C05犬種・猫種別ケア
トイプードルと暮らすなら知っておきたい、毛玉の話
カットから3週目に耳の後ろ、6週目に脇。トイプードルの毛玉ができる場所は、この順で動きます。同じ子の、同じ毛質のままです。変わっているのは毛の長さだけで、長さが変わると、こすれる場所も変わります。もうひとつ、巻いた毛は抜けても下に落ちません。抜けた毛が巻きの中に留まり、そこが毛玉の芯になります。この記事では、2〜3週目と6週目以降を比べて、いま何週目かで手を入れる場所をどう選ぶかを書きます。
抜けた毛が外へ出られない|トイプードルの毛玉のでき方
床にもソファにも毛が落ちない。トイプードルと暮らしている方から、よく聞く話です。掃除機の中身が軽いので、抜け毛の少ない犬だと思っていた、という声もあります。けれど、毛が抜けていないわけではありません。抜けた毛が、外へ出られないだけです。
多くの犬は、春と秋の換毛期に下毛がまとまって抜け、そのまま床に落ちます。トイプードルの被毛は巻いているので、抜けた1本が隣の毛のカーブに引っかかって止まります。落ちるかわりに、巻きの中に留まる。そこへ次の1本、また次の1本が重なって、指でつまめる大きさになったものが毛玉です。
もうひとつ、トイプードルの毛には伸び続けるという作りがあります。ある長さで抜け替わって止まるのではなく、切らなければ伸びていく子が多い。だからトリミングでカットが要ります。そしてカットのたびに、体の上の毛の長さがいっせいに変わります。
- 巻いている:抜けた毛が下へ落ちず、根元側に溜まります
- 伸び続ける:カットからの日数が、そのまま毛の長さになります
- 換毛期の山が小さい:季節でどっと抜けるより、少しずつ、一年を通して溜まります
- 毛先が細く、絡みやすい:静電気が起きた日は、毛先どうしが寄ります
この4つを重ねると、トイプードルの毛玉は「毛が絡んだ」というより「抜けた毛の出口がない」ことで起きている、と見えてきます。だから毛質を責めても始まりません。手を入れるべきなのは、いま、どこに出口がなくなっているかです。そしてその場所は、毛の長さで動きます。
抜け毛が床に落ちない被毛は、掃除の手間が少ないという意味では助かります。ただし抜けた毛は、その子の体の上に残っています。ブラッシングは、汚れを落とすためというより、留まっている毛を外へ運び出すためのものだと考えてください。運び出す係を、人が代わっている形です。
耳の後ろから、脇と内股へ|週数で移る毛玉の位置
カットの翌日から次のカットまで、毛は毎日わずかずつ伸びています。短いときと長いときでは、こすれ方の中身が違います。短いうちは、動きの多い場所だけがこすれます。長さが出てくると、体の面と面が合わさって、そこがこすれるようになります。この違いが、毛玉のできる場所をそのまま入れ替えます。
| 2〜3週目 | 6週目以降 | |
|---|---|---|
| 毛の長さ | 短い。指ではつまみにくい | 長さが出て、面ができる |
| できる場所 | 耳の後ろ、首輪の下、あごの下 | 脇、内股、しっぽのつけね |
| きっかけ | 動きの多い場所でこすれる | こすれる面どうしが合わさる |
| 毛玉の形 | 小さく、根元寄りに点で出る | 平たく、面のまま広がる |
| 見落とす理由 | 短いので、上から見て分からない | 毛量に隠れて、表からは見えない |
| 手の入れ方 | 指の腹で毛を分ける | 根元を支えて、毛先からほぐす |
2〜3週目に耳の後ろから出るのは、そこがいちばん動くからです。首をかしげる、振り返る、耳をかく。短い毛でも、動く回数が多ければ根元で寄ります。首輪の下とあごの下も同じ理由です。短いから安全、ではありません。短い時期の毛玉は小さく、根元にへばりつく形で出ます。
6週目以降になると、毛は指ではさめる長さになります。ここで脇と内股が出てくるのは、前足の内側と体、後ろ足の内側どうしが、歩くたびに合わさるからです。合わさる面は、上から見えません。毛量が増えたぶん、表面はきれいに見えるのに、下で平たく広がっているという形になります。
いま何週目か|毛先をはさんで確かめる見分け方
手を入れる場所を決めるには、まず週数が要ります。いちばん確実なのは、トリミングに行った日をカレンダーに書いておくことです。1行で足ります。それだけで、今日がどちらの時期かが分かります。
書き忘れていても、毛の長さから見当はつきます。次の順で確かめてください。犬を立たせたまま、片手で体を支えて、もう片方の手だけを使います。
