C09シーン別・暮らし
保護犬・保護猫を迎えた、敏感肌の子と暮らす人はどうしている?
保護犬を迎えて4日目の朝、後ろ足のつけ根の地肌が赤くなっていました。前の日はなんともありませんでした。かく回数も増えています。譲渡のときに受け取った紙には、体重とワクチンの日付と、いま食べているごはんの銘柄が書いてありました。それ以外のことは書かれていません。もともと敏感肌なのか、うちに来て暮らしが変わったせいなのか、こちらには判断する材料がありませんでした。保護犬・保護猫を迎えるとき、いちばん手前にあるのはこの分からなさです。この記事は、原因を先に決めるのをやめて、変えるものを1つずつ増やしていった2か月の手順です。
迎えて4日目に地肌が赤くなりました|保護犬を迎える家で、敏感肌の原因を決められない前提
順を追って書きます。8月の頭に、推定3歳の保護犬を迎えました。譲渡のときに受け取った紙に書いてあったのは、体重、ワクチンの日付、いま食べているごはんの銘柄の3つです。それ以外は、こちらには分かりません。どんな床で寝ていたのか、どんな洗剤で洗った布に触れていたのか、一日にどのくらい人の手が当たっていたのか。譲渡元に聞ける範囲は聞きましたが、分からないという答えでした。
4日目の朝に、後ろ足のつけ根と、腹側の地肌が赤くなっていました。かく回数も増えています。ここで手が止まりました。もともと敏感肌なのか、うちに来たことで条件が変わったせいなのかが、区別できません。敏感肌の子と暮らしてきた人なら、ふだんは「先週と比べてどうか」で判断します。保護犬を迎える家には、その先週がありません。
最初の1週間、こちらがやったことを正直に書きます。思い当たることを全部変えました。ごはんを皮膚によさそうな銘柄に切り替え、寝床の布を洗剤を変えて洗い直し、ブラシを柔らかいものに買い替え、サプリを1つ足しました。3日のあいだに4つ変えました。赤みは6日目に少し薄くなりましたが、何が効いたのかは分かりません。次にまた赤くなったとき、こちらにできることは、また同じ4つを変えることだけです。
- 分かっていること:いまの体重。譲渡元と同じごはんの銘柄。ワクチンの日付
- 分かっていること:今日の室温と湿度。うちの床材。うちで使っている洗剤
- 分かっていること:今日この子に手を当てた回数と、当てた場所
- 分かっていないこと:以前の食べ物、以前の寝床の素材、以前の洗剤
- 分かっていないこと:以前どのくらい人の手が当たっていたか、以前の室内の温度
- 分かっていないこと:この赤みが、いつからのものなのか
この一覧を書いたときに、方針が決まりました。分かっていない側を、想像で埋めないことです。以前の暮らしを思い描いて原因を当てにいくと、当たっているかどうかを確かめる方法がありません。確かめられない仮説を立てると、そのぶん変える項目が増えます。保護犬を迎えた家で敏感肌に向き合うときにいちばん効いたのは、分からないことを分からないまま置いて、今日から作れる記録のほうを増やす、という判断でした。
原因は知りたいままです。ただ、いまの手元には比べる相手がないので、原因の候補を並べても絞り込めません。絞り込むには、変数を1つずつ動かして、動かしたぶんだけ結果を見るしかありません。保護犬・保護猫を迎える家では、この1つずつが、いちばん急がば回れになる進み方でした。動物病院で相談するときにも、1つずつ動かした記録のほうが話が早く進みます。
最初の2週間は何も足さない|保護犬を迎える家でできる、敏感肌の子の5つの手順
ここからが手順です。5つに分けますが、最初の2週間でやるのは1〜3だけです。4と5は15日目から始まります。敏感肌の子で変数を増やさないことが目的なので、こちらが先回りして始めると、その時点で手順が崩れます。迎える日が決まった時点でカレンダーに15日目の印を付けておくと、待ちやすくなりました。
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最初の2週間、新しいものを1つも足さない
ごはんは譲渡元と同じ銘柄のまま。寝床は届いたときのまま。シャンプーもサプリも、新しくは始めません。すでに変えてしまったものがあるなら、そこで止めて、それ以上は増やさないことにします。戻すのも変更の1つなので、戻すかどうかは15日目に決めます。保護犬を迎えた直後は、場所も人も音も全部が新しくなっています。そこへこちらから足すと、数えられない変化が積み上がります。
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食べ物・寝る場所・触る回数の3つを、数字で固定する
ごはんは同じ銘柄を同じ量、同じ時刻に。寝る場所は1か所に決めて動かしません。触る回数は「1日2回、1回10秒」のように数字で決めます。敏感肌の子では、触る回数そのものが条件になります。多い日と少ない日があると、あとで記録を読んでも何も言えません。回数は少なめで構いません。固定することが目的です。
