C09シーン別・暮らし
帰省、多頭飼いの人はどうしている?
去年の年末、3頭のうち1頭だけを車に乗せて、残りの2頭は家に置いて帰省しました。キャリーは2つあります。車の後ろも空いていました。それでも全頭は連れて行けません。実家に上げてもらえる頭数と、道中の3時間を持ちこたえられる子の数が、家にいる頭数と一致していなかったからです。多頭飼いの家にとって、帰省はまずペットを2つの組に分ける作業です。誰を連れて行くかが決まった瞬間に、留守番組の段取りも、帰った日の順番も、来年の形まで同時に決まります。この記事では、その分け方と、分けたあとに動くものを、5つの手順に並べます。
全頭は連れて行けない、というところから始まる|多頭飼いの帰省でペットが2つの組に分かれる前提
1頭で暮らしている家にとって、帰省は「連れて行くか、預けるか、留守番にするか」の選択です。多頭飼いの家では、この形になりません。3頭いれば、3頭ぶんの答えが必要になります。そして、その3つは独立していません。1頭を連れて行くと決めた時点で、家に残る2頭の条件が決まってしまうからです。帰省でペットの支度が重くなるのは、荷物の量ではなく、この連動のほうです。
全頭を連れて行けない理由は、こちらの気持ちとは関係のないところにあります。実家に上げてもらえる頭数には限りがあります。車の後ろに置けるキャリーの数にも、道中で手が回る数にも上限があります。上限のどれか1つに引っかかった時点で、多頭飼いの帰省は2つの組に割れます。連れて行く組と、家に残る組です。割れること自体は避けられないので、記事の中身も「割らない方法」ではなく「どう割るか」の話になります。
- 実家の側の上限:上げてもらえる部屋の数、家族の中に苦手な人がいるかどうか
- 車と手の上限:運転する人を除いて、道中に手が届く頭数
- キャリーの上限:数だけでなく、後ろの座席に横並びで置ける幅
- 時間の上限:片道の時間と、休憩で降ろせる回数
- その子の側の上限:同じ姿勢を続けていられる時間
- 頼める人の上限:留守番組を見てもらえる回数と、1回に使える時間
| 割られるもの | 1頭のとき | 3頭のとき |
|---|---|---|
| 支度にかける時間 | 1頭ぶんをまるごと | 1頭あたり3分の1に落ちる |
| 道中に手が届く回数 | 休憩のたびに毎回 | 休憩1回でだいたい1頭ぶん |
| 頼む人に渡す情報 | 1枚に書ききれる | 頭数ぶんの違いが出る |
| 帰った日に見る対象 | その子1頭 | 連れて行った子と留守番組の両方 |
| においが移る相手 | 家の中の面だけ | 他の子の体にも移る |
いちばん下の行が、多頭飼いに固有のところです。帰省から戻った子の体には、実家の床と、そこにいた人と、車の中の空気が乗っています。1頭の家なら、それは家の中の面に移って終わります。多頭飼いの家では、玄関を上がった直後に、待っていた子たちの鼻と体へ直接届きます。においは面から面へだけでなく、体から体へも移ります。だから帰った日の段取りが、ペットの頭数ぶん必要になります。
多頭飼いの帰省では、連れて行った子が優遇されたわけでも、留守番組が我慢したわけでもありません。移動の3時間は、耐えられる子にとっては移動ですが、そうでない子にとっては3時間の負担です。家に残ることが不利だと決めてしまうと、分け方の基準が「かわいそうかどうか」に寄って、毎年同じ子が同じ側に固定されます。基準を気持ちの側に置かないことが、この手順の出発点です。
移動に耐えるかどうかで線を引く|帰省に連れて行くペットを多頭飼いが決める5つの手順と順番
ここからが手順です。多頭飼いの帰省で使う基準は1つだけにします。移動に耐えるかどうか。懐いている順でも、手がかかる順でも、留守番が上手な順でもありません。移動は数字で測れて、しかも当日にどうにもならない条件だからです。基準を1つにすると、家族のあいだで意見が割れたときも、測り直せば決着がつきます。
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手順1:移動の時間を、休憩を含めた数字に直す