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背中の毛を、親指と人差し指ではさんでみる
指の腹ではさんで持ち上がらない長さなら、まだ2〜3週目の側です。はさんで1センチ以上つまめるなら、6週目以降の側だと考えてください。毛量の多い子は、背中ではなく肩の上で試すと分かりやすくなります。
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耳の後ろに、指の腹をあてて滑らせる
毛先ではなく根元です。小さな粒のような手ざわりがあれば、そこが短い時期の毛玉です。目で探しても見つかりません。見分け方は、見るのではなく触ることです。
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前足を軽く持ち上げて、脇に指を入れる
指が根元まですっと入るなら大丈夫です。途中で止まる、あるいは毛が板のようになっているなら、面ができています。左右を同じ手順で比べてください。片側だけが違うときは、寝る向きや、いつも当たっているものを思い出します。
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内股としっぽのつけねを、同じやり方で確かめる
ここは嫌がる子が多い場所です。無理に押さえず、1日1か所でかまいません。4か所を1日で回そうとしないほうが続きます。
毛量のあるトイプードルは、写真で撮っても表面しか写りません。手ざわりの違いは、続けていれば数日で覚えられます。お腹側と脇は、抱き上げたついでに触ると決めてしまうと、思い出さなくても回るようになります。
週数で変わる、ブラシと指の使い分け
同じブラッシングでも、2〜3週目と6週目以降では持つものが変わります。短い時期に細かい道具を入れると地肌に当たり、長い時期に指だけで済ませると根元に届きません。週数で選び方を分けてください。
| 2〜3週目 | 6週目以降 | |
|---|---|---|
| 先に使うもの | 指の腹 | 目の粗いコーム |
| ブラシの向き | 根元を分けて、短く動かす | 根元を支え、毛先から順に上へ |
| 1回の時間 | 2〜3分を、こまめに | 5分を、場所ごとに区切って |
| 重点の場所 | 耳の後ろ、首輪の下、あごの下 | 脇、内股、しっぽのつけね |
| やらないこと | 細い目のブラシで地肌をこする | 毛玉の根元からブラシを入れる |
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2〜3週目は、指で耳の後ろを分ける
毛を左右に分けて、地肌が見える線をつくります。粒のような手ざわりがあれば、指の腹で少しずつ横にずらします。この時期はブラシより指のほうが安全です。短い毛に細かいブラシを入れると、先が地肌に当たります。
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6週目以降は、根元を押さえてから毛先へ
毛玉のある場所は、根元を指ではさんで固定します。そのうえで毛先の側からコームを入れ、少しずつ上へ移します。根元から入れると、皮膚ごと引っぱることになります。一度で終わらせようとしないでください。
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乾いた時期は、静電気を先に落とす
空気が乾く季節は、とかすほど毛先が広がって寄ります。布をわずかに湿らせて、毛の表面を一度なでてからとかしてください。水が垂れるほど湿らせる必要はありません。濡らしたら、その日のうちに乾かしきるところまでを1セットにします。
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洗う回数は、毛玉に合わせて増やさない
毛玉ができたから洗う、という順番にすると、ほどけていない毛玉が水を含んで締まります。ほどいてから洗うが順番です。洗う回数そのものを増やすと、地肌のうるおいも一緒に減ります。
毛玉を早く取ろうとして、引き抜く・ハサミを入れる、はどちらも避けてください。毛玉の下には、引っぱられて持ち上がった皮膚があります。ハサミの先が、毛ではなく皮膚に届きます。ほどけないものは、次のトリミングまで待つか、サロンに場所を伝えて任せてください。
