C12Q&A・豆知識
来客がペット臭に気づくまでの秒数
玄関のドアを開けて、相手が一歩入ったところで鼻先が少し動いた。来客のたびに、その一瞬を見ている人は多いと思います。来客がペット臭に気づくまでの秒数を、この記事では書きません。測ろうとすると、測る側の条件が毎回変わってしまい、出てきた数字が次の来客で使えないからです。かわりに使えるのは、玄関で気づかれたのか、座ってから気づかれたのかという、場所の目盛りのほうです。玄関なら、空気にあるにおい。座ってからなら、布に移ったにおい。出どころが違うので、打つ手も変わります。この記事では、来客とペット臭をめぐる疑問を8つの問答に分けて、秒数のかわりに使える形へ置き換えていきます。
来客がペット臭に気づくまでの秒数は、何秒くらいですか
この記事では、その秒数を書きません。数字を1つ置くこと自体はできますが、置いたところで、次の来客の日に使えないからです。理由は2つあります。1つは、測る側の条件が毎回変わること。もう1つは、仮に正しい数字が出たとしても、その数字からは、家で何をすればいいかが出てこないことです。
「何秒で気づくか」という問いを立てると、答えを出すために決めなければならないことが一気に増えます。誰が嗅ぐのか。玄関の広さはどれくらいか。外の空気は暖かいのか冷たいのか。ドアはどれだけ開いていたか。そして、いちばん決めにくいのが、「気づいた」をどうやって判定するかです。気づいても口に出さない人のほうが多いので、判定する側からは見えません。
そのうえ、秒数が短くても長くても、やることは変わりません。短ければ念入りに、長ければ手を抜いていい、という組み立てにはならないからです。来客とペット臭の話で本当に知りたいのは、時間の長さではなく、どこから来ているにおいなのかのほうです。ここが分かると、次の来客までにやることが1つに決まります。
秒数のほかに、「来客の◯%が気づく」「平均◯分で慣れる」といった割合や平均も書きません。どれも、調べ方と、誰に聞いたかで動く数字です。出どころを確かめられない数字を覚えても、自分の家の玄関では使えません。この記事で扱うのは、数え方によらず残る2つの場所と、その2つで出どころがどう分かれるかだけにします。自分の家の傾向を知りたいときは、下の手順で、来客4回ぶんの記録を作るほうが確実です。
秒数で測れないのは、なぜですか
測るたびに、条件が入れ替わるからです。同じ家で、同じ日に、2人に続けて入ってもらっただけでも、結果は変わります。変わる条件を並べてみると、そのうちのどれ1つも、家の側で固定できないことが分かります。
| 条件 | 何が変わるか | 家で固定できるか |
|---|---|---|
| 来た人の鼻 | におい全般の受け取り方が違う | できない |
| 外の空気の温度 | 冷たいほどにおいは立ちにくい | できない |
| 玄関の広さと風の通り | 空気が出ていく速さが変わる | ほぼできない |
| その日の湿度 | におい成分の動き方が変わる | できない |
| 直前に何をしたか | 食事、掃除、換気で下がる | 一部できる |
| 自分がどれだけ慣れているか | 基準の置き場所がずれる | できない |
そしてもう1つ、いちばん大きい問題があります。「気づいた」という出来事が、外からは観測できないことです。気づいても言わない人がほとんどですし、言ってくれる人でも、玄関で感じたことを居間に座ってから口にすることがあります。感じた時刻と、口に出た時刻がずれるので、秒数として拾えません。
だから、来客がペット臭に気づくまでの秒数を集めたとしても、その数字は「その日、その人、その部屋」のものにしかなりません。1回しか成立しない数字は、次の準備の材料にはならない、というのがこの記事の出発点です。
では、来客の何を見ればいいのですか
見るのは、時間ではなく場所です。玄関で反応があったのか、部屋に入って座ってから反応があったのか。この2つだけを分けておきます。秒数と違って、これは家の側から観測できます。相手が何かを言わなくても、どこで鼻先が動いたか、どこで窓のほうを見たかは、送り出すまでのあいだに分かります。
場所が使える理由は、においの届き方にあります。玄関で届くのは、空気に乗ってきたにおいです。ドアを開けた瞬間、中の空気がまとまって外へ出ていきます。相手はその空気の中に立っています。座ってから届くのは、布から押し出されたにおいです。体重がかかって、繊維のあいだにあった空気が外へ出てきます。経路がまったく違うので、出どころも違います。
この分け方には、もう1つ利点があります。玄関で反応がなかったこと自体が、情報になるという点です。何も起きないまま居間まで進んで、座ってから空気が変わったなら、空気の側は下がっていて、布の側が残っているということになります。来客とペット臭の関係を、成功か失敗かで見るのをやめて、2択の観測に変えるのが、この記事のやり方です。
