C08季節・行事

先に乾かすのは、背中よりおなかのほう

公開日 2024年11月7日|文=mofuwa編集部

明るく暖かい部屋で、やわらかいクリーム色のブランケットの上に体をあずけて休んでいる淡い色の犬
乾き終わったあとに体をあずける場所まで、冷える時間のほうは続いています。

ドライヤーを持った手が背中の上を往復しているあいだ、床から10センチの高さにあるおなかは、まだ濡れたまま残っています。洗ったあとの浴室から出たその子は、背中から順に乾いていきます。風がまっすぐ当たる面がそこだからです。ところが体の熱を持っていくのは、風の届かない面のほうです。濡れた毛から水が飛ぶときに熱が一緒に出ていくので、乾くのがいちばん遅いおなかが、いちばん長く冷える面になります。この記事では、背中から乾かした夜とおなかから乾かした夜を、おなかが濡れたままだった分数で並べます。数えるのは乾かし終わるまでの合計時間ではなく、床に近い面が濡れていた分数のほうです。

軸1・背中から始めた夜|ドライヤーの風が届く面と、冷える面の違い

洗い終わってドライヤーを持つと、手はまず背中の上を動きます。いちばん面積が広く、風がまっすぐ当たり、乾いていくのが目で見えるからです。背中の毛が指のあいだでふわりとしてくるまで、毛の薄い子で5分、下毛のある子で10分以上かかります。そのあいだ、おなかは床を向いたまま濡れています。背中が乾き終わった時点で、おなかは洗い終わってから10分以上、濡れたままの時間を積み上げていることになります。

体の面ごとに、ドライヤーの風の当たり方と、乾き終わる順番
体の面風の当たり方床までの距離乾き終わる順
背中立った姿勢でまっすぐ当たるいちばん遠い1番目
首とわきの上手を添えれば当たる遠い2番目
しっぽの付け根角度を変えれば当たる中ほど3番目
胸の下風が回り込まない近い4番目
おなかと内股姿勢を変えないと当たらないいちばん近い5番目

濡れた毛から水が飛ぶとき、その水は体の熱を持って出ていきます。乾くのが遅い面ほど、熱を持っていかれる時間が長く続きます。ここに、この時期だけの条件が1つ重なります。暖まった空気は天井の側へ上がるので、暖房を入れていても、床から10センチの高さの空気は、部屋の真ん中で測った温度より低いままです。その高さに、いちばん最後まで濡れている面があります。おなかが冷えるのは毛が薄いからだけでなく、冷たい空気の層の中で最後まで濡れているからです。

背中から乾かす手順が自然に選ばれるのは、乾いたかどうかが見て分かるからです。ドライヤーを当てている面は毛が動くので、進み具合がその場で伝わります。おなかは飼い主の視界に入らない位置にあるため、指を入れて触らないと確かめられません。見えている面から乾かすと、冷える面が最後に残ります。背中とおなかの違いは、毛の量より先に、確かめやすさのほうに出ています。

軸2・おなかから始めた夜|冷える面から当てるドライヤーの使い分け

おなかから始めても、乾かし終わるまでの合計の時間は変わりません。動くのは順番だけで、短くなるのは冷える時間のほうです。床に近い面を先に片づけると、そのあと背中を乾かしているあいだ、下側にはもう濡れた面が残りません。

同じ分数を、どちらの面に先に使うか 乾かし終わるまでの合計の時間は、どちらから始めても変わりません。変わるのは、床に近い面が濡れたまま置かれる分数です。途中で中断したときに、どの面が濡れて残るかも入れ替わります。 合計の時間は動かさず、順番だけを入れ替えます 背中から始めた夜 最初の風は床から遠い面へ おなかは10〜15分そのまま 進み具合が目で見える 中断すると内股が濡れて残る 両手がドライヤーに使える おなかから始めた夜 最初の風は床に近い面へ おなかは3〜5分で片づく 指の腹で地肌を確かめる 中断しても残るのは背中の表面 片手はその子を支えている
同じ20分でも、濡れたまま置かれる面の順番が入れ替わります。

