C09シーン別・暮らし
停電・断水のときを楽にする、多頭飼いの人の毎日の習慣
21時すぎに部屋の明かりが落ちた夜、3頭のうち2頭は5分で見つかって、最後の1頭に25分かかりました。いつも寝ている場所にいなかったからです。懐中電灯を持って家の中を2周して、3周目にソファの裏で見つけました。多頭飼いの家では、断水や停電のときに人が最初にやるのは、ペットのケアではありません。頭数を数えることです。ところが、ふだんその数え方は目で済ませています。明かりが消えると、その方法だけが一度に使えなくなります。この記事は、暗いところで頭数を確かめる手順を、明るい日のうちに作っておくという話です。
2頭まではすぐ分かって、最後の1頭に25分かかった|多頭飼いの家が断水と停電の夜にした経験
その夜の順番を、そのまま書きます。明かりが落ちて、冷蔵庫の低い音が止まりました。スマートフォンの明かりをつけると、足元に1頭目がいました。2頭目は、いつものソファの上です。ここまでで5分もかかっていません。問題は3頭目でした。寝室のベッドの下にいるはずの時刻でしたが、そこにいません。廊下、洗面所、玄関と回って、いなくて、もう一度寝室に戻って、それでも見つかりませんでした。
見つけたのは、ソファの裏の20センチほどのすきまです。ふだんはそこに入りません。明かりが消えた瞬間に動いて、そこで止まっていました。25分のあいだ、こちらがやっていたのは家の中を歩き回ることだけです。水も止まっていたので、そのあとにやろうと思っていたことは全部、後ろへずれました。
あとから考えると、25分は探すのに使った時間ではありません。「どこを探し終わったか」が分からなくなって、同じ部屋を3回見た時間です。多頭飼いの家では、1頭を探しているあいだに、すでに見つけた子が移動します。移動されると、さっき数えた1頭がまた数え直しになります。頭数が増えるほど、この戻りが増えます。
- 明かりが落ちてから、最初の1頭が見つかるまで:たいてい1分以内。人の足元にいます
- 2頭目まで:定位置にいれば5分以内。ここまでは、ふだんと同じ探し方で足ります
- 最後の1頭:ここだけ時間の桁が変わります。定位置から動いている確率が高い
- 探しているあいだの移動:見つけた子が動くと、数え直しになります
- 断水が重なっている日:所在が決まるまで、ペットのケアには一切手がつきません
- 翌朝:全頭が定位置に戻っているので、前夜に何が起きたか分からなくなります
停電も断水も、多くは数時間から数日で戻ります。ここで扱うのは、その数時間のあいだに人の手が何に使われるか、という配分の話です。3頭いる家で25分を所在に使うと、そのぶん、ふだんやっているペットの室内の手当てが後ろにずれます。ずれること自体は困りません。困るのは、ずれた理由が「探していたから」だと、あとから気づけないことのほうです。数える手順があると、この25分が5分になります。
多頭飼いの家は、頭数を目でしか数えていない|断水と停電でペットの所在が分からなくなる背景
ふだん、何頭いるかをどうやって確かめているかを思い出してみてください。ほとんどの場合、部屋に入った瞬間に目で数えています。ごはんのときは器の前に並ぶので数えられます。夜、寝る前に電気を消すときも、消す直前に一度見ています。多頭飼いのペットとの毎日は、この「見て数える」の上に組み立てられています。
見て数えるという方法には、良いところがあります。速い。1秒で終わります。数え間違いも起きにくい。その代わり、光が要ります。断水と停電が重なった日に消えるものを並べると、水と、明かりと、家電の音です。このうち、頭数の数え方に直接効くのは明かりのほうです。1秒で終わっていた作業が、いきなり数十分に伸びます。
| 明かりがあるとき | 消えたあと | |
|---|---|---|
| 数え方 | 部屋に入って目で1秒 | 1頭ずつ、場所へ行って確かめる |
| 1頭あたり | ほぼ0秒 | 1〜3分 |
| 見つけた子 | 動いても視界に入る | 動くと、また分からなくなる |
| 数え終わり | 全頭が同時に見える | 最後の1頭まで、終わりが来ない |
| 3頭の家 | 1秒 | 10〜25分 |
| そのあとのケア | すぐ始められる | 所在が決まるまで始められない |
多頭飼いに固有の事情も、ここで効いてきます。1頭が動くと、他の子も動きます。1頭が立ち上がって別の部屋へ行けば、残りの子がついていくか、空いた場所へ移ります。1頭の家なら、その子が動いても数は1のままです。多頭では、1頭の移動が全体の配置を変えます。断水と停電の日に、人が懐中電灯を持って歩き回ること自体が、この移動を起こします。
