C15組み合わせ提案
介護期のケアの組み立て方
介護が2か月目に入った家の朝、その日いちばんに手をつける場所が、7日間すべて違っていました。月曜は目のまわり、火曜は腰、水曜は口のまわり。どれもその朝に見て決めたことで、1つずつ取れば正しい判断です。ところが7日たったとき、耳の外側を1度も見ていないことに誰も気づいていませんでした。介護期のケアの組み立てが崩れるのは、時間が足りないからではありません。順番が毎日変わるからです。毎朝ゼロから決めていると、飛ばした場所が何日連続で飛んでいるかを、誰も数えていない状態になります。この記事では、その日の状態を見て決める組み立てと、1日の3つの節目に固定枠を置く組み立てを並べ、どちらをどの時期に選ぶかまで書きます。
同じことをしているのに、昨日と順番が違う|介護のケアの組み立てが毎朝ゼロに戻ること
介護期の1日には、時刻が決まっている用事がいくつも入ります。薬を飲ませる時間、食事、排泄の介助、体の向きを変える回数、通院の予約、洗濯。これらは時計に紐づいているので、決めなくても順番が来ます。人が判断しなくても回ります。
一方で、体を拭く、目のまわりを見る、寝床を整える、足の裏を確かめるといった毎日のケアには、時刻がついていません。だから毎朝、今日はどこから手をつけるかを、その場で決めることになります。その子の様子を見て、いちばん気になるところから始める。これは合理的に見えますし、実際その日の判断としては正しいことが多いです。問題は、翌日も同じことをすることです。
- 決める作業が毎日ある:介護期にいちばん減っているのは、時間より判断する余力です
- やった記憶が積み上がらない:順番が毎日違うと、昨日どこまでやったかを思い出せません
- 抜けが見えない:「今日は要らない」と判断した場所が、何日連続で飛んだかを誰も数えていません
- 変化が読めない:見る時刻も明るさも毎日違うので、前と比べられません
- 引き継げない:家族が交代したとき、昨日までの順番を説明できません
- できた日と、できなかった日の差が出ない:やり切った感覚だけが残り、記録になりません
この6つのうち、いちばん効いてくるのは3番目です。飛ばした場所は、飛ばした日には問題になりません。何日も続いたときに、初めて見つかります。耳の外側、指のあいだ、腹の下、尾のつけ根。介護期にいちばん見ておきたい場所ほど、その日の見た目では緊急に見えないので、毎日の判断で後ろへ回されます。7日間すべて違う場所から始めていた家で、耳が1度も見られていなかったのは、そういう仕組みです。
だから、介護期のケアの組み立てで先に決めるべきなのは、何をやるかではありません。いつ、どこでやるかのほうです。この記事では、そこを2つの型に分けて比べます。1つ目は、その日の状態を見てから決める型。2つ目は、1日の3つの節目に固定した枠を置いて、その枠の中身だけを日によって変える型です。
介護期の記事はどうしても、早起きする・手際をよくする、という方向に行きがちです。ここではその方向は使いません。時間を増やす形は、増やせた日しか回らないからです。この記事で扱うのは、いまある時間の中で、置く場所と時刻だけを決め直す組み立てです。所要時間は1枠5分以内、1日あたり15分を上限にしています。増やすのではなく、散らばっているものを3か所に寄せる、という方向で読んでください。
軸1・その日の状態を見てから決める|介護のケアを毎朝ゼロから組み立てる日の中身
1つ目の型は、多くの家が自然にこうなっている形です。朝、その子を見て、いちばん気になるところから手をつけます。目やにが出ていれば顔から。下になっていた側が汚れていれば腰から。食べこぼしがあれば口のまわりから。判断は毎回その場で下します。
この型の強みははっきりしています。その日いちばん必要なところに、必ず手が届きます。介護期は日によって状態が動くので、決め打ちの手順より当たりやすい。人手が足りない日も、優先度の高いものだけをやって終われます。介護が始まったばかりの時期、まだ何がどのくらいの頻度で必要なのかが分かっていない段階では、この型でしか進められません。
| 場面 | なぜ向くか |
|---|---|
| 介護が始まって最初の2〜3週間 | 何が毎日必要で、何が週1回でいいのかが、まだ分かっていない |
| 状態が日ごとに大きく動く時期 | 決めた枠のほうが実態に合わなくなる |
