C15組み合わせ提案

換毛期を乗り切るセット

公開日 2023年5月3日|文=mofuwa編集部

明るい窓のそばで、淡い色のブランケットの上に休んでいる淡い色の犬
換毛期に増えているのは毛の量ではなく、毛が落ちている場所の数のほうでした。写真:Tina Rettler-Pagel/Pexels

4月の第2週、掃除機をかける場所が3か所から7か所に増えました。玄関、廊下、階段の3段目、椅子の脚もと。それまで毛が落ちていなかった場所です。抜けている毛の量が2倍になった実感はありません。増えたのは、毛を追いかけて回る部屋の数のほうでした。換毛期に本当に増えるのは抜け毛ではなく、掃除する場所の数です。ここを取り違えると、そろえるものが「毛を取る道具」ばかりになり、家の中を回る時間だけが延びていきます。この記事では、換毛期のセットを、体の上で受け止める側と、部屋に落ちてから取る側の2つに分けて比べます。決めるのは、どちらに時間を置くかという1点です。

増えたのは毛の量ではなく、掃除する場所の数|換毛期のセットを組む前に数えること

換毛期が始まると、まず目に入るのは床の毛です。次に服につく毛、そして家具の上の毛。「量が増えた」と感じますが、家の中で実際に変わっているのは、毛が落ちている場所の数のほうです。1日に抜ける本数そのものは体が決めていて、人の側から動かせません。動かせるのは、抜けた毛がどこに落ちるかだけです。

セットを組む前に、一度だけ数えてみてください。数えるのは毛の量ではなく、この1週間で毛を取り除いた場所の数です。床、ソファ、寝床、服、車の座席、階段、玄関マット。何か所ありましたか。この数が、換毛期にかかっている時間のほとんどを説明します。1か所あたりの作業はどれも数分ですが、場所が増えると移動と道具の持ち替えが挟まり、合計が跳ね上がります。

掃除する場所が増えると、何が増えるか
場所の数1回の作業移動と持ち替え1日の合計
3か所2〜3分ずつ少ない。同じ道具で回れる10分ほど
5か所2〜3分ずつ道具を2種類使い分ける20分ほど
7か所2〜3分ずつ布・粘着・掃除機を持ち替える30分を超える
家中どこでもその都度道具を探す時間が入る測れなくなる

表の最後の行が、換毛期にいちばんよく起きる状態です。場所が特定できなくなると、作業が「気づいたらやる」に変わります。気づいたらやる形は、終わりがありません。だから換毛期のセットで最初に決めるのは、道具でも回数でもなく、毛が落ちてよい場所を先に決めることです。落ちる場所を1か所に集められれば、道具は1つで足ります。集められなければ、いくつそろえても足りません。

ここで言うセットは、換毛期に買い足す物のことではありません。抜けた毛が、体から離れてどこへ行くかという道筋の設計のことです。道筋が決まると、必要な物はその末端に2つか3つ置くだけになります。物から決めると、道筋がないまま道具だけが家中に散らばります。引き出しに粘着ローラーが3本あるのに毛が減らない、という状態は、たいていここから来ています。

Noteこの記事では、抜け毛の量そのものは扱いません

1日に何グラム抜けるか、年に何回来るかといった話は、測り方によって数字が変わります。そして、その数字が分かっても、家でやることは変わりません。この記事で扱うのは、抜けた毛が体を離れたあとの行き先だけです。量を減らそうとする手ではなく、落ちる場所を集める手を選びます。換毛期の時間は、量ではなく場所の数で決まっているからです。

軸1・体の上で受け止める|換毛期に、抜けた毛が床に届く前に止める条件

1つめの軸は、毛が体を離れる前後で受け止める側です。ブラッシングがその中心になりますが、ここで見たいのは「どれだけ取れたか」ではありません。取った毛が、そのあとどこへ行ったかのほうです。ブラシから抜いた毛を床に落としていたら、場所を集めたことになりません。

この軸が成立する条件は3つあります。どれも道具の性能ではなく、やる場所とやり方の条件です。

3つめの「毛先を落ち着かせてから始める」は、静電気のある時期にとくに効いてきます。うるおいの足りない被毛は、ブラシを当てた瞬間に毛が反発して、周囲へ飛びます。取れた毛の一部が空中に散り、少し離れた床へ落ちる。これが、掃除する場所が増える経路のひとつです。被毛を一度落ち着かせてから通すと、抜けた毛がブラシに残る割合が上がります。受け止める側の質は、道具ではなく被毛の状態で決まります。

この軸の強みは、作業が1か所で完結することです。やる場所を玄関の前と決めれば、換毛期のあいだ、毛の大半はそこに落ちます。掃除する場所は増えません。弱みは、その子の協力が要ることです。押さえていられる時間には限りがあり、嫌がる日は成立しません。成立しなかった日の毛は、そのまま部屋へ回ります。だからこの軸だけで組むことはできません。

もうひとつ、この軸には季節のずれがあります。換毛期の始まりと終わりは、犬と猫、外で過ごす時間の長さ、室内の明るさによって前後します。カレンダーで決めるより、ブラシに残る量が2日続けて増えた日を始まりとみなすほうが、家では使えます。始まった日が分かれば、回数を増やす日も決まります。

