C05犬種・猫種別ケア

エジプシャンマウの短毛|皮膚の乾燥を毎日のケアで防ぐ

公開日 2023年5月16日|文=mofuwa編集部

明るい光の中で、体を伸ばして横になっている短毛の猫
外から見える面と、閉じたまま触れ合っている面。手ざわりが先に変わるのは、たいてい後者のほうです。

エジプシャンマウが床で伸びて眠っているとき、後ろ脚のあいだから腹の後ろ側にかけて、皮膚が一枚たわんで見えることがあります。太っているのとは違います。立っているあいだは折りたたまれていて、体が伸びたときにだけ現れる面です。指の腹でそっとすくい上げると、外側は短くて滑らかな毛におおわれているのに、開いた内側だけ、指が同じようには滑りません。エジプシャンマウの乾燥は、背中や耳の後ろではなく、この内側の面から気づかれることがあります。外気にほとんど触れないのに、走るたび、伸びるたびに、内側どうしが擦れているからです。この記事は、その子の体に外から見えない面がある、という話です。

伸びた腹に、皮膚が一枚たわむ|エジプシャンマウの飼い主に多い経験

エジプシャンマウが日の当たる床で体を伸ばして眠っている。そのときに、後ろ脚の付け根から腹の後ろ側にかけて、皮膚がゆるく一枚たわんでいるのに気づいた——という経験は、この猫と暮らしていると一度はあると思います。立っているときにはほとんど目立ちません。体が伸びて、後ろ脚が前後に開いたときにだけ、その面が現れます。

指の腹でそっとすくい上げてみると、外側は短くて滑らかな毛におおわれています。ところが、ひだを開いて内側に指を当てると、手ざわりが変わります。ざらつくというほどではないのに、外側のようには滑らない。エジプシャンマウの乾燥に最初に気づく場所が、背中でも耳の後ろでもなく、この内側の面だった、という順番はめずらしくありません。

気づき方はいくつかありますが、共通しているのは「探しに行って見つけた」のではなく「別のことをしていて手が触れた」という点です。全身をなでているだけでは、この面には手が入りません。閉じているからです。

エジプシャンマウは短毛の猫なので、皮膚の状態が手にそのまま伝わります。長毛の猫なら毛の層が一枚あいだに入るところを、この猫では指が直接、面に届く。だから手ざわりの差に気づきやすいはずなのですが、ひだの内側だけは例外です。そこは、猫が起きているあいだ、ほとんど閉じたままだからです。

Note「見えない」ことと「乾いていない」ことは別です

乾燥という言葉から思い浮かべるのは、たいてい外気にさらされて水分が抜けた皮膚のほうです。暖房の効いた部屋、風の当たる場所、日ざしの強い窓辺。ところがエジプシャンマウのひだの内側は、外気にほとんど触れません。閉じたまま、皮膚どうしが近い距離で触れ合っています。外気の話だけで乾燥を考えていると、この面はいつまでも候補に上がってきません。

走るために伸びる面が、閉じたまま擦れる|エジプシャンマウの乾燥の背景

なぜ、腹の後ろにこのひだがあるのか。エジプシャンマウは、よく走る猫として知られています。後ろ脚を大きく前へ振り出し、次の一歩で体を伸ばしきる。この動きをするには、腹の側の皮膚に、伸びしろがなければなりません。皮膚がぴったり張っていたら、脚が開いた時点で突っぱってしまいます。折りたたまれた余りの皮膚は、その伸びしろとしてそなわっている面です。

つまりこのひだは、余分なものではありません。使うためにある面です。そして使うたびに、伸びて、戻ります。伸びるときには開き、戻るときには閉じる。1日のあいだに、この開閉が何度もくり返されています。走らなくても、飛び降りる、伸びをする、体を丸めるといった動きのたびに動いています。

問題は、閉じているあいだに何が起きているかです。開いた面どうしが戻って合わさるとき、内側は互いに触れ合います。そのまま猫が動けば、触れ合った面が少しずつずれる。外気に触れないのに、動くたびに擦れている面。エジプシャンマウの乾燥を考えるときに、この条件が抜けやすいところです。

