C12Q&A・豆知識
保護犬が触られるのを嫌がるときは?
迎えて3週間の保護犬が、背中には触れるのに、前足に手が伸びた瞬間だけ体をずらす。保護犬が触られるのを嫌がるときにやることは、触る場所を減らすことより、1回を短くして回数を増やすほうです。嫌がっている中身は、触られること自体というより、いつ終わるのかが読めないことのほうにあります。手が体に乗っている時間が読めないあいだは、その子は動きを止めて待つことしかできません。だから、こちらが先に終わりを決めて、うまくいっても必ずそこで終わる。この記事では、保護犬が触られるのを嫌がるときに家でできることを、終わりの決め方から順に7つの問答にして書きます。
保護犬が触られるのを嫌がります。どこから手をつければいいですか
手をつけるのは、触る場所の選び直しよりも先に、1回の長さのほうです。10秒で終わる接触を1日に3回置くほうが、3分の接触を1日に1回置くより、たいてい早く進みます。保護犬が触られるのを嫌がるとき、多くの家がまず「どこなら触っていいか」を探しますが、場所を探しているあいだも、1回の長さは前のままです。
場所を減らすやり方が続きにくいのには、はっきりした理由があります。触れる場所が減るほど、1回の接触に意味が乗って、こちらが長く触ってしまうからです。背中しか触れないと分かると、背中を触れた1回を大事にしたくなります。手が長く乗り、その子は途中で体をずらし、こちらは「今日は調子が悪い」と受け取る。翌日はもっと慎重になり、また長くなる。場所を絞ったつもりが、1回の長さだけが伸びていた、という形になりやすいところです。
1回を短くすると、その日にできることが1つ増えます。短く終われば、次をもう1回置けます。回数が増えると、その子の側には「この手は必ず離れる」という同じ経験が積み上がっていきます。積み上がるのは慣れではなく、終わり方の実績のほうです。保護犬が触られるのを嫌がる状態から動くのは、この実績が溜まったあとになります。
触れた範囲を毎日書いていくと、前の日より広げたくなります。広げるとは、その日の1回を長くすることです。書くなら、触れた範囲ではなく「決めた終わりで終われたかどうか」を◯と×だけで書いてください。◯が続いているのに範囲が広がらない時期は、順調です。範囲は、その子の側から先に広がります。
嫌がっているのは、触られること自体ですか
そこが少しずれています。体をずらす、顔を向ける、固まって動かない。こうした反応が出るのは、手が乗っている時間の見通しが立たないときに集中します。同じ場所を同じ強さで触っても、5秒で離れると分かっている手と、いつ離れるか分からない手では、その子の側の受け取り方が変わります。保護犬が触られるのを嫌がるとき、変えられるのは強さや場所より先に、この見通しのほうです。
保護犬の場合、ここが特に効きます。迎える前にどう触られてきたかを、こちらは知りません。その子の側も、この家の手が何をする手なのかをまだ知りません。人の側は「痛くしていないから大丈夫」と考えますが、その子が待っているのは痛みの有無ではなく、この手がいつ離れるかのほうです。情報が足りていないのはお互いで、先に情報を出せるのは人の側だけです。
左側で起きているのは、終わりの決定権がその子の側にあるという状態です。体をずらして初めて手が離れるなら、「ずらす」が終わらせるための唯一の手段になります。それを何度も繰り返すと、手が伸びた時点でずらすようになります。保護犬が触られるのを嫌がる動きが早くなっていくときは、この形になっていることがあります。
- 離れる時点:毎回同じ数え方で離れているか
- 離れる主体:人から離れているか、その子がずらして終わっているか
- 成功した日の扱い:うまくいった日に延ばしていないか
- 始める合図:触る前に、同じ声かけを置いているか
- 終わったあと:手を離したあと、その場から人が離れているか
1回の終わりは、家でどうやって決めますか
時計を使わない決め方のほうが続きます。声に出して数える、というやり方です。数え終わったら手を離す。これだけで、終わりが人の側にあり、なおかつその子にも聞こえる形になります。数は最初から少なくしてください。5でも足ります。
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触る前に、同じ言葉を1つ置く
「さわるよ」でも「ちょっとだけ」でも構いません。毎回同じ言葉にすることだけが条件です。手が近づく前に音が来る形にすると、その子は手そのものを予測できます。
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数を先に決めて、声に出して数える
5まで数えると決めたら、1、2、3、4、5と声に出します。数え終わりが、そのまま終わりです。数えているあいだ、その子は残りがいくつあるかを音で追えます。
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数え終わったら、こちらから手を離す
その子が動く前に離すのが要点です。人から離れた回数が、そのまま実績になります。体をずらされてから離すと、その回は数に入りません。