片道3時間、途中で降ろせるのは1回、実家に着いてから落ち着くまでが1時間。合計で4時間、キャリーか車内にいることになる、という一続きの数字にします。「3時間くらい」ではなく、休憩と到着後を足した数字にしてください。多頭飼いの帰省では、この数字が全頭に共通する唯一の条件になります。
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手順2:その数字に、頭数ぶんの観察をあてる
動物病院へ行った日のことを思い出して、頭数ぶん書き出します。キャリーに入るまでにかかった時間、車内で声を出した回数、着いてから水を飲むまでの時間、家に戻ってから寝床へ入るまでの時間。この4つで足ります。4時間という数字と、頭数ぶんの記録を並べると、連れて行ける子が自然に絞れます。頭数が多いほど、記憶ではなく紙のほうが早く終わります。
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手順3:留守番組を頼む人に渡す紙を、共通と違いに割る
多頭飼いでいちばん失敗するのが、ここです。頭数ぶんの説明を書くと、渡された側はどれも実行できません。紙の上半分に、全頭に共通することを3行。下半分に、その子だけの違いを1頭1行。共通は「ごはんは朝と夜」「水は毎日入れ替える」「玄関は開けない」の3行でかまいません。違いは「この子だけ食器を離して置く」「この子は名前を呼んでから近づく」のように、1行で終わる形にします。
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手順4:帰った日は、留守番組から先に見る
連れて行った子は、道中ずっと目の前にいました。見ていなかったのは、家にいた側です。玄関を上がったら、荷物を置く前に留守番組の水の器と、食べ残しと、寝床の位置を見ます。多頭飼いの帰省では、ここを後回しにすると、その日のうちには誰も見ないまま終わります。連れて行った子の手当ては、そのあとで間に合います。
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手順5:連れて行った子と留守番組が会う順番を、こちらで決める
玄関で全頭が一度に混ざると、実家のにおいが数分で家じゅうに広がります。連れて行った子は、玄関で足の裏と口のまわりを拭いてから上げてください。前足は、桶の湯に mofuwa 入浴シャンプーを溶かして沈めるところまでにします。そのあと、留守番組のうち体の大きい子から順に会わせます。小さい子や、変化に反応しやすい子を最後にすると、その子が受け取る量がいちばん少なくなります。順番を決めておくだけで、帰宅後の30分が静かになります。
| 観察する項目 | 測り方 | 連れて行く側に向いている目安 |
|---|---|---|
| キャリーに入るまでの時間 | 扉を開けてから入るまでを計る | 3分以内で自分から入る |
| 車内で声を出した回数 | 片道で数える | 最初の10分だけで収まる |
| 着いてから水を飲むまで | 到着してからの分数 | 1時間以内に飲む |
| 戻ってから寝床へ入るまで | 帰宅後の分数 | その日のうちに戻る |
| 同じ姿勢でいられる時間 | 家で伏せている時間を1回計る | 手順1の数字を超えている |
5項目のうち、どれか1つだけを見るなら、いちばん下の「同じ姿勢でいられる時間」です。帰省の移動でその子に起きているのは、揺れよりも、姿勢を変えられない時間の長さのほうだからです。家で伏せている時間が20分で切れる子に、4時間は長すぎます。多頭飼いの家では、ペットの頭数ぶん条件が違うので、いちばん短い子を基準に全体を組もうとすると誰も動かせなくなります。1頭ずつ測って、超えている子だけを連れて行く。それがこの手順の順番です。
頼む人に渡せるのは紙1枚まで|多頭飼いの帰省でペットの頻度と手数がつまずくところ
手順3でつまずく方がいちばん多いので、ここだけ厚めに書きます。多頭飼いの家では、その子ごとのやり方が家の中に積み上がっています。この子は食器を離して置く、この子は先に呼んでから近づく、この子は寝床に手を入れない。毎日やっている本人には当たり前ですが、頼まれた人にとっては、頭数ぶんの新しい決まりごとです。3頭ぶんを書き出すと、たいてい紙が2枚を超えます。2枚を超えた紙は、渡した時点でほとんど読まれません。
