C09シーン別・暮らし
散歩から帰ったあと、シニア猫と暮らす人はどうしている?
19時に犬の散歩へ出て、30分で帰ってきます。その30分のあいだ、16歳の猫は廊下の棚の上にいます。出るときも帰ったときも同じ場所にいるので、ずっとそこで寝ているのだと思っていました。気づいたのは水の器を見たときです。出る前と帰ったあとで、水位が指1本ぶん下がっていました。散歩の30分は、家の中に人も犬もいない、老猫にとって1日で唯一の時間でした。そう分かってから、散歩後のケアの組み方を変えました。帰宅後に何をするかの前に、出かける前に猫の側を整えておく。この記事は、犬の散歩を老猫の側から組み直した5つの手順です。
散歩の30分に、水の器だけが減っていました|犬と暮らす家で散歩後のケアを老猫の側から見た前提
犬と猫の両方と暮らしていると、毎日の手はどうしても犬のほうに寄ります。散歩があるからです。朝と夜の2回、合わせて1時間ほど。そのあいだ、老猫は家の中で何をしているのか、長いあいだ考えたことがありませんでした。出かけるときに廊下の棚の上にいて、帰ってきたときも同じ場所にいる。動いていない、と受け取っていました。
水の器を台所に置くようにしてから、それが違うと分かりました。出かける前に水を替えて、帰ってきて器を見ると、指1本ぶん減っています。30分のあいだに、棚を降りて、台所まで歩いて、水を飲んで、また棚へ戻っている。こちらがいるときには、その往復を見たことがほとんどありません。夜、家族がテレビを見ている時間帯には、その子は棚の上から降りてきませんでした。
16歳の猫にとって、家の中で人と犬が同時にいなくなる時間は、この30分だけです。日中は誰かが在宅していますし、夜は全員がそろっています。散歩は犬の時間だと思っていましたが、同じ30分が、猫の時間でもありました。そう考えると、散歩後のケアという言い方も少し変わります。帰宅後に犬の足を拭くところから始まる作業ではなく、出かける前から始まっている、という形です。
- 水を飲む:器の水位が指1本ぶん減ります。人と犬がいる時間には、この往復をあまりしません
- トイレへ行く:砂の減り方と固まりの位置が、散歩の前後で変わっている日があります
- 床を歩く:室内で移動する距離が、この30分にいちばん伸びます
- 別の場所で寝直す:棚から降りて、日中とは違う場所で数分横になっている日があります
- 毛づくろいをする:人が見ている前より、静かな時間帯のほうが長く続きます
- においの少ない空気の中にいる:犬が外から持ち帰るにおいが、まだ室内に入っていない30分です
散歩は犬にとって毎日必要なもので、時間を削る対象ではありません。ここで言いたいのは、同じ30分が、老猫の側では「人も犬もいない時間」として使われているということだけです。だから、その30分を猫にとって使いやすい状態にしてから出かけると、こちらが何もしていないのに猫の側の条件が良くなります。散歩後のケアの手を増やさずに済む方法として、出かける前のほうへ寄せています。
出る前に3つ、帰ってから2つ|散歩後のケアを老猫の側から組む5つの順番
手順は5つです。前半の3つは出かける前、後半の2つは帰宅後にやります。全部合わせて、出かける前が3分、帰ってからが5分ほどです。老猫の側にかける時間は増えていません。増えているのは、犬の散歩の前後という決まった時刻に置いた、というところだけです。時刻が決まっていると、毎日の習慣として残ります。
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出る10分前に、老猫がどこにいるかだけ確認する
触りません。声もかけません。棚の上か、寝室か、日の当たる窓辺か。場所を目で確かめるだけです。老猫は日によって居場所が変わり、その変わり方がいちばん早い変化として出ます。3日続けて同じ場所にいない日があったら、それは記録に残しておく価値があります。散歩後のケアの起点を、ここに置いています。
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水を替えて、降りてきた先が使える状態にしておく
器の水を替え、その周りに物を置いたままにしないこと。30分のあいだに老猫が降りてくることを前提にした片づけです。床に置いた買い物袋、乾かしている靴、犬のおもちゃ。若い猫なら避けて通りますが、年齢が上がると避けるための一歩が増えます。片づけといっても、通り道の1メートルぶんだけで足ります。
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室内の扉を1つだけ開けて、犬を連れ出す