この順番で負担が増えるのは、飼い主の手のほうです。おなかへ風を入れているあいだ、片手はその子の胸を支えています。ドライヤーを持つ手が片手だけになるので、最初の5分がいちばん重くなります。重い5分を先に置くか、あとに置くかという配り方の違いでもあります。疲れてくるのは終盤なので、片手で支える手順を終盤に回すと、そこで雑になります。

じっとしていられる時間は、その子ごとにだいたい決まっています。15分の子もいれば、5分で立ち上がる子もいます。短い子ほど、最初の5分をどの面に使うかで結果が変わります。5分で終わってしまう夜でも、内股と胸の下が乾いていれば、そのあと自分で歩いて寝床へ行くころには体の下側が冷えていません。背中の表面は、部屋の中を歩いているあいだにも乾いていきます。

濡れている面積と床までの距離で並べる|冷えるほうからドライヤーを当てる見分け方

2つの夜を並べると、違いが出るのは合計の時間ではなく、途中で何が起きたときに何が残るか、のほうです。最後まで通せた夜は、どちらの順番でも同じところに着きます。差がつくのは、途中でやめることになった夜です。

背中から乾かした夜と、おなかから乾かした夜
見るところ背中から乾かした夜おなかから乾かした夜
最初に風が当たる面床からいちばん遠い面床にいちばん近い面
おなかが濡れたままの分数洗い終わってから10〜15分洗い終わってから3〜5分
途中でやめたときに残る面おなかと内股背中の表面だけ
乾いたかどうかの確かめ方目で見て分かる指の腹で地肌に触れる
飼い主の手両手が使える片手で支える時間が要る
いちばん長く冷える面おなかと胸の下とくに残らない
乾かし終わるまでの合計変わらない変わらない

最終行が、この比較の答えです。合計の時間が同じなら、選ぶ基準は「途中で終わった夜にどちらが困らないか」になります。予定どおり最後まで乾かせる夜だけを想定して順番を決めると、その子が動いた夜に毎回おなかが残ります。逆に、中断する前提で組んでおけば、最後まで通せた夜は単に余裕があるだけです。

確かめ方の行も、見分け方として使えます。背中は見れば分かるので、乾いたと判断するのが早くなります。おなかは触らないと分からないので、そのまま終わりにしてしまいがちです。寝床へ行く前に、内股のいちばん奥へ指を入れて、地肌が乾いているかを1回だけ確かめてください。ここが湿っていれば、あと2分だけドライヤーを戻します。この2分が、その夜いちばん冷える時間を消します。

タオルで先に水気を取っておくと、どちらの順番でも分数は縮みます。ただしタオルが当てやすいのも背中のほうなので、拭く手順の時点ですでにおなかは遅れています。タオルを当てる順番も、内股と胸の下から始めておくと、ドライヤーに持ち替えたときの差がそのまま小さくなります。

ドライヤーの分数は、洗い方の側で先に決まる|冷える時間を短くする入浴の選び方

乾かす分数は、ドライヤーのスイッチを入れる前に、ほとんど決まっています。浴室を出た時点で毛が含んでいる水の量が多いほど、乾かし終わるまでの分数は延びます。そして毛が水を含む量は、洗っている工程の長さでほぼ決まります。

犬の被毛は、シャンプーを泡立てるのが大変な作りをしています。上の毛が水をはじき、下の毛が水を抱えるので、地肌まで泡を届かせるには手でかき分けて擦ることになります。かき分けているあいだ、その子は立ったまま動けません。すすぎも簡単ではありません。泡が残らないように流すには同じ場所へ何度もシャワーを当てることになり、そのぶん濡れている時間が延びていきます。擦る手順とすすぎの手順が長い日ほど、そのあとのドライヤーも長くなります。

mofuwa 入浴シャンプーは、お湯そのものを洗浄液にすることで、この2つの手順をまとめて短くします。お湯に溶かして浸かる形なので、泡を地肌まで届かせるためにかき分ける必要がありません。被毛をかき分けずに全身が均一に浸るため、むしろ地肌のほうが洗いやすくなります。擦らないので、その子が立って耐えている時間も短くなります。すすぎは軽く流すだけで簡単に済みます。浴室にいる分数が短くなると、ドライヤーを持つ時点で毛が含んでいる水が減ります。

