C09シーン別・暮らし

水が苦手な猫と暮らす人のための来客の前|5分で終わらせるケア

公開日 2024年12月21日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な寝室で、ベッドの上に静かにすわっている淡いクリーム色の猫
来客の日に濃くなるのは、その子ではなく、その子が3時間いた一角のほうです。写真:Anete Lusina/Pexels

来客が帰った翌朝、いちばんにおいが立っていたのは、3時間ドアを閉めていた寝室のベッドの奥の角でした。人が座っていたのは居間のソファで、飲み物も食べ物もそこに出していました。それでも翌朝の居間は、前の日と同じにおいのままです。うちの猫は水が嫌いで、濡れた布も嫌がります。だから来客の前にできることは少ない、とずっと思っていました。ペットのにおいがその日どこに集まるかは、その子がどこにいたかで決まります。来客の3時間、その子がいたのは寝室のベッドの奥の角、たった1か所でした。この記事は、水を使わない家の来客の話を、体ではなく場所の側から書いたものです。

来客の3時間で、猫が使える部屋が1か所に減っていました|水が嫌いな家のにおいの背景

その日は友人夫婦が来て、夕方から3時間ほど居間にいました。うちは2LDKで、猫が使う場所はだいたい決まっています。窓辺、ソファの背もたれ、キャットタワーの中段と上段、廊下の突き当たり、寝室のベッド、本棚の上、玄関の手前、食器の前。ふだんの一日で、その子が座ったり寝たりする場所を数えると9か所ありました。1か所にいる時間はいちばん長くて40分くらいで、あとは移動しています。

来客の3時間、その子は寝室のベッドの奥の角から出てきませんでした。居間には一度も来ていません。玄関のインターホンが鳴った時点で移動して、友人夫婦が帰るまでそこにいました。9か所を回っていた子が、3時間ずっと1か所にいたわけです。怖がっていたというより、居間が人で埋まっていたので行き場がなかった、というほうが近いと思います。ソファに2人、ラグに荷物、床にコートとかばん。猫が通れる線が残っていませんでした。

翌朝、寝室のドアを開けた瞬間のにおいが、いつもと違いました。居間は換気をしたので分かりませんが、少なくとも寝室のほうが強い。同じ部屋にずっといると鼻が慣れるので、こういうにおいは朝いちばんか、外出からの帰宅後にドアを開けた瞬間にしか分かりません。来客が持ち込んだにおいだと思っていたものは、その子が3時間そこにいたことで濃くなった、その子自身のにおいでした。

ふだんの一日と、来客のあった日で、その子がいた場所を比べた記録
ふだんの日来客のあった日
座った・寝た場所の数9か所1か所
1か所にいた最長時間40分3時間
居間にいた時間4時間半0分
寝室の角にいた時間20分3時間
水の器に来た回数5回0回
食器に来た回数3回0回

水が嫌いな猫と暮らしていると、来客の前にできることが最初から少なくなります。洗う、濡らした布で拭く、シャワーで流す。この3つが全部使えません。うちの子は子猫のときに一度だけ洗って、それ以来やっていません。だから来客の準備といえば、部屋を片づけて窓を開けるくらいで、ペットの側には何もしていませんでした。ところが、来客の日に実際に動いていたのは、そのペットの側の条件のほうでした。水が嫌いなだけで打つ手がないのだと決めていたのは、こちらの思い込みでした。

Note猫が怖がっているかどうかの話ではありません

3時間出てこなかったからといって、その子が来客をおびえて避けていたとは限りません。うちの場合、友人夫婦が帰ったあとは30分ほどで居間の様子を見に来ます。問題は気持ちのほうではなく、その3時間で床と布に載ったものが、1か所に寄っているという物のほうです。気持ちの話にすると、水が嫌いな家では打てる手がなくなります。物の話にすると、体に触らなくても手が残ります。

毛とにおいは、狭くなった一角に集まります|猫が動ける面積とペットのにおいの濃さの理由

猫のにおいの元は、抜けた毛と、毛の根元から出る皮脂です。皮脂は毛に薄くのって、その子が触れた面に少しずつ移ります。そこに空気中のほこりが混じり、皮脂と、そこで働く雑菌が時間をかけて分解されるときに、においとして立ってきます。ここまではふだんの日と同じで、来客の日に変わるのは量ではなく、載る場所の数です。9か所に分かれて載っていたものが、1か所に集まる。1日ぶんの量が同じでも、1か所あたりの濃さは何倍にもなります。

そして猫には、自分のにおいがついた場所を選んで使うところがあります。来客の翌週、その子が寝室の角にいる時間が明らかに増えました。ふだんは1日20分だった場所に、1時間半います。3時間で濃くなった一角が、そのまま「よく使う場所」に格上げされてしまった形です。次の来客のときも、同じ角に入ります。来客が3回あると、その角だけが年に何回も上塗りされていきます。

