C05犬種・猫種別ケア

ボンベイはなぜ背中のベタつきが起きやすいのか。短毛から考える

公開日 2023年5月23日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、薄いグレーのクッションの上に静かに座っている短毛の猫
毛の色ではなく、毛の並び方が変わります。手がかりは色ではなく形のほうにあります。

ボンベイの背中を上から見ていると、毛の流れの中に細い筋が何本か走っているように見えることがあります。汚れているようには見えません。毛が寝ている方向はそろっているのに、そのうちの何本かだけが寄って、1本の線のようにまとまっている。指で触ると、少し滑ります。ボンベイのベタつきは、色の変化ではなく、この筋という形になって先に出てきます。全身が黒く、毛が短くて硬いこの猫では、皮脂がついても色が濃くなるわけではありません。だから色で探しているかぎり、いつまでも見つかりません。この記事では、なぜ筋になるのかを先に書いて、そのあとで毛を逆立てて根元を見るまでの手順を並べます。

皮脂がつくと毛が束になる|ボンベイの背中で毎日起きていること

ボンベイの毛は短く、そして硬めです。指で毛先をなでると、一本ずつが張りを持って戻ってきます。長毛の猫のように毛が寝てまとまるのではなく、短い毛が体の面に沿って、密に並んで立っています。この並び方が、ボンベイのベタつきの見え方を決めています。

皮脂は、毛の根元の側から出て、毛の表面を伝って上がります。毛が長ければ、皮脂は長い距離を移動して薄く広がります。ところがボンベイの毛は短いので、移動できる距離が短い。行き場のなくなった皮脂は、隣の毛との隙間に残ります。そして皮脂は、隣り合った毛どうしをくっつけます。

くっついた毛は、一本ずつばらばらには立てなくなります。数本がまとまって、1つの束として動くようになる。その束が、周りの毛より少し太く、少し違う向きに並ぶので、背中に細い筋として浮かんで見えます。ボンベイのベタつきが「筋」という形で出てくるのは、毛が短くて硬いという条件と、皮脂が毛どうしをまとめるという条件が重なるからです。

ここが、ボンベイのベタつきを見つけにくくしている理由です。多くの猫では、皮脂がたまった場所は色が変わって見えます。毛の色が濃くなる、白い毛が黄ばむ、光の返り方が変わる。ボンベイは全身が同じ黒なので、色の差がそもそも生まれません。薄い色の猫で使える見つけ方が、この猫では一つ使えなくなります。

そのぶん、形のほうははっきり出ます。毛が短くて硬いので、束になったときに輪郭が残る。長毛の猫なら周りの毛に埋もれて分からない差が、ボンベイでは背中の面の上に、線として現れます。色という手がかりを失う代わりに、形という手がかりが手に入る、という関係です。

Note毛づくろいをしていないわけではありません

筋が出ているからといって、その子の毛づくろいが減っているとはかぎりません。猫は舌で毛を起こし、皮脂を毛の上に伸ばして体をならしています。ボンベイの場合、伸ばそうにも毛の長さが足りない。舌が通っても、毛の途中までしか運べません。だからこれは、その子の毛づくろいが届く範囲の外で起きていることで、届かないぶんを人が代わる、という話になります。

毛を逆立てて根元を見る|ボンベイのベタつきを家でできる範囲で確かめる手順

手がかりが色ではなく形だと分かれば、確かめ方も変わります。上から眺めて色の濃い場所を探すのをやめて、毛を逆立てて、根元がどうなっているかを見ます。筋は毛の上のほうに出ますが、原因は根元の側にあります。上から見えるのは結果で、根元を見れば、どこまで進んでいるかが分かります。

道具は要りません。手のひらと指だけで足ります。猫が落ち着いて座っているか、横になっている時間に、次の順で回してください。1回で背中全体をやろうとしないほうが、ボンベイは嫌がりません。1日1か所で構いません。

  1. 手のひらを腰に置いて、尾のほうから首へ、毛を逆に押し上げる

    毛の流れに逆らって、手のひらで一気に押し上げます。短くて硬い毛なので、押し上げると全部が立ち上がります。このとき、束になっている毛だけが、周りより遅れて立ちます。ばらけて立つ場所と、まとまったまま起きてくる場所の差が、手を動かした瞬間に見えます。

