C12Q&A・豆知識
多頭飼いとは?手間が頭数に比例しない理由
2頭めを迎えて多頭飼いになった日から増えるのは、毎日どの子から手をつけるかを決める回数です。多頭飼いとは、同じ家で2頭以上を一緒に飼っている状態を指す言葉です。頭数が1つ増えるたびに増えるのは、作業そのものより、子どうしの組み合わせの数のほうです。2頭なら組み合わせは1とおり、3頭なら3とおり、4頭なら6とおり。順番も、居場所も、においの移り方も、この組み合わせの上で起きます。だから多頭飼いで難しくなるのは、手を動かすことより、順番を決めることのほうになります。この記事では、多頭飼いという言葉の意味と、頭数に比例しないものの正体を、8つの問答に分けて書きます。
多頭飼いとは、何頭からを指す言葉ですか
多頭飼いとは、同じ家で2頭以上を一緒に飼っている状態です。2頭からが多頭飼いで、上限はありません。犬どうし、猫どうしだけでなく、犬と猫のように種をまたいでいる場合も同じ言葉で呼ばれます。獣医療や行政の場面では「多頭飼育」と書かれることもありますが、指しているものは変わりません。
この言葉には、法律で決まった定義があるわけではありません。ただし、飼っている頭数が一定を超えたときの届出について、自治体ごとに決まりが置かれていることがあります。数や条件は地域で違うので、頭数が増えるときはお住まいの自治体の窓口で確認してください。この記事で扱うのは、そちらの手続きではなく、毎日の暮らしのほうで何が変わるかです。
「うちは3頭です」と数で言うと、大変さは3倍に聞こえます。けれど、実際に毎日重くなっているのは頭数そのものではなく、子どうしのあいだで起きることの数のほうです。3頭の家には、AとB、BとC、AとCという3とおりの関係があります。順番待ちも、割り込みも、においの移り合いも、この3とおりの上で起きます。多頭飼いを「頭数」で数えるのをやめて「組み合わせ」で数え直すと、どこで詰まっているかが見えるようになります。
多頭飼いは、なぜ頭数のぶんだけ大変にならないのですか
1頭ずつ独立して終わることと、2頭のあいだで起きることを、分けて数えていないからです。爪を切る、体を拭く、ごはんを出すといった作業は、その子だけで完結します。これは頭数のぶんだけ増えます。いっぽうで、順番待ち、割り込み、取り合い、においの移り合いは、その子ひとりでは起きません。相手が要ります。だから頭数ではなく、組み合わせのぶんだけ増えます。
| 起きること | 何で決まるか | 3頭の家での数え方 |
|---|---|---|
| 体を拭く・爪を切る | 頭数 | 3回 |
| ごはんと水を出す | 頭数 | 3回 |
| 順番を待たせる時間 | 組み合わせ | 3とおりの関係の上で発生 |
| 割り込みと取り合い | 組み合わせ | 同上 |
| においや汚れの移り合い | 組み合わせ | 同上 |
| どの子から始めるかの判断 | 組み合わせ | 毎回1回、決め直しが要る |
この2つを混ぜて数えると、多頭飼いは「3倍しんどい」という感覚になります。分けて数えると、増えているのは下の3行のほうだと分かります。実際、1頭を拭いている最中に別の子が寄ってきて手が止まる。あれは拭く作業が重いのではなく、組み合わせの上で起きたことです。作業の側をいくら速くしても、この止まり方は減りません。
だから多頭飼いで疲れるのは、手を動かしている時間より、次にどうするかを毎回決め直している時間のほうです。1頭の家なら、順番という概念そのものがありません。2頭になると、順番が1つ生まれます。3頭になると、順番は毎回3とおりの関係を見ながら決めることになります。頭数に比例しないのは、ここです。多頭飼いとは、この判断の回数が増えていく暮らしのことだと言い換えられます。
組み合わせの数は、頭数が増えるとどう変わりますか
計算そのものは単純です。頭数をnとすると、2頭ずつの組み合わせは n×(n−1)÷2 とおりになります。2頭で1とおり、3頭で3とおり、4頭で6とおり、5頭で10とおり。頭数が2倍になると、組み合わせはおよそ4倍になります。多頭飼いで「1頭増えただけなのに」と感じるのは、この増え方のせいです。
この数は、統計でも調査結果でもありません。数え方から出てくるだけの数字なので、どの家でも同じです。だから「うちの子たちは仲がいいから関係ない」ということにはなりません。仲がよければ1とおりあたりの負担が小さいというだけで、とおりの数そのものは変わりません。
実際の暮らしでは、全部の組み合わせが同じ重さではありません。3とおりのうち、毎日引っかかるのはたいてい1とおりか2とおりです。ここが分かると、多頭飼いでやることが一気に減ります。3頭ぜんぶの動き方を考えるのではなく、引っかかっている1とおりだけを見ればよくなるからです。どのとおりが重いかは、あとの手順で1週間かけて出せます。
犬と猫が同居している家も、多頭飼いと呼んで大丈夫ですか