11月にこの洗い方を選ぶ理由は、洗い上がりの話ではありません。浴室と部屋の温度差がいちばん開く時期に、濡れたまま過ごす分数そのものを減らせるからです。入浴シャンプーは足腰の弱い子や多頭飼いの家でも使われていますが、11月に効いてくるのは、浴室にいる時間と乾かす時間の両方が縮むという一点です。おなかを先に乾かす順番と組み合わせると、床に近い面が濡れている分数は、もう一段短くなります。

散歩から帰って足先とおしりのまわりだけが汚れている日は、桶に薄めて部分洗いに使う飼い主もいます。全身を濡らさないので、乾かす面がおなかの側まで広がりません。体を濡らす面積を選べる日は、冷える面をそもそも作らずに済みます。全身を洗う日を週のどこに置くかは、この足だけの日をどれだけ挟めるかで決まってきます。

Cautionおなかから当てても、濡れたままの分数が縮まないとき

内股から先に風を入れているのに、地肌が乾くまでの分数が先月より5分以上のびている/乾かし終えた直後に、おなかと内股だけが触ると冷たいまま戻らない/同じ場所へドライヤーを当てるたびに、前はなかった逃げ方をするようになった/おなかの毛をかき分けると地肌が赤く見える。こうした残り方は、乾かす順番では説明がつきません。おなかが乾くまでに何分かかっているかを、洗った日付と一緒に3回ぶん書き出してから、動物病院の予約を取ってください。分数の変わり方は、その場で言葉にするより、紙に並んだ数字のほうが正確に伝わります。

次に洗う夜、浴室の外に時計を1つ置く

変えるのは順番だけです。洗い終わってドライヤーを構えたら、最初の風を内股へ入れる。それだけで、その夜いちばん長く冷えるはずだった面が、最初に片づきます。背中は最後まで残しておいても、乾き方はほとんど変わりません。

浴室の外に時計を置いておくと、おなかが乾くまでの分数がそのまま分かります。3回ぶん書けば、その子の平均が出ます。来年の同じ時期に同じ手順で測って、数字が延びていたら、順番ではなく体の側を見る合図になります。

今夜できるのは、風を当てる最初の1か所を変えることだけです。内股から始めた夜の分数を、紙の端に1行だけ書き留めておいてください。

Product

mofuwa 入浴シャンプー

mofuwa 入浴シャンプー

400ml / 3,410円(税込)

浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。

商品ページを見る

よくある質問

猫でも、おなかから乾かしたほうがいいですか。
順番の考え方は同じですが、姿勢の作り方が変わります。猫は前足を浮かせて支えられるのを嫌がることが多いので、横向きに寝かせたまま、上になった側の内股へ風を入れます。片側が乾いたら、その子が自分で寝返りを打つのを待って反対側へ移ります。無理にひっくり返すと、そこでドライヤーそのものが嫌いになり、次の冬に順番を選ぶどころではなくなります。猫の毛は犬より細く、水を抱える量が少ないので、内股と胸の下だけなら2〜3分で乾きます。先にその2〜3分を使ってしまうほうが、結果として全体が早く終わります。
タオルで拭く時間を長くすれば、ドライヤーの分数は減りますか。
減りますが、減り方に上限があります。タオルが吸えるのは毛の表面と中ほどまでで、地肌に近い根元の水は残ります。押さえる時間を倍にしても、根元の水は半分にはなりません。そのうえタオルを当てやすいのは背中とわきなので、拭く時間を延ばすほど、背中とおなかの差が開いていきます。タオルを使うなら、時間を延ばすより当てる順番を変えるほうが効きます。内股と胸の下へ先にタオルを押し当てて、そのままドライヤーへ持ち替える。拭く手順と乾かす手順で、同じ順番をそろえておくのが早道です。
温風が苦手な子で、冷風しか使えません。順番は同じでいいですか。
順番は同じで構いませんが、分数の見積もりを変えてください。冷風は乾くまでの時間が1.5倍ほどかかるので、おなかに使う時間も比例して延びます。ここで背中から始めると、おなかが濡れたままの分数は15分を超えてきます。冷風しか使えない子ほど、内股から始める意味が大きくなります。あわせて、部屋の温度のほうを2度上げておいてください。風そのものが体温を下げないぶん、部屋の空気が乾かす仕事を引き受けることになります。風の温度を上げられない日は、部屋の温度で埋めるという組み方です。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。