犬と猫が同居している家では、もう一段ややこしくなります。犬は人の足元へ寄ってきます。猫は、逆に離れます。同じ夜に、寄る側と離れる側が同時に動く。寄ってくる子から数えていくと、離れた子はそのあいだにもっと奥へ行きます。だから、いちばん最後に残るのは、たいてい離れる側の子です。
ケアの手は減らせても、頭数だけは減らせない|断水の日にペットの所在を先に置く理由
断水している日にやることは、削れます。ブラッシングを1日休んでも、その日のうちに何かが決まってしまうことはありません。拭き取りも、回数を減らせます。ところが頭数は、削れません。3頭いる家で「今日は2頭ぶんでいい」ということが起きません。ここが、多頭飼いの家で所在を先に置く理由です。
もう1つ、実際的な理由があります。1頭でも所在が分からないと、残りの全部が止まります。目の前にいる子のケアをしていても、頭のどこかで探し続けることになります。手は動いていても、同じところを2回拭いたり、器に水を入れ忘れたりします。所在が決まっていない状態は、作業の質のほうを落とします。
| 順番 | やること | そう置く理由 |
|---|---|---|
| 1番 | 全頭の所在を確かめる | 決まるまで、他のことが頭に入りません |
| 2番 | 水の器を全部見る | 頭数ぶんあるので、1か所ではありません |
| 3番 | それぞれの居場所の温度を、手のひらで確かめる | 頭数が多いと、部屋ごとに条件が違います |
| 4番 | 気になる子から1頭だけ、体を触る | 全頭を回そうとすると、たいてい途中で終わります |
| 5番 | 室内の毛を、通り道の1本だけ片づける | 多頭の家では、床の毛がいちばん早く積み上がります |
| やらない | 全頭を同じ手順で一巡させる | 断水の日に、頭数ぶんの時間はありません |
この順番で大事なのは、1番と4番の距離です。所在の確認は全頭ぶんやりますが、体に触るのは1頭だけにします。多頭飼いの家で、断水の日に全頭へ同じことをやろうとすると、頭数で時間が割られて、どの子にも中途半端にしか手が届きません。所在は全頭、ケアは1頭。この配分にしておくと、数日続いても崩れません。
「1頭だけ」をどう選ぶかも、決めておくと迷いません。前の日にいちばん長く同じ場所にいた子を選びます。動かない時間が長い子は、体の同じ面が床に触れ続けています。多頭飼いの家では、いちばん活発な子に目が行きますが、手当てが要るのは、たいてい動かないほうの子です。
暗いところで頭数を確かめる方法を、明るいうちに作る|多頭飼いのペット防災の考え方
ここからが本題です。暗くなってから数える方法を考えても間に合いません。明るい日のうちに、3つだけ作っておきます。どれも、道具を買う話ではありません。毎日の中で決めるだけで、その日から使えます。
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1頭ずつ、暗くても手で確かめられる定位置を決める
その子がふだんいちばん長くいる場所を、1頭につき1つだけ選びます。選ぶ条件は、床に近いことと、手を伸ばせば触れることです。キャットタワーの上や、棚の上は外します。暗いと届きません。決めたら、その場所に敷いてある布を、そのまま置きっぱなしにしてください。場所と布がセットになると、その子はそこへ戻る回数が増えます。
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その子だけが出す物音を、1つずつ覚えておく
首輪の金具が鳴る音、爪が床に当たる音、体を伸ばすときの息、水を飲む音。多頭飼いの家では、これが目の代わりになります。覚えるコツは、明るい日に、姿を見ながら音を聞くことです。3日もやれば、姿を見なくても分かるようになります。頭数が多い家ほど、この覚え方が効きます。
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数える順番を、家の間取りに沿って1本に決める
玄関→廊下→居間→寝室、のように一方向に回る道を1本だけ決めます。行ったり来たりしないのが要点です。停電した夜に25分かかったのは、同じ部屋を3回見たからでした。順番が決まっていると、「ここまで見終わった」が残ります。多頭飼いの家では、この記憶があるかどうかで時間が変わります。
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月に一度、明るい日に一度だけ通しでやってみる
順番どおりに歩いて、それぞれの定位置に全頭がいるかを確かめます。かかるのは1〜2分です。ここで「いつもと違う場所にいる子」が分かります。定位置が変わっていたら、その子の定位置のほうを書き換えます。季節で寝る場所が変わるので、書き換えは年に何度か起きます。