軸2・落ちてから取る|換毛期に、掃除の側で時間がどこにかかるか

2つめの軸は、部屋に落ちた毛を取る側です。こちらはその子の協力が要りません。いつでもできて、嫌がられません。だから多くの家が、換毛期に入るとまずこちらを厚くします。ただ、この軸には時間の性質があります。

掃除の側でかかっている時間の大半は、毛を取る時間ではなく、場所を回る時間です。1か所あたりの作業は2〜3分で終わります。増えているのは、その2〜3分を何回繰り返すか、そして道具を持ち替えるために何度立ち止まるかのほうです。

3つめの「戻る速さ」が、この軸のいちばん重い性質です。受け止める側は、取った毛が戻ってきません。落ちてから取る側は、取ったそばから戻ります。朝に床をきれいにしても、夕方には同じだけ落ちています。同じ30分を使っても、残るものが違います。換毛期にどれだけ掃除しても終わらないと感じるのは、この差が理由です。

それでも、この軸を外すことはできません。受け止める側が成立しなかった日の毛は、必ず部屋へ回るからです。だから軸2は「やらない」ではなく、回る場所の数を減らして、1か所に集めるという置き方になります。集める手は、軸2の中にはありません。軸1と、家具の側にあります。

家具の側の手を、少しだけ書いておきます。その子が長く過ごす場所に、洗える布を1枚敷く。それだけで、毛の大半はその1枚に集まります。取る作業が「その布を洗う」に変わると、場所を回る時間が消えます。換毛期のセットに布が入るのは、毛を取るためではなく、落ちる場所を決めるためです。敷く枚数は増やさないでください。枚数が増えると、また場所の数が増えます。

2つを並べて比べる|換毛期のセットは、どっちに時間を置くか

2つの軸を並べます。同じ「換毛期のための手」でも、かかる時間の中身も、やった分が残るかどうかも、逆を向いています。比較して見えるのは、どちらが優れているかではなく、限られた時間をどちらに置いたほうが、掃除する場所の数が減るかということです。

体の上で受け止める側と、落ちてから取る側の比較
体の上で受け止める部屋に落ちてから取る
1回にかかる時間5〜10分。1か所で終わる20〜30分。場所の数だけ増える
時間の中身作業そのもの半分以上が移動と持ち替え
使う道具ブラシと受け皿。1〜2点布・粘着・掃除機。3点以上
元に戻る速さ取った毛は戻らない半日で元に戻る場所がある
その子の協力要る。嫌がる日は成立しない要らない。いつでもできる
掃除する場所の数減る。1か所に集まる変わらない。追いかける側
終わりの決めやすさ決めやすい。回数で区切れる決めにくい。線を引く材料がない
換毛期のセットを、抜けた毛の行き先で比べる 体の上で受け止める側と、部屋に落ちてから取る側を、かかる時間・使う道具・元に戻る速さ・掃除する場所の数で左右に並べた比較カード 同じ1日の中に、両方の場面が順番に来ます 体の上で受け止める 1回5〜10分で終わる 1か所で完結する 道具は1〜2点で足りる 取った毛は戻らない その子の協力が要る 落ちてから取る 1回20〜30分かかる 場所の数だけ回る 道具を3点以上持ち替える 半日で元に戻る いつでも一人でできる 受け止める側を厚くすると、回る場所の数が減ります
両方やることになりますが、時間を厚く置くのは片方だけで足ります。

どっちに時間を置くか。決め手は、その子がブラシを受け入れられる長さです。5分続けて押さえていられるなら、受け止める側に寄せたほうが、換毛期の合計時間は短くなります。2分ももたない子なら、無理に寄せずに、落ちる場所を集めるほうへ手を回します。寄せる先を決めるのは、掃除の得意不得意ではなく、その子の集中が続く長さです。

その子と家の条件から、どちらに時間を置くかを決める
条件時間を置く側組み替えるところ
5分は押さえていられる受け止める側やる場所を1か所に固定する
2分ももたない落ちる場所を集める側長く過ごす場所へ布を1枚敷く
ブラシを見せると逃げる落ちる場所を集める側受け皿と布を先に、道具はあとで
多頭で回す時間がない受け止める側を短く分ける1頭2分、順番を固定する
外で過ごす時間が長い受け止める側帰ってきた場所を1か所に決める
空気が乾いて毛先が広がる受け止める側の前に1工程通す前に毛先を落ち着かせる

表の3行目には、順番の注意があります。ブラシを見せると逃げる子に、換毛期だからと回数を増やすと、逃げる距離が伸びます。この場合は、受け止める側を無理に厚くしないでください。先に布を敷いて、落ちる場所を集める。そのうえで、1日1回、10秒だけ通す形から戻していきます。10秒でも、やる場所が固定されていれば、毛の行き先は決まります。