ここが、水が嫌いな猫と暮らす家でペットのにおいがいちばんこじれるところだと思います。体を洗える家なら、濃くなったぶんをその子の側でいったん落とせます。水が嫌いだとその手がありません。だから、濃さは場所の側に残ったままになります。来客の日のにおいを「その日だけのこと」として扱うと、翌週に残った一角が見えません。ペットのにおいの相談で「特定の部屋だけにおう」という話をよく聞きますが、うちで起きていたのはこれでした。

同じ量の毛と皮脂が、場所の数によってどう変わるか
ふだんの日来客の日その後
載る場所の数9か所1か所1か所が濃いまま残る
1か所あたりの濃さ薄い濃い翌週も使うので上塗りされる
においが分かる場面ほぼ分からない翌朝のドア帰宅後にドアを開けた瞬間
体の側でできること拭き取り水が嫌いなので手がない同じ
場所の側でできること布の交換布と床と換気布と床と換気
ペットの側で変わることほぼ変わらない動ける面積が9分の1同じ角を長く使う

面積が減ると濃くなる、というだけの話ですが、来客の日にはこれが3つ重なります。1つ目は、猫が動ける面積が減ること。2つ目は、その子が水を飲みに来ないこと。3つ目は、居間の窓を開けにくいこと。人がいるあいだは寒いので窓を閉めますし、暖房も入ります。換気が止まった部屋で、猫が1か所にいる。3時間ぶんの空気が、その一角にたまります。翌朝のにおいは、床と布の話であると同時に、動かなかった空気の話でもありました。

Point食器と水の器は、来客の日だけ「使われない」

上の表で意外だったのが、水の器に来た回数が0だったことです。ふだんは5回来ています。食器と水の器は居間と台所の境目にあって、そこが人でふさがっていました。3時間なにも飲まないのは、その日だけならとくに問題にはなりませんが、器のほうは3時間ぶん放置されたことになります。水を入れ替えるのは、来客が帰ったあとの作業に入れておいてください。器の表面は、置かれている時間が長いほど、指で触るとぬるつく状態になります。

来客の前の5分は布1枚、本番は帰ったあとの5分|水を使わない家の来客の考え方

ここからが組み立てです。うちがやっているのは、来客の前に5分、帰ったあとに5分の2回だけです。前の5分は準備で、帰ったあとの5分が本番になります。順番が逆に感じるかもしれませんが、来客のあいだに濃くなった一角を戻すのが目的なので、手を入れるのは終わってからでないと意味がありません。水が嫌いな猫の家では、ペットの体に触る手を最初から数えなくていいぶん、この2回に集中できます。

前の5分でやるのは、布を1枚敷くことだけです。その子が来客のときに行く場所は、3回も来客があれば決まってきます。うちは寝室のベッドの奥の角でした。そこへ、洗える布を1枚敷いておく。3時間ぶんの毛と皮脂を、ベッドカバーや床ではなく、持ち上げられる1枚に載せてしまうためです。体には触りません。来客の直前に触られること自体、その子にとってはふだんと違う手が増えるだけです。

Noteその布は、来客の日に新しく出さないでください

洗いたての布を来客の直前に置くと、その子にとっては知らないにおいのするものが増えます。使うのは、前の週から寝床のそばに置いておいた布です。その子のにおいがすでについている1枚を、来客の日にだけ場所を変えて敷き直す。うちは同じ布を2枚用意して、来客のたびに交代させています。水が嫌いな子ほど、においのついたものを取り上げられることに反応します。1枚を洗っているあいだ、もう1枚が寝床にある、という形にしておくと引っかかりません。

そして来客が帰ったあとの5分です。順番が決まっていて、この順番だけは動かしません。先に居間を開けて、その子が自分で出てきてから、空いた一角に手を入れます。逆にすると、まだそこにいる子のそばで布を引っぱることになって、その一角がもっと落ち着かない場所になります。戻したいのは場所なので、場所が空くのを待つ、というだけのことです。

  1. 1分目:居間の通り道を先に開ける

    クッションを元の位置に戻し、椅子を引き、床のかばんとコートをどけます。片づけではなく、その子が居間へ入ってくる線を1本開ける作業だと思ってください。ソファの背もたれ、窓辺、キャットタワー。ふだん使っている場所に、人の荷物が残っていないかだけ見ます。

  2. 2分目:窓を2か所開けて、空気の入り口と出口を作る

    1か所だけだと空気が動きません。居間の窓と、廊下側の窓か玄関のドアを少し開けて、通り道を作ります。換気は居間からやります。その子がまだ寝室にいるので、寝室の窓は最後です。冬場は5分で閉めて構いません。空気を入れ替えるというより、3時間止まっていたものを1回動かすのが目的です。

