C14トリマー/獣医師視点
シャンプー選びを間違えるとどうなるか
シャンプーのあと、乾かし終わった毛先が下へ落ちずに外へ広がる。トリミングで引き継いだ子の被毛にこれを見つけると、現場では家での洗い方の話を聞きはじめます。シャンプーの選び方の失敗は、銘柄を選び間違えたことよりも、選んだものと洗う頻度と手順の組み合わせがずれていることで起きています。そして失敗は、濡れているあいだは隠れます。この記事では、その失敗がどこに出て、なぜ乾かし終わるまで見えないのかを、現場で聞いていく順番のまま書いていきます。
乾かし終わった毛先が、外へ広がる|シャンプーの選び方の失敗は、経験として毛に残ります
毛先が外へ広がっていて、指を根元に入れると途中で止まる。この2つがそろっている子には、まず洗う頻度と、乾かすのにかけている時間を聞きます。銘柄を聞くのはそのあとです。順番を逆にすると、話が「どのシャンプーが良いか」だけに寄って、そこから先へ進まなくなります。シャンプーの選び方の失敗は、たいてい銘柄ひとつでは説明がつきません。
濡れているあいだは、どの製品でも指はすっと通ります。水そのものが毛の表面を滑らせているので、落としすぎたのか、落としきれていないのかが、水に隠れます。乾いて水が抜けたところで、毛の表面に残ったものと、失われたものの差がはじめて手に出ます。だから現場では、洗い上がりの評価を、すすいだ直後ではなく乾かし終わりに置いています。
| 乾かし終わりに出る形 | 指している側 | 前の回にあったこと |
|---|---|---|
| 毛先が外へ広がる | 落としすぎ | 洗う間隔が長く、1回で落とす量が多かった |
| 根元で指が止まる | すすぎの残り | 流す時間が場所ごとにそろっていなかった |
| 毛が細かく立ち、静電気が起きる | 乾かしすぎ | 温風の時間が長く、吹き出し口が近かった |
| 翌日に生乾きのにおいが残る | 乾かし残り | タオルで取れる水を温風へ回していた |
4つとも、シャンプーの中身に触れる前に、頻度と手順だけで説明がついてしまいます。それでも失敗が銘柄の話として片づけられるのは、乾かし終わりに出る形が、買った製品の評価として記憶に残るからです。次の1本に替えても、頻度と手順を動かさなければ同じ形が出ます。選び方の失敗は、選ぶ瞬間ではなく、選んだあとの使い方の中で完成します。
この2つが分かると、毛先の広がりが落としすぎから来ているのか、乾かしすぎから来ているのかが、おおよそ分かれます。間隔が4週を超えていて広がっているなら落としすぎの側、間隔が短くて広がっているなら乾かす側です。どちらも、次に買うものを決める前に動かせる条件です。
よく落ちるほど良い、という基準だけが残ると|シャンプーの選び方で失敗が起きる背景
棚の前で使える手がかりは、そう多くありません。よく落ちること、泡立ちがよいこと、低刺激と書かれていること。だいたいこの3つです。このうち手に取ってすぐ確かめられるのは泡立ちだけで、しかも泡立ちを上げるいちばん簡単な方法は、洗浄成分を増やすことです。だから「泡立ちがよかった」という体験は、洗浄成分が多いほうへ手を伸ばす理由になっていきます。
ここから輪が回りはじめます。よく落ちるシャンプーは、落としすぎた分を戻す工程を必要とします。洗ったあとにトリートメントを重ねる、という工程が1つ増える。工程が増えると浴室にいる時間が伸びます。伸びているのは飼い主の手間だけではありません。水の音とドライヤーの音のなかで、その子がじっと耐えている時間も同じだけ伸びています。
- 泡立ちで選ぶ → 洗浄成分の多いものが手元に残る
- よく落ちる → 落とした分を戻す工程が1つ増える
- 工程が増える → 浴室の時間と音の時間が伸びる
- 時間が伸びる → 洗う頻度が落ちる
- 頻度が落ちる → 1回で落とす量が増えて、また戻す工程が要る
5行目から1行目に戻るので、これは輪です。シャンプーの選び方の失敗が、買ったあと何か月も続く形で残るのは、輪のどこかを切らないと、次の1本もこの輪の中に入ってしまうからです。切りやすいのは3行目です。工程が1つ減れば時間が戻り、時間が戻れば頻度も戻ります。減らすのは洗う回数ではなく、1回の中の工程です。
泡立ちを洗浄成分の量で買うか、水で補うか|シャンプーの選び方が結果を分ける理由
輪の3行目を切るには、洗浄成分を減らしても泡が立つ、という条件が必要になります。mofuwa モイストシャンプーは、洗浄成分をアミノ酸系だけにして、その量も少なくしています。それだけなら泡は立ちにくくなります。そこで原料の水に、グルーミングスプレーと同じ電解水を使っています。原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っていて、この水そのものに洗浄の働きがあるため、泡立ちを水の側で補えます。
