C09シーン別・暮らし
賃貸で暮らす、多頭飼いの人はどうしている?
紙に書き出したら、家の中に手を入れている場所が7か所ありました。3頭と暮らしている賃貸の2LDKで、寝床が3つ、食器の周り、共用のトイレ、廊下の突き当たり、玄関の上がり口です。週末になるとその7か所を一日で全部拭いていました。翌週にはにおいが戻り、また7か所を拭く。3年続けて、どこがいちばん強いのかは最後まで分かりませんでした。賃貸で多頭飼いをしていると、ペットのにおいの出どころが頭数ぶんに増えます。そして全部に同時に手を入れるかぎり、どれが効いたのかは永久に分かりません。この記事は、1週間に1か所だけやる、という手順の話です。
7か所を同時に拭いていた3年間|賃貸と多頭飼いで、ペットのにおいの出どころが決まらない理由
うちは賃貸の2LDKで、3頭と暮らしています。いちばん年上の子は窓辺、真ん中の子は押し入れの下段、いちばん若い子はキャットタワーの上段。寝る場所は、頭数ぶんきれいに分かれていました。そこに、3頭で共用しているものが加わります。トイレ、食器の並び、廊下の突き当たりに置いてある爪とぎ、それに玄関の上がり口。書き出してみると7か所でした。多頭飼いの家では、ペットのにおいの出どころになりうる場所が、そのまま頭数に連動して増えていきます。
3年間、週末に7か所を一日でまとめて片づけていました。布を洗い、床を拭き、窓を全部開けて、消臭のスプレーをひととおり。土曜の午前中がまるまる消えます。それでも水曜あたりで、玄関を上がった瞬間のにおいが戻っていました。ペットのにおいが戻ってくるのは分かるのに、7か所のどこから戻っているのかが分かりません。全部いっぺんにやっているので、比べる相手がないからです。
多頭飼いの人が読んでいる記事には、たいてい「頭数が増えると1頭あたりの時間が減る」と書いてあります。それは本当ですが、うちで実際に困っていたのは時間ではありませんでした。困っていたのは、7か所のうちどれに時間を使うべきかが決められないことです。7か所へ均等に配ると、1か所あたりは薄くなります。薄い手を7か所に配って、翌週にまた同じことをする。3年やって、家の中の地図はまったく描けていませんでした。
そしてもう一つ、賃貸という条件が効いていました。床材も壁材も窓の数も、入居した時点で決まっています。カーペットをフローリングに替える、換気扇を増やす、間取りを変える。持ち家なら試せる条件が、賃貸では最初から動かせません。条件を変えて比べる、という方法が使えないわけです。動かせるものが「手を入れる場所」しか残っていないなら、比べる軸もそこに置くしかありません。多頭飼いと賃貸が重なると、そこだけが唯一の変数になります。
| 場所 | 誰の場所か | そこにあるもの |
|---|---|---|
| 窓辺のクッション | いちばん年上の子 | 布。日が当たる。毎日4時間ほど |
| 押し入れの下段 | 真ん中の子 | 布と段ボール。暗くて風が通らない |
| キャットタワーの上段 | いちばん若い子 | 布。壁ぎわで、上に空気がたまる |
| 食器の並び | 3頭で共用 | 器4つ。台所と居間の境目 |
| 共用のトイレ | 3頭で共用 | 洗面所の手前。窓なし |
| 廊下の突き当たり | 3頭で共用 | 爪とぎ。人が通るだけの場所 |
| 玄関の上がり口 | 3頭で共用 | たたきとマット。来客が最初に立つ |
掃除の話にすると、また7か所を同時にやることになります。この紙は「においの出どころの候補リスト」です。候補が7つあるとき、7つ全部を同時に消しにいくと、どれが犯人だったかは分からないままになります。多頭飼いの家でペットのにおいの相談をすると「頭数ぶん手をかけてください」と言われがちですが、賃貸で7か所に均等な手をかけ続けても、地図はできません。まず、順番に1つずつ外していきます。
1週間に1か所だけ手を入れる|賃貸で多頭飼いのペットのにおいを切り分ける5つの手順
やり方は単純です。1週間に1か所だけ手を入れて、残りの6か所には何もしません。週末に7か所を同じ順番で嗅ぎ比べて、手を入れた1か所とほかの6か所に差があるかを見ます。差が出たら、そこが出どころの候補として残ります。差が出なければ、その場所は候補から外れます。7か所なら7週間で一巡します。多頭飼いの家では長く感じますが、3年やって分からなかったことが7週間で1つ決まるなら、こちらのほうが短い道です。
