く流して終える 手を離すのはここだけ 出るとき もう一度、段差を消す 飛ばすと腕に体重が乗る 数えているのは分数ではなく、人の手に体重がかかった回数です
真ん中の数分ではなく、両端の一瞬に手を集めます。
3週間の記録から、人の手に体重がかかった回数と、そのあとに残ったもの
その日にやったこと体重を受けた回数人の側に残ったものその子の側に残ったもの
何も置かずに、縁をまたがせた2回(入る・出る)翌日まで腰に残る出るときに後ろ足で踏み直した
入るときだけ踏み台を置いた1回(出るとき)出たあとの持ち直しだけ出口で一度止まった
入るときと出るときの両方に置いた0回腕は支えに添えるだけ同じ足取りで出た
踏み台を置いて、タオルも縁に掛けた0回拭くまで立ち上がらない縁の上で止まらずに出た

表の2行目と3行目のあいだに、この記事の線があります。入るときの段差だけを消して安心してしまう日が、いちばん多い。入るときは乾いていて、その子も落ち着いているので、踏み台があれば自分で越えます。出るときは足が濡れていて、しかも早く出たいので、勢いがついた体が縁の上で滑ります。そこで腕が受けるのが、最後まで残る1回です。

段差を消してから湯を張る|大型犬の入浴が一人で家でできる5つの手順

手順は5つです。縁の内と外に段差を埋めるものを置き、タオルを縁に掛け、湯を張って入浴シャンプーを溶かし、その子を入れて浸し、軽く流して出口の段差を確かめてから出します。1つめと2つめは、その子がまだ浴室の外にいるあいだに済みます。ここまでを一人でやりきれるかどうかで、残り3つの重さが変わります。溶かす量と洗える部位の線は、手元の表示にあるとおりに従ってください。この記事で決めるのは置き場所と順番だけです。

  1. 1|縁の内側と外側に、段差を埋めるものを置く

    外側は踏み台でも、丸めたマットでも構いません。内側は滑らない面であることが先で、高さは後です。外だけに置くと、入るときは越えられても、出るときに内側から足をかける場所がありません。両方に置いて、縁の高さがその子の膝より下になっているかを、手で高さを測って確かめます。

  2. 2|タオルを、出口の縁に掛けておく

    床に置くと、拭くときに人が腰を落として立ち上がります。縁に掛けておけば、その子が出てきた位置で手が届きます。大型犬は水を含んだ被毛が重いので、1枚では最後まで吸いません。2枚を縁に掛けて、1枚目で水を吸わせ、2枚目で毛の向きをそろえます。

  3. 3|湯を張ってから、入浴シャンプーを溶かす

    湯を先に入れて、そこへ溶かします。溶けたら手を入れて温度を確かめます。大型犬では体が湯に入ったあとの温度の下がり方が大きいので、入れる直前に一度、手のほうで覚えておきます。この1本は洗ったあとに別のトリートメントを重ねる前提ではないので、浴室に持ち込む本数は少なく収まります。

  4. 4|前足から自分で入れて、人の手は腰に添える

    抱え上げません。前足を縁にかけたところで、人の手は腰の高さに添えるだけにします。添えるのは持ち上げるためではなく、前に進む向きを崩さないためです。入ったら浸します。擦らないので、ここから数分は人の手が空き、皮膚や被毛の見え方をゆっくり見ていられます。

  5. 5|軽く流して、出口の段差をもう一度確かめてから出す

    すすぎが軽く済むので、出すまでの間が短くなります。短くなったぶん、その子は出口へ早く向かいます。開ける前に、内側の足場がずれていないかを手で押して確かめます。ここを飛ばした日が、体重を受けた1回が残る日です。

5つのうち、家でできるかどうかを左右するのは1つめの高さです。縁の高さは変えられませんが、その両側の床の高さは変えられます。専用の道具がなくても、厚みのあるマットを2枚重ねれば段差は下がります。大型犬の入浴が一人で家でできる形になるのは、力の入れ方を覚えたときではなく、越える高さを先に下げたときでした。

出るときの1回だけが残る|一人での大型犬の入浴でつまずく場所とコツ

体重を受けた回数が0で終わった週のあと、1回に戻る日があります。戻るのはほとんど出るときの1回で、入るときの1回が戻ることはまれです。理由は単純で、出るときには人の手がもう1つ別の仕事を持っているからです。一人でやる日の記録を並べると、つまずく形は4つに分かれました。