呼びます。多頭飼いとは頭数の言葉で、種をそろえる条件は入っていません。ただし、種が違う組み合わせでは、その1とおりの中身が変わります。犬2頭の1とおりと、犬と猫の1とおりは、数え方としては同じ1つですが、そこで起きることが違います。
- 動く時間帯が違う:夜に動く子と、朝に動く子が同じ部屋にいます
- 高さの使い方が違う:床の上と、棚の上で、居場所が分かれます
- 音への反応が違う:ドライヤーや掃除機で逃げる先が変わります
- ケアに使う道具が違う:噴射音の出にくいものが要る子がいます
- においの受け取り方が違う:香りのついたものを嫌がる度合いが変わります
- 体格差がそのまま力の差になる:遊びのつもりでも一方に負担が寄ります
犬と猫が同居している家で多頭飼いの話をするときは、頭数より先にこの中身を見ます。組み合わせの数は変わらないのに、1とおりあたりの調整が増えるからです。たとえば犬2頭なら同じ道具で足りることが多いのに対し、犬と猫では道具を分けることになります。数は同じ1とおりでも、手当ての量が違うわけです。
室内での居場所の分け方も、種をまたぐと変わります。上下に分かれられる家では、同じ部屋にいても組み合わせの重さが下がります。猫が高いところへ上がれるようにしておくだけで、毎日の接触の回数が減ります。多頭飼いで先に整えたいのが道具より部屋の側だと言われるのは、こういう理由からです。
多頭飼いの毎日で、いちばん時間を取られているのはどこですか
帰宅後の最初の数分です。玄関が開いた瞬間だけは、全頭が同時に同じ場所へ来ます。1日のなかで、組み合わせのすべてが一度に立ち上がるのはこの時間だけです。ここで順番が決まらないと、そのあとのケアも、ごはんも、室内の落ち着き方も、順番待ちの列を引きずったまま進みます。
| 場面 | 同時に来る頭数 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| 帰宅した直後の玄関 | 全頭 | 全部の組み合わせが同時に動きます |
| ごはんの支度中 | 全頭 | 位置の取り合いが起きます |
| 1頭だけケアしている最中 | 残り全部 | 順番待ちと割り込みが出ます |
| 来客のインターホン | 全頭 | 玄関へ向かう順番が毎回変わります |
| 夜、寝る場所へ移るとき | 2頭ずつ | 居場所が重なる組み合わせだけ動きます |
| 昼間、人がいない時間 | 0〜数頭 | 人が関わらない組み合わせだけ残ります |
この表を見ると、多頭飼いで時間が消えているのは作業の最中ではないと分かります。作業と作業のあいだ、次の子へ移る前の切り替えで消えています。1頭を拭き終えて、次の子を呼んで、来なくて、探して、戻ってくる。この往復が、組み合わせの数だけ起きます。毎日のことなので、ここが積み上がります。
だから、時間を短くする手は作業の速さの側にはありません。切り替えの回数を減らすほうが、同じ手数でも早く終わります。たとえば全頭を同じ場所へ呼んでおいてから順に手を入れると、探しに行く往復が消えます。多頭飼いの習慣づくりで先に固めたいのは、道具の置き場所と、呼ぶ場所の2つです。呼ぶ場所を決めるとは、探しに行く往復を毎日ぶん消すということです。
ケアの順番は、何を見て決めるのが多頭飼いには向いていますか
組み合わせの側から決めます。頭ごとに「この子は何番目」と決めるのではなく、引っかかっている組み合わせを1つ特定して、そのとおりが起きない並びにする。頭数で考えると3頭で6とおりの並べ方を比べることになりますが、組み合わせで考えると、見るのは重い1とおりだけになります。
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1週間、手が止まった瞬間だけを書く
何をしていたかは書かなくて構いません。「誰と誰のあいだで止まったか」だけを、そのつど1行。紙でもスマートフォンでも構いません。7日ぶんで足ります。
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組み合わせごとに、正の字で数える
3頭ならAB・BC・ACの3行を作って、線を引いていきます。多頭飼いの家では、たいてい1とおりに偏ります。
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いちばん多い組み合わせを、時間で分ける
同時にやらない、というだけです。その2頭を続けて呼ばない並びにすると、止まる回数が落ちます。部屋を分ける必要はありません。
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残りは、決めた並びを毎日そのまま繰り返す
毎日変えないことが、いちばん効きます。並びが固定されると、待つ側の子が次に何が来るかを覚えます。覚えたぶんだけ、割り込みが減ります。
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1か月後に、もう一度1週間だけ数え直す
重い組み合わせは入れ替わります。年齢が変わったとき、頭数が変わったときは、必ず数え直してください。
