C12Q&A・豆知識

抜け毛が少ないとされる猫種

公開日 2025年3月7日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色のクッションの上に落ち着いて座っている淡い色の毛の猫
床に落ちている毛は、その子の口に入らなかったぶんです。数えられるのは、いつもこちら側だけになります。写真:Cats Coming/Pexels

掃除機の減り方を見て、この子は抜け毛が少ないと感じることがあります。猫の場合、床に落ちている毛は、抜けた毛のうち、その子の口に入らなかったぶんです。残りは毛づくろいのときに舌へからめとられて、体の中に入っていきます。だから「抜け毛が少ない猫」という言い方には、抜ける量そのものが少ないという意味と、床に落ちる量が少ないという意味の、2つが混ざっています。掃除が楽な子ほど、毛は床より体の中に集まっている、ということが起こります。この記事では、猫種の順位も割合の数字も書きません。床に落ちる毛と、飲み込まれる毛。抜け毛が少ないという言葉を、この2つの軸で比べていきます。

猫の抜け毛は、床に落ちたぶんしか数えられない|順位が作れない条件

先に、数えられるものと数えられないものを分けておきます。家で数えられる抜け毛は、床・寝床・服・掃除機の中に出てきたぶんだけです。猫は自分で毛づくろいをするので、抜けた毛の一部は床へ落ちる前に舌でからめとられます。その毛は掃除機にも粘着ローラーにも出てきません。数えているのは、いつも「口に入らなかったぶん」のほうです。

ここから、順位が作れない理由が出てきます。抜け毛が少ないとされる猫種の並びは、床に落ちた量を数えて作られたものが多くなります。ところが床に落ちる量は、毛の抜けやすさだけで決まりません。毛づくろいの時間、被毛の長さ、下毛の量、部屋の広さ、掃除の頻度。同じ量が抜けていても、床に出てくる割合が違えば、並びは簡単に入れ替わります。

同じ「抜け毛が少ない猫」でも、何を数えたかで上位が変わる
何を数えたか上位に来やすい条件数から抜け落ちるもの
掃除機に入った毛の量毛が短く、床に落ちても目立たない子毛づくろいで口に入ったぶん
服に付いた毛の量人にあまり寄らない子寝床の中に残っているぶん
ブラシに取れた毛の量ブラッシングをよくさせてくれる子道具を嫌がる子から抜けたぶん
換毛期だけを数えた量換毛の山がはっきりしない子1年を通して少しずつ抜けるぶん
1年を通して数えた量毎日こまめに手が入っている子その時期だけ増えるぶん

表を見ると、上位に来るのは「抜け毛が少ない子」というより、その数え方で見つかりにくい子だと分かります。だからこの記事では、猫種の順位も、何%という数字も、平均の本数も書きません。出どころを確かめられない数字を覚えても、目の前の子には当てはまらないからです。代わりに書けるのは、抜けた毛の行き先が2つに分かれる、という構造のほうです。

構造はごく単純です。抜けた毛には、床へ落ちる道と、口に入る道の2つがあります。どちらへ多く流れるかは、その子の毛づくろいの時間と、被毛の作りで決まります。毛づくろいの時間が長い子ほど、床に出てくる量は減ります。掃除が楽だと感じている家では、その減ったぶんが体の中に入っていることになります。抜け毛が少ないという印象と、抜けた毛の総量は、こうしてずれていきます。

Noteこの記事では、猫種の順位と割合の数字を書きません

「◯位」「◯%が体内へ」といった数字は、調べ方によっていくらでも動きます。猫種ごとの並びも、床に落ちた量を数えたのか、飼い主の感覚を集めたのかで変わります。ここで扱うのは、数え方によらず言える構造だけです。長毛か短毛か、下毛があるかどうか、といった被毛の作りの呼び名は使いますが、それで順位を付けることはしません。自分の家の並びを知りたいときは、この記事の後半にある1週間の数え方で、その子だけの記録を作るほうが確実です。

軸1・床に落ちる毛|抜け毛が少ないと感じるのは、この量のこと

1つめの軸は、床に出てくる毛です。人が「抜け毛が少ない」と感じているのは、ほぼこの量のことになります。気づき方が分かりやすく、出てくる場所も決まっていて、打てる手もはっきりしています。3つがそろっているので、いちばん扱いやすい軸です。

