C04悩み解決
部分的な脱毛のケアで、実は逆効果になっている3つのこと
500円玉くらいの薄い場所を見つけた日から、そこにだけブラシを当てなくなる。部分的な脱毛に気づいた飼い主が、まず最初にやることです。手当てのつもりでやっていることの多くは、「これ以上抜かないように」という向きを持っています。ところが部分的な脱毛は、抜けている最中の状態ではなく、生えてこない場所ができている状態です。向きが合っていないので、やってはいけない側に回ってしまいます。この記事では、逆効果になりやすい3つと、代わりにやる順番を分けて書きます。
部分的な脱毛は、抜けた量では測れない
12月の床には、掃除機をかけた30分後にはもう毛が落ちています。冬でも室内で暮らす犬と猫は、一年じゅう少しずつ被毛が入れ替わっているからです。ところが部分的な脱毛は、この「量」の話とは別のところで起きています。体の一部だけ毛が生えそろわず、地肌が見えている状態のことで、床に落ちた本数をどれだけ数えても、その場所は特定できません。
| 換毛期の抜け毛 | 部分的な脱毛 | |
|---|---|---|
| 出方 | 全身から少しずつ | 決まった場所だけ |
| 境目 | はっきりしない | 地肌との境目が線になる |
| 時間 | 2〜3週間で収まっていく | 止まった場所が動かない |
| 見て分かるもの | 床に落ちる量 | 毛先ではなく、根元の密度 |
部分的な脱毛は、抜けているのではなく、生えてこない場所ができている状態です。だから「これ以上抜かないようにする」方向の手当ては、どれだけ丁寧にやっても届きません。脱毛でやってはいけないと言われることの多くは、この向きのズレから生まれています。逆効果になるかどうかは、その手当てが親切かどうかではなく、向きが合っているかどうかで決まります。
空気が乾く時期は被毛のうるおいが落ち、静電気で毛が寝なくなります。毛が立っている場所は地肌が透けて見えやすく、部分的な脱毛と見間違えることがあります。指で毛を押さえて寝かせても、まだ地肌が見えるかどうかで分けてください。押さえれば隠れるなら、それは生えている毛です。
毛を守るやり方が、脱毛では逆に働く
ここからが、部分的な脱毛でやってはいけない3つです。3つとも、飼い主として自然な判断から出てきます。共通しているのは、どれも「これ以上抜かないように」という向きを持っていることです。生えてこない場所に対して、抜けないための手当てをしているので、噛み合いません。
| やってしまうこと | その場所で起きること |
|---|---|
| その場所のブラッシングをやめる | 抜けた毛が根元に残って絡み、地肌がかえって見えにくくなる |
| 気になって、毎日かき分けて確かめる | 毛の流れが乱れ、どこまでが薄い範囲なのか分からなくなる |
| 生えるのを待つあいだ、上から何かを塗って覆う | 毛先が固まって束になり、範囲も色も比べられなくなる |
1つ目。薄くなった場所は皮膚が近く、ブラシを当てるのが怖くなります。それでその一帯だけ避けるようになるのですが、抜け落ちた毛はひとりでに床へ落ちるわけではありません。根元に残ったまま周りの毛と絡み、薄い場所の上に薄い層をつくります。結果として、地肌がどれだけ見えているのかが分からなくなります。
2つ目。気になるので、日に何度もその場所をかき分けて確かめる。毛は同じ向きに流れることで境目をつくっているので、毎日かき分けられた場所は流れが乱れ、今日は広がった気がするという感触だけが残ります。確かめる行為そのものが、確かめられない状態をつくっているわけです。
3つ目。生えてくるまでのあいだ、何かを塗って覆っておきたくなります。人用の保湿剤やオイル、市販の塗り薬。毛先が固まって束になると、地肌の色も範囲も比べられません。犬や猫に塗るものは、動物病院で出されたものだけにしてください。以前に別の場所で出された残りを使うのも避けてください。
この3つは、その場所を悪くするから避けるのではありません。どれも「いま、どこまで薄いのか」を分からなくします。脱毛でやってはいけないかどうかの基準は、痛むかどうかではなく、あとから比べられなくなるかどうかで考えてください。
境界線を見えるようにしておく、脱毛ケアの順番
代わりにやることは、毛を減らさないことではありません。薄い場所と、そうでない場所の境界線を、いつでも見える状態にしておくことです。広がっているのか、同じところで止まっているのか。それが分かれば、待っていい期間なのかどうかを自分で判断できます。順番は次のとおりです。
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薄い場所から10cmほど離れたところから、ブラッシングを始める
いきなり境目には触れません。周りの被毛の流れを整えると、薄い場所の輪郭が浮かび上がります。ブラシは毛先から入れて、少しずつ根元へ下ろしてください。最初から根元に当てると、引っかかったところで力が入ります。
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境目までブラシを進めて、そこで止める