4つのどれも、洗い方とは関わりがありません。つまずいているのは、洗い終わってから戸が開くまでの30秒です。この30秒に人の手が2つとも空いている形をつくれば、体重を受けた回数は0のまま続きます。コツとして残すなら1つで、戸を開ける前に、自分の両手に何も持っていないかを見る。持っていたら、それを縁に置いてから開けます。

毎日のケアの側に寄せられる部分もあります。足先とお尻まわりだけなら、浴室に入らずに済みます。湯をためた入れ物を玄関に置いて、散歩から帰ったその場で足を洗う飼い主もいます。この形だと、その子は縁をまたぎません。体重を受ける場面がそもそも発生しないので、一人でやる日の負担は入浴の日だけに寄せられます。

Caution段差を消しても、出るときに同じ足で踏み直すとき

内と外の両方に足場を置いて体重を受けた回数が0になったのに、出るときだけ毎回同じ後ろ足で踏み直す/縁の上で止まる時間が先週より長くなっている/浴室を出たあと、その足をかばって歩く/浸した面の地肌が赤く見える、さわると熱い/入るときの1回が、下げた高さのままなのに戻ってきた。こうした戻り方は、段差の高さや足場の置き方の側では説明がつかないことがあります。体重を受けた回数と日付、踏み直したのがどちらの後ろ足だったかを書いた紙を持って、動物病院で体のほうを見てもらう日をつくってください。回数が書いてあると、いつから戻りはじめたのかが1枚で伝わります。そのうえで、翌日からも同じ置き方で続けられます。

体重を受けた回数が0の日を数える|一人でやる大型犬の入浴の頻度が落ち着くまで

頻度を先に決めないでください。決めるのは、体重を受けた回数が0で終わった日が何日つづいたかのほうです。0回で2週つづいたら、その置き方は固まっています。固まる前に回数を増やすと、増やしたぶんだけ1回に戻る日が混ざって、何が効いていたのかが読めなくなります。大型犬の入浴の頻度は、一人でやる家では人の腰のほうが先に上限を決めます。

1か月ぶんの記録で、一人でやる大型犬の入浴が落ち着いたかを見る
週書くもの落ち着いてきた合図
1週目体重を受けた回数と、どちらの場面だったか入るときの1回が消える
2週目出す前に足場を押して確かめたかどうか出るときの1回が2日つづけて0になる
3週目戸を開ける前に手が空いていたか0回の日が3日そろう
4週目拭き終わるまでにかかった分数回数が同じでも、分数が短くなっている

4週目に分数が短くなるのは、その子が慣れたからだけではありません。置き場所が固まると、人の手が迷わなくなります。踏み台の位置、タオルを掛ける場所、足場を押す10秒。どれも決めてしまえば、次の日は考えずに手が動きます。擦らずに済む1本であることは、この「考えない時間」を真ん中の数分にまで広げる側にも働きます。

今夜は、浴室の縁の高さを手で測って、外側に置けるものを1つ床へ出しておくところまででかまいません。その高さがその子の膝より下になっているかどうかで、次の入浴で腕が受ける回数は、湯を張る前にもう決まっています。

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よくある質問

大型犬を一人で入浴させるのは、無理がありますか。
持ち上げる前提で組むと無理が出ます。30キロを超える体を腕で支える場面が1回でも入ると、そこで手順が止まります。持ち上げずに越えられる高さまで段差を下げてしまえば、人の手は添えるだけで足ります。浸かるあいだは擦らないので、洗っている数分に力は要りません。無理かどうかは体重の数字ではなく、縁の高さがその子の膝より下にあるかどうかで決まります。測るのは1回で済み、測った高さは次の月もそのまま使えます。
浴室に大型犬が入れる大きさの入れ物がありません。
全身を一度に浸ける形にこだわらなくて構いません。湯をためた入れ物を床に置いて、そこへ後ろ足、次に前足と部分ごとに入れる形でも、湯そのものが洗浄液になっているので地肌へは届きます。この場合に数えるのは、体重を受けた回数ではなく、足を入れ替えた回数です。回数が4回を超えると人の側が続かなくなるので、後ろ半分と前半分の2回に分けて、別の日に回すほうが落ち着きます。
洗ったあと、大型犬の被毛が乾くまでに時間がかかります。
タオルの枚数を先に増やしてください。水を含んだ被毛は重く、1枚では最後まで吸いません。2枚を縁に掛けておいて、1枚目で水を吸わせ、2枚目で毛の向きをそろえると、乾かす前に落ちる水が減ります。すすぎが軽く済む形なので、洗い終わってから拭きはじめるまでの間も短くできます。乾かす分数を測るのは4週目からで、それまでは回数のほうだけ数えてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。