見つけ方は、床の色を1つに固定することです。淡い色の床の上では濃い毛が読め、濃い色の床の上では淡い毛が読めます。同じ家でも場所によって床の色が違うと、量の比較になりません。比べるなら、同じ場所、同じ布、同じ曜日にそろえます。寝床のカバーを1枚決めて、そこに付いた量だけを見る、という測り方が続けやすいところです。

この軸で打てる手は、ブラッシングに集約されます。抜けかけている毛を、床に落ちる前に外へ出しておく、という手です。猫のブラッシングは、毛を減らすためというより、抜ける場所を人の手の中に移す作業に近くなります。道具を嫌がる子では、背中を数往復するだけでも量が変わります。音で身構える子には、噴射音の出ない猫用 mofuwa グルーミングウォーターを布に取ってから始めると、最初の一往復が通ります。1回の時間を延ばすより、短い回数を増やすほうが続きます。

被毛の作りによって、この軸の出方は変わります。下毛が厚い子は、時期がくるとまとまって落ちます。下毛が少ないとされる子は、床に落ちる量そのものが目立ちにくく、そのぶん抜けた毛が被毛の中に残りやすくなります。長毛の子では、落ちた毛が長いので少量でも目に入り、実際の量より多く感じられます。床に落ちた毛の見え方は、量より先に、毛の長さと色で決まります。

軸2・飲み込まれる毛|床に出てこないぶんの行き先という違い

2つめの軸は、口に入る毛です。猫の舌はざらついていて、毛づくろいのたびに抜けかけの毛をからめとります。からめとられた毛は、その場で吐き出すことができないので、そのまま飲み込まれます。床に落ちなかったぶんの多くが、こちらに回っていることになります。

ここが、犬との違いがいちばん出るところです。犬でも毛は抜けますが、抜けた毛の多くはそのまま床や寝床へ落ちます。猫では、落ちる前に一度、体の中を通る道があります。だから床の量だけを見て「抜け毛が少ない」と判断すると、その子でいちばん量が動いている場所を見ていないことになります。掃除が楽なことと、抜けている量が少ないことは、同じではありません。

この軸で気をつけたいのは、家で分かることに限りがある点です。飲み込まれた毛がどれくらいの量なのかは、数えられません。吐いたものの中に毛が見えることはありますが、それが全体のどれくらいかは分からないままです。数えられないものを推測で数字にしないというのが、この軸のいちばん大事な作法になります。家で書けるのは、吐いた日、毛づくろいをしていた時間の長さ、床の量が減ったかどうか、という3つまでです。

打てる手は、軸1と同じ場所に戻ってきます。ブラッシングで、抜けかけの毛を口に入る前に外へ出しておく。この一手だけが、床の量と飲み込まれる量の両方に同時に効きます。舌が届きにくい背中の中心や首の後ろは、抜けた毛が被毛の中に残りやすいところなので、そこから手を入れると効率がよくなります。うるおいが下がっている時期は、毛先が広がってブラシが根元まで入りにくくなるので、先に毛先を落ち着かせてから始めます。

吐く回数が増えている、食欲が落ちている、便の様子が変わった。こうした変化があるときは、抜け毛の量の話としては扱えません。飲み込まれる毛は、家で数えられない側にあるものです。量を推測して家で判断するより、日付を書いて動物病院にご相談ください。この記事の範囲は、抜けた毛の行き先が2つに分かれる、という構造のところまでになります。

2つを並べて比べる|抜け毛が少ない猫で、先に見るほうの使い分け

2つの軸を並べます。同じ「抜けた毛」でも、気づき方も、出てくる場所も、打てる手の効き方も違います。その子がどちらに寄っているかが決まると、抜け毛が少ないという言葉を、感覚ではなく条件で言い直せるようになります。