ここが結果を分ける理由です。少ない洗浄成分で洗えるので、落としすぎが起きにくくなります。落としすぎが起きなければ、洗い上がりがごわつきません。ごわつかなければ、それを戻すための工程が要りません。工程が1つ減ると、浴室にいる時間がそのぶん短くなります。減っているのは飼い主の手間だけでなく、その子が水と音の中で立って待っている時間そのものです。
香りを足していないのも、同じ順番で決まっています。ペットは自分のにおいを好み、余分なにおいはそれだけで負担になります。香りは人のためのものだという判断が先にあって、そのうえで無香料になっています。シャンプーの選び方で香りを手がかりにすると、選んだ理由がその子の側から離れていきます。使い方が同じでも、選んだ理由が人の側だけにあると、続けるかどうかの判断が鈍ります。
モイストシャンプーについては、実際にお使いいただいている獣医師の近藤先生から、こんなご感想をいただいています。
「ご自宅での定期的なシャンプーは、動物たちの皮膚や被毛の状態を健康に保つためにはとても良いことだと思います。ただ、使用するシャンプーややり方を間違えると逆に皮膚トラブルの原因になることもあります。」
選び方の失敗を避けるために覚えておきたいのは、泡立ちを理由にしないことです。泡立ちが同じでも、その泡を洗浄成分の量で立てているのか、原料の水で補っているのかで、乾かし終わりの毛先が変わります。棚の前では区別がつきません。区別がつくのは、乾かし終わって水が抜けたあとです。だから判断は買う前ではなく、2回洗ったあとの手ざわりで下すほうが確かです。
1本を選ぶ話から、頻度と手順ごと決める話へ|シャンプーの選び方の考え方を組み直す
選び方を銘柄の話から外に出すと、決めることが3つになります。何で落とすか、何回で落とすか、落としたあとをどうするか。この3つは互いに影響し合っていて、1つだけを良くしても結果が動きません。洗浄成分を減らしたものに替えても、洗う間隔を6週間空けたままなら、1回で落とす量は増えたままです。
| 決める軸 | 決めること | 手元で確かめる目安 |
|---|---|---|
| 何で落とすか | 洗浄成分の系統と量 | アミノ酸系か。量を減らす作りになっているか |
| 何回で落とすか | 洗う間隔 | 間隔を空けるほど1回で落とす量が増える |
| 落としたあとをどうするか | 乾かす手順と間の日の手当て | タオルで水を移してから温風へ回せているか |
3つ目の軸に、洗う日と洗う日のあいだが入ります。間の日に地肌へ手を入れておくと、次に洗うときに落とす量が減ります。落とす量が減れば、洗浄成分を増やす理由もなくなります。シャンプーの選び方を頻度と手順ごと決めるというのは、この順番を先に決めておくという意味です。1本を替えるより、間の日を1回足すほうが、乾かし終わりの毛先は早く変わります。
替えても動かない形があります。同じシャンプーで2回洗っても毛先の広がりが戻らない。かく回数が2週間続けて増えている。同じ場所の毛だけが薄くなっている。このどれかが出ているときは、次の1本を探す前に、動物病院で地肌を見てもらってください。洗った日付と間隔、乾かしにかけた分数を書いた3行があると、その場で絞れる話が増えます。診断は病院で受けるもので、家で決めるのは3つの軸の側です。
失敗という言葉は、1回では確かめられません。2回洗って、2回とも同じ形が出たときに、はじめて条件の話になります。そこまでは、間隔と乾かす手順を1つずつ動かして比べる時間です。毛先の向きを見るだけなら1分もかからないので、洗った翌日に確かめることを毎日の手順の1つとして続けてください。
近藤 竜太 先生/白金高輪動物病院 院長・獣医師(麻布大学卒/比較眼科学会所属)
東京都港区白金1-2-2 白金ザ・スカイ西棟1階
※実際にお使いいただいている獣医師のご感想で、本記事の監修を受けたものではありません。
Product
mofuwa モイストシャンプー
300ml / 3,410円(税込)
アミノ酸系の洗浄成分で11成分無添加。天然由来の抗炎症成分7種とアミノ酸4種を配合し、原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っています。
商品ページを見る掲載しているご感想は個人の感想であり、効果を保証するものではありません。本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。気になる変化が続く場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
