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シニア犬と暮らす人のための犬と猫の同居|5分で終わらせるケア

公開日 2025年8月30日|文=mofuwa編集部

明るく静かな室内で、淡い色のマットに横になっている老犬と、少し離れて座っているクリーム色の猫
同じ室内にいても、落ち着いていられる場所の数は、年によって入れ替わります。写真:https://kaboompics.com//Pexels

13歳になった犬が、6月のある日からソファの角で寝なくなりました。その角は3年前からその子の場所で、帰宅すると必ずそこにいました。代わりに座っていたのは、あとから来た5歳の猫です。追い出されたわけではありません。猫が近づいてきたとき、犬のほうが先に立って、床のラグへ移りました。犬と猫の同居では、先に年を取るのが犬のほうだと、居場所の順番が静かに入れ替わります。そこから、帰宅後のケアが5分では終わらなくなりました。伸びていたのは手を入れている時間ではなく、老犬を探して、落ち着くのを待つ時間のほうです。この記事は、犬の体ではなく犬の場所に手を入れた3週間の話です。

先に譲ったのは犬のほうでした|老犬と猫の同居で、力関係が入れ替わった日の経験

うちは犬が先に来て、3年後に猫が来ました。犬と猫の同居が始まった当時、室内の場所はほとんど犬が決めていました。ソファの角、廊下の真ん中、玄関のたたきの手前。猫は棚の上と、窓の内側の狭いところにいました。どちらが強いという話ではなく、単に犬のほうが先に動いて、先に座っていたということです。その順番が、犬が12歳を過ぎたあたりから少しずつ変わりました。

はっきり気づいたのは6月です。帰宅後、いつもの角にいたのは猫でした。犬は1メートルほど離れた床のラグにいます。次の日も、その次の日も同じでした。猫が角へ来たとき、犬は目を開けて、少しのあいだ見てから、自分で立って移動します。争わないので、こちらは何も起きていないと思っていました。老犬にとって、立ち上がるのは時間のかかる動作です。それでも先に譲るのは、そのほうが早く済むからだと思います。

困ったのはケアの時間でした。以前は帰宅後にソファの角へ行けば、そこに犬がいました。毎日その場所で、足の裏と口の周りを拭いて5分。いまは、まず犬がどこにいるかを探すところから始まります。日によって、廊下の壁ぎわだったり、ラグの端だったり、寝室のドアの前だったりします。見つけてから座り直すのを待ち、途中で猫が近くを通ると犬が立ち、またやり直しになります。同じことをしているのに、15分かかる日が出てきました。

Note猫が意地悪をしているわけではありません

猫は空いた場所に入っているだけです。先に譲っているのは犬のほうで、しかも譲るたびに立ち上がっています。犬と猫の同居でこの入れ替わりが起きるとき、止める相手は猫ではありません。猫を叱っても、犬が立つ回数は減らないためです。この記事で手を入れるのは、譲る場面そのものを減らすほうです。老犬の側に必要なのは勝つことではなく、譲らなくていい場所が室内にいくつあるか、のほうでした。

落ち着ける場所が減ると、手を入れる時間が伸びます|犬と猫の同居で老犬のケアが長くなる理由

老犬の一日は、座る回数と立つ回数でだいたい決まります。落ち着ける場所が室内に3か所あれば、そのうちのどれかにいます。1か所しかないと、そこを取られたときに立って移動して、また落ち着くまでの時間が要ります。場所の数が減ると、同じ一日のなかで立ち上がる回数が増えます。犬と猫の同居では、この減り方が年齢とともに進みます。

老犬が落ち着ける場所には、こちらが思っていたより細かい条件がありました。床が滑らないこと。出入口が視界に入ること。横になったときに体の片側が壁か家具に付くこと。この3つがそろっている場所でしか、長い時間は寝ていません。そして厄介なことに、猫が好む条件とほとんど重なります。取り合いになるのは偶然ではなく、条件が同じだからです。

老犬と猫が同じ場所を選ぶ理由|条件が重なるところと、重ならないところ
場所の条件老犬にとって猫にとって重なるか
床が滑らない立ち上がるときに踏ん張れる着地と踏み出しがしやすい重なる
出入口が見える人の出入りを目で追える逃げ道を確かめられる重なる
体の片側が家具に付く横になったとき体を支えられる背中の側を空けずに済む重なる
日が当たる体が温まりやすい体が温まりやすい重なる
人の声が届く呼ばれたときに動かずに済む様子を把握できる重なる
高いところにある上がれないので使わない上がれるので好んで使う重ならない