玄関で気づかれたときは、においはどこから来ているのですか
空気の中にあります。そして空気の中にあるということは、いま、どこかで出続けている元があるということです。空気そのものは、においを長くためておけません。換気をすれば下がりますし、閉め切れば戻ります。戻るということは、供給元が室内に残っているということになります。
- トイレまわり:本体の側面と、下に敷いているものが元になります
- 食器と水入れ:残った水と、口が触れたふちが元になります
- ゴミの置き場所:ふたがあっても、開けるたびに空気に出ます
- その子の体そのもの:口のまわり、足の裏、耳のあたり
- 抜けた毛のたまり場:家具の下と、部屋の角に集まります
- 湿ったまま置いてある布:足を拭いた布、雨の日の敷物
玄関で気づかれる日と、気づかれない日が分かれるときは、直前の1時間に何をしたかを思い出すと、たいてい説明がつきます。窓を開けたか、掃除機をかけたか、トイレを片づけたか。帰宅後すぐに来客がある日と、家に人がいた時間が長い日でも、玄関の空気は違います。ここは毎日の習慣の側で動かせる部分です。
気をつけたいのは、玄関で気づかれたときに布のほうを洗い始めてしまうことです。ソファカバーを洗っても、空気に出続けている元が別のところにあれば、次の来客でも同じことが起きます。玄関で反応があった日は、洗うものを増やすより、出続けている元を1つ探すほうが早く終わります。
座ってから気づかれたときは、布で何が起きているのですか
押し出されています。布は、においをためる側の材料です。体が触れているあいだに皮脂が繊維へ移り、時間をかけて奥まで入ります。そこへ人が座ると、繊維のあいだにあった空気が押し出され、まとまって鼻の高さまで上がってきます。玄関では何も言わなかった人が、座って少ししてから窓のほうを見る、というのはこの形です。
この経路の特徴は、換気ではほとんど動かないことです。空気を入れ替えても、布の中にあるものは出ていきません。窓を開けて30分待った日に、玄関では何も起きず、座ったところで反応があったなら、出どころは布の側だと考えて、ほぼ外れません。室内の空気と、布の中身は、別々に扱う必要があります。
| 場所 | なぜたまるか | 確かめ方 |
|---|---|---|
| ソファの座面と背もたれ | 人も動物も、毎日同じ面に触れる | 手のひらで押して、においを嗅ぐ |
| クッションと座布団 | 厚みがあって、奥まで入る | 両手ではさんで押してみる |
| 椅子の座面 | 座る位置が毎回ほぼ同じ | 座ったあとに鼻を近づける |
| ラグとカーペット | 毛と皮脂が両方たまる | 手で毛並みを逆に起こす |
| カーテンの裾 | 床の近くの空気が当たり続ける | 裾だけを持ち上げて嗅ぐ |
| その子の寝床 | いちばん長い時間、体が触れている | 布を1枚めくって下を見る |
確かめ方の欄が、どれも「押す」になっているのには理由があります。座るという動作は、布を押す動作だからです。ただ近づいて嗅いでも、来客と同じ条件にはなりません。押して、出てきたところを嗅ぐ。この一手間で、来客の鼻が受け取っているものに近づきます。ペット臭を布から探すときは、嗅ぐ前に押す、と覚えておくと見つかります。
自分の家がどちらなのかは、どうやって切り分けますか
来客4回で決まります。1回ごとに条件を1つだけ変えて、玄関だったか座ってからだったかを記録します。秒数を測る必要はありません。書くのは「玄」か「座」か、そして「反応なし」の3つのうち1つだけです。
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1回目:いつもどおりの日にする
特別な準備をせずに迎えます。これがその家の基準になります。玄関で鼻先が動いたか、座ってからだったか、どちらでもなかったか。玄関を出るときにメモに1文字だけ書きます。
-
2回目:換気だけをして迎える
来客の30分前に、空気の入り口と出口になる窓を2か所開けます。布には手をつけません。ここで玄関の反応だけが消えたなら、空気の側が下がったということです。座ってからの反応が残るなら、布の側に元があります。
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3回目:座る場所の布を1枚替えて迎える
ソファに乾いた布を1枚かける、クッションを外す、椅子を別のものにする。換気はせずに、布だけを変えます。座ってからの反応がここで消えたら、出どころは布で確定します。
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4回目:座る位置を変えてもらう
いつもと違う席にすわってもらいます。同じ部屋の中でも、体が触れてきた布とそうでない布で差が出ます。席を変えて反応が消えるなら、部屋全体ではなく、その1か所が元だったということになります。