  2. 立ち上がった毛の根元を、指で左右に分ける

    毛を立てたまま、親指と人差し指で毛を左右に開きます。分けた線の底に、地肌が見えるかどうか。すっと分かれて地肌が見える場所は、根元まで皮脂が回っていません。分けようとしても毛が戻ってきて線が閉じる場所は、根元の側で毛どうしがくっついています。

  3. 束になっている毛を1つつまんで、根元から毛先へ指で送る

    つまんだ束を指で送ると、途中でばらけて1本ずつに分かれるか、束のまま最後まで進むかが分かれます。ばらけるなら、皮脂が毛の表面に乗っているだけです。束のまま進むなら、根元の側でまとまっています。力を入れて引っぱらないでください。送るだけで判断できます。

  4. 肩・背中の中央・腰・尾の付け根の4か所で、同じことをして束の数を数える

    ボンベイのベタつきは、背中の面のどこにでも同じように出るわけではありません。4か所を回って、束がいくつあるかを数えます。数えると、その日の状態が数字で残ります。「なんとなくベタつく」が「腰に3つ、尾の付け根に5つ」に変わると、次の日と比べられるようになります。

  5. 手を離して、毛が戻るときの戻り方を見る

    最後に手をどけて、立てた毛が元の流れに戻るところを見てください。ばらばらに戻る場所と、束のまま倒れる場所があります。束のまま倒れた場所が、上から見たときに筋として見えていた場所です。ここで見た形と、上から見えていた筋が一致すれば、確かめ方としては十分です。

根元を見たときに分かれる、ボンベイのベタつきの段階
逆立てて見えたことその日にやること
分けると地肌が見える。束はない何もしなくて構いません
分けると地肌は見えるが、束が2〜3あるその一帯だけ、毛の流れに沿って通す
分けた線がすぐ閉じる。束が5つ以上1か所ずつ、日を分けて手を入れる
束のまま倒れ、指を送っても分かれないその日は数えるだけにして、翌日にもう一度見る

この手順のいいところは、毎回同じことをしているので、前回との差が分かることです。ボンベイのベタつきは、ある日突然出るものではありません。束が2つだった場所が4つになる、という増え方をします。数えていれば、増えた日が分かります。増えた日に何があったかを思い出せれば、次からはその条件を先に動かせます。

洗う回数ではなく、毛を分ける頻度のほうを増やす|ボンベイでつまずきやすいところ

束が増えていると分かったとき、いちばん手が伸びやすいのが「洗う」です。ところがここが、ボンベイでつまずきやすいところです。洗えば皮脂は落ちますが、落ちるのは束になっている場所だけではありません。全身から落ちます。そして皮脂は、毛と皮膚の面を保つために出ているものでもあります。落としきったあとには、また出てきます。

短毛の猫は乾くのが早いので、洗う負担が少ないと思われがちです。毛が乾くのは確かに早い。けれど、皮脂の出方が元の調子に戻るまでの時間は、毛が乾く時間とは別です。洗う回数を上げると、この2つの時間差が積み重なります。ボンベイのベタつきで洗う回数を増やしても、筋の数がそのぶん減るとはかぎらないのは、このためです。

動かすなら、洗う回数ではなく毛を分ける頻度のほうです。束は、毛どうしがくっついたまま時間がたつことで太くなります。逆に言えば、くっついたところを分けてしまえば、それ以上まとまりません。分けるのに水は要りません。手のひらで逆立てて、指で開くだけです。

ボンベイのベタつきで、頻度を上げるものと上げないもの
上げるもの上げないもの
何をするか毛を逆立てて、根元を分ける全身を洗う
どのくらい1日1か所、週に4〜5回回数は増やしません
かかる時間1か所30秒ほど乾くまでを含めて長くなります
猫の負担なでるのと変わりません音と水で体勢が崩れます
何が変わるか束が太くなる前に分かれます全身から皮脂が落ちます
やりすぎたとき毛が立ったままになるので分かります気づくのが遅れます
Caution束を無理にほどこうとしないでください

指を送っても分かれない束を、力でばらそうとすると、くっついている毛ではなく、生えている毛と皮膚のほうを引っぱることになります。ボンベイの毛は短いので、つまめる長さがありません。つまめないものを引くと、力は根元にそのままかかります。分かれない束は、その日は数えるだけにして翌日に回してください。1日で終わらせる必要はありません。