重ならないのは最後の1行だけです。つまり、猫が上へ行ける場所をいくら増やしても、床の高さで起きている取り合いは終わりません。猫は上も下も使えて、老犬は下しか使えないためです。犬と猫の同居で老犬の側が押されていくのは、性格や順位の問題ではなく、使える高さの数が違うところから来ています。

ここでケアの時間の話に戻ります。帰宅後の15分を、実際に何に使っていたかを1週間はかりました。手を入れている時間そのものは、以前と変わっていませんでした。伸びていたのは、その手前にある3つです。探す時間、犬が落ち着き直すのを待つ時間、途中で中断してやり直す時間。この3つはどれも、場所が決まっていれば消えるものでした。

帰宅後の15分を、何に使っていたか(1週間の平均)
内訳かかっていた時間何で決まるか
室内で犬を探す約2分落ち着ける場所がいくつに散らばっているか
犬が座り直すのを待つ約3分その場所が3つの条件を満たしているか
猫が来て中断し、やり直す約4分その場所を猫と取り合っているか
布を用意する・片づける約1分道具をどこに置いてあるか
実際に手を入れている約5分老犬の体の側の話。以前と変わらない

5分は5分のままでした。老犬のケアが長くなったと感じていたものの中身は、老犬の体ではなく、室内の場所の問題でした。体のほうに原因を探していると、手数を増やす方向へ進みます。触る回数を増やせば増やすほど、立ち上がる回数も増えます。犬と猫の同居で老犬の毎日を軽くするなら、先に動かすのは場所のほうです。

5分を体ではなく場所に使う|犬と猫の同居で老犬の毎日を回すための考え方

やったことは4つです。どれも犬の体には触れません。老犬の場所を1か所決めて、条件をこちらで作り、猫の側には先に別の場所を用意して、ケアはその1か所でしかやらない。順番が大事で、猫から取り上げるところから始めると、猫が別の場所を探して室内を回り、結局どこも落ち着かなくなります。増やしてから動かす、の順で進めました。

  1. 老犬が最後に落ち着いていた場所を、1か所だけ決める

    3か所に散らばっているうち、いちばん長く寝ていた場所を1つ選びます。うちは廊下の壁ぎわでした。ソファの角に戻そうとしないのがコツです。すでに猫が使っている場所を取り返すより、犬が自分で選んだ場所を強くするほうが早く済みます。決めたら、そこに毎日ものを置くのをやめます。

  2. その場所の3つの条件を、人の手でそろえる

    滑らないマットを敷き、向きを変えて出入口が視界に入るようにして、片側が壁か家具に付くように位置をずらします。かかったのは15分と、マット1枚です。老犬にとっては、この3つがそろっているかどうかで、同じ場所でも寝ている時間の長さが変わります。犬と猫の同居では、条件をそろえた場所ほど猫にも好まれるので、次の手順とセットで進めてください。

  3. 猫の側に、同じ条件の場所を先に増やす

    窓ぎわの棚に、猫が横になれる幅の板と、滑らない敷物を足しました。猫から取り上げるのではなく、猫の選択肢を先に1つ増やします。日が当たり、部屋の出入口が見えて、体の片側が壁に付く。老犬の場所と同じ条件を、高いところに作るということです。猫が上を選んでくれると、床の取り合いの回数が下がります。

  4. 帰宅後のケアは、決めた1か所でしかやらない

    犬を呼ばず、人のほうがその場所へ行きます。場所と手順を結びつけると、犬は座り直しません。横になったままできる範囲だけにして、立たせないのが条件です。うちは足の裏、口の周り、背中の片側の3か所を一往復ずつにしました。布とグルーミングスプレーはその場所の横に置いて、取りに戻らない形にしています。老犬は同じ姿勢を長く保てないので、5分を超えそうなら途中で終わらせて構いません。