4回ぶんそろうと、その家の傾向が並びます。玄が多いのか、座が多いのか、両方出るのか。両方出る家もふつうにあります。その場合は、空気と布の2つを別々に見ていくことになります。よそから借りてきた秒数より、この4文字のほうが早く役に立ちます。来客の回数がそのまま目盛りになるので、特別な道具も要りません。
記録は、毎日つけるものではありません。来客があった日だけ、玄関を閉めたあとに1文字。この軽さが続く条件になります。半年もすれば、自分の家の来客とペット臭の関係が、数字ではなく傾向として手元に残ります。
出どころが違うと、打つ手はどう変わるのですか
変わります。そして、取り違えると空振りします。玄関で気づかれているのに布を洗い続ける、布から出ているのに換気を増やす。どちらも手数だけが増えて、次の来客で同じことが起きます。2つを並べておきます。
| 玄関で気づかれた | 座ってから気づかれた | |
|---|---|---|
| においの経路 | 空気に乗って届く | 布から押し出されて届く |
| 出どころ | いま出続けているもの | 時間をかけてたまったもの |
| 効きやすい手 | 換気と、元そのものの片づけ | 布を洗う、外す、覆う |
| 効きにくい手 | 布を洗うこと | 窓を開けること |
| 下がるまでの早さ | その日のうちに動く | 洗って乾くまでかかる |
| 戻り方 | 元が残っていれば戻る | 使い続ければまたたまる |
| 前日にできること | ほとんどない | 洗って乾かしておく |
表のいちばん下の行が、来客の日にいちばん効きます。布の側は前日に動かせて、空気の側は当日にしか動かせません。だから、来客の予定が分かっている日は、前日に布、当日に換気、という順番になります。逆にすると、前日にした換気は当日まで残らず、当日に洗った布は乾ききりません。
そして、どちらの経路でも共通していることが1つあります。においの元をつくっているのは、その子の体と、そこから出た皮脂と毛です。空気に出るか、布にたまるかの違いはあっても、上流は同じところにあります。上流に手が入っていれば、下流の2つは両方とも軽くなります。体の側のケアは、来客の日のためではなく、毎日の習慣の側に置いておくものです。
秒数のかわりに、玄関と居間の2か所で数える
ここまでの8つを畳みます。来客の日に持っておくのは、次の2つだけで足ります。
| 観測したこと | そこから決まる次の手 |
|---|---|
| 玄関で反応があった | 出続けている元を1つ探して、当日に換気する |
| 座ってから反応があった | 体が触れている布を、前日に洗って乾かす |
この2行があれば、来客とペット臭について考える時間が、ほとんどなくなります。数字を探しにいくかわりに、前回どちらだったかを思い出すだけで済むからです。そして前回がどちらだったかは、来客のたびに1文字書いておけば残ります。時間の目盛りを場所の目盛りに置き換える、というのは、そういう意味です。
最後に、線を1本引いておきます。ここまで書いてきたのは、部屋と布のにおいの話であって、体の側で起きている変化の話ではありません。においの出どころを探しているうちに、体の側の変化を見落とすことがあります。
においの質が前と変わった、片づけても短い期間で強く戻るようになった、体の一か所だけがにおう、耳や口のまわりからにおう、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い。こうした変化があるときは、換気の回数を増やしたり、布を洗う頻度を上げたりする前に、動物病院にご相談ください。部屋のにおいとして受け取っていたものが、体の側から出ていることがあります。いつから、どこから、どう変わったかをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。
そのうえで、上流の側に置くものを1つ決めておくと、来客の日の手が減ります。洗う日は、来客の前日に寄せないでください。前日に洗おうとすると、布と体を同じ日に片づけることになり、先に増えるのは回数のほうです。体の側で動かせるのは回数ではなく、洗う日の中身です。
mofuwa モイストシャンプーには、カミツレ花・ローズマリー葉・ラベンダー花・アロエベラ葉・ハマメリス葉・オタネニンジン根・カンゾウ根という7種の天然由来成分が入っています。洗うことは落とす作業ですが、落としたあとに何を残しておくかまで決めてあるかどうかは、処方の側の話です。来客の予定が分かっている週は、前日に布、当日に換気、そして洗う日はそのどちらでもない日に。この3つを別の日に置くと、下流の2つと上流の1つに、それぞれ手が入ります。
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