床に落ちる毛と、飲み込まれる毛の比較
床に落ちる毛飲み込まれる毛
気づき方掃除の量、服に付く量床の量が減る、毛づくろいが長い
出てくる場所床・寝床・ソファ・服吐いたもの、便のほう
数えられるか数えられます量は数えられません
多くなる子毛づくろいの時間が短い子毛づくろいの時間が長い子
被毛の作り下毛が厚い子で山が出ます舌が届く範囲が広い子で増えます
打てる手ブラッシングと掃除の頻度ブラッシングだけが先に効きます
効きめの分かり方数日で掃除の量に出ますすぐには分かりません
抜けた毛の行き先を、床側と体側の2つに分ける 猫から抜けた毛が、床へ落ちる道と、毛づくろいで口に入る道に分かれることを、気づき方と打てる手の違いで左右に並べた対比カードです。 同じ量が抜けていても、どちらへ流れるかで見え方が変わります 床に落ちる毛 掃除の量で気づきます 床・寝床・服に出ます 数えることができます 毛づくろいが短い子に多い 手を入れると数日で動く 飲み込まれる毛 床の量が減って気づきます 吐いたものや便に出ます 量は数えられません 毛づくろいが長い子に多い 手を入れても分かりにくい 床の量が少ないことは、抜けた量が少ないことと同じではありません
掃除が楽だと感じている家では、右側の割合が上がっています。

どちらを先に見るか。決め手は、その子が起きている時間を何に使っているかです。窓辺で毛づくろいをしている時間が長い子は、右側から見ます。よく動き回っていて、毛づくろいは短く済ませる子は、左側から見ます。床の量が少ないのに毛づくろいが長い、という組み合わせのときは、右側の割合が上がっていると考えられます。猫種の並びではなく、その子の1日で決めるということです。

自分の家の割合は、1週間で作れます。やり方は、寝床のカバーに付いた毛の量と、毛づくろいをしていた時間の印象を、毎日1行ずつ書くだけです。量は「多い・ふつう・少ない」の3段階で足ります。7日分たまると、床の量と毛づくろいの長さが、どう動いているかが並びます。よそから借りた順位より、こちらのほうが目の前の子に当たります。

1週間、2つを1行ずつ書き出す(記入例)
日寝床に付いた毛毛づくろいの長さ
月少ない長い
火少ない長い
水ふつうふつう
木少ない長い
金多い短い
土少ない長い
日ふつうふつう

この例なら、床の量が少ない日は、毛づくろいが長い日と重なっています。抜けた量が減ったのではなく、行き先が右へ寄っている、という読み方ができます。金曜だけ床の量が多く、毛づくろいが短い。この日に何があったかをたどると、その子の条件が1つ見えてきます。順位を覚えていても、ここまでは出てきません。

時期で2つの割合が動く|換毛期と乾く時期に、猫の被毛で起きること

最後に、時期の話です。床に落ちる毛と飲み込まれる毛の割合は、季節でも動きます。同じ子でも、春と冬では並びが入れ替わります。効いてくる条件は2つあって、換毛期と、空気が乾く時期です。この2つは、動かす軸が違います。

時期によって、どちらの軸が増えるか
時期何が変わるか増えやすい側
換毛期抜ける毛の総量そのものが増えます両方。毛づくろいの時間も一緒に延びます
空気が乾く時期静電気で毛先が広がり、被毛の中に残ります床に落ちる側が減って見えます
湿度が戻る時期被毛の中に留まっていたぶんが落ちます床に落ちる側が急に増えます
じっとしている日が続く時期毛づくろいの時間が延びます飲み込まれる側
よく動く時期体をこすりつける回数が増えます床に落ちる側

換毛期は、抜ける毛の総量が増えるので、両方の軸が同時に上がります。掃除の量が増えたと感じている時期は、飲み込まれているぶんも増えている時期です。だからこの時期に増やしたいのは、掃除の回数より、ブラッシングの回数のほうになります。抜けかけの毛を先に外へ出しておけば、2つの軸に同時に効きます。1回の時間を延ばすと嫌がる子が多いので、短く、回数を増やす形にします。