この手順の良いところは、頭数が増えても作業の量が変わらないことです。4頭になれば組み合わせは6とおりになりますが、書き出して数えて、重い1とおりを分けるという流れは同じです。多頭飼いの家で毎日の習慣として置けるのは、こういう形の手だけです。頭ごとに細かく決めた予定は、頭数が増えた時点で崩れます。
順番を決めるときに、避けておきたいこともあります。その日の様子で毎回変えないこと。変えるたびに、待つ側の子が次を読めなくなります。読めない時間が長いほど、待っているあいだの落ち着きが下がります。多頭飼いで順番が大事だと言われるのは、公平さの話ではなく、読める時間をつくる話です。
多頭飼いの疑問のうち、家で確かめられるのはどれですか
多頭飼いについて知りたいことのなかには、家で数えれば答えが出るものと、家では出ないものがあります。この2つを分けておかないと、出ない側をずっと考え続けることになります。下の表は、よく出てくる疑問を、確かめられるかどうかで並べたものです。ここでいう確かめられるとは、数えれば数字が出る、という意味です。
| 疑問 | 家で確かめられるか | 確かめ方/どこへ持っていくか |
|---|---|---|
| どの組み合わせで手が止まるか | できる | 1週間、止まった相手だけを数える |
| ケアに何分かかっているか | できる | 始めと終わりの時刻を3日ぶん書く |
| においが強いのはどの子か | できる | 外から帰った直後に、順に嗅ぐ |
| どの子が先に食べ終わるか | できる | 器を下げた順を1週間書く |
| 仲が悪いのか、遊んでいるのか | できない | 動画を撮って、動物病院で見てもらう |
| 体調の変化か、順位の変化か | できない | 食欲・排泄・体重のメモを持って受診 |
上の4行は、数えれば数字が出ます。下の2行は、家で見ているだけでは切り分けられません。多頭飼いでは、体調の変化が「あの子に譲るようになった」「食べる場所が変わった」という形で先に出ることがあります。関係の変化に見えるものが、体の側から来ていることがあるわけです。ここは家では判断できないところです。
だから、記録の付け方も分けておくと役に立ちます。組み合わせの記録は自分のために、体の記録は動物病院へ持っていくために。後者は、いつから、どの子が、何を変えたかを日付つきで書いておくと、そのまま渡せます。多頭飼いの家では、1頭ずつの変化がほかの子の行動に隠れやすいので、書いてある情報の価値が上がります。
多頭飼いとは、組み合わせの数で読む言葉
ここまでを畳みます。多頭飼いとは、同じ家で2頭以上を一緒に飼っている状態を指す言葉です。そして、頭数が1つ増えるたびに増えるのは、作業の量よりも子どうしの組み合わせの数のほうでした。2頭で1とおり、3頭で3とおり、4頭で6とおり。順番を決めるという仕事は、この数の上で毎日発生します。
| 問い | 答え |
|---|---|
| 多頭飼いとは何か | 同じ家で2頭以上を一緒に飼っている状態。種はそろっていなくてよい |
| 頭数で増えるもの | 1頭で完結する作業。拭く・切る・出す |
| 組み合わせで増えるもの | 順番・割り込み・移り合い。そして、毎回の判断 |
手数を減らす方向は2つあります。1つは、いま書いた順番の固定。もう1つは、1頭あたりの工程そのものを短くすることです。洗う工程のうち、頭数のぶんだけ繰り返されるのは、泡立てる・こする・すすぐの3つでした。そして被毛をかき分けて擦っているあいだ、その子は立って耐えています。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして使います。湯そのものが洗浄液になるので、かき分けなくても地肌まで届き、3つの工程が浸けるだけの1つになります。2頭で1とおり、3頭で3とおりという組み合わせの数は変わりませんが、1頭あたりの浴室の時間が短くなれば、順番を待っている子の時間も同じだけ減ります。多頭飼いで最後に残るのは、この待ち時間のほうでした。
今まで先に来ていた子が来なくなった、食べる場所や寝る場所が急に変わった、同じ場所を舐め続けている、体重が落ちた、水を飲む量が変わった、ほかの子を避けるようになった。こうした変化があるときは、順番や部屋の使い方を組み替える前に動物病院にご相談ください。多頭飼いでは、1頭の体の変化が、関係の変化のように見えることがあります。いつから、どの子が、何を変えたか。日付つきのメモがあれば、そのまま持っていってください。
最後にもう一度。多頭飼いで難しくなるのは、手を動かすことよりも、順番を決めることのほうです。頭数を数えているうちは、大変さは頭数のぶんに見えます。組み合わせで数え直すと、毎日引っかかっている1とおりが見つかります。見るのは頭数ではなく、そのあいだにある線の数。1週間の記録で線が1本に絞れたら、多頭飼いの毎日は、そこから静かになっていきます。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