ここで短毛であることが効いてきます。長さのある毛なら、面と面のあいだに毛が入って、直接の接触をやわらげます。エジプシャンマウの毛は短く、ひだの内側ではさらに短い。毛が緩衝材の役目を果たしにくいぶん、擦れは皮膚の面がそのまま受けます。短毛の猫は手入れが少なくて済むと言われますが、それは毛の話であって、皮膚の面の話ではありません。

同じ一頭の中で、外側の面とひだの内側で条件が変わります
背中や体側の面腹の後ろ、ひだの内側
外気に触れるか一日じゅう触れている開いた瞬間だけ
毛の長さ短いが、面をおおっているさらに短く、面が近い
擦れる相手床、寝床、飼い主の手自分の皮膚どうし
擦れる回数横になった時間ぶん体が動いた回数ぶん
乾いている時間長い。風が通る短い。閉じているあいだは湿りが残る
毛づくろいが届くか舌が届く開かないと舌が入らない
人が気づく順番見て気づく触れて、あとから気づく

猫は自分で毛づくろいをします。舌で毛を起こし、唾液で湿らせ、乾くまでのあいだに毛の流れを整える。この作業がよくできているほど、人の手が入る必要は少なくなります。ただし、舌が入る角度は体の作りで決まっています。閉じたひだの内側は、猫が自分で開いてから舌を入れる、という二段構えになるので、体側の面ほど頻繁には手が回りません。

ですからこの面については、人が手を貸すというより、その子の毛づくろいが届いていない場所を、人が代わりに担当するという考え方になります。全身をやってあげる必要はありません。届いている場所は、そのままにしておいたほうがいい。届いていない一か所だけを、こちらが引き受ける。エジプシャンマウの乾燥で人が動かせるのは、ほとんどここです。

Note「乾燥しやすい猫」という話ではありません

エジプシャンマウが乾燥しやすい、という書き方はしません。乾燥が起きる条件がどこにそろっているか、という話です。擦れる回数が多く、毛が緩衝材になりにくく、乾いている時間が短く、舌が届きにくい。この4つが重なるのが、たまたま腹の後ろのひだの内側だった。条件を数えると、手を入れる場所が1か所に絞れます。

閉じている面を開いてから当てる|エジプシャンマウの乾燥に対する毎日の考え方

手を入れる場所が決まったら、あとは順番の話です。ここで大事なのは、開いていない面に何かを当てても、届いていないということです。上から拭いても、コットンが触れているのは外側の毛だけ。閉じたひだの内側には入りません。開いてから当てる、という順番がすべてです。

ただし、無理に開こうとすると猫が体をひねります。力で開くのではなく、猫の体が自分から伸びる姿勢をつくって、そのあいだに手を入れます。次の順で回してください。1日で全部やる必要はありません。

  1. 猫が伸びている時間に合わせる

    起きて動き回っているときに仰向けにしようとしても、うまくいきません。日なたで伸びているとき、眠りに入る前、なでられて体をゆるめているとき。この3つのうちどれかに合わせます。エジプシャンマウはよく動く猫なので、静かな時間は自分から来ます。そこを待つほうが早い。

  2. 後ろ脚の付け根に指を2本、そっと差し入れる

    腹の真ん中ではなく、後ろ脚の付け根の側から入ります。ここが、ひだの端が始まっている場所です。押し込むのではなく、皮膚の下に指を滑らせて、たわみを持ち上げる。持ち上がった時点で、内側の面が外へ出ます。嫌がったら、そこで止めてください。翌日でかまいません。

  3. 開いた面に、指の腹をまっすぐ当てて手ざわりを見る

    こする必要はありません。当てて、離すだけです。外側の面と比べて、指が滑るか、途中で止まるか。冷たいか、少し温かいか。湿った感じが残っているか。この3つを見ます。何もなければ、その日はここで終わりです。手ざわりが変わっていないときに何かを足す必要はありません。