解き方は、頻度の側から書き直すことです。「何をどうするか」ではなく、「1日に何回」「1回に何分」の形にすると、頭数ぶんの違いがほとんど消えます。ごはんは朝と夜に1回ずつ。水は毎日1回入れ替える。トイレは1日2回見る。ここまでは全頭に共通です。共通にできるところを頻度で書ききってから、残ったものだけを頭数ぶん1行で足します。多頭飼いの帰省では、渡す紙の長さがそのまま実行される確率になります。
| 書き方 | 例 | |
|---|---|---|
| 共通に書く | 1日に何回、という頻度だけ | ごはんは朝と夜/水は毎日入れ替え |
| 共通に書く | やらないことを1行 | 玄関は開けない/窓は開けない |
| 共通に書く | 触るときの範囲を1行 | 背中まで。顔と足は触らない |
| 頭数ぶん書く | 近づき方の違いを1行ずつ | この子は名前を呼んでから |
| 頭数ぶん書く | 置き場所の違いを1行ずつ | この子の食器は棚の側に離す |
| 書かない | うまくいかないときの対処 | その場では判断できないので、連絡先だけ書く |
もう一つのつまずきが、頻度を上げてしまうことです。帰省で家を空けると決めた週に、多頭飼いの家では手数を増やしたくなります。全頭をブラッシングして、全頭の寝床の布を洗って、全頭の食器を漂白する。ここで増えるのは、家を出る前の自分の疲れだけです。留守番組にとって、出発の前日に触られる回数が増えることは、そのまま変化の1つになります。上げるのは触る頻度ではなく、書き残す頻度のほうにしてください。
- 上げない:出発前のブラッシングの回数。頭数ぶん増えるので、前日の家が慌ただしくなります
- 上げない:体を洗う回数。乾かしきる時間が頭数ぶん要り、前日に収まりません
- 上げない:新しい道具を試す回数。留守番組が受け入れるかを確かめる時間がありません
- 上げる:食べた量を書く頻度。出発の3日前から毎日、頭数ぶん1行ずつ
- 上げる:水の減り方を見る頻度。器ごとに毎日。帰った日に比べる相手になります
- 上げる:寝床の位置をメモする頻度。留守番中に居場所が動いたかどうかが分かります
帰省の前後は、多頭飼いの家で水を使う手がいちばん回りません。頭数が多いほど、洗って乾かしきるまでの時間が積み上がるからです。そのなかで、足の裏と指のあいだだけは、車に乗るペットも留守番するペットも、自分では始末できません。出発前の数日と帰った日の当日は、mofuwa 入浴シャンプーを桶の湯に溶かして、玄関で前足だけを沈める形にしています。擦って泡を届かせる工程がないぶん、すすぎも乾かすのも足先だけで済んで、1頭あたり30秒です。留守番組を頼む人へ渡すのはここまでやったあとの状態で、頼むのは器と食べた量を書いてもらうところまでにしています。やり方を長く説明するより、こちらで工程を減らしておくほうが引き継がれます。
帰宅後は留守番組から先に見る|多頭飼いが次の帰省へ持ち越すペットのやり方とコツ
帰った日にやることを、順番のまま並べます。玄関で連れて行った子を止める。留守番組の器と寝床を見る。それから会わせる。この3つだけです。多頭飼いの帰省では、荷ほどきと洗濯と翌日の支度が同時に来るので、4つ以上あると必ずどれかが飛びます。3つに絞ったのは、飛ばさないためです。
留守番組で見る3つは、水の器、食べ残し、寝床の位置です。数字が残っているのは器だけで、あとの2つは位置の話です。器が空なら飲めています。減りが少ないなら、出発前の記録と比べます。食べ残しがあれば、頼んだ人が出した回数と照らします。寝床の位置が動いていたら、留守番のあいだに居場所を変えたということなので、来年の預け方を考える材料になります。多頭飼いの家では、頭数ぶんの器と寝床があるので、この3つを見るだけで数分かかります。だから荷物を置く前にやります。
会わせる順番のコツは、体の大きい子から先、反応しやすい子を最後にすることです。連れて行った子の体には、実家の畳と、そこにいた人の手と、車内の空気のにおいが残っています。拭いてから上げても、全部は落ちません。最初に会う子がいちばん多くを受け取るので、そこは受け取っても崩れにくい子にします。順番を決めていないと、いちばん先に来た子――たいてい玄関の音に真っ先に反応する子――が全部を受け取ることになります。
