C11比較・選び方
換毛期とそれ以外でケアをどう変えるか
2月の終わりに、床のすみで白っぽい毛のかたまりが転がりはじめます。換毛期の入り口です。ここから数週間、毎日のケアの何を動かして何を据え置くかを決めることになります。動かすのは、ブラシを入れる深さと、1回にかける分数の2つだけです。品を入れ替える必要はありません。換毛期とそれ以外のいちばん大きな違いは、抜ける毛の量そのものより、その毛がどの深さから出てくるかに出ます。深さが変われば、届かせ方も1回の長さも変わります。
抜けた毛の量ではなく、毛が出てくる深さで見る|換毛期とそれ以外でケアが分かれる時期
換毛期に入ったかどうかを、床に落ちた毛の量で判定すると、だいたい2週間ほど遅れます。床に出てくるころには、被毛の内側ではもう入れ替わりが進んでいます。量で気づくのは結果のほうで、先に動いているのは毛が抜けてくる深さです。ここを見ていると、同じ2月でも週単位で違いが分かります。
ふだんの時期に手入れの対象になるのは、いちばん外側の毛先です。毛先は外のものに触れる場所なので、風で乱れ、寝床でこすれ、散歩で細かいものを拾います。ブラシを入れて解いているのは、この毛先の引っかかりです。換毛期に入ると、対象が毛先から根元へ一段下がります。根元の下毛が抜けて浮き、上の毛に引っかかったまま外へ出られずにたまっていくからです。
- ふだんの時期:毛先の引っかかりが主。表面を通せば片づくので、1回は短く済みます
- 換毛期の入り口:抜けた下毛が根元で浮きはじめる。表面だけ通しても、翌日また同じ量が出ます
- 換毛期の山:根元に抜けた毛がたまり続ける。届かせる深さを変えないかぎり、量は減りません
この3つを分けておくと、時期の見分けが早くなります。ブラシを1回通したあと、翌日同じ場所から同じ量が出るかどうか。出るなら根元に残っている、出ないなら毛先の話だった、という切り分けです。換毛期のケアとそれ以外のケアの違いは、この一手間で決まります。毛の量を数えるより、翌日の再現性を見るほうが確実です。
歯先にからむ毛と、歯の根元に詰まる毛|換毛期のケアを道具の側の条件から決める
深さを目で確かめる場所は、その子の体ではなくブラシの歯です。1回通したあとにブラシを裏返して、毛がどこに残っているかを見ます。歯の先のほうに数本からんでいるだけなら、拾っているのは毛先です。歯の根元まで下毛が押し込まれて詰まっているなら、届いているのは根元です。
この見分けが要るのは、換毛期のケアでやりがちな失敗が、深さの取り違えから起きるためです。根元に毛がたまっているのに表面だけを何度も通すと、量が減らないので回数を増やしたくなります。回数を増やしても同じ深さを往復しているだけなので、被毛の表面だけが摩耗します。毛先が白っぽく毛羽立ってくるのは、換毛期そのものより、届いていないブラシを往復させた結果であることが多くなります。
2月から3月にかけては、ここに静電気が重なります。空気が乾いている時期に抜けた下毛が浮くと、毛どうしが反発して立ち上がり、ブラシの歯が根元へ入る前に押し返されます。静電気は毛を散らかすだけでなく、道具が届く深さそのものを浅くします。換毛期と乾燥期が重なる年ほど、量が減らないという感覚が強くなるのはこのためです。
だから条件は2つです。ひとつは、歯の根元に毛が詰まる深さまで届かせること。もうひとつは、その前に毛を浮き上がらせないこと。この2つがそろってはじめて、換毛期のケアがふだんのケアと違う働きをします。どちらか片方だけだと、時間をかけたわりに翌日また同じ量が出ます。
1週間のブラッシングを分数で並べる|換毛期とそれ以外のケアを比較する
換毛期に増やすのは1回の長さではなく、1週間の回数です。ふだんの時期に週3回、1回5分で回している家なら、1週間の合計は15分です。換毛期の入り口で週5回に増やすと25分、山の時期に毎日6分にすると42分になります。合計は3倍近くまで伸びますが、1回の長さはほとんど動いていません。
1回を長くしないのには理由があります。同じ場所に10分も15分もブラシを往復させると、抜けきっていない毛まで引かれて、毛先が切れます。切れた毛先はそこで止まったまま伸びるので、換毛期が終わったあとも表面がぱさついて見えます。1回6分で止めて翌日また入るほうが、同じ合計時間でも被毛の傷み方が違います。
| 見るところ | 換毛期ではない週 | 換毛期の週 |
|---|---|---|
| ブラシに残る毛 | 歯先に数本からむ | 歯の根元が下毛で埋まる |
| 届かせる深さ | 毛先の引っかかりまで | 根元で浮いている毛まで |
| 1回にかける分数 | 5分 | 6分を超えない |
| 1週間の回数 | 3回 | 毎日 |
| 静電気の出方 | 乾いた日だけ気になる | 毛が浮くぶん毎回ついてまわる |
| 先に触る場所 | 背中から | 内股と脇の下から |
| やめどきの見分け方 | 毛先が解けたら終わり | 翌日の量が半分になったら終わり |
| 結論の行 | 回数を増やさず1回を丁寧に | 1回は据え置いて、回数で追う |
表の最後の行が、この記事の答えです。換毛期とそれ以外のケアの違いは、丁寧さの度合いではなく、時間をどこに配るかの違いです。ふだんは1回に配り、換毛期は回数に配る。先に触る場所が変わるのも同じ理由で、根元の毛がたまりやすいのは動きの少ない内股と脇の下だからです。背中から始めると、いちばん詰まっている場所に着くころには、その子の集中が切れています。