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手順1:頭数ぶんの場所を、1枚の紙に書き出す
1頭につき、その子だけが使っている場所を最大2か所まで。それに、3頭で共用している場所を足します。3頭なら、多くても9か所くらいに収まるはずです。ここで大事なのは、「たぶんここだろう」と思っている場所を先頭にしないことです。うちは共用のトイレが本命だと思っていましたが、順番は書き出した順のままにしました。思い込みで並べ替えると、後ろのほうの場所に手が回りません。紙は冷蔵庫に貼っておきます。
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手順2:その週の1か所だけに手を入れる
布があれば替えて洗う、床を一方向に一往復拭く、その場所の周りだけ空気を動かす。ここまでで、1か所につき10分もかかりません。同じことを、ほかの6か所には絶対にやらないでください。気になっても手を出さない。多頭飼いをしていると、通りすがりに拭いてしまうのが習慣になっているので、ここがいちばん難しいところです。やってしまった日は、紙の余白に「◯曜日に食器も拭いた」と書き残します。
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手順3:週末に、7か所を同じ順番で嗅ぎ比べる
帰宅後、玄関を上がってすぐにやります。同じ部屋に長くいると鼻が慣れるので、外から戻った直後の5分しか使えません。紙に書いた順番どおりに回って、強い・ふつう・弱いの3段階をつけます。数字にしなくて構いません。3段階がつけられないときは、7か所を強い順に並べて、1位だけ決めれば足ります。多頭飼いの家では、1位が毎週動くこと自体が情報になります。
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手順4:差が出た場所を、次の周の優先に回す
手を入れた場所が、ほかの6か所より弱くなっていたら、そこは出どころの候補として残します。手を入れたのに順位が変わらなかった場所は、候補から外して構いません。外れた場所は、次の周では飛ばすか、月に1回まで頻度を落とします。多頭飼いだと候補が多いぶん、外していける場所が見つかると手数が確実に減ります。7週目が終わった時点で、残っているのはたいてい2か所か3か所です。
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手順5:一巡したら、順番を固定する
2巡目は、残った候補を先に置いて、外れた場所を後ろにします。順番が固まると、その週にどこをやるかを毎回考えなくてよくなります。冷蔵庫の紙に週の番号を書き足していくだけです。うちは2巡目の途中で順番が決まって、それ以降は迷っていません。多頭飼いで賃貸だと、やることを決めるまでの時間がいちばん減らしにくい部分なので、ここが固定されるのは大きい変化でした。
| 週 | 手を入れる場所 | ほかの6か所 |
|---|---|---|
| 1週目 | 窓辺のクッション | 何もしない |
| 2週目 | 押し入れの下段 | 何もしない |
| 3週目 | キャットタワーの上段 | 何もしない |
| 4週目 | 食器の並び | 何もしない |
| 5週目 | 共用のトイレ | 何もしない |
| 6週目 | 廊下の突き当たり | 何もしない |
| 7週目 | 玄関の上がり口 | 何もしない |
「6か所を1週間ほったらかしにして大丈夫か」と思われるかもしれません。ここは、やってみると拍子抜けするところでした。7か所を毎週まとめて拭いていた3年間と、1か所ずつにした7週間で、家全体のにおいの強さはほとんど変わりませんでした。変わったのは、どこが強いかが週ごとに見えるようになったことだけです。賃貸で多頭飼いをしていると、ペットのために手を減らすことに罪悪感が出ますが、減っているのは手数であって、家の状態ではありませんでした。
途中で別の場所を拭くと、その週が消えます|賃貸のペットのにおいで、毎日据え置く頻度と上げてよい頻度