  4. 手ざわりが変わっていたら、乾いた面を先につくる

    湿った感じが残っているときは、まず水気のほうを引き受けます。柔らかい布をあてて、押さえるだけ。往復させると擦れが増えます。この面はもともと擦れている面なので、人の手でさらに擦らないのが原則です。押さえて離す、を2〜3回。それで面は乾いた状態に戻ります。

  5. 開いている数十秒のあいだに、当てるものを当てる

    面が開いていられる時間は長くありません。猫が体勢を変えれば閉じます。開いてから当てるまでを一続きにして、終わったら手を離す。閉じたあとに追加で何かをしても、それは外側の毛に当たっているだけです。時間をかけるより、開いている数十秒に間に合わせるほうが効きます。

頻度は毎日でなくて構いません。週に2〜3回、確かめる日を決めておくほうが続きます。エジプシャンマウの乾燥は急に始まるものではないので、毎日追いかけるより、同じ曜日に同じ場所を見て、前回との差を覚えているほうが役に立ちます。差が分かるようになると、変わった日にすぐ気づけます。

Point湿度計より先に、開いた面の手ざわりを覚える

部屋の湿度を上げれば、外気にさらされている面は変わります。背中や耳のまわりは、その影響を受けます。けれど、閉じているひだの内側は、部屋の湿度から一段離れたところにあります。湿度計の数字が同じでも、この面の手ざわりは変わりうる。数字ではなく、自分の指が覚えている差のほうを基準にしてください。3回も触れば覚えられます。

洗う回数を増やす方向へは寄せないでください。全身を洗えば、外側の面からも皮脂が落ちます。エジプシャンマウは短毛なので、洗ったあとに毛が乾くのは早いのですが、皮膚の面が元に戻るまでの時間はそれより長くかかります。ひだの内側の手ざわりが気になるときに動かすのは、洗う回数ではなく、開いて確かめる回数のほうです。

この面が開いていられるのは数十秒で、閉じてしまえば、あとから何を当てても外側の毛に触れているだけになります。こちらの都合ではなく、面が開いている時間のほうが先に決まっている一点です。mofuwa スキンケアミストは、高機能性電解酸化水100%でできています。何かを配合して足したものではなく、水そのものの働きで肌のコンディションを整える側に寄せてあるので、面と面が合わさるところに油分の膜が残りません。吹きかけて音を立てると猫が体勢を変えてしまうので、先にコットンを湿らせておいて、開いた面へ置くように当てます。当てたあとは、そのまま閉じて構いません。週に2〜3回、開いて、当てて、手を離すところまでが一続きです。

エジプシャンマウのひだの内側に出た変化を、乾燥の話として片づけない

ここまでは、体の作りで説明のつく範囲の話でした。開いて確かめる習慣ができたあとに、前回と違う変化が出たときは、別の見方をしてください。手ざわりの差に気づけるようになっているぶん、変化にも早く気づけます。その気づきを、乾燥の話だけで片づけないほうが安全です。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所を舐め続けている、毛が抜けて地肌が見えている、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、確かめる回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。エジプシャンマウのひだの内側は外から見えない面なので、変化が進んでから気づくことがあります。迷ったら早いほうを選んでください。

相談に行くときは、いつから手ざわりが変わったか、左右のどちらか、その面を最後に開いたのはいつかの3つをメモしてください。この3つがあれば、体の作りで説明のつく範囲の変化なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に念入りに拭いて連れて行くと、もとの状態が分からなくなります。触らずにそのまま行ってください。

エジプシャンマウと暮らしていると、この猫がどれだけよく動くかがすぐに分かります。棚から棚へ跳び、廊下を一気に走り抜ける。腹の後ろのひだは、その動きのためにそなわっている面です。使うためにある以上、擦れる回数を減らすことはできません。動かせるのは、擦れたあとにその面が閉じたままでいる時間のほうです。

外から見えない面がある、というのは、エジプシャンマウにかぎった話ではありません。ただ、この猫では「走るための伸びしろ」という理由がはっきりしているぶん、どこにその面があるかを言い当てやすい。週に2〜3回、体が伸びている時間に指を2本入れて、開いて、当てて、手を離す。エジプシャンマウの乾燥について家でできることは、その一続きの数十秒に集まっています。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。