| 通院や検査が続く週 | 予定が動くので、固定した時刻が守れない |
| 人手が1人しかいない日 | 優先度の高いものだけで切り上げられる |
弱いところも、同じ性質から出ます。毎朝ゼロから決めるということは、決める作業が毎日1回ずつ発生するということです。介護が長くなるほど、この1回が重くなります。実際に崩れるときは、ケアをやめる決断をした人はどこにもいません。決められない朝が1日あって、その日は飛ばし、翌日も決められず、3日目には元の形を思い出せなくなっています。
- 続く日数が短い:判断する余力が落ちた日から、順に飛び始めます
- 抜けるものが決まっている:見た目で緊急に見えない場所が、いつも後ろに回ります
- 連続で飛んだ日数が分からない:飛ばした記録が残らないので、誰も数えられません
- 変化が比較できない:見る時刻・姿勢・明るさが毎日違うと、前と並べられません
- 交代した人に渡せない:昨日の判断の理由は、その人の頭の中にしかありません
- やり残しの感覚だけが残る:何が残っているかは分からないまま、負担感だけ積もります
ここで大事なのは、この型が悪いという話ではないことです。介護の入口では、これ以外の組み立てが作れません。何が必要かを知るための期間が要ります。ただ、その期間が2週間を超えたあたりから、同じ型のまま続けると、上の6つが順番に出てきます。だから、切り替える時期があります。
軸2・1日の3つの節目に枠を置く|介護のケアの組み立てを場所と時刻で固定する
2つ目の型は、1日の中にすでにある「節目」に枠を置きます。節目とは、その家で毎日必ず起きていて、時刻が動かない出来事のことです。新しく時刻を作るのではなく、すでに動いている出来事に紐づけます。介護期の家には、たいてい3つあります。
| 節目 | いつ | 枠の中身 | 見る場所 |
|---|---|---|---|
| 朝の起き上がり | 体を起こして、下の布を替えるとき | 顔まわりを短く。目のまわりと口のまわり | 目・口・あごの下 |
| 昼の介助 | 食事か排泄の介助が終わった直後 | 夜のあいだ下になっていた側 | 腰・脇・内もも |
| 夜の寝る支度 | 寝床を整えるとき | 寝床の側と、足の裏 | 指のあいだ・肉球・尾のつけ根 |
ここが、この型のいちばん大事なところです。固定しているのは、やることの中身ではありません。場所と時刻のほうです。朝の枠で顔を拭くか、見るだけで終わるかは、その日の状態で変えてかまいません。時間が30秒しかない日は、目を見るだけでも枠は成立します。枠が空になった日を「今日はできなかった」と数えられること自体が、この型の成果です。
なぜ節目に紐づけるのか。時刻そのものを決めると、介護期は守れないからです。7時と決めても、その日の起き上がりが8時にずれることがあります。ところが「体を起こして布を替えるとき」と決めておけば、それが何時であっても枠は来ます。時計ではなく、必ず起きる出来事のほうに紐づける。これが崩れにくい組み立てです。
- 枠は3つまで:4つ目を足すと、いちばん弱い枠から消えます
- 1枠5分以内:長い枠は、忙しい日に丸ごと飛びます
- 場所を先に決める:どこでやるかが決まっていないと、道具を取りに行く往復が入ります
- 道具はその場に置く:3か所に分けて置きます。1か所にまとめると、枠のたびに移動が発生します
- 中身は変えていい:やることを固定すると、状態に合わない日に枠ごと飛びます
- できなかった日は×だけ書く:理由は書きません。数えられれば十分です
この型の弱点は、立ち上がりが重いことです。最初の1週間は、枠を思い出すこと自体に手間がかかります。紙に3行だけ書いて、それぞれの場所に貼るところから始めます。もう1つ、その日いちばん気になる場所が枠から外れている日は、枠のあとに1つだけ足すことになります。ここを毎日やろうとすると、結局ゼロから決める型に戻るので、足すのは1つまでと決めておきます。
介護が長くなるほど、この型の効き方が変わってきます。同じ時刻に、同じ場所を、同じ姿勢で見ることになるので、変化がそのまま比較になります。昨日の朝と今日の朝、目のまわりが同じかどうか。同じ条件で見ているから言えることです。皮膚や被毛の変化を動物病院で伝えるときも、この形の記録は読み上げるだけで済みます。
2つの決め方を並べて比べる|続いた日数・抜けたもの・気づけた変化でどっちを選ぶか
