C05犬種・猫種別ケア
オリエンタルショートヘアはなぜ耳の汚れが起きやすいのか。短毛から考える
夕方、窓辺のキャットタワーで名前を呼んだら、オリエンタルショートヘアがこちらへ振り向いて、その瞬間に耳の中がはっきり見えました。手も触れていませんし、顔を近づけてもいません。光を背にした耳が、薄いピンクの一枚になって、付け根に近いところだけ薄い影が乗っていました。耳の汚れは、ふつうは耳を開いて覗き込まないと分かりません。けれどこの子たちの耳は、こちらが何もしなくても中の状態を外へ出してきます。この記事は、その「覗き込まなくても見える耳」と、どう付き合っていくかという読みものです。
振り向いた耳の内側に、薄い影が浮かんだ|オリエンタルショートヘアの耳の汚れに気づいた経験
その日は特別なことをしていません。夕方、西の窓から光が入っている時間に、部屋の反対側から名前を呼びました。オリエンタルショートヘアはキャットタワーの上で寝そべっていて、声のほうへ顔を向けます。顔より先に、耳が動きました。大きな耳が2枚とも同じ向きへ回って、そのまま止まる。そのとき、光を背にした耳の内側が、うすいピンクの膜のように見えたのです。
膜の中に、細い筋が何本か走っているのが見えます。血管です。そしてその筋の下、耳の付け根に近い低いところに、輪郭のぼやけた影が乗っていました。左は薄く、右はもう少し濃い。耳を開いてもいないし、指も入れていないのに、耳の汚れがどこにあるかが分かってしまいました。これは、それまで暮らしてきた猫では一度もなかったことです。
ふつう、猫の耳の汚れを確かめようとすると、片手で頭を支え、もう片方の手で耳を開き、顔を近づけます。猫のほうは頭を振って逃げます。確かめる行為そのものが、猫にとっては嫌なことです。だから間隔があいて、気づくのはたいてい汚れが増えてからになります。耳のケアが続かない理由のかなりの部分は、この「確かめにくさ」から来ています。
オリエンタルショートヘアでは、その前提がひとつ外れます。確かめる工程に、猫の協力が要りません。猫が自分の都合で顔を向けた瞬間に、こちらは見ているだけでいい。振り向いた、伸びをした、窓の外の音に耳を回した。そのどれかの一瞬に、耳の汚れの今日の状態が向こうから出てきます。毎日のケアの入口が、触ることではなく見ることになる、というのがこの猫種の耳の特徴です。
もちろん、見えるからといって放っておいていいわけではありません。むしろ逆で、見えてしまうぶん、毎日の変化に気づけるということです。昨日より濃い、位置が少し上がった、片方だけ増えた。触らずに拾える情報が毎日入ってくるので、手を入れる日と入れない日を分けられます。この記事の残りは、その読み方の話です。
光を通して見えるのは、耳介の内側と、耳道の入口にあたる浅い範囲までです。その奥は、どんな条件でも外からは見えません。影が見えないことは、奥まできれいだという証明にはなりません。逆に、影が見えたからといって、それが奥まで続いているとも限りません。影がないから耳の中は問題ないという読み方はしないでください。外から読めるのは、手前の範囲の日々の変化だけです。
耳介が薄く、被毛もまばら|オリエンタルショートヘアの耳の汚れが外から読める背景
なぜ、この猫種の耳だけが光を通すのか。理由は1つではなく、3つが同時に重なっています。大きさ、薄さ、そして毛の少なさです。どれか1つだけでは、こうはなりません。3つがそろって初めて、耳が一枚のスクリーンとして働きます。
1つ目は大きさです。オリエンタルショートヘアの耳は、体格に対してかなり大きく、根元が広く、先へ向かって長く伸びています。面が広いほど、光が当たったときに情報の乗る場所が増えます。小さな耳では、影が出ていても数ミリの範囲におさまってしまい、離れたところからは読み取れません。この猫種では、部屋の反対側からでも輪郭が分かります。
2つ目は薄さです。耳介は軟骨と皮膚でできた薄い板ですが、この猫種はその板がとくに薄く作られています。だから光が裏まで抜けて、血管が筋として見えます。光が抜ける板の上に何かが乗っていれば、それは影として出ます。耳の汚れが影になるのは、この2つ目の条件のおかげです。