老猫が使う部屋の扉を開けたままにします。閉めたまま出ると、30分のあいだ移動できる範囲が狭くなります。猫には声をかけずに出ます。出がけに呼ぶと棚から降りてきてしまい、こちらが不在の30分を玄関で過ごすことになります。静かに出るのが、この手順のいちばん大事なところです。
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帰宅後は、犬を玄関で先に終わらせる
散歩後のケアの本体はここです。足の裏4本、口の周り、腹の下側。玄関から先へ上げる前に終えると、外から持ち帰ったものと、におうものが室内へ入りません。老猫は犬より低い位置で寝ていることが多く、床に近いほど影響を受けます。犬の側を先に済ませるのは、猫の側の条件を守るためでもあります。
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最後に、老猫のところへ行って1か所だけ触る
手を洗ってから、猫のところへ行きます。触るのは1か所、30秒。あごの下か、背中の真ん中か、その日に決めた1か所だけです。ここで初めて声をかけます。散歩から帰ってすぐに猫へ寄ると、犬のにおいをそのまま持っていくことになります。順番を最後にするのは、そのためです。
| 時間帯 | 犬の側 | 老猫の側 | 人がやること |
|---|---|---|---|
| 出る10分前 | 支度に気づいて動き出す | まだ定位置にいる | 居場所を目で確認する |
| 出る5分前 | 玄関で待つ | 変わらない | 水を替える/通り道を空ける |
| 出発 | 外へ | 人も犬もいなくなる | 声をかけずに出る |
| 散歩中の30分 | 外にいる | 降りて水を飲む/歩く | 何もしない |
| 帰宅直後 | 玄関で止める | 定位置に戻っている | 足の裏・口の周り・腹の下側 |
| 帰宅5分後 | 室内へ上がる | 人の気配に気づく | 手を洗ってから猫へ1か所 |
5つのうち、いちばん効いたのは2つ目でした。水を替えて、通り道を1メートルだけ空けておく。これをやった日とやらなかった日で、帰宅後の水位の減り方が違います。老猫にとって、降りてくるかどうかは「行きたいか」だけでは決まらず、「そこまでの1メートルに何が置いてあるか」でも決まっていました。散歩後のケアという名前がついていても、中身は出かける前の片づけです。
毎日30回に増えると崩れるのは3つ目|散歩後のケアの頻度と、時刻がずれた日のコツ
散歩は毎日あります。1か月で60回、朝夜の両方でやろうとすると、5つの手順が60回ぶん増えます。1か月続けてみて、最初に崩れたのは3つ目の「扉を開けて、声をかけずに出る」でした。急いでいる日ほど、扉のことを忘れます。忘れたこと自体は小さいのですが、30分のあいだ猫が動ける範囲が変わるので、影響としては大きいほうでした。
| 崩れる日 | 何が起きるか | そのとき残すもの |
|---|---|---|
| 雨の日 | 帰宅後の犬の処理が長引き、玄関で10分かかる | 水を替えることだけ残す |
| 散歩の時刻がずれた日 | 老猫の定位置が違い、確認に時間がかかる | 居場所の確認だけ残す |
| 2人で出る日 | 家に誰もいなくなり、扉の開け閉めが変わる | 扉を1つ開けることだけ残す |
| 来客がある日 | 室内の物の位置が変わり、通り道がふさがる | 通り道の1メートルだけ空ける |
| 朝の散歩の日 | 支度と重なり、出かける前の3分が取れない | 夜の1回に寄せて、朝はやらない |
| 犬の帰りが遅い日 | 帰宅後の5分が夜遅くになる | 猫に触るのをやめ、声だけかける |
頻度の話としては、毎日やるのは1つだけで足ります。水を替えることです。残りの4つは、週に2〜3回できていれば形になります。老猫の側で1日ごとに変わるのは水と居場所で、通り道や扉は数日単位でしか変わりません。全部を毎日に上げると、こちらの手が続かず、いちばん効く1つも一緒に落ちます。習慣として残すのは、落としても取り返せるものではないほうを選びます。
帰宅後についても、頻度は分けています。犬の足の裏と口の周りは毎日。腹の下側は2日に1回。猫に触るのは毎日ですが、触る場所は1日1か所で、7日で一巡する形にしています。老猫は、1回に長く触られるほど姿勢を保てなくなります。散歩後のケアの時間を猫の側で増やすと、犬の側と同じ配分になってしまい、その子には合いません。
記録を増やすと続きません。測るのは1つでかまいません。出かける前に替えた水が、帰ってきたときにどれだけ減っているか。指1本ぶんか、変わっていないか。それだけをカレンダーに丸かバツで書きます。1か月ぶん並ぶと、減っていない日が固まっているところが見えます。時刻がずれた週なのか、通り道に物が置きっぱなしの週なのか、あとから理由をたどれます。