頻度についてもう一つ。季節で決めないでください。換毛の時期には抜けた毛が混ざるので束が増えたように見えますが、これは皮脂の話とは別のものです。抜けた毛が束に混ざっているのか、皮脂で毛がくっついているのかは、指で送れば分かります。抜けた毛は送れば外れます。皮脂でまとまった束は、送っても束のままです。ボンベイのベタつきを数えるときは、この2つを分けて数えてください。

回数を増やさないと決めても、洗う日そのものは残ります。根元でくっついた毛の底は、その子の舌が最後まで届かない場所なので、洗う日だけは人がそこまで入ることになります。mofuwa モイストシャンプーは、ゴシゴシこすらず、指の腹で地肌をマッサージするように動かして使うことを前提につくられています。洗浄成分はアミノ酸系だけで量も抑えてあり、足りないぶんの泡立ちは原料の水に使った電解水が受け持っています。束を力でほどきにいかなくていいので、逆立てて根元を見るときの手つきが、そのまま洗う日の手つきになります。落とす量を上げていないぶん、洗い上がりがごわつかず、あとから戻すためのトリートメントの工程もいりません。ボンベイでは、この工程が1つ減ることが、浴室にいる時間にそのまま出ます。短くて硬い毛は乾くのが早いので、洗う側の手順さえ1つ短ければ、水と音に付き合う時間は全体で数分の差になります。洗う日は、束を数え終わって数字が残っている日に置いてください。洗う前の束の数が手元にあれば、次に逆立てて数えたときの比べる相手ができます。ボンベイのベタつきは形でしか読めないので、比べる相手を残しておくことが、そのまま毎日のケアの精度になります。

筋の出る場所が移ったときは、ベタつきの話ではありません

数えるようになると、束の数だけでなく「どこに出ているか」も見えてきます。ボンベイのベタつきは、皮脂の出方と毛の作りで説明がつく範囲では、背中の中央から腰にかけての面に集まります。ここから外れた出方をしたときは、別の見方をしてください。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所を舐め続けている、毛が抜けて地肌が見えている、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、毛を分ける回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。ボンベイは全身が黒いぶん、地肌の色の変化が外から見えにくい猫です。分けたときに見えたことを、そのまま伝えてください。迷ったら早いほうを選んでください。

相談に行く前のコツを一つ。束の数と場所を数えた日付を、そのまま残しておいてください。「腰に3つ、尾の付け根に5つ、5月10日」。この形で3回ぶんあれば、増えているのか、同じところを行き来しているだけなのかが分かります。ボンベイのベタつきは見た目に出にくいので、口頭で伝えようとすると「なんとなく」で終わってしまいます。数字にしておくと、そこが埋まります。

もう一つ、前の晩に念入りに拭いてから連れて行かないこと。拭いてしまうと、束の状態がリセットされます。いつもの状態のまま行くほうが、切り分けてもらえます。数えたメモだけ持って、猫はそのまま連れて行ってください。

ボンベイと暮らしていると、この猫の毛がどれだけ短く、どれだけ硬いかがすぐに分かります。その硬さがあるから、皮脂がついたときに毛が束になって、形として見えてくれます。色で探すのをやめて、逆立てて根元を見る。ボンベイのベタつきで家でできることは、この持ち替えから始まります。

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よくある質問

ボンベイは全身が黒いので、汚れが目立たなくて楽ではないですか?
汚れが目立たないことと、汚れていないことは別です。色のコントラストが生まれないので、皮脂がたまっても見た目は変わりません。そのぶん、毛が束になるという形の変化のほうがはっきり出ます。色で判断できないぶん、逆立てて根元を見る手順のほうを習慣にしてください。
ブラシは何を使えばいいですか?
この確かめ方には道具は要りません。手のひらと指だけで足ります。毛を通す道具を使うなら、毛が短いので歯の短いものを、毛の流れに沿って軽く当てる程度で十分です。ボンベイの毛は根元が浅いところにあるので、深く入る道具を強く当てると、皮膚のほうに当たります。
換毛の時期に筋が増えるのはなぜですか?
抜けた毛が、まだ生えている毛のあいだに残るからです。これは皮脂でまとまった束とは別のもので、指で送れば外れます。送っても束のまま進むものだけを、皮脂による束として数えてください。2つを分けて数えると、時期による増減にまどわされずに済みます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。