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うまくいっても、その日は延ばさない
落ち着いていると、もう少し触れそうに見えます。延ばした日に、決めた終わりで終わる実績が1つ消えます。延ばすなら翌週、数を1つだけ増やします。
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終わったら、その場から人が離れる
手だけ離して見ていると、まだ続くのか読めません。1歩下がるか、別の作業に移ります。終わったことが体の位置でも伝わります。
途中で体をずらされたら、そこで追いかけません。追わずに手を引いて、その回は終わりにします。ただし、次の回は同じ日のうちに置いてください。数を1つ減らして、3で終わる形にします。保護犬が触られるのを嫌がる日に、その日を丸ごと空けてしまうと、次の日の1回目がまた長くなります。
| いまの様子 | 数 | 1日の回数 |
|---|---|---|
| 手が近づくと立ち上がる | 3 | 2〜3回 |
| 触れるが、途中で体をずらす | 5 | 3回 |
| 最後まで動かないが、体が固い | 5 | 3〜4回 |
| 数えているあいだ、体が緩む | 8 | 3回 |
| 終わったあとも同じ場所にいる | 10 | 2〜3回 |
表の下2行に入ってから、初めて場所を1つ増やします。増やすのは場所か数のどちらか片方で、同じ週に両方は動かしません。2つ同時に変えると、うまくいかなかったときに、どちらが原因だったのかが読めなくなります。
回数を増やすと、その子の負担にはなりませんか
同じ合計時間なら、回数が多いほうが軽くなります。1回30秒を3回と、1回90秒を1回。合計は同じ90秒ですが、その子が「読めない時間」に置かれる長さは3倍違います。負担になっているのは接触の総量ではなく、1回あたりの長さのほうです。
| 割り方 | その子の側に起きること | こちらの側に起きること |
|---|---|---|
| 90秒×1回 | 終わりが読めない時間が長く続く | 1回に賭けるので、途中でやめにくい |
| 30秒×3回 | 1回ごとに、必ず終わりが来る | 1回を捨てられるので、延ばさずに済む |
| 10秒×9回 | 手が近づく回数だけ増える | 回数を数える手間が増える |
3行目まで細かくすると、今度は手が近づく回数そのものが増えます。回数を増やすのは、1回が短くなっているときだけです。短くしないまま回数だけ増やすと、読めない時間が1日に何度も来ることになります。保護犬が触られるのを嫌がる状態で、いちばん避けたいのがこの組み合わせです。
回数を置く場所も決めておきます。時刻をそろえるより、その前後にある出来事にくっつけるほうが続きます。ごはんの器を置く直前、散歩から帰って足を拭いたあと、寝る前に電気を消す前。すでに毎日起きていることの隣に置くと、忘れません。その子の側にも、次に何が来るかの予測が1つ増えます。
- 同じ場所で:床の同じ位置。人がしゃがむ向きも変えません
- 同じ順番で:声かけ → 手を出す → 数える → 離す → 下がる
- 同じ人から:最初の2週間は、家の中で1人に決めます
- 同じ手で:利き手を変えると、近づき方の角度が変わります
- 同じ数で:週の途中で数を動かしません
シャンプーや乾かす日は、どこで区切ればいいですか
洗う日は、終わりの読めない時間がいちばん長くなる日です。濡らして、洗って、流して、拭いて、乾かす。この5つが1本につながっていると、その子から見れば、終わりが一度も来ない長い1回になります。保護犬が触られるのを嫌がる時期に、この5つを通しでやるのは負荷が高くなります。
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前日に、道具の音だけを聞かせておく
ドライヤーを1〜2秒だけ回して切ります。音が鳴って、止まる。この一往復を前日に置いておくと、当日の音が初めての音ではなくなります。近くで回さず、部屋の反対側から始めてください。
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洗う工程を、体の上半分と下半分で切る
全身を一度に終わらせず、途中で一度手を止めます。止めたときに声をかけて、区切りが来たことを伝えます。止めているあいだにタオルで水を取っておけば、全体の時間は増えません。
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タオルで水を取る時間を、独立した1回にする
押し当てて水を吸わせる工程は、こすらないぶん体への当たりが穏やかです。ここを丁寧にやると、そのあとの乾かす時間そのものが短くなります。
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乾かすのを2回に分ける
下側を先に、背中を後に。あいだで1回止めます。音が止まる時点を作ることが、区切りになります。止めているあいだに、また水を取っておきます。
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終わったら、そのまま人が離れる