空気が乾く時期は、静電気で毛先が互いに反発して広がります。広がった毛先は隣の毛と交差しやすく、抜けた毛が被毛の中に留まります。うるおいが下がっている被毛は、ブラシを当てても毛が立ってしまい、毛先から根元へ歯が入りません。床の量が減ったように見える時期ですが、減ったのではなく、まだ体の上にあるだけということが起こります。この時期は、乾いたままブラシを入れるより、毛先を一度落ち着かせてから始めるほうが早く終わります。

猫の場合、被毛にのせたものは毛づくろいのたびに口へ入ります。猫用 mofuwa グルーミングウォーターは、その前提のまま毎日使えるように作られたものです。中身は犬猫向けのグルーミングスプレー(ブラッシングスプレーとしても使われています)と同じ電解水で、猫向けに若干のイオン調整を加えてあります。清涼飲料水の規格基準をクリアした成分なので、舌が通る場所にも量を気にせず使えます。無香料なのも、自分のにおいが変わることを嫌がる猫に合わせた作りです。容器はチューチューボトルで、噴射音が出ません。嫌がられていたのは水ではなく音のほうだった、という飼い主さんの声から形だけを変えた商品です。グルーミングウォーターを布に取り、毛の流れに沿って一往復させると、毛先が落ち着いた状態からブラシを入れられます。

Point全身をやろうとすると、いちばん効く場所が終わりません

先に手を入れるのは、その子の舌が届きにくい場所です。背中の中心、首の後ろ、肩のあたり。ここは抜けた毛が被毛の中に残りやすく、外へ出しておく効果がいちばん大きいところになります。全身を1回通すより、この3か所を毎日、残りを2〜3日に1回のほうが続きます。1回の時間が長くなると途中で嫌がって、最後に回した場所がいつも残ります。

Cautionこういうときは、抜け毛の話として扱わずに動物病院にご相談ください

吐く回数が増えた、食欲が落ちた、便の様子が変わった、同じ場所をなめ続けて毛が薄くなった、地肌が赤い、毛づくろいの時間が急に延びた、または急に減った。こうした変化があるときは、ブラッシングの回数を増やしたり、抜け毛の量で判断したりする前に、動物病院にご相談ください。飲み込まれた毛の量は、家では数えられない側にあります。寝床の毛と毛づくろいの長さを書いた7日分を、そのまま持っていってください。

抜け毛が少ない猫という言葉は、覚えるものではなく、その子で作るものです。共通して言えるのは、抜けた毛には床へ落ちる道と口に入る道の2つがある、という構造だけです。そこから先は、その子の1日で決まります。毛づくろいの長い子と、動き回っている子では、割合が入れ替わります。年齢が変われば、また入れ替わります。だから、よそで見た猫種の並びを当てはめるより、寝床の毛と毛づくろいの長さを7日書き出すほうが早い。抜け毛が少ないかどうかを見るというのは、床を見ることではなく、抜けた毛がどちらへ流れているかを見ることです。

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よくある質問

抜け毛が少ないとされる猫種を選べば、掃除は楽になりますか
床に出てくる量という意味では、楽になることがあります。ただし床の量が少ないことと、抜ける量そのものが少ないことは別の話です。毛づくろいの時間が長い子では、床に落ちなかったぶんが体の中に入っています。掃除の楽さだけで選ぶと、ブラッシングの手間はむしろ増えることがあります。猫種の並びより、その子の毛づくろいの時間を見るほうが当たります。
短毛の猫なら、ブラッシングは少なくても大丈夫ですか
毛が短い子は床に落ちた毛が目立ちにくいので、量が少なく感じられます。ただし抜けかけの毛が被毛の中に残ること自体は、毛の長さにかかわらず起きます。短毛でも、換毛期と空気が乾く時期は回数を増やしておくと、毛づくろいで口に入るぶんが減ります。1回を短く、回数を増やす形が続けやすいところです。
床の毛が急に減ったときは、抜け毛が少なくなったということですか
その可能性もありますが、行き先が変わっただけのこともあります。毛づくろいの時間が延びている、空気が乾いて毛が被毛の中に留まっている、寝床の布を替えて付き方が変わった。この3つは、床の量だけを見ていると区別がつきません。減ったと感じた週に、毛づくろいの長さも一緒に書いておくと、次の週に読み分けられます。吐く回数や食欲に変化が重なっているときは、動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。