| いつ | 誰を | 何を見るか |
|---|---|---|
| 玄関で | 連れて行った子 | 桶の湯に入浴シャンプーを溶かして、前足と口のまわり |
| 荷物を置く前 | 留守番組 | 水の器・食べ残し・寝床の位置 |
| その日の夜 | 全頭 | 会わせたあとに、それぞれが選んだ場所 |
| 翌朝 | 留守番組 | 食べた量が出発前の幅に戻ったか |
| 翌朝 | 連れて行った子 | 毛の流れに沿って背中から尾のつけ根まで一往復 |
| 3日目 | 全頭 | 水の減り方を、出発前の記録と並べる |
帰省から戻って3日たっても、食べる量が出発前の幅に戻らない、水を飲む量が明らかに増えた、下痢や嘔吐が続いている、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、隠れて出てこない、他の子と急に距離を取るようになった。こうした変化があるときは、手入れの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。多頭飼いの家では、変化が出ている子が他の子に紛れて見えにくくなります。留守番の日数と、出発前に書いた頭数ぶんの記録を持っていくと、その場で切り分けてもらえます。記録が残っているうちに相談すると、どの子のどの数字が動いたのかまで話せます。
最後に、来年へ持ち越すやり方を1つだけ書きます。連れて行く子を、毎年そのまま引き継がないこと。手順1から手順2までを、次の帰省の前にもう一度やります。移動に耐えるかどうかは、その子の中で1年あれば変わります。去年3分でキャリーに入った子が今年は入らないこともありますし、去年は無理だった子が今年は4時間を超えて伏せていられることもあります。多頭飼いの帰省で組が固定されるのは、その子が変わらないからではなく、こちらが測り直していないからです。
測り直した結果、去年と同じ組になることもあります。それでかまいません。同じ結論に見えても、測ってから決めたのと、去年のまま続けたのとでは、帰った日に見る場所が変わります。多頭飼いの家では、ペットの頭数ぶんの条件が毎年少しずつずれていきます。帰省は年に1回か2回しかないので、そのずれをまとめて見られる数少ない機会です。連れて行く子を決める作業を、負い目のある選別ではなく、頭数ぶんの条件を年に1度書き直す習慣として置いておくと、来年の支度がそのぶん短く済みます。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- 毎回同じ子が留守番になってしまいます。順番に連れて行くべきでしょうか。
- 順番で決めるのではなく、毎回測り直してください。移動に耐えるかどうかは1年で変わります。キャリーに入るまでの時間、車内で声を出した回数、着いてから水を飲むまでの時間、同じ姿勢でいられる時間。この4つを次の帰省の前にもう一度書き出すと、去年と違う結果が出ることがあります。測った結果として同じ子になるなら、それは固定ではありません。
- 留守番組を頼む人に、どのくらい細かく伝えればいいですか。
- 紙1枚に収まる量までです。上半分に全頭共通のことを3行、下半分にその子だけの違いを1頭1行。共通は「ごはんは朝と夜」「水は毎日入れ替える」「玄関は開けない」で足ります。多頭飼いの家では、頭数ぶんのやり方を全部書くと2枚を超えて、どれも実行されなくなります。方法ではなく「1日に何回」「1回に何分」の頻度の形にすると引き継がれます。
- 帰った日に、連れて行った子を先に洗ってしまってもいいですか。
- 全身は翌日以降にまわしてください。多頭飼いの家では、1頭を洗って乾かしきるあいだに、他の子を見る時間がなくなります。帰った日にいちばんやりたいのは、留守番組の器と寝床を見ることのほうです。玄関でやるのは足の裏と口のまわりまでで、前足だけなら桶の湯に入浴シャンプーを溶かして沈める形で1頭30秒、乾かすのも足先だけです。体のほうは翌朝に、グルーミングスプレーを布に取って、毛の流れに沿って背中から尾のつけ根まで一往復。洗う日を頭数ぶん同じ日に寄せないことが、多頭飼いでは先に決まります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