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毎日1行だけ記録する
日付、地肌の色、かいた回数、手を当てた回数、室温。この5つだけを1行に書きます。書けない日は空欄のままにしてください。「たぶん暑かったから」のような推測を書くと、比べる相手として使えなくなります。写真を撮るなら、同じ場所を同じ明るさで1枚。被毛を分けて地肌を見るのは1日1回で足ります。見るだけなら、触る回数には数えません。
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15日目から、1つだけ変えて3日待つ
変えるのは1つです。そして3日待ちます。2日目で判断しないのは、その日の室温や散歩の長さで一時的に動くことがあるからです。変えるものは、いちばん戻しやすいものから選びます。次の表の順番で進めました。保護犬を迎える家では、この3日を守れるかどうかで、2か月後に読める記録になるかどうかが分かれます。
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3日ぶんの記録を見てから、次の1つへ進む
3日たったら記録を読みます。変化がなければ、その項目は当面の候補から外して、変えたまま次へ進みます。かく回数が増えていたら、変えたものを戻して、3日置いてから次へ行きます。1つ進むのに最短で3日、戻す場合は6日かかります。5つの項目を回すと1か月半ほどです。敏感肌の子を迎える家では、これがいちばん短い道でした。
| 順番 | 変えるもの | 戻すのにかかる時間 | 3日で読めること |
|---|---|---|---|
| 1つめ | 寝床に敷く布 | その日のうちに戻せる | 体に接している面の影響 |
| 2つめ | 手を当てる回数(1日2回→3回) | 翌日に戻せる | 手数そのものの影響 |
| 3つめ | 洗濯に使う洗剤 | 次の洗濯で戻せる | 布に残るものの影響 |
| 4つめ | 毛と地肌に直接触れるもの | 翌日に戻せる | 被毛に触れるものの影響 |
| 5つめ | ごはんの銘柄 | 1週間はかかる | いちばん最後に回す |
最初の2週間は、手が空いているわけではありません。3つを固定して、毎日1行書く、という作業が毎日あります。ここを「様子を見るだけ」と読むと、記録が飛びます。記録が飛んだ2週間は、15日目からの比べる相手になりません。保護犬・保護猫を迎えるときに、いちばん取り返しがつかないのは、この14行が欠けることでした。
変えるのは3日に1つまで|保護犬を迎えてから敏感肌でつまずく頻度の話
実際にやってみて、こちらがつまずいたのは4か所でした。全部、頻度に関するつまずきです。敏感肌の子を迎えた家では、手数を増やす方向へ引っぱられる力がとても強いと感じました。赤くなっている地肌を毎日見ているので当然なのですが、増やしたぶんだけ、あとから読めなくなります。
1つめは、2週間待てないことです。何もしていないように見えるのが不安になります。ここは手順2と3を数えるようにして乗り切りました。固定するのも作業、1行書くのも作業です。2つめは、同じ週に2つ変えてしまうことでした。洗剤を変えた週に、ブラシも新しくしていました。その週の3日ぶんの記録は、どちらの影響かを言えないので使えません。3つめは、触る回数を増やしてしまうこと。4つめは、記録に推測を書き足してしまうことです。
| 内容 | なぜそうするか | |
|---|---|---|
| 上げない | 手を当てる回数 | 触れる回数そのものが、皮膚の側の条件になります |
| 上げない | 洗う回数 | 2週間のあいだは、水を使う日を増やしません |
| 上げない | 新しいものを試す回数 | 3日待つ前に次を足すと、どちらの影響か読めません |
| 上げる | 地肌を見る回数 | 被毛を分けて見るだけなら、変数は増えません |
| 上げる | 記録の行数 | 毎日1行。空欄のままでも行は立てます |
| 上げる | 室温と湿度をはかる回数 | その日の条件を、あとから引き算できます |
上げていい列は、どれも「見るだけ」「書くだけ」で終わるものです。手が触れないので、変数になりません。保護犬を迎える家で頻度を上げるなら、この列からにしてください。逆に上げない列は、どれも体に何かが触れます。敏感肌の子では、触れた回数が結果に出るので、増やした時点でその週の比較が成立しなくなります。
もうひとつ、頻度と関係のないつまずきがあります。3日待っているあいだに、地肌の赤みが広がっていくときは、手順の途中でも止めてください。この手順は、変化がゆるやかなときに使うものです。かさぶたができる、毛が抜けて地肌が見える範囲が広がる、同じ場所をなめ続ける、においが日ごとに強くなる、食欲が落ちる。ひとつでも当てはまるなら、3日を待たずに動物病院にご相談ください。2週間何も足さないという手順は、相談を先延ばしにするためのものではありません。