老猫に触るのを最後に置いた理由|散歩後のケアで、家の側に残しておける条件
5つ目を最後に置いているのには、はっきりした理由があります。散歩から帰った直後の人の手には、外の地面と、犬の被毛のにおいがついています。その手で先に猫へ触ると、猫の側に外のにおいを運ぶことになります。犬と猫が同じ床とソファを使う家では、においの経路を1本にまとめておくほうが楽です。玄関で犬を終わらせて、手を洗って、それから猫。順番を固定すると、考えずに回せます。
老猫に触る30秒でやることは決まっています。あごの下、背中の真ん中、尾のつけ根、脇の下、前足の指のあいだ、耳のうしろ、口の周り。この7か所を1日1か所ずつ、順に回します。使っているのは、猫用のmofuwaグルーミングウォーターです。押して出すボトルなので、プシュッという音が鳴りません。老猫は、触られることより先に音のほうへ反応します。音が出ないだけで、寝ている姿勢を崩さずにその日の1か所を終えられる日が増えました。やわらかい布に含ませて、毛の流れに沿って一往復。猫は自分で毛づくろいをするので、口に入ることが最初から前提に置かれています。グルーミングウォーターは清涼飲料水の規格基準をクリアしているため、拭いた30秒のあとにその子が同じ場所をなめても、こちらが拭き直しに戻らなくて済みます。1日1か所に区切っているのは、老猫が同じ姿勢を保てる時間がそこまでだからです。7日で一巡すれば、体のどこも1週間以上そのままにはなりません。
家でできることの範囲も、はっきりさせておきます。できるのは、条件を整えることと、変化に気づくことの2つだけです。水を替える、通り道を空ける、扉を開ける、犬を玄関で止める、1日1か所触る。どれも、その子の体そのものに手を入れる作業ではありません。老猫と暮らす毎日は、こちらが何かを足すより、その子が自分で動ける条件を残しておくほうが結果につながりました。
そして、散歩後のケアの話として扱わないほうがよい変化があります。水を飲む量が急に増えた、または減ったまま数日続く、定位置から降りてこない日が3日続く、毛づくろいの時間が急に減った、同じ場所をなめ続けている、皮膚が赤い、触ると声を出す、体重が落ちている。こうしたときは、手順を組み直す前に動物病院にご相談ください。水の減り方をカレンダーに丸とバツで書いてあると、いつから変わったかをそのまま伝えられます。バツが3日並んだ時点を、こちらから連絡する目安にしています。
散歩の記事なのに、書いたことの半分は猫の側の話でした。犬と猫の両方と暮らす家では、散歩の30分が犬だけのものではありません。老猫にとっては、家の中に人も犬もいない、1日で唯一の時間です。その30分を使いやすい状態にしてから出かけて、帰ってきたら犬を先に終わらせ、最後に猫へ声をかける。散歩後のケアを出かける前から数え始めると、手を増やさずに、猫の側の条件が変わります。
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よくある質問
- 帰ってきたら、犬より先に猫へ声をかけたほうが喜ぶ気がします。順番を変えてもいいですか。
- 順番を変えるなら、手を洗ってからにしてください。散歩から帰った直後の手には、地面と犬の被毛のにおいがついています。老猫は低い位置で過ごす時間が長いので、そのにおいを先に運ぶことになります。どうしても先に声をかけたいときは、玄関から離れた場所で声だけかけて、触るのは犬の処理が終わってからにすると、順番を守ったのと同じ形になります。
- 散歩の時間帯に、猫が寝ていない日があります。そういう日はどうしていますか。
- 何もしません。居場所の確認は、触ったり動かしたりするための手順ではないからです。起きている日は、水を替えるところだけやって、あとはふだんどおりに出かけます。老猫では、寝ている時間帯が季節や気温で少しずつ動きます。3日続けて定位置にいない日が出たら、そのときだけカレンダーに書き留めておいてください。
- 出かける前の3分が取れない日は、何をやめればいいですか。
- 水を替えることだけ残して、あとはやめて構いません。老猫の側で1日ごとに変わるのは水と居場所で、通り道や扉は数日単位でしか変わらないからです。朝と夜の2回ある家なら、朝はやらずに夜の1回へ寄せる形でもかまいません。毎日全部やろうとすると、いちばん効く1つも一緒に落ちます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