この手順は、つまずくところがはっきりしています。7週間のあいだに起きたことを、順に書きます。賃貸でペットと多頭で暮らしている家なら、どれも一度は起きると思います。
いちばん多いのが、週の途中で別の場所に手を出してしまうことです。廊下を通るときに爪とぎのそばを拭く、洗面所へ行ったついでにトイレの周りを片づける。3年間の習慣なので、考える前に手が動きます。やってしまったら、その週の比較は成立しません。ただ、週ごと捨てる必要はありません。紙に「何曜日にどこを触ったか」を書いておけば、その場所だけ結果から外して読めます。大事なのは、やらなかったふりをしないことです。
次が、季節と来客です。7週間もあると、寒くなって窓を開けなくなったり、来客があって居間の空気が動かなかったりします。週をまたいで比べようとすると、この揺れに全部やられます。だから比べるのは、同じ週の中の7か所どうしだけにします。今週の1位はどこか、先週の1位はどこか。順位だけを追えば、季節が動いても読めます。賃貸は窓の数も換気の経路も決まっているので、外の条件はこちらでは動かせません。動かせないものは、比較の中に入れない。
| 内容 | なぜ | |
|---|---|---|
| 据え置く | 家全体の換気の回数 | 7か所すべてに効くので、差が消えます |
| 据え置く | 掃除機をかける頻度 | 同じ理由です。毎日でも週1でも、いつもどおりに |
| 据え置く | 消臭のスプレーを使う場所 | 使うなら7か所以外に。実験中は範囲を変えません |
| 据え置く | 体に触れるケアの回数 | 頭数ぶん増減させると、場所の差が読めなくなります |
| 上げる | 嗅ぎ比べの頻度 | 週1回で足りますが、週2回にしても構いません |
| 上げる | 紙に書く頻度 | 触ってしまった日を書く。ここだけは毎日でも |
| 上げる | 寝床の布を替える頻度 | その週に割り当てた1か所だけ。ほかは据え置きです |
この表でいちばん効いたのは、換気の扱いです。においが気になると窓を開けたくなりますし、多頭飼いの家では、ペットのにおいに対して換気の回数を増やすのが定番の手になっています。ただ、換気は7か所すべてに同じように効いてしまうので、比べているあいだに増やすと差が消えます。7週間だけ、いつもどおりの回数で止めておいてください。実験が終わったら、いくらでも増やして構いません。
3つ目のつまずきは、頭数が多い家です。4頭なら候補は9か所になり、9週間かかります。5頭なら11週間です。長いと感じたときは、共用の場所を1つにまとめてください。トイレ・食器・廊下を「共用」の1枠にすると、3頭でも4頭でも5か所前後に収まります。共用の枠が1位になったら、そこから中を分けて2周目をやればいいだけです。多頭飼いで大事なのは細かさではなく、一巡が終わることのほうです。
7か所を回っても、全部「ふつう」に感じることがあります。鼻はもともと絶対値に弱いので、これは失敗ではありません。そういう週は、7か所を強い順に並べて、1位と最下位だけ決めてください。1位が3週続けて同じ場所なら、その場所は候補として残します。1位が毎週動くなら、7か所のどれも突出していない、という結果として読めます。賃貸で多頭飼いをしていて「家じゅうがなんとなくにおう」と感じている場合、この後者であることが実際に多いです。
2巡して残った1か所|賃貸で多頭飼いのペットのにおいに、家でできることの線
15週、およそ2巡ぶんの記録が残りました。週末ごとに1位をつけた15回のうち、どこが何回1位になったかを数えます。うちで飛び抜けていたのは、共用のトイレでも、3頭それぞれの寝床でもなく、廊下の突き当たりに置いてある爪とぎでした。人が通るだけの場所で、掃除の対象としていちばん軽く見ていた場所です。3頭が同じものに体をこすりつけていて、そこに皮脂が積もり、風がまったく通らない位置にありました。
分かってからは、配分を変えました。廊下の突き当たりは週に1回、共用のトイレは10日に1回、残りの5か所は月に1回。合計の手数は、7か所を毎週やっていたころより減っています。土曜の午前がまるごと消えることもなくなりました。多頭飼いの家で手数が減る道すじは、たぶんこれしかないのだと思います。減らせるのは、やらなくていい場所が分かったときだけです。
- 家でできること:候補を紙に書き出し、1週間に1か所ずつ外していくこと