Point犬を呼ばず、人のほうが場所へ行く

呼ぶと、老犬は立って歩いてきます。それだけで、こちらが減らそうとしていた立ち上がる回数が1回増えます。毎日の習慣として決めておくのは、時刻ではなく「どこでやるか」のほうです。帰宅後すぐでも、夕食のあとでも構いません。同じ場所でやると決めておけば、犬の側は近づいてくる人の足音でその時間だと分かります。犬と猫の同居では、猫のほうが先に音に気づいて場所を空けることもありました。

その場所でやるのは、毎日のケアです。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませ、足の裏と口の周りを毛の流れに沿って一往復させます。老犬は立たせておける時間が短いので、横になったまま届く範囲だけに絞っています。すすぐ工程がないので、洗面所まで歩かせずに、寝ている場所でそのまま終わります。舐めても問題のない基準でつくられているぶん、口の周りでも量を気にせず布を湿らせられます。13歳の犬には湯船に入る時間そのものが負担になるので、毎日の手入れは立たせない側へ寄せました。届く範囲を毎日同じにしておくと、変化のほうに気づけます。

残りの1か所、ソファの角はどうしたかというと、何もしませんでした。猫がそこにいるのは、いまはそれでいいことにしました。犬と猫の同居で場所を全部整理しようとすると、こちらの手数が増えて続きません。老犬に必要なのは全部ではなく、譲らなくていい場所が1か所あることでした。

3週間で、犬が自分から戻る場所が2か所に増えました|老犬と猫の同居に起きた変化

3週間、帰宅後の時間だけを紙にはかりました。書いたのは、犬を見つけるまでの時間、手を入れ終わるまでの時間、途中で中断した回数の3つだけです。老犬の体重や食事の量は、いつもの記録のほうに残しています。ここで見たかったのは、場所を動かしたことが時間に出るかどうかでした。

3週間で、帰宅後の時間と犬の居場所がどう動いたか
やったこと犬を探す時間中断した回数
1週目廊下の壁ぎわを1か所に決めた2分 → 30秒週に4回
2週目窓ぎわに猫の場所を増やした30秒のまま週に4回 → 1回
3週目決めた場所でしかケアをしないほぼ00回
3週目の終わり犬が自分から戻る場所が2か所になったほぼ00回

2週目に猫の場所を増やしたところで、中断の回数がいちばん動きました。猫は窓ぎわの板に上がるようになり、床を通る回数が減りました。老犬の側に何もしていない週に、老犬の時間がいちばん短くなったのは、こちらには意外でした。犬と猫の同居では、犬に手を入れるより、猫の選択肢を増やすほうが先に効く場面があります。

3週目の終わりに、犬が自分から戻る場所が2か所になりました。決めた廊下の壁ぎわと、もうひとつ、ソファの前のラグです。ラグのほうは何も手を入れていません。1か所が安定すると、もう1か所も落ち着くようでした。場所が2か所あると、猫がどちらかに来ても、犬は残りのほうへ移れます。譲る動作そのものは残りますが、探す時間はなくなりました。帰宅後のケアは、また5分で終わっています。

変わったのは老犬の体ではありません。3週間で体重も食べる量も同じでした。変わったのは、室内で犬が譲らなくていい場所の数です。犬と猫の同居を毎日回すというのは、2種の間を取り持つことよりも、それぞれが自分の場所を持っている状態を保つことに近いと思うようになりました。手入れの回数を増やす前に、まず場所の数を数えてみてください。

Caution場所を整えても変わらないときは、動物病院にご相談ください

立ち上がるまでの時間が日ごとに長くなる、いつも同じ側に体重をかけている、滑る回数が増えた、寝ている場所が急に変わった、同じところをなめ続けている、体の片側だけにおいが強い、食べる量や水の量が戻らない。こうした変化があるときは、場所の話とは切り離して考えてください。老犬では、複数のことが同じ時期に重なって見えることがあります。3週間ぶんの記録があれば、そのまま持っていけます。記録が3日ぶんしかなくても、その3日を持っていくほうが先に進みます。

最後にもう一度だけ書きます。犬と猫の同居で犬が先に年を取ると、こちらが気づく前に、居場所の順番が入れ替わっています。その入れ替わりは、老犬の体ではなく、老犬の一日の時間の使われ方に出ます。手当ての置き場所は、犬に何かをすることではなく、犬の場所を守ることのほうでした。5分で終わるかどうかは、その5分の手前が決めています。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。