毛の表面を湿らせるのに向いているのが、mofuwaグルーミングスプレーです。中身は還元水100%で、香りもアルコールも足していません。布に含ませて、脇や内股のようにこすれる面を、毛の流れに沿って一度なでてください。巻いた毛は、抜けた毛を体の上に置いたままにします。だから次のトリミングまでの6週間は、人が毎日運び出す側に立つことになります。トイプードルを毎日シャンプーすることはできませんし、サロンにも毎日は通えません。スプレーが受け持つのは、その毎日の側です。
グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、乾いた時期にコームを入れる前が出番です。ひと吹きしてからとかすと、毛先が広がって寄るところまで進みません。量は気にしなくて大丈夫です。飲みものに使う水と同じ規格基準で検査されているので、舐めても差し支えありません。ただし、すでに毛玉になっている場所へ直接吹きかけて、そのまま置かないでください。締まっている毛が水を含むと、さらに締まる方向へ動きます。ほどいてから、表面をなでる。この順番だけは動かさないでください。
カット直後なのに毛玉ができるときは、週数の話ではありません
ここまでは、毛の長さで説明のつく毛玉の話でした。週数と場所が合っていない毛玉は、別の見方をしてください。カットしたばかりなのに脇が固まる、同じ一か所だけが何度も戻る、といったときです。
- カットから1週間以内に、面で固まる:長さがないのに面ができています。濡れた日や、当たり続けているものを思い出してください
- いつも同じ一か所だけ:ハーネス、首輪、寝床の縁など、毎日当たっているものが同じ場所を押さえている可能性があります
- その場所を気にしている:なめる、かく、床にこすりつける。毛玉より先に、皮膚のほうを見てください
- ほどいたあとの地肌が赤い、においがある:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、ほどく手をその場で止めてください
毛玉の下の地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。このうちひとつでも出ているなら、自分でほどこうとせず、動物病院で地肌を見てもらってください。毛玉の下は外から見えないぶん、変化が進んでから気づくことがあります。ほどける場所は、そのあいだも週数どおりに続けてかまいません。
相談やトリミングの前には、最後にカットした日、毛玉の場所、いつから気づいたかをメモしてください。この3つがあると、週数で説明のつく毛玉なのかどうかが、その場で切り分けられます。ほどけなかった毛玉は、触らずにその形のまま見せてください。途中までほどくと、どこから始まった毛玉なのかが読めなくなります。
トイプードルと暮らすうえで、毛玉はゼロにはなりません。抜けた毛が体の上に残る作りだからです。できないようにするのではなく、できる場所を先に知っておく。いま何週目かを見て、そこへ手を入れる。それだけで、次のトリミングまでの数週間はずいぶん違ってきます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- トイプードルの毛玉ができやすいのは、毛質が悪いからですか?
- 毛質の良し悪しではありません。巻いた毛は抜けても下に落ちず、巻きの中に留まるという作りを持っています。そこへ抜けた毛が重なって毛玉になります。手入れの回数より、いまカットから何週目かを見て、こすれている場所へ手を入れるほうが結果は変わります。
- 床に毛が落ちないので、抜け毛は少ないと思っていました。
- 落ちていないだけで、抜けてはいます。抜けた毛はその子の体の上に残っているので、ブラッシングは汚れを落とす作業というより、留まっている毛を外へ運び出す作業になります。運び出す係を人が代わっている、と考えてください。
- 家でハサミを使って毛玉を切ってもいいですか?
- おすすめしません。毛玉は下の皮膚を引っぱって持ち上げているため、毛だけを切っているつもりでも先が皮膚に届きます。ほどけないものは次のトリミングまで待つか、場所を伝えてサロンに任せてください。地肌が赤い、痛がるといったときは、先に動物病院にご相談ください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