浮いた毛を先に落ち着かせる|換毛期のケアはうるおいと静電気のどっちに合わせるか
合わせる相手は静電気のほうです。うるおいは結果として付いてきます。梳かす前に毛の表面が乾いたままだと、歯が入る前に毛が浮いて逃げます。逆に、表面がわずかに湿っている状態なら、毛どうしが反発しないので、同じ力で根元まで歯が入ります。届く深さを変えるいちばん手前の一手が、梳かす前に湿らせることです。
mofuwa グルーミングスプレーは、ここに置くための1本です。毎日シャンプーはできず、サロンにも毎日は通えない。それでもペットは体から脂を出すので、昨日きれいにしても今日また汚れます。毎日きれいにしてあげたいという前提から組まれているので、換毛期だから使う、という品ではありません。年間を通して同じ1本を使い、換毛期には使う場面が増えるだけになります。
グルーミングスプレーであると同時にブラッシングスプレーでもあるので、梳かす前の一吹きがそのまま静電気の対策になります。毛が浮かない状態で梳かせるということは、歯が根元まで届くということです。アルカリ電解水が余分な脂と乳化するので、汚れのもとになっている脂は落ちて、地肌に要るぶんは残ります。落としすぎないので、換毛期のあいだ毎日使っても、被毛が乾いていく感じになりません。
量を絞らなくていいのも、換毛期には効いてきます。毛が抜けている時期は、その子自身も毛づくろいの回数が増えます。口に運ぶ場所へ吹きかけることになりますが、この1本は舐めても差し支えない基準でつくられているので、根元まで届かせるために必要なだけ使えます。量をためらうと、表面だけ湿って根元は乾いたまま、という中途半端な状態になります。それではブラシの入る深さが変わりません。
お風呂そのものが負担になる子にも、この置き方は合います。シニアの犬や猫、湯船を嫌がる猫は、換毛期だからといって洗う回数を増やせません。吹きかけて梳かす手順なら、立っている時間は数分で済みます。換毛期のケアで増やすのは浴室の回数ではなく、この数分のほうです。
毎日6分を3週間続けても、翌日に出る毛の量が減らない/抜けたあとの場所に毛が生えてこず、地肌が見えたまま2週間以上たつ/左右で抜け方がはっきり違う/換毛期ではない時期に、同じ量の下毛が出続ける。こうした出方は、季節による毛の入れ替わりでは説明がつきません。1週間の分数と回数を書いたメモと、抜けにくい場所の写真を持って、動物病院で診てもらう枠を取ってください。何週目から量が変わらなくなったかが分かると、話が早く進みます。
換毛期が明けた週に残るもの|次の春まで持ち越すケアの違い
翌日に出る毛の量が半分を切ったら、その週で回数を戻します。戻すのは回数だけで、1回の長さも使う品も動かしません。ふだんの週3回に戻したあと、ブラシの歯先にしか毛が残らなくなっていれば、根元の入れ替わりは終わっています。ここまで来ると、対象はまた毛先に上がっています。
| 残すもの | 中身 | 次の春での使い道 |
|---|---|---|
| 回数の記録 | 何週目から毎日にしたか | 来年、同じ週から回数を上げる |
| やめどきの日付 | 翌日の量が半分になった週 | 山の長さを先に見積もる |
| 先に触った場所 | 内股と脇の下の順番 | 同じ順番でそのまま始める |
| 毎日の1本 | 年間通して同じもの | 入れ替えの判断をしなくて済む |
選ぶときに見る場所は、結局3つです。ブラシの歯のどこに毛が残るか。翌日に同じ量が出るか。梳かす前に毛が浮いているか。この3つで、換毛期とそれ以外のケアの違いはひととおり判断できます。品を季節で入れ替えるという発想を持たずに済むぶん、判断する回数そのものが減ります。
今週やることは1つだけです。ブラシを1回通したあと、裏返して歯のどこに毛が残っているかを見てください。それだけで、いまが毛先の週か根元の週かが決まります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 換毛期のあいだだけ、抜け毛用のブラシに持ち替えたほうがいいですか。
- 道具を増やす前に、いま使っているブラシの歯に毛がどこまで入っているかを見てください。歯の根元まで下毛が詰まっているなら、その道具は根元に届いています。届いているのに量が減らないなら、原因は道具ではなく回数です。歯先にしか毛が来ていないなら、そこではじめて歯の長い道具を検討する番になります。順番を逆にすると、道具だけが増えて、1回の長さも伸びます。
- 猫にも同じ考え方が使えますか。抜け毛の出方が犬と違って見えます。
- 深さで見る考え方は同じです。違うのは、猫は自分で毛づくろいをするので、抜けた下毛の一部が体の外ではなく口のほうへ運ばれることです。そのぶん床に落ちる量が少なく見えて、換毛期に入ったことに気づくのが遅れます。猫の場合は、床の毛の量より、毛づくろいの時間が伸びていないかを見るほうが早く分かります。梳かす前にひと吹きして毛を落ち着かせる手順は、犬と同じように使えます。
- 春と秋で、やることを変える必要はありますか。
- 分数と回数の組み方は同じです。変わるのは重なってくるものです。春の換毛期は乾燥の終わりと重なるので、静電気で毛が浮いている前提で組みます。秋は湿度が残っている時期から始まるので、毛は浮きにくいかわりに、抜けた下毛が皮膚に張りついたままになりやすくなります。春は浮かせないこと、秋は張りつきを持ち上げること。深さを合わせるという目的は変わりません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