3つ目は被毛です。オリエンタルショートヘアは全身の毛が短く、体に密着していて、換毛期でも毛量の変化が小さいほうです。その短い毛が、耳の内側ではさらにまばらになります。他の猫種では耳の内側に長い毛が生えていて、光も遮りますし、影があってもそれが毛なのか汚れなのか判断がつきません。ここに毛がほとんどないので、板の上のものがそのまま見えます。
| 条件 | その条件がしていること | 1つ欠けるとどうなるか |
|---|---|---|
| 耳が大きい | 情報の乗る面を広げる | 影が小さすぎて離れると読めない |
| 耳介が薄い | 光を裏まで通す | 影が出ず、輪郭も分からない |
| 内側の毛がまばら | 板の上のものを遮らない | 毛の影と汚れの影が区別できない |
| 体格が細い | 顔と耳の対比がはっきりする | 耳が顔に埋もれて見つけにくい |
もうひとつ、皮脂の話をしておきます。耳の内側は、体の他の場所と比べて毛が少ないぶん、出た皮脂が毛に吸われずに面の上へ広がります。広がった皮脂は薄い層になり、そこへ細かいものが乗ると、面としての影になります。点ではなく、輪郭のぼやけた面として見えるのはこのためです。逆に、はっきりした点として見えるものは、皮脂の層ではなく別のものが乗っている合図になります。
猫自身は、耳の内側に手を入れられません。後ろ足でかくのは耳の外側とふちまで、前足を濡らして拭うのも耳のうしろまでです。耳の内側は、その子の毛づくろいが最初から届かない場所です。オリエンタルショートヘアでは、その届かない場所が、たまたま外から見える作りになっている。見えるようになっているぶんだけ、人が代わるタイミングを選べる、と考えてください。
開いて覗き込むか、光を通して読むか|オリエンタルショートヘアの耳の汚れで分かることが変わる理由
同じ「耳の汚れを見る」でも、覗き込む見方と光を通す見方では、手に入るものが違います。覗き込む見方は、その瞬間の状態を細かく見るのに向いています。色、質感、においまで分かります。ただし猫を押さえるので、頻繁にはできません。月に1度か2度が限界でしょう。
光を通す見方は逆です。細かいところは分かりません。色は影の濃さとしてしか出ませんし、においは当然分かりません。そのかわり、猫に何も要求しないので、毎日できます。毎日できるということは、変化の速さが分かるということです。1か月に1回の精密な観察より、毎日の粗い観察のほうが、増えているかどうかについては早く答えを出します。
光を通して読むときの条件を書いておきます。まず、自分と猫のあいだに光源を置かないこと。窓や照明は猫の向こう側です。自分の側から光を当てると、耳の表面が明るくなるだけで、中は見えません。次に、猫の位置を高くします。キャットタワーの上や棚の上にいるときのほうが、耳がこちらの目線に近くなって読みやすくなります。
見る時間帯は固定してください。同じ窓の、同じくらいの時間。光の量が変われば影の濃さも変わるので、条件をそろえないと昨日との比較になりません。朝の支度のあいだ、夕方の帰宅直後など、生活の中で必ず通る時間に紐づけると続きます。カレンダーに書く必要はありません。同じ場所で同じ時間に猫を見る、それだけです。
そのうえで、次の3つを順番に読みます。影がどこにあるか(位置)、どのくらい濃いか(濃さ)、左右で違うか(左右差)。位置は耳の付け根に近い低い側から出はじめることが多く、そこから上へ広がっていきます。濃さは、血管の筋が影の向こうに透けて見えるかどうかで区別できます。筋が見えているなら薄い層、筋が隠れているならその上に何か乗っています。
見えると触りたくなりますが、見えた日にすぐ手を入れると、次の日の比較ができなくなります。3日続けて同じ場所に同じ濃さの影があるなら、それはその子のふだんの状態です。3日のあいだに濃くなっていくなら、そこで手を入れます。オリエンタルショートヘアの耳の汚れは、毎日読めるという利点があるぶん、「見えたら何日待てるか」を先に決めておかないと、毎日触ることになります。触りすぎは、猫が耳を見せてくれなくなる原因になります。