  3. 3分目:一角の布を持ち上げて、洗濯機に入れる

    その子が居間へ出てきてからにします。持ち上げるだけで、3時間ぶんの毛と皮脂がまとめて一角から出ていきます。これが、水が嫌いな家でいちばん大きい1手です。体からは取れないものが、布からは取れます。畳んで置いておくと、においは残ったままになるので、その日のうちに洗ってください。

  4. 4分目:一角の床とベッドカバーを、乾いた布で一往復

    拭き取りは乾いた布で足ります。濡らす必要はありませんし、水が嫌いな子の居場所を濡らすと、翌日からそこを使わなくなることがあります。毛の流れではなく、部屋の一方向に向かって一往復。行ったり来たりさせると、毛が繊維に押し込まれます。ここまでで、一角に載っていたものはほとんど外へ出ています。

  5. 5分目:食器と水の器を洗って、新しい水を入れる

    3時間使われていない器です。水は捨てて入れ替え、食器は洗います。ここまで終わったら、寝室の窓を短く開けて閉じます。その子が居間にいるうちに済ませておくと、戻ったときには一角の空気だけが入れ替わっています。順番でいうと、これが最後になります。

水を使わない日のケアを体の側にも入れたいときは、来客の日ではなく翌日にしてください。うちは猫用 mofuwa グルーミングウォーターを使っています。噴射音が出にくいタイプなので、水が嫌いな子でも布に含ませてから使えば受け入れてくれました。それでも、来客の直前と直後には使いません。ふだんやっている時刻に、ふだんの量だけ。来客の日に手を増やすと、その子の側の条件が2つ動いてしまって、あとで何が効いたのか分からなくなります。

居間に戻るまでの時間が2時間から40分になりました|来客のたびに測っている変化

一角が戻ったかどうかを、においで判断するのは難しいと思います。自分の家のにおいには慣れているので、翌朝のドアを開けた瞬間しか分かりません。そこでうちが測っているのは、来客が玄関を出てから、その子が居間に入ってくるまでの時間です。1分単位でなくて構いません。時計を見て、覚えておくだけです。

来客が帰ってから、その子が居間に入ってくるまでの時間
帰ったあとにやったこと居間に戻るまで
1回目何もしていない。翌朝に片づけた2時間
2回目一角の布だけ替えた1時間20分
3回目居間を先に開けてから布を替えた40分
4回目同じ順番。窓を2か所にした40分
5回目同じ順番。器も入れ替えた35分

3回目で40分になって、そこから縮まりませんでした。この40分は、たぶんその子が人のにおいの残りを確かめるのにかかる時間で、こちらが縮められる部分ではありません。だから4回目からは、40分を縮めようとするのをやめました。数字が止まったということは、こちらの手が届く範囲は使いきったということです。水が嫌いな猫の家で、来客のたびに悩む必要がなくなったのは、この止まりどころが見えてからでした。

来客の前の準備を減らしたぶん、当日は落ち着きました。以前は、朝から掃除機をかけて、カーペットをはがして、ペットのにおいを消すことばかり考えていました。いまは前日に布の場所を決めておいて、当日は5分だけ。残りは帰ってからの5分に置いています。水が嫌いだと来客の前にできることが少ない、と思っていたのは半分だけ当たっていました。少ないのは体の側の手で、場所の側の手は減っていませんでした。

Caution来客のあとに残る変化は、片づけの話ではないことがあります

来客が帰って何日かたっても、居間に戻ってこない、食べる量が戻らない、水を飲む量が明らかに変わった、同じ場所をなめ続けている、体をこすりつける回数が増えた、地肌が赤い、においが拭いた半日後に戻る。こうした変化があるときは、来客のせいだと決めずに動物病院にご相談ください。水が嫌いな子は、体に触れる機会がもともと少ないぶん、皮膚の変化に気づくのが遅れます。来客が何時間だったか、その子がどこに何時間いたかを書いたメモを持っていくと、その場で切り分けてもらいやすくなります。迷ったときは早いほうを選んで構いません。

まとめると、来客の日にペットのにおいが動くのは、その子が汚れたからではなく、その子が使える場所が3時間だけ1か所に減るからです。減った面積のぶんだけ、毛と皮脂が濃くなる。水が嫌いで体に手を入れられないなら、濃くなった一角のほうを戻せば足ります。前の5分で布を1枚、帰ったあとの5分で居間・換気・布・拭き取り・器の5つ。この10分で、翌朝のドアを開けたときのにおいは来客の前と同じところに戻りました。来客のたびに測っているのは、居間へ戻るまでの時間だけです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。