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懐中電灯の置き場所を、数える順番の起点に置く
玄関から数え始めると決めたなら、玄関に1本置きます。暗くなってから探しに行く道具を、数える道具にしないでください。置き場所も、床から手の届く高さで固定します。多頭飼いの家では、明かりを持って歩くこと自体がその子たちを動かすので、点けたまま床に置いて、光を天井へ向けるほうが、動かさずに数えられます。
3つ作ったあとの実際の手順は、ごく短くなります。玄関の懐中電灯を取って、決めた順番に歩き、定位置を1つずつ見る。いない子がいたら、その子の音を待ちます。探して歩き回るより、止まって聞くほうが早い。断水と停電が重なった日でも、この形は変わりません。水も電気も使わない手順だからです。
定位置を1頭に1つ決めておくと、停電の夜以外にも使えます。帰宅後、部屋に入って順番に見るだけで、その日の全頭の様子が5秒で分かります。いつもの場所にいない子がいれば、そこだけ見に行く。多頭飼いの家でいちばん起きやすいのは、1頭の変化に何日も気づかないことです。頭数が多いほど、平均で見てしまうからです。定位置は、それを1頭ずつに戻す仕組みになります。
所在が5分で決まると、そのあとの手が1頭ぶん空く|多頭飼いの家に出た変化
定位置と音と順番を決めてから、次に停電があった日に測ってみました。全頭の所在が決まるまで、4分でした。25分が4分になったのは、探す速さが上がったからではありません。探す範囲が、家全体から3か所に減ったからです。1頭だけ定位置にいませんでしたが、止まって20秒ほど待つと、爪が床に当たる音が聞こえました。
空いた20分では、ペットの水の器を頭数ぶん見て汲み置きの水を入れ直し、いちばん動かない子の体を触り、居間の通り道の毛を片づけました。断水の日にやりたかったことが、そのまま全部できたことになります。ペットのケアを速くしたわけではありません。所在に使う時間を先に削ったので、後ろが空いただけです。
その1頭に触るとき、いちばん手が要ったのは足先でした。床に接している面と指のあいだは、その子が自分ではどうにもできません。断水の日は、なめて済ませようとする回数のほうが増えます。使っているのは mofuwa 入浴シャンプーで、湯に溶かして使うものです。泡立てて流す工程がないので、すすぎに回す水がほとんど要りません。桶1杯ぶんの湯で、前足4本が終わります。断水の日にペットへ回せるのは、汲み置きから分けたぶんだけです。全身を流す量は作れませんが、桶1杯なら作れました。多頭飼いの家では、その1杯を、前の日にいちばん動かなかった1頭に使います。
| 決める前 | 決めたあと | |
|---|---|---|
| 所在の確認 | 25分 | 4分 |
| 水の器 | 翌朝に回した | その夜のうちに全部 |
| 体に触る | できなかった | 1頭ぶん |
| 室内の毛 | そのまま | 通り道1本ぶん |
| 翌日に残ったこと | 多い | ほとんどない |
| 人の側 | 探していた記憶だけが残る | 何をやったかを覚えている |
毎日のほうにも変化がありました。定位置を決めたので、帰宅後に部屋を通るだけで、頭数と、それぞれがどこにいるかが一度に入ってきます。多頭飼いの家では、これがいちばん大きい。以前は、いちばん寄ってくる子のことばかり覚えていて、奥にいる子のことは週末にまとめて思い出す、という形になっていました。順番に見る習慣ができると、思い出す作業が要らなくなります。
断水と停電の日の話から始めましたが、ここまでで作ったものは全部、明かりのある毎日で使うものです。ペットの備えというと、袋に何を入れるかの話になりがちです。多頭飼いの家では、その前に、数え方のほうを持っておくと動きが変わります。買い足すものはありません。決めるのは、定位置と、音と、回る順番の3つだけです。
定位置を決めておくと、その子の変化が場所の形で出てきます。いつもの場所にいない日が1週間以上続く。人から離れた狭いところに入る時間が増えた。逆に、ずっと人のそばから動かなくなった。呼んでも来ない回数が増えた。水を飲む場所が変わった。同じところをなめ続けている。地肌が赤い。こうした変化があるときは、室内の手当てを増やす前に動物病院にご相談ください。多頭飼いの家では、1頭の変化が全体の中に紛れます。いつから定位置が変わったかをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