- 家でできること:同じ週の中で7か所を比べ、1位だけを記録すること
- 家でできること:外れた場所の頻度を下げて、残った場所へ回すこと
- 家でできること:布と拭き取りで届く範囲を、場所ごとに決めておくこと
- 家ではできないこと:どの子から出ているかを、においだけで決めること
- 家ではできないこと:拭いた半日後に戻るにおいの理由を、場所の話として片づけること
洗う日を頭数ぶん確保できないのは、多頭飼いではふつうのことです。うちも3頭を同じ週に洗うことはできませんでした。廊下の爪とぎに積もっていたのは、3頭が体をこすりつけた跡です。背中と尾のつけ根は、どの子も自分の毛づくろいでは届きません。ここは人が代わるしかない場所です。いま使っているのは mofuwa 入浴シャンプー で、お湯に溶かして、浸かるだけの形にしています。被毛をかき分けて泡を届かせるのではなく、湯そのものが洗浄液になるので、擦らなくても地肌までむらなく届きます。3頭を同じ週に洗えなかったのは、1頭ごとに泡立てて、擦って、すすぐという工程が積み上がっていたからです。擦る手が要らないぶん、賃貸の狭い洗面所でも1頭ぶんが短く終わります。ただし、頭数ぶん同時にやらない、という決まりはここでも同じです。3頭を同じ週に洗うと、場所の差を読んでいる7週間のあいだ、体の側の条件まで一緒に動いてしまいます。その週に割り当てた1か所を使っている子から、1頭ずつ回してください。
順位をつけていると、場所ではなく特定の1頭の周りだけが強い、と気づくことがあります。その子の耳やあごや尾のつけ根に鼻を近づけたときだけ強い、拭いた半日後ににおいが戻る、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、フケが増えた、体をこすりつける回数が急に増えた。こうした変化が重なっているときは、掃除の頻度を上げる前に動物病院にご相談ください。多頭飼いだと、ほかの子と比べられるぶん気づきやすい反面、「うちはいつもこんなもの」と思ってしまうこともあります。7か所の紙と、いつからそうなったかのメモを持っていくと、その場で切り分けてもらえます。迷ったら早いほうを選んで構いません。
賃貸で多頭飼いをしていると、動かせる条件がほとんどありません。床も壁も窓も選べず、頭数のぶんだけ手を入れる場所が増えていきます。それでも、手を入れる順番だけはこちらで決められます。7か所を同時にやるのをやめて、1週間に1か所にする。やらなかった場所と比べる。差が出た場所を残し、出なかった場所を外す。一巡したら順番を固定する。同時にやらないというだけの話ですが、ペットのにおいの出どころを家の中で決められる方法は、いまのところこれしか見つかっていません。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- 7週間も待てません。もっと早く出どころを決める方法はありませんか。
- 共用の場所を1枠にまとめると、3頭でも5か所前後まで減らせます。トイレ・食器・廊下・玄関を「共用」の1つとして扱えば、5週間で一巡します。共用の枠が1位に来たら、そこから中を4つに分けて2周目をやってください。多頭飼いの家では、細かく分けることより、一巡が終わることのほうが先です。
- 1か所に手を入れている週、ほかの場所がにおってきたらどうすればいいですか。
- 手を出してしまってかまいませんが、そのときは紙の余白に「何曜日にどこを触ったか」を書いてください。書いてあれば、その場所だけ結果から外して読めます。やらなかったことにして進めると、その週の記録が丸ごと使えなくなります。賃貸で多頭飼いをしていると通りすがりに手が動くので、書く欄を最初から用意しておくのが現実的です。
- 嗅ぎ比べは、家族の誰がやるといいですか。
- 毎週同じ人がやってください。鼻の感じ方には個人差があるので、週ごとに人が変わると順位が比べられなくなります。外から帰宅後、玄関を上がった直後の5分にやるのが条件です。同じ部屋に長くいると鼻が慣れて、7か所の差が分からなくなります。家族に確かめてもらうのは、15週の記録が出そろってからで足ります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
