C11比較・選び方
皮膚が弱い子と丈夫な子でケアを変える
低刺激と書かれた棚の前で、うちの子がそこに当てはまるのかどうか分からないまま、10分立っていることがあります。皮膚が弱い犬向けと書いてあっても、弱いの基準がどこにあるのかまでは書かれていません。弱いか丈夫かは体質の名前ではなく、同じことをしたあとに元へ戻るまでの日数で分かれます。翌日に引く赤みと、3日残る赤みでは、毎日のケアの組み方が変わります。判定する場所も背中ではありません。犬でも猫でも、答えが出るのは毛をかき分けた先の、皮膚がいちばん薄いところです。
背中では線を引けない|皮膚が弱い犬かどうかを見る場所と、見る時期
うちの子の皮膚が弱いかどうかを背中で判定すると、まず答えが出ません。背中は体の中でいちばん皮膚が厚く、毛も密に生えている場所です。多少のことでは赤くならず、赤くなったとしても毛に隠れて見えません。丈夫そうに見える子のほとんどは、背中しか見られていないだけです。
判定に使えるのは、皮膚が薄くて毛が少ない場所です。内股、脇の下、耳のふち。この3か所は毛をかき分ける手間もいらず、色の変化がそのまま見えます。弱い子と丈夫な子の違いは、この3か所でだけ先に出ます。犬も猫も同じで、被毛の長さや犬種による違いもほとんど関係しません。
- 内股:毛がいちばん少なく、地面や床に近い場所。歩いたあとや寝たあとの変化が出ます
- 脇の下:前足の動きでこすれ続ける場所。ハーネスや服の影響がここに出ます
- 耳のふち:薄くて外気に触れ続ける場所。乾燥している時期に先に変わります
見る時期も決めておきます。いちばん分かりやすいのは、洗った日の翌朝です。洗うという行為は、その子の皮膚にとって一度きりの同じ条件になるので、比べる出発点にちょうどよく使えます。洗った翌朝の3か所を1分見る。これを月に2回続けるだけで、弱いか丈夫かの判断材料はそろいます。季節の変わり目だけ見ても、乾燥のせいなのか洗い方のせいなのかが分かれません。
戻るまでの日数で線を引く|皮膚が弱い犬と丈夫な子で入れ替わる条件
弱い子と丈夫な子の線は、赤みが出るかどうかではなく、出たあと何日で元へ戻るかにあります。洗った翌朝に内股がうっすら赤い、という状態そのものは、丈夫な子にも起こります。違うのはそのあとです。その日の夕方には色が戻っている子と、3日たっても同じ色のまま残る子がいます。
この日数は、体質の強さというより、戻す力がどれだけ残されているかの話です。皮膚の表面には、水分を抱えて外のものを通しにくくしている薄い層があります。洗うたびにこの層は一部が持っていかれ、あとから作り直されます。作り直しが追いつく子は翌日に戻り、追いつかない子は次に洗う日まで戻りきりません。弱い皮膚とは、戻りが遅い状態が積み上がっている皮膚のことです。
条件をこう置き換えると、家でできることの見え方が変わります。戻りが遅いなら、次に洗うまでの間隔を空けて戻す時間を長く取るか、1回で持っていかれる量を減らすかの2つしかありません。間隔を空けるほうは、洗う日と洗う日のあいだが伸びるぶん、汚れが積み上がるという別の問題を連れてきます。だから先に手を入れるのは、1回で持っていかれる量のほうになります。
この考え方は猫でも同じです。猫は自分で毛づくろいをするぶん、洗う回数がもともと少なく、間隔を空けるという手はほとんど残っていません。猫の場合は最初から、1回で持っていかれる量だけが動かせる数字になります。犬で間隔と量の2つを比べて考えておくと、猫のケアに移したときにも判断が早くなります。
泡が地肌に乗っている分数を並べる|皮膚が弱い犬と丈夫な子のケアの違い
1回で持っていかれる量を決めているのは、洗浄力の強さと、泡が地肌に乗っている分数の掛け算です。強さのほうは品を選んだ時点で決まりますが、分数は手順で動きます。背中から洗って内股を最後にする手順だと、いちばん薄い場所に泡が乗っている時間がいちばん長くなります。逆から回すだけで、同じ品のまま分数が変わります。
