C05犬種・猫種別ケア

チワワの短毛|皮膚の乾燥を毎日のケアで防ぐ

公開日 2020年9月8日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、明るい色のソファの上に静かに乗っている短毛の小型犬
湿度計が置いてあるのは部屋です。その子が過ごしているのは、腕の中の空気です。写真:https://kaboompics.com//Pexels

腕から下ろした背中に、白い粉のようなものが薄く浮いていた。さっきまで30分ほど抱いていた、その部分だけでした。チワワの乾燥に気づくのは、たいていこういう場面です。部屋の湿度計は50%を指していて、加湿器も動いている。それでも、その子が過ごしていた空気は、部屋の空気ではありませんでした。この記事では、腕の中と膝の上で何が起きているのかと、そこから毎日を組み直す考え方を書きます。

腕から下ろした瞬間だけ、地肌が見える

チワワの被毛は薄く、皮膚までの距離が近い犬です。とくに短毛の子は、毛をかき分けなくても地肌の色が透けます。それなのに、抱いているあいだは何も見えません。抱かれている状態では、毛が手のひらと胸に押さえつけられて、寝たままになっているからです。寝た毛は面をつくり、地肌を隠します。

下ろすと、毛が起き上がります。体をぶるっと振るとなおさらです。押さえられていた毛が立った瞬間に、それまで隠れていた地肌が一度だけ見える。白い粉のようなものや、赤みや、うっすらした皮膚の乾きに気づくのは、たいていこのタイミングです。数秒後には毛が落ち着いて、また見えなくなります。

だから「気のせいだったかもしれない」で終わってしまいます。実際、次に抱き上げたときにはもう分かりません。この見え方の経験は、多くの飼い主さんが持っています。そして、見えたときにその場で確かめる方法を決めていないと、毎回そのまま流れていきます。

チワワは体が小さいぶん、抱かれる時間が長くなります。散歩の途中でも、来客のときでも、家事のあいだでも、腕の中にいます。つまり、地肌が見えなくなっている時間そのものが長い犬です。乾燥に気づくのが遅れるのは、注意深さの問題ではありません。見える窓が、1日のうちに数回しか開かないからです。

Note見えたら、その場で触るところまでをひと続きにする

見えた地肌を覚えておこう、としないでください。数時間後には比べられなくなります。下ろす → 逆立てるようになでる → 指の腹の手ざわりを確かめる、ここまでを1つの動作にしてしまうほうが続きます。かさついているのか、しっとりしているのか。手ざわりのほうが、色より覚えていられます。

チワワが1日を過ごしているのは、腕の中と膝の上です

部屋の乾燥を考えるとき、私たちは部屋の空気を思い浮かべます。加湿器を置き、湿度計を見て、数字が足りていれば安心する。けれど、その数字が説明しているのは部屋の真ん中の空気です。チワワが実際に体を置いている場所は、そこではないことがほとんどです。

その子が過ごしている場所と、そこの空気
過ごしている場所そこで起きていること
人の腕の中体温で温められ、空気が動かない
膝の上下から人の体温、上から部屋の空気
服の内側・抱っこ紐の中温度が上がり、湿りは布に吸われる
ソファの上(暖房の風の先)温風が、毛の上を通り続ける
布団の中布に包まれ、寝返りのたびにこすれる
床の上部屋の中でいちばん温度が低く、湿りが残る

1日の時間割にしてみると、上の5つで大半が埋まる子は珍しくありません。床の上で過ごしている時間のほうが短い、ということもあります。湿度計が測っているのは、いちばん下の行に近い空気です。上の5行の空気は、誰も測っていません。

ここで大事なのは、抱っこが悪いという話ではないことです。チワワは体が小さく、体温を保つのに人の体温が助けになる犬です。抱かれている時間は、その子にとって必要な時間でもあります。変えるべきなのは抱く回数ではなく、抱いているあいだの空気の扱い方です。

体温で温められた空気は、部屋より乾きます

同じ量の水分を含んだ空気でも、温度が上がると「乾いた空気」になります。冬に暖房を入れると室内の湿度が下がるのは、外から乾いた空気が入ってくるからだけではありません。温めたこと自体で、同じ空気の湿度が下がります。これは部屋の中でも、腕の中でも同じように起こります。

人の体温は、部屋の温度より10度以上高いことがほとんどです。腕と胸にはさまれた空間の温度は、部屋の空気より確実に上がります。温度が上がるほど、その空気は水分を受け取る余裕を持ちます。受け取る先は、いちばん近くにあるもの――被毛と、その下の皮膚です。

しかも、その空気は動きません。部屋の空気なら入れ替わりますが、腕の中の空気は入れ替わらないまま温められ続けます。抱いている人の服がフリースやセーターなら、湿りは布に吸われて外へ運ばれます。乾いた空気が、ずっとそこに留まる形になります。

湿度計の数字と、その子のまわりの空気は別のもの
部屋の湿度計抱かれているときの空気
置かれている高さ床から1メートル前後人の胸の高さ
温度部屋の設定温度人の体温に近づく
空気の入れ替わり換気や対流で入れ替わるほとんど動かない
まわりにあるもの何もない服の布が湿りを吸う
数字で見えるか見える見えない