濃くなる週と、位置がずれる週|オリエンタルショートヘアの耳の汚れに出る変化
毎日読めるようになると、週の単位で形が見えてきます。変化には2種類あって、扱いがまったく違います。ひとつは濃さだけが動く変化、もうひとつは位置や左右のバランスが動く変化です。前者は毎日のケアの範囲、後者はそうではありません。ここを分けておくと、迷う回数が減ります。
濃さだけが動く週は、同じ場所の影が少しずつ濃くなり、手を入れると薄くなり、また数日かけて戻ってきます。これは耳の内側に皮脂が出続けているという、ごくふつうの状態です。季節でも動きます。換毛期には抜けた被毛が耳のふちに乗ることがあり、ブラッシングの回数を1回増やすだけで影の出方が変わることもあります。体格が細いこの猫種は毛量の変化が小さいので、耳のふちの毛は見落としやすい場所です。
位置がずれる週は、扱いが変わります。付け根の低いところにあった影が、上のほうへ移った。左右のどちらかだけが濃くなって、差が開いたまま戻らない。場所が動く変化は、量の話ではなく、耳の中で起きていることが変わった合図として読んでください。この場合は、影を薄くしようとする前に、動物病院に相談する日を決めるほうが先になります。
| 読み取れたこと | その週の扱い |
|---|---|
| 同じ場所で濃さだけが上下する | ふだんの状態。毎日のケアの範囲です |
| 濃くなったが、手を入れると薄くなる | そのまま続けてください。間隔を空けても構いません |
| 位置が付け根から上へ動いた | 量の話ではありません。相談する日を決めてください |
| 左右差が開いたまま戻らない | 片側だけの変化は、家では切り分けられません |
| 影の向こうの血管が見えなくなった | 層が厚くなっています。触る前に見てもらってください |
毎日のケアそのものは、拍子抜けするほど単純です。耳の中には入れません。やるのは、耳の外側と、耳の付け根のくぼみを、湿らせた柔らかい布でなでるところまで。指が入るところまでで止めて、綿棒などで奥へ押し込まないでください。オリエンタルショートヘアの耳は薄いので、力を入れると板そのものを傷めます。触れているだけで足ります。
影が浮かぶのは、猫が自分の都合でこちらへ顔を向けた一瞬だけです。読むほうは毎日できても、いつ手を入れるかを決められるのは人の側だけになります。その日に布へ含ませるのが mofuwa スキンケアミストで、耳のまわりや、耳垂れが出たときのように、ほかのものを持っていきにくい場所にも使えます。地肌から目のまわりまで、場所を選ばない1本です。布に含ませて、耳の外側から付け根へ向かって一方向になでる。噴射音が苦手な子もいるので、耳の近くで直接吹きかけず、必ず布に含ませてから当てます。耳の中には入れません。手を入れるのは、3日ぶんの影を並べて濃くなっていた日だけで足ります。
耳を頻繁にかく、頭を振る回数が増えた、耳を触ると痛がる、においがする、影の位置が付け根から上へ動いた、左右差が開いたまま戻らない、耳のふちに傷やかさぶたがある、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家で影を薄くしようとする前に動物病院にご相談ください。外から読めるのは入口の手前までで、その奥は見えません。迷ったら早いほうを選んでください。
オリエンタルショートヘアと暮らしていると、耳が情報を出しすぎることに、いつのまにか慣れます。慣れると、見えているのに読まなくなる。この猫種で失われやすいのは、見る機会ではなく、見たものを昨日と比べる習慣のほうです。同じ窓、同じ時間、同じ距離。条件をそろえて3日ぶん並べれば、耳の汚れが増えているのか、そこで止まっているのかは分かります。触らずに読めるという作りを、そこまで使いきってください。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
