C08季節・行事
台風が過ぎた三日後に、いちばん毛がもつれていた
台風が過ぎた当日の夜、ブラシは二回しか止まりませんでした。三日目の朝は七回でした。雨が止んで風が乾いた風に変わるのは、たいてい通過後の二日目から三日目にかけてです。毛のもつれがいちばん手強くなったのは、びしょ濡れで帰ってきた当日の夜ではありませんでした。水分が抜けていく途中の、乾きかけの被毛でした。ブラシが何回止まったかを四日ぶん数えると、台風の通過後に被毛の中で起きていることが、そのまま順番で見えてきます。数えるのは毛玉の個数ではなく、ブラシが止まった回数のほうです。
台風の当日と翌日|通過後の毛のもつれが、まだ指で開く時期
台風の通過後、当日と翌日の被毛は、見た目ほど悪い状態になっていません。雨で濡れて毛が寝ているので、全体がぺたりと張りついて見えます。ところがブラシを入れてみると、止まる回数は一回か二回です。水分を含んだ毛は互いにすべるので、絡みかけていても指が入り、押すと沈み、離すとある程度戻ります。この段階の毛のもつれは、まだ形が決まっていません。
問題は、この二日間にほとんどの家で手が回らないことです。雨戸を戻す、飛んできたものを片づける、床を拭く。その子の被毛は後回しになります。実際、当日と翌日に何もしなくても、その時点では困りません。止まる回数が少ないので、飼い主の側にも「思ったより大丈夫だった」という感触が残ります。台風の通過後の毛のもつれが厄介なのは、いちばん危ない時期に、いちばん手応えがないことです。
- 毛先の側から濡れている:地面に近い脚の先、腹の下、しっぽの裏。上から降った雨より、下から跳ねた水のほうが乾きにくい場所に残ります
- 根元はまだ湿っている:表面の毛先が乾いても、根元の側は空気が通らないので遅れて乾きます。この時間差が三日目に効いてきます
- 外のものが一緒に付いている:砂、細かい葉、風で飛んだほこり。濡れた毛にくっついたまま、乾くときに毛と毛のあいだへ挟まります
- 湿度が下がらない:雨が止んでも、通過後しばらくは空気が湿ったままです。部屋の中で乾かしても、乾ききるところまでは進みません
この四つのうち、あとで一番響くのは二つ目です。根元が湿ったまま毛先だけ先に乾くと、毛が寝た形のまま、上から乾いて固定されていきます。人の髪で言えば、枕についた寝ぐせが乾いて残るのと同じ順番です。当日と翌日にできることがあるとすれば、根元の側に風を通しておくことだけです。扇風機を寝床の横に置いて、首を振らせておく。それだけで三日目の止まる回数が変わります。
三日目にブラシが止まる回数が増える|台風の通過後、毛のもつれが根元で締まる条件
台風の通過後、二日目から三日目にかけて、風が乾いた風に変わります。空気の湿り気が引いていく数時間のあいだに、被毛の中に残っていた水分も一緒に抜けます。ここで、寝ていた毛の束が、寝た形のまま固まります。毛のもつれが「押すと沈む」ものから「押しても戻らない」ものに変わるのが、この地点です。ブラシが止まる回数は、二回から六回、七回へと一気に増えます。
締まる場所は根元の側です。毛先は最初に乾くので、指でほぐせば割れます。根元は最後まで湿っていたぶん、乾きながら縮み、周りの毛を巻き込みます。そのため、外から見ると毛先がふくらんでいるように見えて、実際に止まっているのはもっと奥ということが起きます。表面をいくら梳かしてもブラシが同じ場所で止まるときは、止めているものが根元にあります。
| 経過 | 被毛の水分 | 毛のもつれの状態 | 止まった回数 |
|---|---|---|---|
| 当日の夜 | 毛先も根元も濡れている | 押すと沈み、指が入る | 一回から二回 |
| 翌日 | 毛先だけ乾き始める | 寝た形が残り始める | 二回から三回 |
| 三日目の朝 | 根元から水分が抜ける | 押しても戻らなくなる | 六回から八回 |
| 三日目の夜 | 全体が乾く | 静電気で毛が立ち始める | 五回から七回 |
| 四日目 | いつもの状態に戻る | 締まったところだけ残る | 手を入れた結果で決まる |