つまり、加湿器を足しても、抱かれているあいだの空気は変わりません。加湿が無駄という意味ではなく、加湿だけでは届かない場所があるということです。チワワの乾燥が湿度の数字と合わないと感じるとき、たいていこの差が挟まっています。

同じことは、季節を問わず起こります。夏でも、冷房の効いた部屋で腕に抱かれていれば、その空間だけは温められています。チワワの乾燥を冬だけの話にしないほうがよいのは、この理由からです。変化に気づいたのが夏だったとしても、おかしなことではありません。

Point腕の中の空気は、入れ替えれば戻ります

動かない空気が問題なら、動かせば済みます。抱いている時間を短くする必要はありません。30分に一度、10秒だけ下ろして、毛の流れと逆に軽くなでる。それだけで、被毛の間の空気は入れ替わります。地肌を見る窓が開くタイミングとも重なるので、確かめるついでにできます。

湿度計ではなく、抱いた時間から見直すチワワの乾燥の考え方

ここまでの背景をふまえると、家で動かせる条件はいくつかに絞れます。やることを増やすのではなく、いまやっていることの順番と素材を入れ替えるだけです。チワワの乾燥に対する考え方を、部屋の側から、その子が触れている面の側へ移します。

  1. 抱っこの合間に、10秒だけ下ろす

    抱く時間を減らす必要はありません。続けて抱く時間を区切るだけです。30分に一度、床かソファに下ろして、毛の流れと逆に指の腹でなでます。被毛の間の空気が入れ替わり、同時に地肌の様子も見えます。嫌がる子には、膝の上で向きを変えるだけでもかまいません。

  2. 抱くときに当たる布を、替えてみる

    フリースやセーターは、湿りを吸ううえに静電気も起きやすい素材です。抱くときだけ薄い綿の布を1枚はさむ、ひざ掛けを綿のものにする。その子の体に触れている面は、1枚替えるだけで変わります。1週間ずつ替えて、地肌の手ざわりを比べてください。

  3. ブラッシングは、下ろした直後にする

    抱いているあいだ毛は寝ています。寝た毛にブラシを入れても、地肌までは届きません。下ろして毛が起きているうちに、やわらかいブラシで流れに沿ってとかします。短毛のチワワは、力を入れなくても足ります。回数より、届いているかどうかです。

  4. 洗う回数を、乾燥を理由に増やさない

    粉のようなものが見えると、洗って落としたくなります。けれど洗いすぎは、地肌のうるおいまで一緒に流します。洗う間隔を変えるときは、その前に皮膚の状態を診てもらってください。いまの間隔で困っていないなら、そのままにしておくほうが安全です。

  5. 寝床を、床から少し上げる

    床は部屋の中で温度が低く、暖房の風も直接は当たりません。ただし冬は冷えます。床にじかに寝かせるより、厚みのある寝床を1枚はさむほうが、体温を保ちながら風も避けられます。暖房の吹き出し口の正面は外してください。

抱いていた面に毎日手を入れるなら、毎日使えるものを選ぶことになります。犬は体から脂を出すので、昨日なでた背中が、今日また同じようにこすれて汚れます。それでも、毎日シャンプーに入れるわけにはいきません。mofuwa グルーミングスプレーは、吹きかけて布で拭くところまでで終わるので、下ろして毛が起きている数十秒のあいだに済みます。フリースやセーターの上で静電気が起きた日は、ブラッシングの前に毛の面を湿らせておくと、短い毛が逆立ったまま梳かれずに済みます。グルーミングスプレーに使われているのは電解した水で、舐めても差し支えのない基準で成分を調べたものなので、体の小さい犬にも量を気にせず使えます。拭いたあとは、毛が起きているうちに乾かしてください。地肌にすり込んで、そのままにはしないでください。

Caution乾燥だけでは説明がつかない皮膚の出方

地肌が赤い、じくじくしている、かさぶたがある、毛が薄くなってきた、においが強くなった、同じ場所をなめ続けている、かゆがって眠れていない、元気や食欲が落ちている。このどれかが出ているときは、家庭のケアで様子を見ずに動物病院で診てもらってください。皮膚の変化は、腕の中の空気だけでは説明がつかないことがあります。

受診の前には、いつから気づいたか、どの面に出ているか、家で使っているものはあるかをメモしてください。抱いていた面に出ているという情報は、その場で伝わりにくいものです。「胸に当たっていた背中の側」と言えると、診てもらう場所がはっきりします。診察の前に洗ってしまうと、皮膚の様子が分からなくなることがあるため、そのまま連れて行ってください。

チワワの乾燥は、部屋の湿度を上げれば終わる話ではありませんでした。その子が過ごしている空気は、腕の中と膝の上にあります。数字ではなく、抱いていた面を触って確かめる。1日に何度も抱く犬だからこそ、確かめる機会も1日に何度もあります。下ろすたびに10秒。それが、いちばん現実的な変化の見つけ方です。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。