| 見るところ | 翌日に戻る子 | 3日残る子 |
|---|---|---|
| 1か月に洗う回数 | 4回まで置ける | 2回に寄せる |
| 泡が地肌に乗る分数 | 全身で3分 | 薄い場所は30秒で流す |
| 洗いはじめる場所 | 汚れの多い足先から | 内股と脇の下から |
| すすぎに通す回数 | 2回で足りる | 3回通して泡を残さない |
| 洗ったあとに戻す工程 | あってもなくてもよい | 工程を足さないほうを選ぶ |
| 間の日にやること | 被毛の表面を整える | 薄い3か所の色を見る |
| 結論の行 | 回数は据え置き、順番だけ決める | 分数を削り、回数を半分に寄せる |
表の最後の行が答えです。戻りの遅い子でやることは、強い品を避けることではなく、泡が薄い場所に乗っている分数を削って、1か月の回数を半分に寄せることの2つです。月4回を月2回にすれば、1か月あたりに持っていかれる量はそれだけで半分になります。品を選び直す前に、この2つの数字を先に動かしてください。
洗いはじめる場所を変えるのも同じ計算です。全身で3分かかる家なら、内股から始めれば内股に泡が乗る時間は30秒で済み、最後に回せば3分近くになります。同じ品・同じ回数・同じ手つきのまま、6倍の差がつきます。丈夫な子は汚れの多い足先から始めてかまいませんが、戻りの遅い子は薄い場所から始めて先に流します。この順番は覚えておくだけで済むので、いちばん先に変えられる条件です。
回数を半分にすると、洗う日と洗う日のあいだが長くなります。その間の日に何もしないと、汚れが積み上がって次の1回が長くなり、削ったはずの分数が戻ってきます。間の日にやることを決めておかないと、この計算は成立しません。
洗浄成分の量そのものを減らす|皮膚が弱い犬のケアは強さと分数のどっちに合わせるか
合わせる相手は分数のほうです。ただ、分数を削れるのは手順の側だけで、下限があります。汚れが落ちるところまでは泡を乗せる必要があるからです。ここから先を動かすには、同じ分数で地肌に乗る洗浄成分の量そのものが少ない1本を選ぶことになります。見る場所は、低刺激という言葉ではなく、何をどれだけ使っているかです。
mofuwa モイストシャンプーは、この量の側から組まれています。洗浄成分はアミノ酸系のジラウロイルグルタミン酸Naで、しかも配合の量を少なくしてあります。ふつうなら、量を減らせば泡が立たず、泡が立たないぶん手でこする時間が伸びます。そこで原料の水に電解水を使い、水の側にも汚れを持ち上げる働きを持たせています。減らした洗浄成分のぶんを水が埋めるので、量を減らしたまま泡が立ちます。
地肌に乗っている泡の中身が変わる、という言い方がいちばん近いはずです。同じ3分でも、その3分のあいだに皮膚へ触れている洗浄成分の量が違います。持っていかれる量が減れば、戻るまでの日数のほうにも余裕が出てきます。皮膚が弱い犬のケアで洗浄力の弱さを探しがちですが、探すべきなのは、弱さではなく量です。
モイストシャンプーがトリートメントを前提にしていないのも、同じ引き算から来ています。必要なものまで持っていかないので、乾いたあとに被毛が固くなりません。ごわつかなければ、戻すための工程を足さずに済みます。工程が1つ増えないということは、浴室にいる分数がそれ以上伸びないということです。戻りの遅い子ほど、洗う日そのものを短く終えたいので、ここが効いてきます。香りをつけていないのも同じ考え方で、その子は自分のにおいを好みます。余分なにおいを足さないことが、そのまま余分な負担を足さないことになります。
間の日のほうは、洗うのとは別の手当てで埋めます。薄い3か所の色を見て、被毛の表面だけ整えておく。毎日の手順をこの高さに保っておくと、回数を月2回に寄せても、次の1回が長くなりません。皮膚が弱い犬のケアは、洗う日の中身と間の日の中身を別々に決めたときに、はじめて回りはじめます。