2つの型を並べます。比べる列は、やりやすさではありません。続いた日数、抜けたもの、気づけた変化の3つです。介護期のケアの組み立ては、1日の出来だけを見ても評価できません。1か月続いたかどうかで決まります。
| その日の状態で決める | 3つの節目に枠を置く | |
|---|---|---|
| 続いた日数 | 判断する余力が落ちた日から飛び始める | 枠が空いても翌日また来るので戻れる |
| 抜けるもの | 見た目で緊急に見えない場所が毎回後回し | 枠に入っている場所は必ず順番が来る |
| 気づける変化 | 条件がそろわないので前と比べにくい | 同じ時刻・同じ姿勢なので比較になる |
| 決める作業 | 毎朝1回、必ず発生する | 枠を作った1回で終わる |
| 向いている時期 | 介護の入口の2〜3週間 | 介護が1か月を超えたあと |
| 人手が複数のとき | 引き継ぎのたびに説明が要る | 枠を渡せば同じ形で回る |
| 記録の残り方 | やった感覚だけが残る | ◯と×が3つずつ並ぶ |
| その日いちばんの場所 | 必ず届く | 枠のあとに1つだけ足す |
どっちを選ぶか。決め手は2つです。1つは、介護が始まってからの日数。もう1つは、手を貸す人が1人か複数かです。入口の2〜3週間は、その日の状態で決める型しか作れません。何が毎日必要なのかを知る期間だからです。1か月を超えたら、分かったことを枠に移します。人が複数いる家は、もっと早く枠に移してかまいません。引き継ぎができるのは枠のほうだけだからです。
| いまの状況 | 選ぶ組み立て | 最初にやること |
|---|---|---|
| 介護が始まって2週間以内 | その日の状態で決める | 手をつけた場所を、日付とともに1行書く |
| 1か月を超えて、同じ場所が飛んでいる | 3つの節目に枠を置く | すでに時刻が決まっている出来事を3つ書き出す |
| 家族2人以上で交代している | 3つの節目に枠を置く | 枠の紙を3か所に貼る |
| 通院と検査が続いている週 | 枠を残したまま中身を減らす | 枠は残す。中身は見るだけにする |
| 状態が大きく動いた日 | 枠のあとに1つだけ足す | 足すのは1つまで、と決めておく |
混ぜる形が現実的です。3つの枠を固定して、その日いちばん気になる場所を、枠のあとに1つだけ足す。これなら、その日の必要にも届き、飛んだ場所も数えられます。介護のケアの組み立てで詰まるのは、たいてい「全部を毎日やろうとしたとき」です。枠3つと、追加1つ。上限を決めておくと、忙しい日にも枠のほうは残ります。
固定するのは内容ではなく、場所と時刻|介護のケアの組み立てで今日動かす1つ
枠を作るときに、いちばん間違えやすいところをもう一度書いておきます。固定するのは、やることの中身ではありません。場所と時刻です。「朝は目のまわりを拭く」と内容で固定すると、拭く必要のない日に枠ごと飛びます。「朝、体を起こしたその場所で、顔を見る」と場所と時刻で固定すると、拭くか見るだけかは、その日に決められます。枠が生き残る条件は、ここだけです。
道具の置き方も、同じ考え方でそろえます。3つの枠は場所が違うので、道具も3か所に分けて置きます。1か所にまとめてあると、枠のたびに取りに行くことになり、その往復が枠を飛ばす理由になります。介護期は、その子から離れられない時間が長くなります。手を伸ばして届くところに置いてあるかどうかで、続くかどうかが変わります。
| 枠 | 置く場所 | そこに要るもの |
|---|---|---|
| 朝の起き上がり | 寝ている場所のそば | 布を1枚と、洗い流さないケアのもの |
| 昼の介助のあと | 介助をしている場所 | 替えの布と、下に敷くもの |
| 夜の寝る支度 | 寝床のそば | 足を拭くものと、寝床まわりに使うもの |
使うものについても書いておきます。介護期は、洗える日そのものが減ります。押さえて立たせる工程が難しくなるからです。ただ、体が乗っている側の面には、その子自身の毛づくろいも届きません。寝返りを自分で打てなくなるほど、下になっている面は下のままになります。ここは人が代わるしかない場所なので、洗う日をなくす方向では組み立てません。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして、湯そのものを洗浄液にするタイプです。泡を立てて被毛をかき分ける工程がないので、押さえて擦る力が要らず、こちらの手は体を支えるほうだけに使えます。全身が難しい日は、桶に張って足先や腰まわりだけ、という分け方もできます。洗う日は、3つの枠の外に月何回と置いてください。枠は5分以内、洗う日はそこに含めない。同じ枠に入れると、洗った週だけ枠が丸ごと飛びます。