落ちる場所を1か所に決める|換毛期の時期と、セットを組み替える条件

ここまでで、時間を置く側が決まりました。最後に、この記事の目的をもう一度置きます。換毛期のセットの目的は、毛を減らすことではありません。落ちる場所を1か所に集めることです。集まってさえいれば、そこを片づける作業は数分で終わります。集まらないまま道具を増やしても、回る場所は減りません。

落ちる場所を1か所に集めるための組み替え
いま毛が落ちている場所組み替え方そのあと必要になる道具
家中どこでも長く過ごす場所を1つ決め、そこに布を敷く洗える布1枚
玄関から廊下にかけて帰ってきた直後に足を拭く位置を固定する布1枚と、置き場所
寝床のまわり寝床の下に1枚敷き、寝床ごと持ち上げて洗う洗える布1枚
椅子とテーブルの脚もとブラッシングの場所をそこから移す受け皿1つ
車の座席乗る前に1枚敷き、降りたら畳んで持ち帰る洗える布1枚
服同じ服で触る時間帯を決める増やさない

この表の右の列を見ると、必要な物がほとんど同じであることに気づきます。洗える布と、受け皿と、置き場所。換毛期のセットの中身は、突き詰めるとここに落ち着きます。毛を取る道具ではなく、毛の行き先を決める物のほうです。取る道具は、集まった1か所ぶんだけあれば足ります。

時期の話もしておきます。換毛期の始まりは、カレンダーの月ではなく、ブラシに残る量で決めるほうが家では使えます。2日続けていつもより多いと感じたら、そこが始まりです。室内で過ごす時間が長い子ほど、この境目はぼやけます。だから毎年同じ月に組み替えるのではなく、量が変わった日から、回る場所を増やさない形へ切り替えるという条件で動かします。終わりも同じで、2日続けて減ったら、布の枚数を戻します。

洗わない日の被毛の整え方についても、ひとつ書いておきます。乾いて毛先が広がった状態でブラシを当てると、抜けた毛が周囲へ散り、掃除する場所が増えます。mofuwa グルーミングスプレー は洗い流さないタイプで、無香料・界面活性剤不使用です。布に取って毛の流れに沿って一度なでてから通すと、被毛が落ち着いて、抜けた毛がブラシに残りやすくなります。静電気ともつれの起きにくい状態を保ちたい時期には、mofuwa 毛玉予防ジェル を、絡みやすい場所にだけ薄くのばす手もあります。どちらも毛の量を変えるものではなく、行き先を1か所にまとめるための工程です。使う場所は、ブラッシングの場所として決めた1か所だけで足ります。

Point今日やる1つを選ぶなら、これです

道具を買い足す前に、ブラッシングをする場所を1か所に決めて、そこに洗える布を1枚敷いてください。所要は1分です。換毛期のセットを組み直す作業は、ここから始まります。場所が決まると、明日から回る部屋の数が減ります。全部の場所をきれいにしようとすると、いちばん奥に回した場所がいつも残り、終わりが来ません。

Cautionこういうときは、掃除を増やす前に動物病院にご相談ください

抜け方が左右で違う、地肌が見える範囲がある、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、フケが急に増えた、においが出てきた、換毛期ではない時期に急に増えた。こうした変化があるときは、ブラッシングの回数を増やしたり、洗う間隔を変えたりする前に、動物病院にご相談ください。抜け毛の増え方は、季節以外の理由で変わることもあります。いつから、どの場所で、どのくらいの量なのか。気づいた日を書いた紙が1枚あれば、そのまま持っていってください。

最後に、この記事の考え方をもう一度まとめます。換毛期に増えているのは抜け毛の量ではなく、掃除する場所の数です。体の上で受け止める側は、1か所で終わり、やった分が戻ってきません。部屋に落ちてから取る側は、いつでもできますが、半日で元に戻り、回る場所が減りません。時間を厚く置くのは、その子が押さえていられる長さで決めます。そして、どちらに寄せる場合でも、やることは同じ1つです。毛が落ちてよい場所を、先に決めておくこと。道具は、そのあと2つか3つに絞られます。

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よくある質問

換毛期に、ブラッシングの回数はどれくらい増やせばいいですか
回数は増やしても、1回の時間は延ばさないでください。その子が同じ姿勢でいられる長さは換毛期でも変わらないので、1回を長くすると途中で動き、やり残した場所ができます。1日1回だった子なら朝と夕方の2回に、1日おきだった子なら毎日に。やる場所は同じ1か所のままにしておくと、掃除する場所は増えません。
換毛期はいつ始まって、いつ終わりますか
月で区切るより、ブラシに残る量が2日続けて変わった日を境目とみなすほうが家では使えます。室内で過ごす時間が長い子は、光と温度の変化が小さいぶん境目がぼやけ、少しずつ長く続く形になることがあります。始まりが分かれば回数を増やす日が決まり、終わりが分かれば敷いた布の枚数を戻せます。
抜け毛の量そのものを減らすことはできますか
1日に抜ける量は体の側で決まっているので、家でできるのは行き先を決めることまでです。減らそうとして洗う回数を増やすと、乾かし切れない日が混ざって、かえって手間が増えることがあります。抜け方が左右で違う、地肌が見える範囲がある、換毛期ではない時期に急に増えたという場合は、家で対処する前に動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。