薄い場所の中はとかしません。毛が少ないぶん、ブラシの歯が皮膚に直接当たります。境目の外側までで手を止めてください。
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根元に絡んで残っている毛を、引き抜かずに送り出す
抜け落ちて絡んだままの毛は、コームの先で外側へ送り出します。指でつまんで引き抜くと、生えている毛まで一緒に抜けます。取れないものは、その日は残して構いません。
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週に1回、同じ場所・同じ明るさで写真を撮る
撮る日を決めてください。たとえば日曜の朝、同じ窓のそばで、同じ向きから。毎日撮ると1日ぶんの差が小さすぎて、かえって分からなくなります。
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写真では、境界線が動いたかどうかだけを見る
毛の量ではなく、境目の位置です。先週より外側へ出ているか、同じところで止まっているか。この2つだけを比べてください。
冬のブラッシングでは、被毛が乾いていると静電気で毛が立ち、境界線がぼやけます。とかす前に周りの毛を軽く湿らせておくと、毛先が落ち着いて根元まで見通せます。薄い場所の中ではなく、その周りの毛に対してやることです。
週1回という脱毛記録の頻度と、待つのをやめる線
順番を決めても、最後にどうしても薄い場所そのものを触ってしまう。これがいちばん多いつまずきです。触ったこと自体は取り消せませんが、触った日は写真に「触った」と書き添えてください。翌週の写真で境目が乱れていても、それが広がりなのか、触った跡なのかを分けられます。
写真の頻度は週1回です。犬でも猫でも同じで、毎日撮る必要はありません。4週間ぶん、つまり4枚並べたときに境界線が外へ動いていなければ、その場所は止まっています。逆に、2枚目ですでに外へ出ているなら、待つ段階ではありません。頻度を上げるより、明るさと向きを毎回そろえるほうが、比べられる記録になります。
左右対称に薄くなっている、地肌が赤い・黒ずんでいる・かさぶたがある、においがある、その場所をしきりに舐めたり噛んだりしている、フケが急に増えた、水を飲む量や食欲が変わった、元気がない。いずれかに当てはまるときは、記録を続けずに動物病院にご相談ください。部分的な脱毛は皮膚の外側だけの話とは限らないため、自己判断で様子を見る期間を延ばさないでください。
受診のときは、撮りためた写真をそのまま見せてください。いつから、どこが、どちらの向きに動いたかが一目で伝わります。診察前にその場所をきれいにしたり、毛を刈ったりしないでください。
経過を見ているあいだに家でやることは、薄い場所の外側にしかありません。冬は周りの毛が静電気で立つので、境界線の位置が日によってずれて見えます。そこで、撮る前に周りの毛だけを湿らせています。使うのは mofuwa スキンケアミストで、香りも油分も足していない電解水100%です。わずかに塩素のようなにおいが残ることがありますが、それは何かを足していない側から出ているにおいです。使うのは、薄い場所から10cmほど外側の被毛にだけ。柔らかい布へ薄く移して毛先を寝かせ、その状態で週1回の写真を撮ります。薄い場所の中には入れないでください。やってはいけない3つの3つめが、そのまま当てはまります。
4枚目まで並んだころには、境目が動く場所と、動かないまま止まっている場所が、その子の体の中で分かれてきます。写真を撮り続ける目的は、脱毛の広さを測ることではありません。来年また同じことが起きたときに、去年のどこと同じで、どこが違うのかを言えるようにしておくことです。周りの毛を寝かせてから撮る、という一手をそろえておくと、1年後に並べても比べられる記録になります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 薄くなっている場所のブラッシングは、犬だとどれくらいの頻度でやればいいですか?
- 頻度を上げる必要はありません。全身のブラッシングと同じ回数で構いません。大事なのは回数より、毎回同じ順番でやることです。薄い場所の外側から始めて、境目で止める。この順番さえ守られていれば、週2〜3回でも境界線は見えるようになります。
- 写真を撮るコツはありますか?
- 同じ窓のそばで、同じ時間帯に、同じ向きから撮ってください。明るさが変わると、地肌の見え方だけで印象が変わります。フラッシュは使わないでください。指や定規を一緒に写しておくと、あとから大きさを比べやすくなります。
- 冬に毛が薄く見えるのは、換毛期のせいでしょうか?
- 換毛期の抜け毛は全身から少しずつ出るもので、決まった場所だけ地肌が見える形にはなりません。冬は乾燥で被毛のうるおいが落ち、静電気で毛が立って地肌が透けることがあります。指で毛を押さえて寝かせてもまだ地肌が見えるなら、換毛期とは別のものとして考えてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