夜の枠には、寝床の側に使うものを置きます。介護期に人の手が足りなくなるのは、その子の体より、まわりの布のほうです。敷いているものは毎日は洗えません。mofuwa 瞬間消臭スプレーは、香りでマスキングせず、においの元に働きかける無香料のスプレーで、床や家具にも場所を選ばず使えます。寝床のまわりや、下に敷いているものに使って、洗う日までのあいだをつなぐ役割です。夜の枠に置いておくと、その子の体と、寝床の側を、同じ枠の中で見られます。
同じ場所の毛が薄くなってきた、地肌が赤い、じくじくしている、触ると痛がる、下になっている側の皮膚がへこんだままになる、においが急に変わった、食べる量や水を飲む量が変わった、寝ている姿勢が急に変わった。こうした変化に枠の中で気づいたときは、家で手当てをしようとせず、動物病院にご相談ください。介護期は、年齢のせいなのか体の側の話なのかを家では切り分けられません。この記事の組み立てで回していれば、いつから、どの枠で、どの場所に出たかが3行の記録として残っています。そのまま持っていけば、その場で話が早く進みます。
記録は3行で足ります。日付と、3つの枠に◯か×を書くだけです。×の理由は書きません。数えられればいいからです。2週間ぶん並べると、どの枠がいちばん飛んでいるかが見えます。飛ぶ枠は、たいてい場所か時刻のどちらかが合っていません。中身を減らすのではなく、置く場所を動かすと戻ります。介護のケアの組み立ては、こうやって3か月かけて形になっていきます。
最後に、今日やる1つを決めます。その家で、毎日必ず同じ順番で起きている出来事を3つ書き出してください。時刻は書かなくてかまいません。起き上がるとき、食事の介助が終わったとき、寝床を整えるとき。この3つが書けたら、そこに枠を置く場所が決まります。やることの中身を決めるのは、そのあとで間に合います。介護のケアの組み立ては、何をやるかを増やす作業ではなく、すでに動いている3つの出来事に、置き場所を1つずつ紐づける作業です。
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浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- 3つの枠を作りましたが、夜の枠だけが毎回飛びます。どう直せばいいですか。
- 中身を減らす前に、場所を動かしてみてください。夜に飛ぶ枠は、たいてい道具が別の部屋にあります。寝床のそばに、足を拭くものと寝床まわりに使うものを置いて、手を伸ばして届く距離にしてください。それでも飛ぶときは、節目のほうがずれています。夜の枠を「寝床を整えるとき」ではなく「その日の最後の投薬のあと」など、もっと確実に起きる出来事に紐づけ直すと戻ります。枠そのものを減らす判断は、場所と節目を2回とも動かしてからで間に合います。
- 介護のケアの組み立てを枠にすると、その日いちばん必要なところが後回しになりませんか。
- 枠のあとに1つだけ足す形にしてください。上限を1つと決めておくのが大事です。2つ3つと足せるようにすると、忙しい日に判断が発生して、結局ゼロから決める型に戻ります。枠3つと追加1つ、という上限があると、その日いちばん気になる場所には必ず届き、枠のほうも残ります。追加した場所が3日続けて同じなら、それは枠に入れ替える合図です。
- 家族で交代しています。同じ組み立てで回すには、何を共有すればいいですか。
- 紙3枚で足ります。3つの枠それぞれについて、いつ・どこで・どの場所を見るかを1行ずつ書いて、その場所に貼ってください。やることの中身は書かないほうがうまく回ります。中身を書くと、その日の状態に合わないときに枠ごと飛ばされます。あわせて、日付と3つの◯×だけを書く紙を1枚、目につくところに置いてください。誰がやったかは書かなくて構いません。皮膚や被毛に気になる変化が出たときは、その紙を持って動物病院にご相談ください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