2か月で分かったのは原因ではなく順番でした|保護犬を迎えた敏感肌の子と暮らす毎日のコツ
8月に迎えて、2か月ぶんの記録がたまりました。先に書いておくと、原因は分かっていません。もともと敏感肌なのか、環境が変わったことが重なっているのかも、決められていません。それでも、次に地肌が赤くなったときにやることは決まりました。分かったのは原因ではなく、順番のほうでした。
| 変えたもの | 3日後の記録 | そのあとどうしたか | |
|---|---|---|---|
| 1〜2週目 | 何も変えない | 赤みは2日目から6日目まで。7日目に薄くなった | 3つを固定したまま14行を書いた |
| 3週目 | 寝床に敷く布 | かく回数に動きなし | 変えたまま次へ進んだ |
| 4週目 | 手を当てる回数を1日3回に | 3日目にかく回数が増えた | 1日2回へ戻し、3日置いた |
| 5〜6週目 | 洗濯に使う洗剤 | 動きなし | 変えたまま次へ進んだ |
| 7〜8週目 | スキンケアミストを朝1回 | 動きなし | そのまま続けている |
| 未着手 | ごはんの銘柄 | — | 動物病院で相談してから決める |
2か月で確かに言えるのは1つだけです。手を当てる回数を1日3回にすると、3日目にかく回数が増えました。戻すと、また落ち着きました。敏感肌の子と暮らす人が「手数を増やせない」と言うのは、こういうことなのだと、記録の形で初めて分かりました。保護犬を迎える前に読んでいた説明では、頭では分かっていても、うちの子のこととしては持てていませんでした。
7〜8週目に足した1つについても書いておきます。足の裏と腹側は、この子が自分で舐めて済ませてきた面でした。うちに来てからは、そこに人の手が何回入るかまで、こちらが数字で決めています。4つめとして選んだのは mofuwa スキンケアミストです。地肌にも、口のまわりにも、足の裏にも、同じ1本で足ります。場所ごとに別のものを持ち出さずに済むので、増えた変数はやはり1つのままです。朝の1回、乾いた布へ取ってから、足の裏と腹側を毛の流れに沿って一往復。保護犬を迎えてからの記録は3日ぶんとも動かなかったので、そのまま続けています。
この手順は、家でできることの範囲です。地肌の赤みが広がる、かさぶたができる、毛が抜けた範囲が増える、同じところをなめ続ける、においが日ごとに強くなる、食欲や水の量が変わる。こうしたときは、変えるものを探す前に動物病院にご相談ください。保護犬・保護猫を迎える家では、以前の記録がありません。だからこそ、迎えた日からの1行ずつが、そのまま持っていける材料になります。2か月ぶんの紙を出すと、こちらが言葉で説明するより早く話が進みました。
最後に、いちばん効いたことをもう一度書きます。以前の暮らしを推測しなかったことです。分からない側を想像で埋めると、確かめようのない候補が増えて、変える項目が一度に増えます。埋めずに空けておくと、増やせるのは今日から作る記録だけになります。保護犬を迎えた家で敏感肌の子と暮らすときのコツは、原因を当てにいくことではなく、変数を1つずつ増やして、3日待って、1行書くことでした。毎日の手数はむしろ減ります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 迎えてすぐに地肌が赤くなりました。2週間も待って大丈夫でしょうか。
- 待つのは「変えるほう」だけです。見ることと書くことは毎日続けます。そのうえで、赤みが広がる、かさぶたができる、毛が抜けた範囲が増える、同じところをなめ続ける、においが日ごとに強くなる場合は、2週間を待たずに動物病院にご相談ください。この手順は、変化がゆるやかなときに家でできることの整理です。
- 譲渡元に、以前の様子を聞いてもいいですか。
- 聞ける範囲は聞いてください。食べていたものの銘柄、体重、健康診断の記録などは、教えてもらえることがあります。ただし、分からないと言われたらそこで止めます。保護犬・保護猫を迎える家でいちばん避けたいのは、分からない部分を想像で埋めることです。埋めた内容は確かめようがなく、そのぶん変える項目だけが増えます。
- 敏感肌だと、洗う頻度はどのくらいがいいですか。
- 迎えて最初の2週間は、新しく始めないことにしています。そのあとの頻度は、記録のほうが決めます。洗った日と、その後3日のかく回数を同じ紙に並べて、動いたかどうかを見てください。体質そのものについては、地肌の状態を見てもらったうえで、動物病院で相談するのがいちばん早く決まります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