この表で見るところは、止まった回数が最大になる位置です。通過してから三日目、しかも朝。台風の被害の片づけがひと段落して、ようやく被毛に目が向く頃と、ちょうど重なります。「片づけが終わってから見たら、ひどいことになっていた」という順番になるのは、手を抜いたからではなく、条件がその順番で動いているからです。
九月から十月にかけての台風は、換毛期の入り口とも重なります。抜けた毛は勝手に落ちるわけではなく、いったん体の上に留まります。留まった毛が、乾いていく毛の束に巻き込まれます。さらに空気が乾いてくると静電気が起き、毛どうしが反発したりくっついたりします。三日目の夜に止まる回数が少し減って見えるのは、毛が立つぶん表面が通りやすくなるだけで、根元の状態は変わっていません。
濡れていた日と乾いていく日の比較|台風の通過後、毛のもつれはどこから始まるか
濡れていた日と乾いていく日では、同じ被毛でも手の入れどころが逆になります。濡れている日は水分が潤滑になるので、力を入れずに指で開けます。乾いていく日は、開こうとすると毛が切れます。この比較を先にしておかないと、三日目に当日と同じ手つきでブラシを入れて、その子に痛い思いをさせることになります。
| 見るところ | 当日と翌日 | 三日目以降 |
|---|---|---|
| 毛の状態 | 水分を含んですべる | 乾いて互いに引っかかる |
| もつれの位置 | まだどこにでも動く | 根元の側で決まっている |
| ブラシの入れ方 | 全体を通してよい | 止まった手前で止める |
| 先に触る場所 | 背中から順に | 毛先を割ってから |
| 足すもの | 風。空気を動かす | うるおい。すべりを戻す |
| やってはいけないこと | 濡れたまま放置する | 止まった場所を引く |
| どっちを優先するか | 根元を乾かすほう | 毛先から開けるほう |
表の最終行が、この比較の答えです。当日と翌日は根元、三日目からは毛先。どっちを先に触るかが、日をまたいで入れ替わります。同じ「ブラッシング」という言葉で呼んでいても、やっていることは別です。三日目に根元から入れると、締まった束に対して真横から力をかけることになり、抜ける必要のない毛まで抜けます。
ブラシが止まるたびに指を立てて数えて、終わったら紙に数字だけ書きます。三日目が七回、四日目が四回、五日目が二回。この並びが出ていれば、手順は合っています。四日目も五日目も七回のままなら、触っている場所と締まっている場所がずれています。毛玉の個数を数えるより、回数のほうが日ごとの変化を拾えます。
毛先からか根元からか、どっちに先に手を入れるか|台風の通過後の被毛にかけるもの
台風の通過後の三日目に足りていないのは、力でも道具でもなく、被毛のすべりです。当日は水分がその役をしていました。三日目にはそれが抜けています。だから同じ手つきが通らなくなります。ここで湯を沸かして流すところまでやれる家は多くありません。停電が残っていることもありますし、風呂そのものが負担になる子もいます。乾いた被毛に、湯を使わずにすべりを戻す。これが三日目の朝にやることです。
mofuwa グルーミングスプレーは、毎日きれいにしてあげたいという気持ちを、実際に毎日やれる形にするために作られた一本です。犬も猫も体から脂を出しますし、外に出れば外のものが付きます。昨日整えても、今日また汚れる。けれども毎日湯で流すところまでは手が回りませんし、サロンへ毎日は通えません。その隙間を埋めるための一本なので、台風の通過後のような、湯まで手が回らない数日にそのまま使えます。
中身はアルカリ電解水です。電解水と油がなじんで乳化するので、汚れのもとになっている余分な脂のほうが落ち、地肌に要る皮脂は残ります。吹きかけてブラシを通すだけで一回が終わるので、手順が乾いた日と濡れた日で変わりません。ブラッシングスプレーとしても使える一本なので、梳かす前にかけておくと静電気の起きにくい状態で通せます。三日目の夜に毛が立ち始めるのは、この静電気のためです。清涼飲料水の規格基準を満たす中身なので、根元まで届かせたいときに量をためらわずに済みます。