薄い場所に泡が乗る時間を30秒まで削り、1か月の回数も2回に寄せて6週間たったのに、内股の色が翌日に戻らない/戻るまでの日数が3日から5日へ伸びていく/脇の下だけ左右で戻り方が違う/耳のふちが、洗った日と関係なく同じ色のまま続く。こうした残り方は、洗い方の条件だけでは説明がつきません。削った分数と1か月の回数を書いたメモと、内股の写真を2週間おきに撮ったものを持って、動物病院で診てもらう枠を取ってください。数字が並んでいると、家で試した範囲がそのまま伝わります。
3か月ぶんの日数が残るところ|皮膚が弱い犬の毎日を、丈夫な子と同じ手順へ寄せていく
3か月続けたときに手元に残るのは、使った品の名前ではなく、戻るまでの日数が並んだ短い表です。3日から2日へ、2日から翌日へ。この数字が動いていれば、削った分数と回数の寄せ方が合っていたことになります。動いていなければ、次に変えるのは順番か回数のどちらかだと、その表を見て決められます。
| 残すもの | 中身 | 次に使うところ |
|---|---|---|
| 戻るまでの日数 | 洗った翌朝からの日数 | 弱いか丈夫かの線を引き直す |
| 泡が乗る分数 | 薄い場所に何秒乗せたか | 下限まで来ているかを確かめる |
| 1か月の回数 | 月2回か月4回か | 間の日の長さを決める |
| 内股の写真 | 2週間おきの1枚 | 色の記憶に頼らずに比べる |
戻るまでの日数が翌日まで縮んだら、回数を月3回へ戻してかまいません。弱い子のケアは、弱いままで固定するためではなく、丈夫な子と同じ手順まで寄せていくために組むものです。順番だけは戻さず、内股と脇の下から洗いはじめる手順をそのまま残しておくと、次に乾燥する時期が来ても日数が伸びにくくなります。
今週やることは、洗った翌朝に内股と脇の下と耳のふちを1分見て、色が戻るまでの日数を1つ書くことだけです。線を引くのに必要な数字は、それ1つから始まります。
Product
mofuwa モイストシャンプー
300ml / 3,410円(税込)
アミノ酸系の洗浄成分で11成分無添加。天然由来の抗炎症成分7種とアミノ酸4種を配合し、原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っています。
商品ページを見るよくある質問
- 低刺激やアミノ酸系と書いてあれば、皮膚が弱い子に選んでよいということですか。
- その表示は、何を使っているかの話であって、どれだけ使っているかまでは教えてくれません。同じアミノ酸系でも、配合の量が多ければ地肌に乗る量は増えます。裏の表示で分かるのは並び順くらいなので、実際には自分の家の数字で確かめることになります。同じ品のまま、薄い場所に泡が乗る時間を30秒に削ってみて、戻るまでの日数が動くかどうか。動けば、原因は品ではなく分数の側にありました。
- 丈夫だと思っていた子が、急に戻りにくくなることはありますか。
- あります。戻る速さは固定された性質ではなく、そのときの条件で動きます。空気が乾いている時期、寝床が変わった週、体重が落ちた時期。どれも、表面の層が作り直される速さに影響します。だから判定は一度で終わりにせず、月2回の記録として続けます。丈夫な子でも、戻るまでの日数が2日を超えはじめたら、そのあいだは薄い場所から洗う順番へ切り替えておくと安全側に置けます。
- 回数を月2回まで減らすと、においが気になってきませんか。
- 洗う回数だけで考えると、そうなります。においの出どころは皮膚から出た脂が空気に触れて変わったものなので、洗う日を待つあいだにも進みます。ここを埋めるのが間の日の手順で、被毛の表面から脂を持ち上げておけば、においの立ち上がりはかなり遅くなります。回数を減らすという判断と、間の日に何をするかという判断は、必ずセットで決めてください。片方だけだと、においか日数のどちらかが必ず犠牲になります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