洗った日ほど、確認したくて触りたくなります。ここで触ると、終わったはずの時間がもう一度始まります。確認は翌朝に回してください。
音については、もう1つ書いておきます。その子が反応しているのが、音の大きさなのか、音が続く長さなのかで、手当ての向きが変わります。大きさに反応しているなら距離を取る。長さに反応しているなら、止める回数を増やす。どちらか分からないときは、まず止める回数を増やすほうから試してください。距離は部屋の広さに縛られますが、止める回数は今日から変えられます。
洗う頻度そのものも、この時期は下げてかまいません。汚れていないのに洗うと、読めない時間を増やすだけになります。足の裏、口のまわり、尾のつけ根。汚れが乗りやすい場所だけを短く扱えば、全身を洗う日を先に延ばせます。
触れない日は、何をしておけばいいですか
触れない日を、休んだ日として扱わない形にしておきます。やることは3つだけです。どれも1分かかりません。
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同じ場所に、同じ姿勢で座る
触らずに、決めた位置に座って1分いるだけです。手が出ない日があると分かることも、その子にとっては情報になります。本を読んでいても、スマートフォンを見ていても構いません。
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声かけだけを、いつもの時刻に置く
触る前に使っている言葉を、触らない日にも1回だけ言います。言葉のあとに必ず手が来るわけではない、という経験が増えます。
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水を使わないケアで、汚れの乗る場所だけ整える
布に含ませてから、足の裏や口のまわりを一往復させます。濡らさないので、乾かす時間が発生しません。ボトルを直接向けず、布に取ってから当てるほうが、音の面でも穏やかになります。
足の裏と口のまわりには、こちらが手を出さない日にも汚れが乗り続けます。触る回数を減らしている時期でも、この2か所だけは人の側が引き受けることになります。使っているのは mofuwa スキンケアミストで、アルコールも香料も入っていません。手が近づく前に、においという情報をもう1つ足さずに済みます。ただし、電解水そのもののにおいをわずかに感じ取る子はいます。初めての日は、その子から離れた場所で布に含ませ、置いた布のにおいを自分から嗅ぎに来るかどうかを先に見てください。布を持って戻ったら、触る日と同じように数を声に出しながら足の裏を一往復。数え終わったら手を離します。保護犬が触られるのを嫌がる時期は、道具を体に近づける回数そのものを減らせるほうが助かります。
ブラシを使う日も、同じ数え方でやります。ブラシは手より接触面が広いので、同じ秒数でも長く感じられることがあります。数を1つ減らして始めて、終わったらブラシを見えない場所に片づけてください。道具が視界に残っていると、まだ続くように見えます。
保護犬が触られるのを嫌がる日を、3つの決めごとに畳む|家の外の手を借りるとき
ここまでを畳みます。家で決めるのは3つだけです。
| 決めること | 中身 | 動かさない期間 |
|---|---|---|
| 数 | 声に出して数える回数(3・5・8・10) | 1週間 |
| 回数 | 1日に置く回数(2〜3回) | 1週間 |
| 場所と順番 | 床の同じ位置/声かけから離れるまで | 2週間 |
この3つが決まっていれば、その日のうまくいかなさに引きずられずに済みます。うまくいった日に延ばさないことと、うまくいかなかった日にその日を空けないこと。この2つが、いちばん効きます。保護犬が触られるのを嫌がる期間の長さは、その子によってまったく違います。週の単位で見て、変わらなくても、それ自体は珍しいことではありません。
そのうえで、家でできる範囲の外側にも線を引いておきます。ここに書いたのは日々の接触の組み立て方で、行動そのものを扱う手当てとは別のものです。触られるのを嫌がる背景に、体の痛みや不調が関わっていることもあります。触ると声が出る、特定の場所だけ強く避ける、触ろうとすると歯を見せる、といったときは、接触の回数を組み替える前に相談してください。
触ると鳴く、同じ場所だけ強く避ける、触ろうとすると歯を見せる、以前は触れた場所を急に避けるようになった、触られる場面と関係なく食欲や排泄が変わった。こうしたときは、家での触り方を変える前に動物病院にご相談ください。体の側に理由があるかどうかは、家では切り分けられません。行動の面で相談したいときは、行動診療を扱っている動物病院や、かかりつけの獣医師から紹介を受けられる専門家に相談してください。いつから、どの場所で、どんな反応が出たかをメモして持っていくと、その場で見てもらえます。
保護犬が触られるのを嫌がるときに変えるのは、触る場所ではなく1回の長さで、決めるのは終わりのほうです。数を声に出して数え、数え終わったらこちらから離れ、うまくいっても延ばさない。それを1日に2〜3回置く。積み上がるのは慣れではなく、「この手は必ず離れた」という回数のほうです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