手を入れる順番は、毛先からです。まず毛のもつれの先端を指で二つに割って、ブラシは割れたところだけを通します。それを繰り返して、少しずつ根元へさかのぼります。根元に届くのは最後です。一度に全部を通そうとしないでください。三日目の被毛は、通せる場所と通せない場所がはっきり分かれています。通せない場所を通そうとした結果が、毛が切れることと、その子が次からブラシを見て逃げることです。
三日目の朝の時点ですでに固まっている束があるなら、mofuwa 毛玉予防ジェルを足します。ふだんは被毛の一本ずつを覆って絡まりにくい状態を保つためのものですが、できてしまった束にもみこむと、潤滑の側に働いて束がゆるみます。もともとは、はさみを持たずに済ませるために作られたジェルです。グルーミングスプレーを足してからもみこむと、ゆるむまでの時間が短くなります。長毛の猫のように、束ができると切るしかなくなりがちな子ほど、この二本の組み合わせが効いてきます。
うるおいを戻すという言い方をすると保湿の話に聞こえますが、三日目にやっているのはもっと単純なことです。乾いて引っかかるようになった毛の表面に、すべる状態を作り直しているだけです。だから量は惜しまないでください。表面だけ湿らせても、締まっているのは根元です。根元まで届いた分だけ、四日目の止まる回数が減ります。
三日目に七回、四日目も七回、五日目も七回。回数がまったく減らない/毎回きっかり同じ一か所で止まる/その場所の地肌が赤い、または熱を持っている/ブラシを近づけただけで声を出す/束を割ったあとの地肌から、ふだんとは違うにおいがする。こうした残り方は、乾く速さや換毛期では説明がつきません。日ごとの止まった回数を書いた紙があれば、いつからの話なのかを短く伝えられます。その紙を持って、かかりつけの動物病院へ行く日を決めてください。台風の何日後から変わらなくなったかが分かっていると、話が早く進みます。
四日目の朝に、ブラシが何回止まるかを数える
三日目にやったことの答えは、四日目の朝の回数に出ます。七回が四回になっていれば、触った場所は合っています。そこから五日目に二回まで落ちれば、その被毛はもう戻っています。次に台風が近づいたら、当日の夜に扇風機を寝床の横へ置いて、三日目の朝に一本を用意しておく。数えた紙は、来年の九月にそのまま使えます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 台風の通過後、すぐに洗ってしまったほうが早いのではありませんか。
- 当日に湯が使えて、乾かすところまでやれるなら、それがいちばん早い手です。問題は、途中で止まったときに三日目の状態が悪くなることです。洗って毛を起こしたあと、根元まで乾かしきれずに寝かせると、水分が抜ける段階で束がより締まります。停電していたり、乾かす時間が取れなかったりするなら、洗うところまで進めずに、風を通して被毛のすべりを保つ側へ寄せてください。判断の基準は、乾かしきれるかどうかの一点です。
- 短毛の子でも、三日目にもつれは起きますか。
- 束にはなりにくいのですが、止まる場所は出ます。短毛の子で起きるのは、毛と毛のあいだに砂や細かいごみが挟まったまま乾くことです。ブラシは束で止まるのではなく、地肌の側でざらついて止まります。数える対象は同じで、止まった回数です。短毛の場合は三日目ではなく翌日に山が来ることが多く、乾くのが早いぶん全体の日数も短くて済みます。
- 扇風機は、その子に直接当てたほうがいいですか。
- 直接当てなくてかまいません。狙うのは被毛を乾かすことではなく、寝床の周りの空気を動かすことです。首を振らせて、部屋の空気が一周するように置きます。直接当て続けると、体が冷えるほうが先に来る子がいますし、風が嫌いな子は寝床から離れてしまいます。離れた先が風の通らない場所だと、やったことが逆に働きます。置き方を決めるときは、その子が普段どこで寝ているかを先に見てください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
